日記

■2023年03月31日(金)  それこそそう言っておけばそれで済むこと
精神科医が斬るChatGPT 相談相手が「実はAI」は何を脅かす
もともと会話AIの開発は会話セラピー絡みで始まっていたと思います。そして、精神科医やカウンセラー、セラピストよりも当時のいわば「人工無能」のほうがセラピストとして望ましいと評価した実験参加者も出ています。もちろん聞き手が人間であると思わせておいて実はAIだったというのは信義に反し、セラピーサービスの運用者の信用を脅かしますし、セラピーというのは一種の精神的誘導技術とも言えますので、現状のAIのような何をするかわかったものではない - 子供と同じでどこで変なネタを拾って学習するか分かったものではない - 実装に任せることには、無資格セラピストと同様の問題があります。とはいえ、会話人工知能を適切に方向づけることは原理的に可能というのが、現在の技術の大前提ではあります。また自由であるがゆえに本質的に信用できない人間のセラピストと違って、人工知能は制御できるだけに信用しやすい部分はあると思います。それを外部のサービスとして利用する限りは、利用者にとって制御できない以上、利用者は医療技術者に対する場合と同様のリスクに曝されます。医師や医療福祉関係者が治療の過程で得た情報を不当な形で利用しないことの保障は、実質的にないのと同じく、外部サービスである人工知能が獲得した利用者の情報をサービス運営者が不当な形で利用しない保障も又ありません。しかし、スタンダードなスタンドアローンのセラピーエキスパートシステムが成立した場合、つまり利用者との相互作用による人工知能の変化のみ(あるいは限定的な - 報道程度の - 外部のソースを含めてもよいかもしれませんが)を想定すればよくなった場合、事情は変わる可能性があります。
一方で心理的依存は、セラピーも含めた緩和療法に必然的に伴う問題であり、人工知能特有の問題というわけではありません。最終的には緩和の必要をなくす方向に進むこと自体がセラピーの前提であり、スタンドアローンなエキスパートシステムを構築するうえでは、緩和と合わせて依存を克服する方向性を、人工知能に持たせることになると思います。ともすればセラピーにおいては緩和ばかりが注目される傾向がありますが、緩和を提供する存在に依存することはそれが人間であろうと人工知能であろうと問題なのであり、エキスパートシステムを構築する際にはセラピーというサービスの全過程を捉えて行う必要があることは、言うまでもないでしょう。

■2023年03月31日(金)  いわゆるフツーの書店はもういらない
本屋ない自治体、全国で26% 業界はネット書店規制を要望、懸念も
売れ筋の雑誌と文芸書しかないような書店なら要りませんが。そのレベルならコンビニで十分ですし。
100年前ならともかく今時文化の問題にする方が間違っていて、書店という形よりはむしろ図書館や読書協会の方が適切だと思います。書店だとどうしても採算性が問題になり、効率よく売れる本を回転させる発想になります。これでは文化になどなりようがありません。そういった事情の違いを踏まえずに書店の復権をと叫ぶことは勘違いの最たるものです。また図書館や読書協会で取り扱いを躊躇するような本が容易に店頭に並ぶのが書店という商売であり、正直そういう本に触れるのは自立して都市部に住むようになってからでよいと思います。文化と言うなら本に触れる環境も問題にするべきですし、1980年代以降の書店は適切な環境とは全く思えません。まだしも喫茶店の方がましでしょう(漫画喫茶は現状業態として簡易宿泊に近いものがあるので、同列では論じられないと思います)。
もし書店の復権を考えるなら、学術書、工学書が洋書を含めて大学城下町に十分なレベルで並ぶことを前提とするべきです。通俗書や漫画、一般向け雑誌しか見当たらないようでは、文化水準としてエロ本屋にすら劣ります。高校のあるすべての町に、高校生が情報の授業で関心を持った技術の解説書がいつでも手に取れる書店があることを最低水準とするなら、政策として価値があるでしょう。それは、社会の授業で関心を持って六法全書や判例集を紐解き、心身の不調を気にしてまっとうな医学書を紐解くのでも同じです。書いてあることを8割は割り引いて読まないといけないアヤシイ民間療法やそれに近い一部医師の思い付きや偏った経験的療法の紹介本しかないのでは、ない方がましです。アマゾンがある種の理想像とも言える大型書店のメリットはそういう本がちゃんとあるということであり、それは大型書店が立地する地域の読者のボリュームに支えられています。その事実を無視してアマゾンどころか楽天あたりに店を構えた通販専門のニッチな書店にすら敗れたフツーの本屋の復活を揚言するなら、馬鹿かと言うしかありません。割引が問題などという発想は自由価格を主張する馬鹿の思想に逆にかぶれています。本が売れればいいのなら、図書館が買う本の冊数を増やしたっていいはずです。あるいは、本を山ほど置ける住宅の整備をするのが先です。漫画的に言うなら、妻が夫に家に大量の本を溜め込むことの苦情を言うような環境に、書店ベースの本文化はあり得ません。そんなものが望ましいなら、ですが。むしろ一市町村に最低一つの大型図書館を設置し、出版する本はそこが必ず全て買う(義務的に定価を払って買うのであり、いわゆる義務納本ではありません)ことを義務付けた方が、最低限はける部数の見通しが立って出版社が本を作りやすいはずです。その上で一定の基準で返品を可能にし、返金を義務付けた方が、競争も働くのではないでしょうか。この仕組みであれば、現在の取次配給制度とさして違いはないですし。

■2023年03月30日(木)  人権は今のところビュッフェメニューです
人権は「ビュッフェではない」 HRW新代表、日本に期待する根拠は
欧州的というか、国際法の条約としての側面を侮辱するものだと思います。もちろん民間人や民間団体が侮辱する分には何の問題もないわけですが、そのような発想を主権国家が確立された国際慣習として尊重する義理はないでしょう。
この発想は、欧州連合のacquis communautaireに近い発想ではないかと思いますが、慣習的にでも確立された法的枠組みがあり、個々の主体はそれをセットで受け入れてコミュニティーに参加するか、コミュニティーの外部にあるかのみを選べるという考え方でしょう。理念としては理解できますし、それをHRWの活動方針、活動の理念として掲げることは全く問題ないというかおそらく望ましいだろうと思います。
とはいえ前例として人権条約などで加入に際し留保を付けられるという事情がある以上、現状人権は主権国家単位で選択できるものに留まります。HRWが人権が確保されていな国家とdisる根拠としてはともかく、あるいは外国政府が日本国を人権保障が未整備な国家として扱うことはともかく、日本国で保障される人権は日本国憲法に定められたそれとそこから国内の法律論に立脚して敷衍されるそれに限られます。もちろん法律として権利を定めることはできますが、法律の改廃や解釈の変更によって左右されないという意味での人権の設定には憲法改正が必要となるでしょう。
その意味で、例えば移動の自由や居住の自由、就労の自由が普く日本国民に、そして日本国民と同等に万人に保障される人権であるかどうかというのは、国内法(法律だけでなく解釈や法律論を含む)をもって個別に設定できるものだと考えるしかないでしょう。
個人的にも、そのような人権のセットを特定するのが誰なのかという問題は主権国家を超えて解決されていないと考えますし、その意味でHRWの主張には同意できません。人権は今のところビュッフェメニューです。

■2023年03月30日(木)  都に期待などせず自力救済を図るしかないのでは
東京五輪会場に苦情続出、タワマンや保育園の横で1万5千人ライブ
買って解体すればいいと思いますが。ライブ会場などとして運用するからこそ建設コストを償還できるわけで、簡単に迷惑のない範囲で運営しますなどとは言えません。もちろん建設時に周辺住民を立ち退かせるなどの措置を考慮するべきではあったにせよ、そしてもちろん都の立地への判断の失敗例ではあるにせよ、都の大赤字を避けたければ運用するしかありません。それを無理して住民が平穏を取り戻すことを望むなら、住民団体で施設を敷地ごと買い取って解体を行うのが早道でしょう。それで都は建設費を償還できますし、住民は迷惑施設を取り除けます。もちろんマンションを退去するのもありでしょう。裁判に訴えたところで、一審では終わらないと思うのですが。

■2023年03月30日(木)  仕事のできない行政府こそ「埋立てるしかないごみ」
「燃やすごみ」4月から「燃やすしかないごみ」に 名称変更の背景は
見込み違いを皮肉で誤魔化して住民に責任転嫁なんてみっともない話ですね。いっそごみ収集と処理を民営化してはいかがでしょうか。いや、そのまえに京都府亀岡市自体を「燃やすしかないごみ」か「埋立てるしかないごみ」とするのが筋かもしれませんが。議会も市長部局も廃止して(もちろん議員市長以下職員全員も解任して)京都市に併合してもらえば解決するかもしれませんよ。

■2023年03月29日(水)  デッキじゃそう数は乗らない気がしますけど
東海道・山陽新幹線に特大荷物コーナー新設 5月からサービス開始へ
まあ、ないよりはましなんですが。ここ、自転車も置いていいんでしょうかね?
とはいえ、新幹線というのは長距離移動が前提なわけですし、荷物が大きくなることはむしろ想定していてしかるべきだと思います。デッキとかけち臭いことを言っていないで、指定席を一両分潰してでも荷物室を設け、対応専務車掌の配置など相応の運用をするべきではないかと思うのですが、やはり客はセルフサービスで迅速に乗り降りすることで列車の円滑な運行に協力するよう求められているのでしょうかね。

■2023年03月29日(水)  逮捕する警察も警察なら氏名と年齢を書く新聞屋も新聞屋だ
ガーシー氏の母親マンションに不法侵入容疑 自称ジャーナリスト逮捕
難しい事例ではあると思うのですが、アポイントメントを取っていたと証明できない場合は犯罪が成立するように思います。そのあたり判断が難しいので、地裁も令状の発出を渋ったのだとは思いますし、改めて逮捕令状を取り直して、署に出頭してきたところを逮捕したというのは、任意ではだめだったのかと思わなくもありませんが、県警が住所不定と看做したのだとすると身柄の確保に走ったことを不当とまでは言えないかもしれません。仮にジャーナリストの取材だとしても不法侵入はやり過ぎのはずで、集合住宅のエントランスは昨今状況次第では不法侵入になりえます。誰でも入っていけるなら微妙なところですが、カードキーや暗証番号などで本来住人しか入れないようになっているところに入っている場合は黒でしょう。
とはいえ日本の警察はなんでまたこう執拗に逮捕をしたがるんだという話ではあって、釈放後所轄署に自ら出頭している以上情状は良いはずで、車で行き来できる程度の所に自宅があって緊急逮捕の折それを申告していたと証明された場合、改めて令状を取っての逮捕は不当逮捕の疑いがあります。身元を証明する資料を示さなかったからと言って、氏名と年齢は確定情報として出している以上身元を調べはしたはずですから、理由にはならないでしょう。
警察が集合住宅住人の通報に基づいて周辺を徘徊していた不審人物(氏名年齢職業住所不詳)を逮捕したでは記事になりにくいのかもしれませんが、なんでまた氏名と年齢と職業を、警察が発表したからと言って書くのかは謎です。

■2023年03月29日(水)  そもそも再建費用もない貧乏人が自宅を所有するってどうなのかな
地震保険の加入率、首都圏なぜ低い? 入るかどうか、「損得でない」
損得の問題でしかないというか、そもそも賃貸用とか商業用の建築物ならともかく、自宅が破損したときに自己資産で修復できないような人が家を建てるなという気もします。できない人は、特に都市部では、おとなしく賃貸に住んでいただきたい。
もちろん現に居住用家屋を保有する人で再建に必要な費用のあてがない人は、家自体を売るのでなければ加入するべきではあるでしょう。とはいえ保険に頼って家を持つような貧乏くさい制度は年限を決めて廃止するべきだと思います。もちろん勝手に有り金はたいて自宅を建てる輩は出るので、建築許可を出すときに再建費用を基金に寄託させるくらいはするべきでしょうし、そのお金への税制上の優遇措置はあってよいでしょう。一括払いで寄託するなら経費としての控除もありだと思います。
ともあれプロレタリアが一生の買い物をするなど認めるべきではありません。保守や維持が自己負担でできることが、所有の前提の一つです。それを無暗に保護しようなどというのは、歪んでいます。

