■2023年11月25日(土)
原文も悪いが訳文はなお悪い
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SNS投稿が“パレスチナ寄り”と「スクリーム7」を解雇された俳優、「沈黙は選択肢にない」と声明発表 ボイコット呼びかける声続々 主張自体はともかくとして。 「私は、人々の集団は指導者ではなく、いかなる統制機関も批判の上に成り立つべきではないと信じています。」と訳されている部分は、「I believe a group of people are NOT their leadership, and that no governing body should be above criticism.」となっています。いささか英語としては乱れている印象を受ける文ですが、少なくとも後半のbeは「である」というよりは「ある」と解釈するべきでしょう。つまり「私は、ある種の人々はリーダーに相応しくないし、批判を超越するような政府もあるべきではないと信じます。」という趣旨ではないかと思います。前半がかなり意訳になっていますが、「I am their leadership.」という文は「私は彼らのリーダーだ」という意味になります。文脈に依存する部分はありますが、この場合thierはa group of peopleではなくpeople of Israel and Gazaと解釈するべきなのでしょう。a group of peopleがイスラエルとハマスの指導者=流血の責任者であり、彼らはイスラエルやガザの指導者である資格を持たないと非難していると解釈し、かつそのような指導者の率いるgoverning body - これがgovernmentでもsovereign bodyでもない理由はどうもわかりませんが、ハマスが国家でも政府でもないことを前提にしているのかもしれません - 、批判されてしかるべき政府は統治の正当性を失っているという主張であろうと思います。なんとなく「統制機関」という訳語からして機械翻訳ではないかと思うのですが、訳文はあまりにも酷いものです。 とはいえこういう誤解を容易に引き出す文をポロっと出すことになってしまうメッセージングシステムというのは、そもそも設計の発想の上での欠陥品とは言わないんですかね。綸言汗の如しなんて言葉もありますが、どうみても口で言う言葉特有の問題、反射的に練り上げる前の言葉を発してしまうという特徴を実装してしまっていると思うのですが。 | | |