■2023年03月29日(水)  安全確保のため秘密にするという発想の方は間違っている
首相ウクライナ訪問、制度改善の契機に 福田充さんのコメントプラス
政策的合理性があるからと言って国会に断りもなく行くとか秘密にする合理性は認められないと思います。むしろ安全が要求されるなら、護衛航空隊や防空部隊を含む一個機械化師団を随行させるべきですし、訪問先にもそれを認めさせるべきです。日章旗を掲げた二万人規模の軍隊が上陸や降下を行い傲然と首都を行進し戒厳令さながらの要人警護に当たることを容認できるなら、招待でも訪問でもしたらいいと思います。この場合、護衛部隊はそのまま置いてきて戦闘加入させると喜ばれるのかもしれませんし。

■2023年03月28日(火)  国際慈善団体の善意ってのは理解しがたいな
バンクシーが支援の難民救助船、伊で出港禁止 難民上陸制限の法違反
まあ、迷惑なんでしょうね。
そもそも上陸させたら何とかなるなどという話でないことが分かり切っていて、それで捜索と救助しかやらないという発想の方が馬鹿げています。海難救助というのは救助した後国に帰すことを前提にしているので、仮にも善意を称するなら救助した後歓迎しないことが分かり切っている国に上陸させるべきではありません。ちゃんと海難救助とは別枠で保護してくれる先を手配しておき、そこに輸送するべきです。

■2023年03月28日(火)  そこまでしてやりたいですか?卒業式
髪形「高校生らしくない」と卒業生を別席に 「配慮十分でなかった」
まあ、配慮というなら、全員バチェラーガウンにフードを被ってどんな服装をしていてもわからないようにするくらいが良いのだと思いますが、そもそもそこまで適切な服装について意見の違いがあるのに卒業式なんかしたいですか?なんとしてでも卒業生が参加すべきものであるなら服装を云々する方が間違っていますし、そこで揉めるならむしろしない方がましでしょう。生徒から実施の希望があるなら希望者のみ参加にして参加を希望する人はちゃんとした服装をすることと言えばいいわけです。もちろん生徒が自主的にイベントを企画して、卒業証書の授与役を依頼してきたり来賓として教員を招いたりするのもありでしょうし、そこでイベントの性格について合意できないなら拒絶することは妥当でしょう。卒業式をすることが大事なのではなく、教員側と生徒側で卒業式というイベントについて合意を作り上げることが大事だと思います。それを惰性でやって意に沿わない生徒は参加させないとかやったら、問題なのは当たり前です。

■2023年03月28日(火)  大阪弁護士会館ってのは裁判所の近所にないのかな?
「平成の鬼平」が開放した会議室閉鎖 「千円」で使いたい放題だった
個人の篤志には感心しますが、そもそも弁護士会のするべきことではないのでしょうかね。
プロボノは弁護士事務所ではなく個々の弁護士のレベルの問題なので、それこそ個人事務所でもないと勤務先の設備は使いにくいと思われます。アメリカの場合教会がそうした状況で場を提供していると聞きますし、通常町の教会というのは裁判所と同じ広場に面しているものでしょう。どの町にも裁判所があるというわけでもなく、そこまで単純なものではありませんが、少なくとも地縁的に集まる場があり、そこでプロボノ活動が展開されてきた事情がある以上、そのような場がない場合の問題というのは、個人単位で弁護士の共通利益を図る組織でもある弁護士会が対処すべきことではないかと思います。もちろん大阪の弁護士会館は大阪地裁・高裁の近所にあるわけですが、設備として不十分とか、使用料が高いとかなのでしょうか。

■2023年03月28日(火)  むしろ登記抹消や免許取り消しまでいかなくてよかったのではないかと
ジェネリック薬の日医工、29日上場廃止 品質不正で経営危機の末に
当然と言うか、業務において誤魔化しをするような事業者が経営情報を誤魔化さないなどとは信じられないわけで、経営情報が適切に公開されていることが前提の株式上場基準には全く適合しません。もちろん、嘘をつかないことというのは会社という制度自体における前提であり、嘘をついていれば登記事項も含めたあらゆる情報が信頼性を喪失するものなのですから、会社登記の抹消を想定して調査が行われ、取締役などが刑事捜査の対象になることもあり得ます。もちろん医薬品の製造免許の取り消しもあり得たわけで、上場廃止程度で済んだことを株主は感謝し、こんなことをする(されても気づかない)ような経営者に経営を任せることのないようにするべきです。

■2023年03月27日(月)  こういうのが組織選挙や比例代表で出てくるから政党政治というのは信用ならない
首相「高市氏は真摯に説明を」 放送法文書「捏造」めぐる認識の相違
高市さんはなんか最初の岸田内閣発足の頃から邪魔なんだけど無視できないので登用している感があると思うのですが、岸田首相的には今度こそ失脚してくれないかなという感じでしょうか。内閣が巻き添えになるのは嫌でしょうけど。
正直「一生ものの口座」とかどうにもおばかに見えるので、こういうのがちゃんと出席しているだけで衆議院議員をやっていられるというのも議院を侮辱していると思うのですが、除名されませんかね。いやまあ、このレベルで除名していたら衆議院が空になるというのもわかるんですけど。

■2023年03月27日(月)  通貨との交換率が安定しないんじゃねえ
「仮想通貨は社会の何の役にも立たない」NVIDIAのCTOが発言
そらそうだ。あほくさい国際銀行送金の代替手段としてならともかく(クレカなどの国際決済サービスは普遍的とは言えないので)、ただの金融投機商品になり下がった仮想通貨のマイニングなど社会的には役立たずでしょう。流通は有用性を持つ条件の一つですが、こんな不安定な相場では送金には使えません。

■2023年03月26日(日)  いわば電話回線一本ケチってこの結果という感じ
使い回しで崩れた「閉域網神話」 NECを揺るがしたサイバー攻撃
電子カルテ、IDとPW使い回しでサイバー攻撃被害拡大 NEC構築
「外部との結節点がある以上、それは閉域網ではない。」
なんとも当たり前のことですが、これなら納得です。つまり「閉域網神話」とは「閉域網ならセキュリティー上の問題は出ない」という神話ではなく、「医療機関の構内ネットワークは閉域網である」という神話の方ですね。
もっともなんでそんなこと - 「医療機関の構内ネットワークは閉域網である」 - を思ったのかは謎というか、NECがこれまで行ってきたシステム構築の経験が関わってはいるのでしょう。個人的には大学院生の頃に有床病院で事務用パソコンのネット周りのセットアップをアルバイトで頼まれたことがあり、ADSLでのISPへの接続が含まれていましたから、当然にその部分は閉域網ではなかったわけです。2000年ごろでは病棟を新築したのでもなければそもそも構内ネットワーク自体後付けで敷設されているような状態であり、それを検査機器などを含む閉域網とISPにつながるネットワークと二系統用意するというのは費用面での負担が大きいでしょう。当然NECが相手にするのはそれができる顧客ばかりだったものと思われます。その上で、院の外部のサービスとの接続、ネットの活用が当然になってきたことへの対応が閉域網を崩したという話になるのでしょう。もちろん院内でWi-Fiが敷設されそれが院内の通信にも使用されているなどは論外と言えます。
そして、管理されているはずとはいえ外部との結節点がある以上、壁の内側を閉域網と言えるかどうかは実態的に評価されないといけません。リモート管理をするにしても、自社ネットワークと院内ネットを繋ぐ仮想専用通信回線があるとでも言うならまだしも、一般の出入り口と一緒にして認証で区別するのでは閉域網になっているとは言い難いでしょう。セオリーとしても、一般ユーザーの使う端末などが使われているネットワークは外部とはHTTPのみでつながれ、それ以外は厳格に管理された中間部で中継する、外からの接続が直接中に入ることはないし、中からの接続が直接外に出ることもない、もちろん中間部と内外の接続も規制されるというものだったはずです。それが利便性に押されてHTTP(S)自体がセキュリティーホール化した事情があり、前提が崩壊しているのをプラクティスで何とか誤魔化している状態だったことは容易に想像できます。そこで認証情報の使いまわしという感心できないプラクティスが常態化すれば、それはセキュリティー事案は起こるでしょうし、そもそもセキュリティー監査で問題にならないといけません。実際真面目に監査をやってみたら問題になったわけです。この場合問題は外部のサービスを中継点として内部に影響を及ぼすことができるという点か、外部と内部の境界制御において外部からの干渉・接続を受け入れる設定になっていたことが問題であり、認証情報が漏れやすい状態にあったことはその結果と思われます。

■2023年03月24日(金)  6800万人の中の108万人でしかないのも事実ではありますが
国民の怒り鎮められぬマクロン仏大統領 反年金改革で名門高校も封鎖
まあ、戒厳令でも出れば面白いですけど、さすがにそこまで強権的になるのは難しいでしょうかね。やるとすれば、デモ参加者を一部の跳ね上がりと断定するだけの国民的合意が得られたと判断した場合でしょう。元々パリは過激派の巣窟になりがちな土地でもありますので、パリだけが盛り上がって他地域は政府支持ということは結構あったはずです。
ちなみにフランス共和国の人口は2022年時点で6800万人ほどだそうで、108万人のデモ隊でも少数派と一蹴できなくはありません。全土で合計4000万人ほどがデモをすれば、有権者の絶対多数が反対ということになると思います。
とはいえ老齢年金というのは労働者にとって受給年齢になればこの労働の辛苦から解放されるという神聖な約束であり、言うなれば受給年齢の先延ばしに関わる移行にはその約束を信じて労働者になった人が全員受給権を得るまでの20年ほどかかっても仕方ない類の、国家と国民の約束です。それを大統領の任期中に進めるのでは、国家の福祉はあてにならないと公言していることになり、国民が闘い取った共同体や福祉に信頼を置いている人たちが激怒するのは当然と言えるでしょう。いわばフランス国民から成る共和国を嘘をつくエリートと嘘に翻弄される庶民に解体する暴挙です。これをするのは、ある意味抽象的な共和国に忠誠を誓う官僚根性の賜物でしょう。神聖なる世襲の国王ならするかもしれませんが、ポピュリストの粋たる皇帝ではとてもできません。反対の声を上げるデモ隊の向こうに自身の正しさを認める正しき国民を見ている人だからこそできることです。

■2023年03月23日(木)  だから昭和はダメ、日本建築はダメなのです
トイレが使用不能で市役所が非常事態 詰まりや漏水相次ぐも原因不明
まあ、昭和の設計の建築では仕方ないんじゃないでしょうか。かれこれ築40年なわけですし、広さと装飾性以外は安普請であるのが現代建築の特徴と言っていいくらいなので、色々限界なのでしょう。久喜市なら一時的にでも民間のビルを借りて移転する(なんなら期間を限って最低限の費用で建築物と土地を収用する)ことは何とかできるのではないかと思うのですが、建て替えないにせよ一度退去して配管や電設、通信設備をオーバーホールするべきでしょう。その結果、作業手順優先などで作り込んでしまって改修のしようがないことが判明するかもしれませんが、その場合は過去の市政が馬鹿だった、見通しが甘かったとあきらめるしかありません。さすがに機能不全の建物は運用できないと思いますので、取り壊しはして、現状の懐具合で建てられるレベルの建物に入る程度の規模に組織を整理するしかないでしょう。多分、敷地全体に鉄骨で駐車スペースを作り、その上にプレハブで二階建てを立てる程度なら、まともなものを建て直すほどのお金はかからないのではないかと思いますが。もちろん壁の中外を問わず配管や配線が這い回る体になるとは思いますが、機能的に必要なのですし、仕方ないでしょう。

■2023年03月23日(木)  まるで1941年12月のような
ここのところ新聞紙上が酷いことになっています。岸田総理のウクライナ訪問とWBCでの侍ジャパンチーム優勝です。
別にウクライナ側に立って参戦するのに反対とは言いませんが、それならすることなどないにもかかわらず国会をさぼって出かけていって現地政府におだててもらうのではなく自衛隊を率いてウラジオストックを占領すればいいことですし、玉遊びの興行に有志団体が出かけていって勝った程度で日本軍が西太平洋で全面攻勢を成功させているような扱いをするのも辟易しています。もちろん一紙くらいそういう新聞があってもいいとは思いますが、どの新聞もそうというのはどうなんでしょうかね。まあ、公共の電波でそんな内容を報道と称して垂れ流している娯楽チャンネルが真に公共性の名に値するかどうかはより深刻な問題で、全部ケーブルかネットに転換させてテレビ波帯域は別の目的、通信なりレーダーなりに割り当てた方がいいんじゃないか、それをしないまでも日本放送協会も含めて一チャンネルにつき、当然地域ごとに、年に一兆円も占有税をかけて財政再建なり防衛予算増強なりの足しにしたらいいんじゃないか(どうも共益費用と称してたった六億円しか取らないらしいのですが)と思いますが、あれはあれで万が一の時に簡便な設備で受信できる形で周知を行う、わざわざ街頭宣伝をしないで済ますという大事な目的がありますので、とにかくテレビを点けて注意を払っておく習慣を国民につけさせるという意味でひたすら不快ではないであろう目を引きそうな内容を流しておくということに意味はあるでしょう。その意味では、このような些事を全読者の関心事と称して大々的に流す新聞雑誌の方が無意味に恥ずかしいとは言えると思います。とくにWBC報道は、スポーツ紙なりスポーツ面なりに限ってくれればまだしも見ないという選択肢が取れますが、他の面に出てくるものですから、運動部が全国大会で勝ったときの校長先生の講話のような記事が嫌でも目に入ります。
つまりこれは、本当に世の動きというものが気になる人は新聞など読まず、官報でも読んでおけということなんでしょうね。

■2023年03月22日(水)  これは実質的に次年度執行なんじゃないの?
政府が追加の物価高対策 2兆円超、給付金やLPガス補助
またギリギリな話ですが。年度末ぎりぎりで閣議決定してちゃんと支出できるんでしょうかね?もちろん3月に何も決定できないというのもおかしいわけですが、だからといって物価高対策の閣議決定が3月後半という事態は相当の事情が必要な気がします。筋論で言えば、2月末には閣議決定までしてあるか、予備費の次年度持越しについて国会に承認を受けるべきではないのでしょうか。
「今月中に財源となる2022年度の予備費の支出を閣議決定する予定」
この場合で言えば、現在はまだ2022年度中なので、3月31日まではともかく支出ができる、その後2023年中に決算をまとめて国会に提出し、その承認が2024年1月に召集される予定の通常国会の見込みということです。とはいえだからと言って、閣議決定だけして実際の執行が次年度になるというのが適切なのかどうかは知りませんが。もちろんそれなりにあり得る事態ではあって、例えば2月27日完了予定の工事が遅延した場合支払い決定が3月、支出実行が4月になります。これはどちらかといえば執行部に責任のない例でしょう(もっともそうなると困るから何としても納品は2月末までに済まさせろと口を酸っぱくして言われたものですが)。とはいえそもそも年度内の執行が無理なスケジュールというのは、どうなんでしょうかね。

2兆円超の物価高・コロナ対策 予備費支出の常態化「ずさんな財政」
もちろん杜撰であることは否定しようがないわけですが、だからと言って例えば年末の時点で年度末の状況を見通せるかというと、いささか難しいと思える程度には状況の推移が流動的ではあると思います。
問題はその状態で適宜補正予算を組むことを想定できないほど国会を掌握できていないことでしょう。もちろん与党が国会を押さえ込んでしまうことには是非がありますが、国会を開くと嫌がらせのオンパレードになるとか対案が出てきて審議に手間取るというのは、そもそも政府与党としての国会運営が十分にできていないということです。これは与党の国会対策部門の無能、そんな部門に国会対策を託している自民党総裁の不手際としか言いようがりません。予算審議の段階で状況によって閣議レベルで選択できるように合意したオプションを揃えることが制度的にできないのであれば、あらかじめこのオプションの範囲では政府案を迅速に通すという合意をちゃんと野党と作り上げておき、決める際に一週間で両院を通す程度のことは有権者の意思を代理する代議士ならばできるのが当然でしょうし、そのために官僚に選べるレベルのオプションを精密にまとめさせ、野党側が案の段階で得失の議論や政府が特定のオプションを選択することへの信頼を構築できる状態にするのが政策実施の主体としての内閣や閣僚の役目であり、間の抜けた独善的な政策を打ち出すことではないはずです。いくら多数派のイニシアティヴの下での点取り競争を基盤とするのが政党を前提とした代議制民主主義とは言え、国会が合意に基づいて政策を決定する機関であることはそれ以前の前提でしょう。わかりやすく競争する発想ばかりしてきてそこを忘れていませんか?

■2023年03月21日(火)  民主主義の原理からは一院制議会が民意を独占するべき
実験室フランスに学ぶ二院制の意義と可能性 「感情」は軽視できない
そもそも起源としては両院は代表するものが違っているので、民主主義を前提に意義を比較しても意味はない気がしています。意味があるとすれば権力分立論からの視点ですが、分立や抑制、牽制が非効率をもたらすこと自体は否定しがたいでしょう。
何をどうやっても民会や普通選挙に依拠する限り衆愚政は不可避であり、その意味では任命制の終身議員制度や勅撰議員制度、あるいは貴族院なり元老院なりのような普通選挙とは違った過程での議員の決定を基盤にすることで敢えて政策決定への抵抗を作り出すか、そもそも異なった管轄を持つものと構想するしかないと思います。貴族院はそもそも平民や騎士とは異なる身分を代表していますし、任命議員や勅撰議員もその時々の政権が長期的な観点から選んだ有識者集団として民選議員とは異なった立場に立ちます。またアメリカ合衆国上院は州代表の集まりとして州の連合体としての立ち位置から立法行為や行政府の行動を管理する機構です。ですから政府人事の審査承認は上院の専権事項ですし、アメリカ合衆国としての国際的な合意の承認もそうで、あくまでも州の連合体として連合した諸州の利益を代表するべき案件について最終的な決定権を行使します。その意味では主権連合や諸身分の連合である国家では二院制なりが必然ではあるでしょう。もちろん三部会のように三院制でもよいわけです。また諸身分の連合としてはそれこそ古代ローマが、貴族と騎士の議論の場としての元老院に様々な政務官の選出母体として複数の民会が組み合わさった制度になっていたわけです。一方単一不可分の共和国とか均一なネイションステートには一院制がふさわしいとは言えるでしょうが、そんなものは存在しないというのもまたここ300年ほどの経験の結論ではないかと思います。
正直その意味では、大統領にしろ首相にしろ、そうであるがゆえに議会に口を出すな、議会を云々するなと言うしかありません。現在の政権主導=行政府主導の議会制度の議論はそこが歪んでいると思います。

■2023年03月21日(火)  是非とも判決という形で決着をつけるべき
技能実習生に労組脱退要求は「憲法違反」 国の認可法人を提訴
「機構は、(原則)転職が許されず、労働問題があっても言いづらい実習生を守る立場のはず。」というのは所詮労働者紹介事業であることに対する無理解というか理想なり理念なりの押し付けだとは思いますが、所詮労働者紹介事業であるからこそ不当労働行為は許されませんし、もちろん組合脱退の声掛けなどその典型です。そこはちゃんと判例を作っておく意義はあるでしょう。被告側も、異議を唱えずに判決を受ける形で協力するべきだと思います。少なくとも和解という形で判決を回避するのは適切とは思えません。

■2023年03月21日(火)  解決済みとかむしろ保護だとか言った回数は数十回では済まない気もしますが
「日本はすでに数十回謝罪」韓国の尹大統領、関係正常化へ理解求める
いやまあ、謝罪した端から実のなさを暴露するような言動に走るのでそこは不徳の至りと言うしかないのですが。

■2023年03月21日(火)  独占をしているわけでもない民間企業に不採算を強いるわけにはいかないと思いますが
「死活問題だ」 鉄道各社が割引回数券を廃止 通信制高校生が悲鳴
さすがに利用者にとって不利益だということ程度は廃止した鉄道各社も認識していると思うのですが、どうして、例えば記名ICカードの付加サービスのような代替策を講じなかったのでしょうか。もちろん講じるとなればシステム開発を伴うため、相当額の支出が生じますが、業務合理化の一環として紙の切符を廃止することを決めるに際して、紙で提供している割引制度の扱いは議論したはずです。回数券廃止の議論も当然そこであったはずで、交通系ICカードに運賃の収受方法を集約するからと言って何の代替案もなくただ廃止とは言いださないでしょう。
つまり回数券の廃止策は鉄道各社の採算性向上策ということになります。運賃割引制度は大きく鉄道輸送の需要喚起のために行われるものと公共の福祉の視点から公的な制度や財政支出を基盤に行われるものとに分かれますが、鉄道会社の一存で廃止できてしまっている時点で、通学用割引回数乗車券は後者に近いものの公的な制度の裏付けがなかったものということでしょう。もはや割引回数券を発行している余裕が経営にないので廃止するということで、それを維持しろと言われて維持できるものなのかは疑問です。文科省なりの手当てが望まれる状況ではないかと思います。
もしかすると本来交通系ICカードを運営している事業体で対応の準備が進んでいるものの鉄道事業者側が経営悪化などを理由に前倒しで回数券を廃止してしまった=そのうち復活するのかもしれませんが、その場合でも鉄道事業者がこの種の施策の負担を無視できなくなったという点は変わりません。もちろん民間事業である以上割引運賃施策よりも新線の整備などの方が大事という主張は妥当ですので、これについても是非とも異次元の政策を導入していただきたいと思います。大学でリスキリングももちろん大事でしょうが、国民ができるだけ漏れなく高卒の資格を取るというのも産業基盤の整備としては重要でしょう。

■2023年03月20日(月)  そういうあなたの言いようが恥ずかしい
LGBT法案めぐり経団連会長が苦言 欧米への遅れ「恥ずかしい」
遅れが恥ずかしいという発想がそもそも恥ずかしいですが。だいたいがLGBTの方々が感じている不便の半分以上は戸籍がどうとか同性婚がどうとか役所の扱いがどうとかではなく企業が何かと配偶者でないととか普通のカップルでないととか、同性婚や事実婚を差別するせいで生じていると思います。もちろん関係性を証明する制度がないことは根本的な原因とは言えますが、それを商業的に提供するのだって経済界のできることでしょう。法律なんか待っているから悪い面があります。

■2023年03月20日(月)  実力をもって国家の独占権を犯す行為は国家反逆罪ではないかと
イタリアはスリ天国、逮捕されてもすぐ釈放され刑務所で服役しないワケ
まあ、人道とか収容コストとかありますもんね。
とはいえ、「ここ数週間、イタリアではソーシャル ネットワークに投稿されたロマ族のスリを地下鉄車両内で現行犯逮捕した瞬間を撮影した動画数十件が拡散され、物議を醸している。」のような自力救済的行為は法治国家としては全く許されないものです。曝し刑というのは明白に私刑に該当しますので、市民団体の批判はともかく、警察に検挙されるべき行為でしょう。少なくとも国家権力に対する明白な侵害という点で、単純窃盗よりはよほど悪質な行為です。個人的には国家反逆罪にすら該当すると思います。

■2023年03月18日(土)  今のところ嫌がらせレベルですが
国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状 子の連れ去りに関与の疑い
これ、どこまで真面目に受け取るべきか悩みます。
もちろん人道に対する罪について国際刑事裁判所の検察部門が容疑者の逮捕状を出すこと自体はありえます。ウクライナは国際刑事裁判所の締約国であり、人道に対する罪については当事国のうち一か国でも締約国であれば管轄を主張できたはずですし、現に今のウクライナでの戦争は2013年以降国際刑事裁判所の付託案件になっています。
問題はこの逮捕状の執行が可能かどうかです。ロシア連邦は国際刑事裁判所締約国ではないので、逮捕状を執行する条約上の義務はなく、少なくともロシアでの執行可能性を現時点で云々しても仕方ありませんので、日本での執行可能性を考えることにします。もちろんなりふり構わないのであれば日本の主権領域内に入ったところで拘束することは不可能ではありません。ただしその場合、日本国は友好国の元首を一方的に捕獲した国際条約を顧みない無法国家ということになります。もっとも、例えば戦闘機数百機の護衛をもって飛行機で日本領空を通過するプーチン氏を拘束するようなことは、不可能だと思いますが。撃墜ならできるかもしれませんけど。
プーチン氏が公的に日本に入国した場合、同氏は自動的に外交官特権に基づいて身体の不可侵を認められることになるはずです。現状ロシア連邦と日本国は戦争状態にありませんので、外交官特権の対象となるロシア連邦外交官について国際条約上の外交官特権の停止を主張する余地はありません。一応個別の人物について外交官特権を一方的に停止するので領内から退去せよと言うことはできるはずですが、国家元首としての地位に基づいて外交官特権が認められる人物が日本国政府の許可を得て入国した場合に停止できるとは思えません。特権の対象となる外交官が現地政府の事前の承認なく任国に入ることは下手をすると侵略に該当するはずで、この場合は当然に逮捕というか拘束が可能です。つまりトランジットも含めて、プーチン氏が事前の承認なく日本国に入ることはできません。領空通過や領海通過はいささか微妙ですが、正直平穏に領空や領海を通過しようとするロシア連邦の公用機や公用船を武力をもって拿捕することは、ロシア連邦の主権の重大な侵害に当たるのではないかと思います。もちろん許可がない限り領空侵犯、領海侵犯ではありうるので、退去を要請することはできますが、その結果退去した場合は拿捕はできないでしょう。許可がある場合は、むしろ日本政府はプーチン氏の安全を保障する義務を負うことになります。つまり入国の打診があった時点で受け入れないと回答する義務があり、受け入れた上で逮捕などすればやはり無法国家扱いです。
正直これはどの国際刑事裁判所締約国でも同じはずで、プーチン氏がなにがしか公用があって入国を打診した場合に保護を約束する国はあまりないだろうと思いますし、保護を約束した場合その効力は国内的には国際刑事裁判所の逮捕状の上にあるでしょう。ちなみにアメリカ合衆国は締約国ではないので、プーチン氏が国連の会議に出るためにアメリカ合衆国に入国しても逮捕される心配は原理的にはないわけですが、現状で入国を認める気はあまりしません。もちろん認めた場合、アメリカ合衆国はその滞在の間プーチン氏の安全を保障する義務があります。
もっとも、まるで意味がないというわけではありません。少なくとも締約国は、プーチン氏の訪問を打診された場合、国際的な道義と国際刑事裁判所締約国としての義務から、訪問を拒否することが期待されることになります。また公職を退任した後プーチン氏が私的に入国した場合は、締約国には逮捕する義務があります。

■2023年03月18日(土)  今風に言うならリサイクルです
ポーランドがウクライナに戦闘機提供へ NATOでは初「数日中に」
スロバキアも旧ソ連製の戦闘機提供 ロシア「不要な機器の廃棄だ」
EUに加盟した旧東側諸国の旧ソ連製兵器(旧東ドイツから継承されたものを含めて)が不用品でありウクライナへの提供が廃棄であることは全くその通りで、また名前が同じでもロシア連邦空軍の機材はアップデートが続けられているはずであり、単純に比較できなくもあるでしょう。
とはいえ飛ぶのであればMiG-21でも欲しいのがウクライナの状況でしょうし、旧ソ連製兵器は扱った経験があるという人もまだいるわけです。以前の旧ソ連製戦車の提供と同じで無意味とまでは言えません。そこはロシアの吠え声を真面目に受け取る必要はなく、チンピラがその面覚えたぞと言っている程度に受け取ればいいのです。
むしろNATOがこの戦争をどこまで真面目にするつもりなのかの方が問題で、正直そのカギになるのは現状プーチン氏ではなくゼレンスキー氏でしょう。もちろんプーチン氏が撤退命令を出してロシア連邦軍が1991年時点の国境まで引き上げれば、ウクライナが停戦に応じない理由はなくなります。とはいえそうでなければ戦争は終わらせないというのはあまりに硬直した考え方であり、それこそモスクワに核弾道弾を飽和攻撃で撃ち込むつもりですることです。プーチン氏が現状迂闊に撤兵や停戦など言い出せそうにないのと同じで、ゼレンスキー氏も客観的には自身の督戦によって自国の外交オプションを縛ってしまっており、ほどほどのところで、例えばクリミア半島とそこへの最低限の回廊をロシアに譲って講和するようなことは言いだせそうにありませんし、NATOが言い出したとしてウクライナ国内で大きな反発が出かねません。バイデン政権のように裏で何を考えているのかはわからないにせよとりあえずロシアを崩壊させる意図を明らかにしていくならともかく、ほどほどのところで落としどころを見つけて戦争を終わらせるつもりならゼレンスキー氏を星になった英雄か国家を私物化した卑劣漢にしてウクライナの世論誘導の契機を掴むべきでしょうし、戦争さえ終わればよいのならウクライナへの援助を止め、見捨てると公言するべきです。キエフにロシアの傀儡政権が成立すれば、戦争は終わるでしょう。戦闘は終わらないかもしれませんしウクライナが無法地帯化するかもしれませんが。

■2023年03月17日(金)  株式会社にしてさらに株式を上場などするから悪い
企業乗っ取る「群狼戦術」と経営陣 宝飾店めぐる争奪戦が決着
本質的には株式を公開しているのが、そして株式会社であるのが悪いので、「群狼戦術」などとケチをつけている暇があったらMBOでもすべきです。単に経営上買収される隙(買える値段で売ってくれる株主を出してしまった)を見せた、株主総会で是非を決めることになったというだけの話で、株式会社なら当たり前のことでしかありません。もちろん経営陣交替に至らなかったというのは現時点でそうだというだけのことで、現状維持なら経営陣は敵対的な筆頭株主と経営を協議していくことになります。買占め側が株を売り払ってくれればともかく、まっとうに乗っ取りを図るのなら買い増しに進むでしょうし、浮上した以上公開株式買い付けをしてもよいわけです。また売り払ったところで、買い手によってはより厳しい相手が現れる可能性もあります。これ以上は困ると言うならMBOか、上場を取り下げたうえで個別に自社株の購入と償却を提案するしかないでしょう。

■2023年03月16日(木)  むしろ登録しないと政党を名乗れないような制度の方を廃止するべきでしょうね
スーチー氏の党、消滅へ 28日期限の政党登録を拒否 ミャンマー
非公認(あるいは非合法)になるだけで、消滅するわけではないと思いますが。もちろんその名前で軍政側の行う公職の選挙に候補者を立てることはできなくなるでしょうし、他にもいろいろと不利益を被るかもしれませんが、政治活動というのは公認された政党に限られるものでは決してありません。広範な基盤を持つ非政党政治組織を母体に議会や行政府で活動するための政党が成立することも普通にあります。NLDもそのような政治組織になる、ある意味では先祖返りするというだけのことです。

■2023年03月16日(木)  処分が軽すぎでは?
公共施設で喫煙、職員167人処分 市長減給「法令守らずショック」
賃労働者が守るメリットのない法令を守るとも思えませんが、ショックを受けるんですねえ。
全員から、私は喫煙者ではありません、庁舎で喫煙しません、庁舎でなくても勤務中に喫煙しません、煙草を買ったり持参したりしませんという誓約書を取り(もちろん新規採用者は採用にあたって誓約書を取り)、提出しなかった人や守らなかった人は誠実義務違反で懲戒解雇するというのが妥当な策ではないでしょうか。たかが喫煙でという話はあると思いますが、公共施設内での喫煙は不特定多数の健康を損ないかねない重大な、いわば傷害罪にもあたる行為である、傷害罪の現行犯逮捕もありうるというのがこうした規制の前提のはずです。これをした公務員は懲戒処分されてもおかしくありませんし、懲戒解雇すら均衡を逸して不当とは言えないのではないでしょうか。もちろん市長をはじめ公選職や任命職、そして議員や審議会の委員も含めて、そうであるべきです。
まあ、それで行政や姿勢が立ち行くかどうかは知りませんが。

■2023年03月16日(木)  大量失業と非正規の蔓延を招く気もしますが
「産後パパ育休」手取り「全額」補償へ 岸田首相が17日に表明
敢えて言えば、やらないよりはよほどましです。どうせ成立しても骨抜きになるとは思いますが、収入の問題で育休を取りがたい状況がある以上、産休や育休を取る場合通常就労していて期待できる水準の所得補償はあってしかるべきです。正規雇用と産休や育休という制度を前提とする以上、そうでなければなりません。
もっとも、それが「産後パパ」に限られるのもおかしいわけで、当然に母親の方も産休にしろ育休にしろ同レベルの所得補償があってしかるべきです。

とはいえこの種の労働者保護策は、まっとうに考えれば人減らしにつながると思います。雇うとリスクやコストが増すわけですから雇わないで済むならそれで済ませようという動機が出てくるはずですし、コストはともかくリスクは補償できるはずの大企業でも、そういった手厚い処遇に見合わない業務は極力労働を使わずに済むようにするでしょうし、雇うなら処遇に見合った生産性の期待できる人を選び、あるいは十分な生産性を上げるように訓練するようになるはずです。もちろんこれは望ましい自体であり、産業や企業の合理化につながり、日本の生産性を向上させるはずです。とはいえ使用者の求める高い生産性の実現に努力せず、経験や惰性で仕事をするような労働者は排除される可能性が高いですし、そういう中核的労働者を獲得できなかった労働頼み企業は持続性を失うでしょう。例え不当労働行為や不適切な雇用あるいは雇用類似行為がなかったとしてもそうなります。むしろ放っておけば抜け道派遣とか偽装請負とか偽装管理職とか偽装フリーランスとかブラック職場とか買い手市場によるブラック就活とかが蔓延するでしょう。つまり少なくとも短期的というか中期的には失業率が増加し、消費が落ち込むことになります。これによる日本経済の生産性低下、成長率低下と優良企業の効率改善による生産性向上、経済成長のどちらが卓越するか、あまり楽観はできないのではないでしょうか。

■2023年03月16日(木)  残業手当を付けたところで残業は減らないと思うなあ
自民の教員給与改革案「残業なくならぬ」 教員ら、給特法廃止提言
いやまあ、残業のペナルティーが付いたところで残業がなくならないのは民間の事例で明白になっているので、物理的に残業ができないようにするしかないと思いますが。つまり例えば、まず校舎への持ち込みや校舎からの持ち出しを身体検査を伴う形で禁止し、定時になると係員がやってきて生徒の教職員もとにかく追い出すとかです。もちろん施設の施錠などもこの係員が行い、翌朝の施設の解錠も係員が行い、宿直などは別の形に代替します。
とはいえそもそも学校においてする仕事、業務が見える化されていないという問題もありますので、とにかくきっちり細かく文書にして書いていないことはやらない、口頭での指示は原則受け付けないという形も必要かと思います。そうすると先生方はひたすら、そういうことは規程に書かれていませんのでできませんと言っていればいいことになります。それはそれで公立学校に対する父兄の信頼が崩壊しそうな気はしますが、それで対応するのは都道府県市町村の議会と教育委員会なので、別に問題はないでしょう。そこでちゃんと整理をして規程を拡充し、それを実施できるだけの人件費を払えばいいだけのことです。
とにかく管理者から残業を指示する権限を奪い、職員が就業時間以外は職場から立ち去って業務も持ち帰らないようにすればいい*だけ*のことです。

■2023年03月16日(木)  外食チェーンがやっていいのか?
吉野家の朝定食、テーマは一汁三菜 「朝食べたら昼か夜が200円オフ」キャンペーンの狙い
もちろん外食産業がこれまでいまひとつ空白気味だった朝食に進出してくること自体は是ではあるのですが、正直これ、働き方改革の趣旨と真っ向から対立するんじゃないかと思うんですよね。働き方改革をなぜするのかというと、ワークライフバランスの変更(現時点でライフ側に振ることを善とするなら改善)のためであり、つまり仕事で賃労働者を振り回すなということになります。全くの自営業の店主が朝食需要の取り込みの為に午前三時から店を開ける分には構わないわけですが、吉野家はバイト主体の人事ですし、フランチャイジー本社の正社員ならともかく、店長や店の幹部であっても、非正規雇用の賃労働者に近い形態です。これを早朝勤務や深夜勤務に動員することは、明らかにワークライフバランスをワーク側に振ることでしょう。早朝の就業需要もありはするわけですが、現状の外食チェーン店を十分に賄いうる規模でしょうか。
需要の大規模な開拓において大企業が有利、あるいは目立ちやすいことは確かですが、まじめに働き方改革を考えるなら、いわゆる9時--5時以外に賃労働者に依存する企業が業務を行うことには規制があるべきではないかと思います。別にこれが前に二時間ずれるとか後ろに四時間ずれるとかは構わないと思いますが、午前零時とか午前四時というのは明らかに深夜早朝勤務であり、賃労働者の動員は可能な限り避けることが望ましいですし、少なくともチェーンの一斉停止による混乱を防止する観点からは個人事業の聖域にしておく方が良いのではないかと思います。

■2023年03月15日(水)  なぜ単発?
低所得世帯に「現金3万円」支給方針 政府・与党が追加の物価高対策
なんでこう、一回ぽっきり三万円とか五万円とかいうみみっちい話を繰り返しますかね。問題なのは物価もさることながら、そのあおりで上がる固定的な費用だと思うのですが。子供がらみなら給食費あたりはそうですし、食費や水道光熱費もそれにあたります。一回二万円でいいから12か月支給して欲しいという世帯は少なくないのではないでしょうか。

■2023年03月15日(水)  ひょっとして米軍はいよいよ参戦の機会をうかがっているのでしょうか
米軍無人偵察機とロシア軍機が黒海上空で衝突 ロシア側が飛行妨害か
まあ、軍事行動中の軍用機に衝突回避義務はなような気がしますね。アメリカが偵察機を撃墜されるのは今に始まったことではないですし。
少なくとも米国の無人偵察機が黒海上空を飛行する合理的な理由があるとは思えません。通常任務といったところであくまでも米軍としての通常任務であり、ロシアがそれを尊重する筋合いはないでしょう。ロシアにとってそこがウクライナとの戦闘における戦闘空域であることは十分あり得ますし、正直そこに偵察機を侵入させたら撃墜されても仕方ないと思います。
その意味で米軍の、ロシアのパイロットは無人機を避けることもできない下手っぴいだという非難は、なかなかふるっています。多分発砲許可が出ず、進路を妨害して追い返そうとしたのでしょうが、衝突して落としたのはいいとして、チキン、下手っぴいと挑発されてしまったわけで、なかなか悲しいですね。アメ公め、ロシア空軍の技量を舐めるなと機関銃一連射で撃墜するようなはねっかえりが出ないといいのですが。

■2023年03月15日(水)  稚拙で不適切なやり方が明らかになったとしても、あの時は拙速が必要だったで済むような気もしますが
アベノマスクの単価や発注枚数、開示へ 国が控訴断念
いやまあ、マスクを支給するのに公開を憚るようなことをする羽目になったというのがどうも信じがたいのですが、とはいえ対応に使えた時間や様々な制約の中で、この政策を前に進めるためにはやむを得なかったという評価が出る可能性は少なからずあるように思えます。当然必要と信じて政策を実行したのだと思いますので、最終的に問題が出たとしてもその時点で見える範囲で妥当な策だったと評価されることを信じて公の評価を乞うのが公人の在り方ではないでしょうかね。

■2023年03月15日(水)  正直一億円「も」という感覚が貧乏くさくて投資に向かない
1億円も無税で売買できる新NISA 投資の意義を子に言えますか
それ以前に、その一億円で国債を買って付く利子が年額10万円とかなわけですが、ではそういう状況で投資って意義があるのかという話です。そこから、投資の収益というのが何に根拠があるのかと考えることに意義があるとは言えます。もちろん一億円もあれば銀行預金にしておけば銀行が破綻しない限り運用しなくても用はなすわけですが。
もちろんクーポンで見た利回りがゼロに近づくことは、経済的に見れば健全であるとは十分言えます。単純に、リスクを取れないような無能で貧乏な人は投資家(というか投機家)に向かない、まともな他人にお金を借りてもらえるような運のない人は投資家に向かないというだけのことです。

■2023年03月15日(水)  課外活動というのはこういう基盤の上にあるものでしょうね
学校の部活ではなく、地域で支える吹奏楽団 小中高校生の受け皿に
もちろんこの方が学校の部活よりはずっと良いのですが、小学生を高校生と一緒にやらせるというのはどうなんですかね?いろいろ難しい部分がありそうな気がします。とはいえ、小学生が参加できる範囲内で広い年齢層が合奏を楽しむというのは良いことでしょう。
ただ、これを普遍的にという発想はしない方がいいと思います。地域によってできることに差がある、どうしてもしたければ、やらせたければ孟母三遷くらいでいいのではないでしょうか。運動競技にしろ音楽演奏にしろ、そこまで執着するものかどうかは個別判断の問題でしょうし、それこそ集団など作らなくともできることは色々あるわけです。意欲のある人は大人の組織などなくとも自分でバンドでもチームでも立ち上げていくというのは、ポップス音楽の職業演奏家の皆さんなどたくさんの例があります。大道芸にしろカフェコンセールにしろ、そういうものでしょう。

■2023年03月15日(水)  茨城県高野連は解体の上必要ならできれば生徒主導で再建すべき
茨城県高野連、部活時間「上限」撤回求める 「生徒が県外流出する」
よくもこんな間抜けな主張ができたものです。学校の寄り合いごときがたかが課外活動を生徒の自主的な行動に優先する発想を口にしたこともそうですが、生徒が県外流出するという言い分はいったい何をどうするとこういう発想が出てくるのか、というより流出して何が悪いのか、理解に苦しみます。もちろん無理矢理理解しようとすれば、つまりは存分に野球を学校の中でやりたい生徒が県外の学校に進学してしまい、茨城県内の野球部が、部員不足に悩んだり、競技水準が他県に比べて低下したりといったことを懸念しているのだろうとは思います。しかし、そのどれが県高野連の関知すべき内容でしょうか。県高野連は現にいる生徒・部員について学校間の交流(全国大会の予選となっている県高校野球大会はこの一環)や競技水準を含めた野球部活動の質の向上を図る団体でしょう。間違っても優良選手を確保集約して他県より強いチームを茨城県に備えるための団体ではありません。個人的には高野連自体存在意義は消滅した(というかそもそもなかった)と思いますが、百歩譲ってあるとしても、こういうことを言う資格、こういう発想をする正当性は全くありません。教育委員会は強権を発動してでも茨城県高野連を制圧すべきだと思います。もちろん最も望ましいのは、茨城県高野連加盟校がまとまって執行部を解任して入れ替え、事ここに至れば県教委の方針への全面的賛成を県高野連として宣言することです。発言は氏素性の知れない専務理事とやらのものですが、もちろんこういう発想に加担する教員が仮にいるとすれば、部活動を指導する資格はもちろん教員である資格もありません。免職には十分な理由だと思います。さっさと学校を離れて、スパルタ指導の野球チームでも経営していればいいでしょう。
もちろん部活指導の現場で県教委が拙速短慮な実施によって混乱を引き起こしたことは問題です。この段階で延期を決めるくらいならそもそも検討不足だったと言わざるを得ません。とはいえ現場の声として、時間制限自体はともかくこういう間抜けな意見が出てくるようでは、現場の意見を聞かなかったのはむしろ当然でありかつ適切であると言わざるを得ないでしょう。

■2023年03月15日(水)  支援の必要なし
防衛産業はもうからない?買い手は政府だけ 募る危機感 支援に本腰
企業経営の筋から言えば撤退すべきですし、再建するなら事業自体を国が買収して防衛省管轄の国営企業にするべきでしょう。いわゆる軍需廠・兵器廠というもので、アメリカなどこれが民間軍需企業と競争入札までしています。まあ、あの国は陸軍工兵隊が公共事業を競争受注して活動費の一部を稼いでいたりするのですが。ともあれ下手に企業支援など考えるよりは、国営化してしまうのが筋です。
問題となっている小ロット発注や仕様変更は、確かに取引慣行として褒められたことではないのですが、とはいえ文句があるならそこで受けるべきではないわけです。その上で民需品と異なる仕様での調達が求められるだけに、兵器供給事業を国営で行う必要が出てきます。もちろん細かい単位までブレークダウンすれば、金属部品一個、プリント基板一枚から製作する事業者は結構あります。外注するなら防衛省がそこまで細かく仕様を詰め、受けてもらえるレベルに分けて発注すればよいだけなのです。

■2023年03月14日(火)  そりゃハイリスク投資なんて共感がなけりゃできないでしょうよ
スタートアップも男性優位のムラ社会 女性起業家は、投資家になった
正直この手の村社会は必要悪の面があって、高いリスクや見通しの悪さを文化的共通基盤で補償するため、村社会を含めた仲間の中でないと実施できません。「資金を出す側が多様でなければ、多様な投資家にお金が回ってゆきません。」というのはそういう意味であり、その意味で、投資家が新しい村を作ることでニーズが充足される面があります。もちろん男性優位だけでなく、現在ハイリスク投資を手掛けられる投資家になっている人たちの特徴に応じた偏りがあるわけです。その意味で透明性の高い社会的投資によるベンチャー育成などというのは戯言でもあります。もっとも村社会ではあるとはいっても、その村がリスク負担に消極的であるよりはましではあるわけですが。
ただ、ベンチャー投資家による起業資金支援という話自体、貧乏くさいんですよね。結局不足しがちな資金の供給先を選択する役割を誰かがしないといけないという話で、短期間の資金投入で急激な成長を期待できる形にプランを適合させないといけないという点で、事業を歪めがちな制度です。

■2023年03月14日(火)  来ていただくのと真似するのとは違うと思う
首都圏初、英名門私立校の日本校が開校へ 英議会模した討論場も
英議会を模した討論場、英国流入試… 異色の学校、設置の思惑は?
なんというかこれ、まず間違いなくそういう英国ブランドをありがたがる低能と見下げられてるんですよね?わざわざ進出してくる方も正気を疑いますが、「現地説明会には英国式の教育に関心を持つ駐在員や日本人の親子らが集まった。」というのを、それこそ明治に外国式の学校を日本に開校した人たちが知ったらどう思うでしょうか。時代の感覚から言って、植民地でもないのに植民地の原住民のような真似をすると嘆くのではないかと思うのですが。
まあ、なんとなく例えばテンプル大学日本校みたいなことになるんじゃないかなという気がしないでもないというか、期待はしています。

■2023年03月14日(火)  一言抜けてやしませんかね、このタイトル
「性的少数者への差別禁止を」 タカノ米下院議員の日本への提言
一般論として「差別は許されない」と言い張ることには全く同意できません。せめて庶民が公務員を月給泥棒の不自由民と差別する自由くらいは欲しいものですし、押しかけて来た招かざる客を私邸で差別的に罵るのは不当とは思えません。
とはいえ公的な場で、しかも公人が行う差別は絶対に許されてはならないでしょう。例え庶民でも職場や広場にいれば公人です。その意味で差別発言の余地が広いのは徒弟もいない独立自営の居職程度のものでしょう。アシスタントも雇っていない作家が自前の仕事部屋の机でいくら差別的に罵っていようと、問題というのはさしてないはずです。もっとも最近、自宅の机でSNSに愚痴る人がいるので困るわけですが。あそこはSocialであり、つまりは広場です。
おそらく規則にしていいのは、差別は恥ずかしいことであり、公人が恥ずかしいことをするのは許されないということです。例え私人が私的な場でするのでも差別は恥ずかしいことですが、公権力が私的な場に道徳として入り込んでくることはそれ以上に嫌悪されるべきことでしょう。
その上で、同性愛者が異性愛者以上に差別されるべき理由というのは、全く理解できません。外部に依存することのない独身主義者が身を寄せ合っている異性愛者や同性愛者を依存志向の弱虫と差別するのは不当とは言い難いですが、異性のパートナーやそれとの子供に囲まれていないと安心できない軟弱者が、パートナーが同性であるというだけで同性愛者を気持ち悪いと評するのは、理屈に合いません。いやまあ、独身主義者は独身主義者で、周囲に他人がいると安心できない病的性格の持ち主ではあるわけですが。

■2023年03月14日(火)  「人類学者」という人種にも共感はしにくいですが
「共感するのは難しい」 そうコメントされ考えた「苦しさの重量」
まあ、役に立たないからと言って否定されてはいけないとは思いますし、不幸の総量が発言力を決めるような、いわば不幸自慢というのも健全とは思えません。どちらもよく見かけるのですが。
「出世に縁がない」などという発想自体共感のしようがなく、出世に見切りをつけても行き所がないから給料にぶら下がっているだけだろうと言わざるを得ませんし、出世したければいつまでも出世につながる芽の出ない職を占領していないで出世できそうな職に移ればいいというものです。挙句に「「無給」の「仕事」」で自分を発見しているところなど、甘えでしかありません。
とはいえ、その程度の甘えの機会すら不足しているということには慄然とせざるを得ませんし、自己実現の見込みのない労働に拘束され続け、挙句に生産性が低いと批判されるというのは十分に不幸です。むしろ、綱渡りで任期職を渡り歩きつつも人類学者と名乗っていられる人の方が幸福とすら言えるでしょう。そこで崖っぷちから谷底を見下ろして落ちていないことに安堵するというのは、それこそ生産性に欠ける行為というものです。
昔、セーフティーネットという話があったわけです。間違ってもコンクリートに墜落する話ではなく、墜落させるのはさすがにまずい、せめて網に引っかかるようにしておこうという話でした。それがいつのまにか掻き消えて、持ち出すとばらまき無駄遣いと言われるようになったわけですが、あの議論のどこをどう捻ると食える仕事はあるんだから選り好みせず働けなどという話になるのか、目の出ない仕事をしてポストに座っていられると行き詰まるんで、失敗したときに次の挑戦までつなぐところは保障するからどんどんチャレンジしてもらおうという話じゃなかったでしたかね。

■2023年03月14日(火)  出来れば速度だけでなく運動量で規制していただきたいものです
電動キックボード「自転車並み」へ事業者指針 年齢確認徹底など
できれば重量についても制約をかけて欲しいものですが。動力源なしのキックボード並みの1 kgとか2 kgとかならともかく、20 kgもある電動キックボードに体重40 kgの人が乗って20km/hで走ってきたら成人男性が20km/hで突っ込んでくるのと同じです。その意味では電動アシスト自転車も自転車扱いはどうかと思うわけですが。
だいたいいくら人間でも出せるからと言って、歩道で500 kg・m/hの運動量が発生したら危険だと思います。学校の廊下と一緒で、歩道というのは大人が走ってはいけないものでしょう。

■2023年03月13日(月)  20袋入り一箱3000円くらいなら買いかなあ
日清どん兵衛の、あの具材だけを商品化 リッチな追い具材や天丼に
まあ、ありというか英断かもは知れません。どこまで売れるのかは判断し難いですけど。
とはいえ、二枚入りで一枚当たり90円ほどというのは、どん兵衛の価格からしてむしろこっちがメインなのではないかと思えてしまいます。いやまあ、食べた印象からしてもそうであって不思議はないのですが。

■2023年03月13日(月)  警備員を兼ねた女性の管理人を常駐させるというわけにもいかないんだろうしなあ
女性用なくなった渋谷区の公衆トイレ、防犯上の懸念指摘 議会で議論
また思い切ったものです。
確かに公衆トイレというのは昨今監視なしでは防犯が行き届かない部分があるというか、相当昔から治安の問題は指摘されてきたわけです。性犯罪がらみであればそもそも女性が出入りすると特定されなければよいという発想自体は、無理なものとは言えないでしょう。
とはいえ入り口から男女別にしてきた事情というのも斟酌してしかるべきではあるように思います。

■2023年03月10日(金)  住友重機械工業のライセンス生産品ではなかったらしい
GGO SJ5 3
ついに出てきました、M2重機関銃です。ちゃんと一個分隊で分担して運ばれていました。ちなみに現実では一千万円しないらしいなかなかにコストパフォーマンスの高い兵器です。
とはいえ、あの形で出すのなら、M61 VulcanだろうとGAU-8やGAU-12だろうと運用できる気がするのですが。そしてあの終わり方はさすがに酷いのではないかと思います。BOKRが出るだろうことは途中で守銭奴ーに参加しつつも突入せず傍観に回っていたことで読めましたが、墜落エンドは、できればスポンサーが最後に会場を完全に崩壊させることで起こしてほしかったと思います。作中ビービーがM2を買った理由をスポンサーの作品から説明していましたが、とにかく会場を崩壊させて参加者を集める嗜好はわかっているわけですから、そろそろ崩壊した場合の対応策を、こんなことじゃないかと思ったんだよねと持ち出すシーンが出てきてもいい気がするのです。

■2023年03月09日(木)  さすがに公共の名のもとに動員搾取されるのはうれしくありませんが
公務員は「コスト」なのか 杉並区長が考える「公共の再生」
もちろんコストです。その上で、コストに見合った便益を挙げていると有権者に納得させるのが、自治体官僚組織の代表者としての首長の役目です。
「公共の再生」とはこの場合便益とコストのバランスの感覚を変えようとすることになるわけですが、正直現状で、ある意味切り離されてしまった便益とコストを再接続することが可能かどうか、それが現在の組織動員民主主義と官僚制の下でできるのか、不安なしとしません。再建不能なまでに代表制と官僚組織一般が信を失っているような気がするのですが。

■2023年03月09日(木)  200年ペンキだけ変えて同じことをやってきた通俗思想
人類はどこで間違えたのか? 目指すべき社会とは 山極寿一さん
社会とか共同体という発想をするところで間違えている気がしますが。目指すべき社会なんて言っていると、どのみち人種差別と個人崇拝のないナチズムになると思います。
それにしても、「文系」のトンチンカンぶりもそうですが、「猿学」もどうにかならないものでしょうか。自己正当化の為に未開社会の研究に突っ走っていった19世紀を思い起こします。その行きつく先がいわゆるナチズムであり、その反省として大きな物語を語らないという方向になったわけで、今の地点で目指すべきなどと言上げして猿を引き合いに出していたらどうなるかは明らかだと思いますが。理念の正当化の根拠を自然科学(生物社会学が自然科学だとは個人的には思いませんが、それが量子力学でも同じことです)に置こうというのは、この自然科学しか確実に頼れるものがなくなった状況でそうしたくなるのはわかりますが、プラトン的全体主義にしか通じない方向だと思います。

■2023年03月08日(水)  半導体の大量生産なんて金次第です
半導体の大量生産「できる企業ない」 TSMC選んだ政府のわけは
「日本にできる企業がない以上、海外から誘致するしかなかったんです」
これは筋が違うのであって、できないならできるようにするのが産業政策です。海外から輸入できるというのも安易な発想ではありますが、できないからと言って海外企業の誘致に走るというのもまた安易な発想でしかありません。この場合、誘致した工場を接収したところで国内に動かせる人がいないということすらあり得ます。また集積回路というのは様々な種類があるのであり、ある工場で製造できるものが他の工場で製造できるとも限りません。
もちろん誘致で済ます手はあって、TSMCに日本に移転してもらえばいいわけです。つまり台湾の法人を閉じ、日本に法人を設立して本社を置き、資産の名義も全てそこに集中してもらえば、基本的にはその会社の全情報が日本に置かれることになりますし、開発組織や生産組織を全て日本国内に移転してもらえればさらに良いでしょう。でもそんなこと、できていないですよね。多分TSMCにはする理由もないでしょうし。まだしも米国に移転する方が現実的でしょう。ただその場合、独占禁止法の適用除外を認める必要はあります。TSMCの規模で日本国内で他に生産者がないのであれば、それは立派な独占でしょう。

「官の目利きは当たらない」 半導体政策 支える官僚はまるで素人
もちろん目利きなんて当たるわけがありません。ただし、どうならないといけないかという目標設定はそれなりに合理的にできるものです。その目標を国内のみで達成するのが産業政策です。そしてその政策を用いるかどうかは政治判断の問題です。産業政策はだいたいにおいて経済を歪めて問題を起こすのですから、官庁に責任は負えず、擬制であっても国民の選択と主張できることが求められます。この場合であれば半導体や集積回路部品の安定供給という目標があり、少なくともこのレベルまでは、できれば原料供給から国内で賄う、例えどれだけコストがかかってもいいという話であり、もちろん国民負担も出れば貿易摩擦も起こしますから、やるかどうかは政治判断になるのです。
自然に滴り落ちるならともかく、目標設定段階で六兎も七兎も追うようなことをするから、間違えるのです。

■2023年03月08日(水)  印刷時、クリッピングリージョンはStartPage()呼び出し後に設定しEndPage()呼び出し前に削除すること
プリンタのデバイスコンテクストにおいては、クリッピングリージョンの設定はページごとのようだ。まあ、道理ではある。
つまり、デバイスコンテキストを取得した後、クリッピングリージョンを設定するのはStartPage()を呼び出した後ページ毎ということになる。もちろんページ毎に書く内容は違うものなのだから、クリッピングリージョンが変わることは不思議でも何でもない。ちなみにうっかりデバイスコンテキスト取得直後、StartPage()呼び出し前にクリッピングリージョンを設定するとどうなるかというと、さっぱりクリッピングされない。
また、この挙動からして、おそらくEndPage()か次のページのStartPage()呼び出し時にデバイスコンテキストの設定の一部がクリアされるが、それでもEndPage()を呼ぶ前にSelectClipRgn(hDC, NULL)を呼んでクリッピングリージョンをリセットしておくのが望ましい気がする。

■2023年03月07日(火)  最初の数機は失敗するものでしょうに
新型ロケット「H3」、打ち上げ失敗 第2段エンジンに着火せず
H3打ち上げ失敗、文科省が対策本部 専門家「宇宙政策への影響大」
「だいち3号」製造の三菱電機「大変残念」 H3打ち上げ失敗
担当者にはお気の毒ですが、正直文科省には、独立採算とか事業化とかを急ぎ過ぎるとこうなると言いたいところです。製造にしろ打ち上げにしろ習熟するには数しかありませんので、とにかくミサイルでも何でもバンバン作らせて打ち上げるしかありません。それで安定させて初めて事業化が見えてきます。いきなりペイロードを乗せて打ち上げなどと言わず、空荷やデッドウエイトで十回くらい打ち上げてからにするべきでしょう。現場に過剰なリスク負担を強いたのは文科省と日本行政ですので、失敗もむしろそちらの責任です。その意味では防衛省は巡航ミサイルではなく弾道ミサイルの開発を進めるべきかもしれません。
それにしても、爆破せざるを得なかった以上は失敗としか言えないわけで、もちろん無理をせずに爆破したのは色々な意味で的確な判断だと思いますし、じっくり全体をばらして点検のし直しなどというわけにはいかなかったのだろうと同情もします。とはいえやはりスケジュールに無理があったのではないかという気はするのです。

■2023年03月07日(火)  みんなで薄く広く我慢するとこうなるといういい見本
「被災した家族を日本に」在日クルド人らに壁 緊急措置を求める声も
緊急措置はいいのですが、それ、現地が落ち着いたら帰国してくれるのでしょうか。そもそも日本政府としては定住しないでくれと言い続けているのであり(まあ、国際的には顰蹙ものですが)、稼得のある人の親族の呼び寄せなどという定住を促進するような施策はしづらいでしょう。援護団体が定住肯定への政策切り替えを主張するのは良いとして、日本滞在者の方は特別扱いをしてくれと言うなら妥協案を探るべきではないかと思います。
それにしても、難民の取り扱いについては妥協案とはいえろくでもないことをしたもので、とにかく住めるところまで飛び石伝いで逃げていくという方法を許容しないのはいかがなものかと思います。もちろんそれで許容度の高いところが優先的な避難先として許容度の低いところから難民を押し付けられるというのは問題ではあるわけですが、むしろそれを容認したうえで許容度を全体的に上げていくというのが正道です。
それにしても、ポジショントークで日本を褒めるにしても、その安定とか平穏とかが中東からの移住者が少ないせいだとは考えないのでしょうか。なら仏教に改宗してくださいというのはもちろん人権侵害ですが、労働者風情が平穏な場所に国境を超えて移住することを権利と称するのはおかしいと思います。移住してくるなら、難民認定のようなそれこそ緊急対応ではなくちゃんと正規の手続で就労査証を取得するか、三年くらいは就労せずに暮らせる程度の財産を用意して欲しいものです。かつての中国人移民や黒人奴隷のように有無を言わさず連れ去られたとか半ば騙されるような形で駆り集められたというなら別ですが、移住というのは強い意思に基づき現地を乱さないように行うものだという方が、現在の国際常識ではないのでしょうかね。

リンチ受け逃れた日本で入管収容 チリ人シェフがミートパイに託す夢
これも同じことで、この場合招いた側の短慮に巻き込んでいます。もちろんこれ自体は不法滞在者は迷惑をかけられた側ですが、それこそマルチ商法の被害者に国が補償金を払うかどうかと同じで、騙されましたと言って通るものなのでしょうか。

■2023年03月07日(火)  帰国しないなら辞職願を一緒に提出するべきかもしれません
ガーシー氏「帰国しない」秘書に伝える 陳謝する8日の本会議欠席へ
なにも無理してまで帰国する必要はないと思いますが、それならそれで亡命の申請でもした方が良いのではないでしょうか。出席自体を忌避する理由が見当たらない以上おそらく帰国について相当に危険を感じているのだと思いますし、警視庁が関係先を捜索したのでは無理もないでしょう。もちろん出席を促すだけで不逮捕の保障をしない参議院議運にも責任があるような気がしますし、たかが議員一人欠席して滞るような議事でもないと思うのですが、滞在国から旅券切れとか査証切れで退去を求められる前に自身の安全を講じるべきだと思いますし、一応参議院として欠席は望ましくないという判断が出ていますので、議員歳費を返上して党に名簿からの補充の機会を与える=議員辞職程度はしておいた方がいいと思います。まさか議員歳費目当てに立候補したわけでもないでしょうし。

与野党、15日にもガーシー氏の除名検討 「歳費はNHK党に渡す」
ガーシー氏、参院本会議を欠席 謝罪動画が認められず「除名」へ
まあ、ビデオメールじゃ妥協案としてはちょっと難しいでしょうね。除名と辞職ではどちらがましかという話はありますが、可能であれば帰国して活動するつもりだというなら辞職はしないのでしょう。もちろん帰国しないという判断自体は正当では十分あり得ます。
とはいえ、欠席で懲罰除名というのは悪例にならないかは気になります。少なくとも議員を選ぶという趣旨の選挙の場合、比例代表の政党票だけで当選した議員を除けばそれなりの数の票を背負っているわけですし、単なる名簿上位議員でも政党の信任を背負っているわけであり、議院が安易に除名していいものではないと思います。権力バランスの仕組みとして対峙する大臣や首長を不信任するのとは意味が違います。もちろん除名自体は懲罰委員会が審議して決定したうえで本会議で議決される必要がありますので、早くて今晩に決まるかどうかだと思いますが。そこも適正手続というか、所属会派の主張もちゃんと聞いて懲罰委員会の審議を行い、本会議でも形式だけであっても討論はした方がいいとは思います。選挙が議員選任の基盤である以上、選挙の結果を取り消すというのはそれだけの重みはあるでしょう。もっとも審議欠席がそれだけの重大事案かどうかは、疑問はありますけどね。
一方で、リモートで出席できてしかるべきかどうかというのは話が別でしょう。特に件の議員のように国外滞在中の場合、議員として活動するのに適切な状況にあると言えるかどうかは大きな疑問があります。それこそ軍隊の厳重な警護の必要すらあり得ますし、警護する軍隊を信頼できるかどうかだって問題です。少なくとも社民党や共産党の議員が陸上自衛隊の一個大隊に警護されて安心して議員活動ができるとは思えません。むしろ今回のような事例は、議員の不逮捕特権を基盤とした人身保護なり安全保障なりで対処すべき問題だと思います。

NHK党の立花党首、辞任の意向表明 ガーシー氏の国会欠席で引責
何について、誰に対して責任を取ると、国会の外では単なる私的団体に過ぎない政党の党首を辞任して責任を取ることになるのでしょうか。もちろん党員や党の支持者に対しては個人的責任を取ることにはなるでしょう。それは構いません。しかし、それでは参議院や納税者に対して取ることにはなりません。また党が支持者に対して責任を取ることにもならないと思います。
敢えて責任論を言うなら、連帯責任で国会議員が全員辞職するあたりでしょうか(3/8現在でもう一人参議院議員が在籍しています)。もちろん後任も出さず、ちゃんと補欠選挙をするわけです。もっとも、正当性は別として本人都合による欠席や正直不当な除名について党が責任を取る必要は感じないのですが。
あまり安易に責任責任と言って欲しくないものですし、まして辞めればいいんだろ的な辞任で誤魔化すのは感心しません。

国会欠席のガーシー氏、15日にも除名へ N党立花党首は辞意表明
辞めさせて辞めて闇に葬るわけですね。国会議員の椅子というのも軽くなったものです。

参院懲罰委、ガーシー議員の除名を決定 15日に議員資格失う見通し
また一歩、進みました。

ガーシー議員除名は妥当か 国会が想定しなかった「内部からの攻撃」
もう2020年を過ぎているのにこんなあほらしい主張をする人が法学ならまだしも政治学という領域にいるわけで、これではN国が出てくるのも仕方ないでしょう。
まず国会議員は全国民の代表であると言うなら、そもそも参議院全国区を維持するべきでしたし、選挙制度改革の方向性としては投票者全員が立候補者名簿に従って定数分の投票をするか、順位付けでもするのが妥当だったでしょう。比例代表制では代表の地位が理論的に政党ないしは議員候補者集団に移行しますし、もちろん選挙区選出議員が国民の代表とは今や言えないわけです。憲法43条は確かに国会議員が全国民の代表であることを求めており、敢えて言うなら少なくともそのまま読めば国会なり議院なりとして全国民を代表していればよいとは読めません。とはいえそれにふさわしい制度はむしろ全国民が等しく個別の議員を指名する全国区であり、国会制度なり選挙制度なりの運用を極力憲法の理念に沿ったものとするべきではあるにせよ、原理的にそのような理念に対して後退している以上、日本国民はすでに国民全体の代表である国会議員という理念を拒否し、地域代表と政党の代弁人の合議に参議院を託したと言うしかありません。そしてガーシー氏はこの場合政党の代弁人ということになりますが、そうであれば理念上は所属政党こそが一定規模の民意を代表するのであり、制度的には一議員が欠席しようと大した問題ではないことになるでしょう。
そして性善説云々はさらに戯けています。性善説に基づこうと性悪説に基づこうと、議員やその集団が憲法の理念に沿って行動するよう規制することは原理的にできません。だからこそ政治学においては立憲政治による国家権力の抑制が唱えられるのであるはずです。国会という制度と全国民を代表する議員という理念を攻撃し、国会の権威を貶めてきたのは、歴代の全国会議員であり、それらを支持した日本国民ですが、性善説を云々するならそのような国会や国会議員や日本国民の行動にも関わらず憲法の定める民主主義と人権を害することができないようになっているかどうかという点について見るしかありません。正直この点においては、日本国憲法はむしろ相当な性悪説に立っているように思われます。もちろん原理的な民主主義的制度自体が民主主義的な制度を廃しあるいは人権を損なおうとする全員一致の行動を阻止できないという点で性善説的ではありますが、これを原理的に突き詰めると必要なのは神授の=変更不可能な民主的制度ということになってしまい(そもそも基本的人権という理念にこの嫌いがあり、だからこそ社会契約などという無理目の概念が提唱されたりもしているわけですが)、少なくとも現代政治学はその根本が揺らぐように思います。
N国なる集団は全国民の代表たる国会議員で組織された議員で構成される国会という理念を貶めているかもしれませんが、それはその理念がもはや無効であるからにすぎません。その意味で彼らは、確かに国民の意思を代表する存在です。この点は、日本維新の会や公明党あたりも同類でしょうし、むしろ日本国内には日本国憲法の理念を貶めない政党は一つとしてありません。護憲政党を名乗っていても同じです。
その上で、ガーシー議員の除名は参議院の越権行為であると言わざるを得ません。不登院などという下らない理由であることはもとより、出席に手を尽くしたならともかく、帰国すれば身の安全が危ないというガーシー氏の主張への対応、身辺の安全の保障が不十分です。それこそ本来そのための国会議員の会期中の不逮捕特権ではありませんか。
一方で、参議院本会議において2/3以上の賛成をもって除名が議決されれば、それ自体は形式的には有効と言えます。これを覆すには、選挙において当選するか、このような議決が憲法違反であるという訴訟を起こし、最高裁判所大法廷が国会の自律権を超えて今回の事情においてそのような懲罰を行うことが憲法違反であると判断するしかありません。

ガーシー氏除名決定 15日に議員資格失う 戦後3人目、参院懲罰委
一応ちゃんと弁明を聞くことはしたわけですが。
「与野党から「参院の権威をおとしめた」「最低限の義務を果たしていない」との意見」
本気にしろポーズにしろ、言っていて恥ずかしくないですかね。衆議院や内閣に対してはともかく国民に対する参議院の権威などというものは生まれてこの方見た記憶がありませんし、最低限の義務と言いますが憲法にそんなことは書いてあったでしょうか。もちろん書いてないからいいというのも語弊はありますが、強行採決や採決優先の議事進行や審議妨害だって最低限の義務を損なっていませんかね。

除名のガーシー議員 既成政党への不満が生んだ「トリックスター」
「有権者の不満や不安を吸収できていない既成政党は反省すべきでしょう」
これに尽きます。というか、そもそも国会で話し合いなど行われていない、一方的な演説を交わしてまともな議論が成立していない状態で採決や審議妨害だけが行われているうえに、成立した法律にはぼろぼろと問題が出るという話なので、下手をすると国会を廃止して法律は国民投票だけで決めるなどという改革案が賛同を集めかねないのではないでしょうか。そういう意味で、ろくでもない方でもせめて歳費支給を棚上げ(例えば会期末に議場で受け取るとでもすれば出席していない人は受け取れないわけですし)して飼殺す程度の器は見せて欲しかったと思います。

ガーシー氏欠席だけじゃない 離党や「任期1年」…参院比例区の誤算
誤算とかいうよりも日本維新の会や最近の改革右派首長と同レベルの制度のパズル的扱いでしょう。「重いはずの議席を私物化するかのような動き」などというのは論外の守旧派的表現で、議席の私物化はそれこそ田中角栄氏以来ですし、比例代表枠で当選した議員が政党を移るとか、政党同士が分離統合するというのは少なくとも比例代表制度をないがしろにするものでしょう。そして、選挙区で訳の分からない選挙運動をしてどう見ても代表とは縁遠い形で当選してくる「議員」が座る議席に、果たしてどの程度の重さがあるのでしょうか。確かに離党によって名簿の順位を変動させるとか辞任によって名簿次席と交代するといったやり方は制度の隙間を突くパロディーではありますが、議員の任期は一年でいい、議員を選ぶのではなく政党を選ぶといった声に応えるものでないと言えるでしょうか。それこそ日本共産党が政党交付金を返上し続けているのだってある意味制度に対する愚弄でしょうし、自由民主党も含めて頻繁に議員に対して党議拘束をかけるのは、個人として議員を選ぶという憲法の議会主義の発想に対する侮蔑に見えます。もちろん決まりがあるからと言って議員を除名するのは、議席の軽視の最たるものでしょう。

「再選させたい」「活動ほぼない」 ガーシー氏除名、投票した人の声
こういう話というのは、つまりN国ではなくガーシーと投票用紙に書いた人がいたということだと思うのですが、だとすると参議院の議員除名という行為は極めて問題です。

ガーシー氏、議員資格失う 戦後3人目の除名処分、参院が正式決定
というわけで、ボールは政治家女子48党とガーシー氏側に投げ返され、まずは繰り上がり当選する後任を決めた上でガーシー氏が除名の取り消しを司法に訴えるかどうかということになります。弁明が代読されたことは、適正手続を保障する程度の良識はあったという点で重要でしょう。
とりあえずの片付き方も含めてなんともみっともない話で、除名の前に参議院議員全員が辞職する方が適切ではないでしょうか。まあ、衆議院と違って解散で前倒し選挙というわけにはいかないので、名簿からの繰り上げ当選と補欠選挙になるわけですが、来年度予算の衆議院での審議も終わっていますし、参議院の定数不足で国会審議が止まったところでたいした問題はないでしょう。この場合辞任して責任を取ってもらうのではなく、不適任なので他の人に替える、それを申し出るべき不手際だということです。

ガーシー元参院議員の逮捕状を請求 警視庁、著名人への脅迫容疑で
まあ、この認識があれば「帰国」に消極的にはなるでしょう。嫌疑が妥当かどうかはともかくとして、危険があることは確かなのですから、出席要請に際してその危険の除去を怠った参議院の行動は不適切であり、除名は正当性を欠くと言わざるを得ません。

「窮屈な世界に帰りたくない」 逮捕状請求のガーシー氏、帰国を否定
帰りたくないのはそれはそれでよいのですが、パスポートと滞在資格が期限切れになってしまうと送還される可能性があるので、対処した方がよいと思います。
もちろん犯罪の嫌疑を受けた状態で出るところに出て身の潔白を証明せずに逃げ回るというのは顰蹙を買うわけですが、そもそも嫌疑を受ける筋合いがないのに拘束されて侮辱的な取り調べを受け形式だけの司法手続で一方的に有罪にされることはよくありますので、そこは日本というのはそういう国だ、あそこに公正な取り扱いや身の安全という概念はないと、自分は不当な迫害を受けており犯罪の嫌疑はその証拠だと、しっかり主張して欲しいものです。何ならカルロス・ゴーン氏あたりと組んでキャンペーンを行ってもよいと思います。
もっとも、万策尽きて強制送還される日や公訴時効が経過してこそこそ帰国する日は来るかもしれませんが、堂々凱旋する日は来ないような気がしますし、国外にいる間は公訴時効の進行は停止したように思います。別に日本は氏を必要としていないと思いますので、しっかり生活の基盤を構築し、損害賠償の民事訴訟で被告の主張なしで原告勝訴の判決が出て日本国内の資産に強制執行が行われてまるっと剥がされても生活に困らないようにしてください。

ガーシー容疑者の逮捕状取得 綾野剛さんらを脅迫容疑 動画制作者も
この逮捕、今の段階で必要ですか?書類送検してから検察官が手配するべきものではないでしょうか。
検察官が出廷の確保を手配するならともかく、警察が逮捕、身柄の確保に拘るのは、それこそ逮捕後に収集した証拠は原則として裁判に提出できなくするべきと思える程度には問題のある風習だと思います。まずは逮捕などしなくても書類送検して検察官が公判維持、有罪判決を見通せるだけの物的証拠を揃えるものでしょう。捜査のための身柄確保はオプショナルなものであり、本来行うべきでないこと、だからこそ身柄を確保した場合一定時間以内に検察官への送致か釈放が求められているという原則を徹底して欲しいものです。

海外にいるガーシー容疑者への逮捕状 執行するまでのハードル
ガーシー容疑者らの旅券返納命令を要請 警察庁、外務省に
振り上げた拳をどう降ろすんでしょうかね、警視庁は。
嫌疑を受けた本人と滞在地政府の対応次第ではありますが、その気になれば国外逃亡自体は可能ですし、日本に帰ってくる気がなければいつまでも棚上げになるだけです。正直現状で書類送検して肩の荷を下ろした方がいいと思うのですが、旅券返納命令の要請とか国際刑事警察機構への国際手配とか、この状況で大きな札を切って何とかなる、身柄の確保なり刑事裁判の開始なりにたどり着けるという見込みがあってやっているようにはとても見えません。もちろん嫌疑がある以上日本に入国しようとしたらその場で逮捕できるようにはしておくべきでしょうし、そのために旅券の失効や国際手配が必要だというならやらざるを得ないとは思いますが、警視庁の不手際でこういう過熱の仕方をしている状況でそんな話を報道関係者に漏らすような警察関係者がいる時点でいろいろな意味で問題があります。

ガーシー容疑者に旅券返納命令 応じなければ、失効、不法滞在状態に
不法滞在状態になるかどうかは滞在先の判断の問題ですけどね。UAEが何らかの形でガーシー氏を保護すれば済む話ですし、この一件は、氏が政治的に迫害されていると判断するのに十分な事情があると思います。もちろん単なる刑法犯であり保護するに値しないと判断する根拠もありますが、普通は保護してくれそうなところに逃げるものでしょう。日本からそもそも旅券なしに出国して外国政府の保護を受けた事例もありますので、この場合日本の基準で判断するべきではないでしょう。
暫定的にでも滞在が認められた場合、日本官憲側の対応としては外交ルートで刑事犯として引き渡しを要請することになると思います。引き渡し条約は締結されていないはずですので、ICPOを通じて国際指名手配するわけですが、確かあれは、現地政府が知らんぷりすればそれまでだったと思います。日本の警察は真面目なので、国際手配がかかった場合警察機構が勝手に所在を確かめ拘束する可能性がありますが、普通の国の場合そこまで真面目に対応はしないと思います。現地警察だって忙しいですし、滞在費ともしかして賄賂の支払いさえ滞らなければ置籍国の旅券があるかどうかなど確かめないでしょうし、現地で問題を起こしてさえいなければ、旅行客がどこにいるかなんぞ知らんと言い張れるでしょう。その意味では、くそまじめに入国管理当局はじめ警察機構が滞在資格の有無を追求して送還しようとする日本の常識は世界の非常識ではあります。

ガーシー容疑者の旅券、紛失届提出で失効 外務省は帰国促す考え
当たり前のことですが、「不法」滞在状態なのかどうかの判断は滞在国によります。旅券がなかろうが査証がなかろうが、置籍国の指示に外国滞在中の市民が従う筋合いはありません。帰国すれば不当に拘束され筋書きの決められた一方的な刑事裁判にかけられる場合などは、外国政府の保護を求めることも可能ではあるわけです。帰国を促すというのは、帰国して裁判を受けなさいということでしょうから、少なくとも暮らしに支障なく強制送還の恐れもない場合は、それこそ場合によっては国内の財産を処分して帰国を拒否するような意思があるなら、従う理由がない気がします。もちろん外国政府に保護を求めて受け入れられたような場合、日本国政府がその市民を保護する責任はなくなりますが、一方で面子を失うことにもなりかねません。
また旅券なしで外国に滞在しているからと言って政府の権限で財産権などの私権を停止できるかと言うと、そこまでの野蛮な法制度ではない気がします。少なくとも外国市民権を得て日本国籍を放棄したからと言って財産を没収されるようなことは起こらないはずですし、それは契約や債権であっても同じでしょう。つまり取引先の判断次第ということになります。滞在地から日本国内に影響を及ぼせるというとまずはユーチューブのアカウントということになりますが、これが存続するかは日本政府ではなくユーチューブ社の判断次第ということです。もっとも、裁判所にアカウント凍結の仮処分を申請することはできそうですし、認められれば日本国内での契約については執行が可能ではあるでしょう。外国で別アカウントを作った場合手の出しようがない気もしますが。

ガーシー氏を逮捕、俳優ら脅迫の疑い 関係者「自主的な帰国でない」
ガーシー氏を「まもなく飛行機に」 UAEからの連絡、急転の逮捕劇
駐車場で囲まれ「この便に乗れ」 ガーシー容疑者、強制退去の内幕
滞在先にそっぽを向かれたようで。
もっともこれも、事情があるとはいえ難民にあたりえる事例であり、警察権力に拘束されることを知っていて送還してきたUAEはいささか人権感覚を疑うわけですが、そもそもUAEは人権感覚を問題にする国ではありませんね。

ガーシー容疑者逮捕 警察庁長官「UAEと調整の結果」「意義ある」
まあ、警察庁としては入管と共同歩調を取って基本路線を貫徹したと言えるでしょう。日本は帰国させると身の安全を確保できない人物は人身保護に値しない、それはイラン人であろうとミャンマー人であろうと同じだと主張する国であるわけです。
そもそも逃げ得、いいじゃありませんか。日本社会から排除してしまえば治安維持の目的は達せられますし、裁判に金をかける必要もなくなります。裁判にかけて処罰して何が変わるわけでもないのですから、無駄なことはするべきではありません。なんなら「法治国家」アメリカ合衆国同様に被告欠席で刑事裁判を行い(一応刑事訴訟法上無理ですが)、テロリストでも何でもレッテルを貼って、来たら拘束でも執行するようにしておいてもいいでしょう。10年もすれば税の滞納あたりで資産も没収できるでしょうし、もちろんその間は凍結しておけば済みます。ガーシー氏の扱いに金をかけるくらいなら自動車運転免許証のマイナンバーカードへの統合に金を回すべきです。あれこそ絶対的に個人に紐ついているものの一つなのですから。

国会議員が「脅迫ビジネス」 ユーチューブが生んだガーシー容疑者
「警視庁の捜査関係者は言う。「海外からの不法な発信で金を得るのは許されない。SNSでの発信の場が増え、起こるべくして起こった事件。これはゴシップではなく、もはや『脅迫ビジネス』だ」」
まずタイトルで因果が逆、つまり「「脅迫ビジネスマン」が国会議員」と書くべきだというのは置いておくとして、この警察庁関係者の発言は典型的な警察官僚の独善でしょう。ここでいう「脅迫ビジネス」は褒められたことではけしてないとはいえ、行為の実質はセンセーショナルなコンテンツの提供を介して閲覧をベースにごく普通の広告収入を稼いだというもので、例えば脅迫行為を行って脅迫対象から支払いを受けたとかではなく、せいぜいが脅迫対象の人格を貶め、活動を妨害したというものでしょう。つまり報道週刊誌あたりとやっていることは変わらないのです。もちろんそのセンセーショナルなコンテンツがゴシップ報道と比べて報道と対象の受ける被害の均衡を逸したものだという判定は可能です。その意味で、これはもはやゴシップ報道ではない、脅迫と名誉棄損だという話はできるわけですが、仮に虚偽の情報まで交えてそれを行っていたとして、許されないといった評を公的に行うほどのものなのか、非常に疑問です。少なくとも脅迫ビジネスと言うなら脅迫して対象から金銭を得るという構造であるべきで、単に対象に不利になる、あるいは対象を貶めるコンテンツを生産する仕組みを整備しごく穏当な取引手法(広告という行為それ自体が穏当な取引なのかは疑問もありますが、少なくとも社会的に是認されている営利的な役務取引であるという点で穏当と看做します)で仕組みを財務的に持続できるようにしていたところで、この名に値するとは思えません。警察関係者はこのような発言を行うことで報道機関の統制、警察なりその上部なりの意に沿う形の自主的検閲や件の「脅迫ビジネス」を可能にするような状況を防止するための検閲制度の構築とそれを介した警察関係者の権益獲得を意図しているのではないかと疑いたくなります。

ガーシー被告の保釈、東京地裁が却下 証拠隠滅や逃亡の恐れと判断か
執拗に帰国を拒否してきた事情があるわけで、これは仕方がありません。裁判で起訴事実に無視できない疑いありとなるにしても、証拠隠滅はまだしも逃亡して出廷が確保できないなどということになると厄介です。刑事裁判として起訴した以上基本的には判決まで持っていかないといけないわけですから、刑事裁判において一定の保護が認められる代わりに出廷と主張を義務付けられた被告人の出廷は確保しなければならず、それに支障が生じる可能性がある場合の被告人の拘束は不当とまでは言えません。被告人が出廷し、罪状の認否を行わなければ、刑事裁判は進まないのです。これが民事裁判であれば、被告が出廷しない場合原告の主張がすべて認められるだけなんですけどね。

■2023年03月07日(火)  だから定住したいと言われてもねえ
難民申請の繰り返しは「乱用」なのか 「帰国した瞬間、逮捕」の恐怖
なにも困られてまで日本にいる必要はないはずで、その意味では送還という方法論も間違っているとは思いますけどね。難民申請を出す時点で当面帰国の意思はないと考えるべきでしょうし、もちろん難民申請の理由が政治的迫害を受けているためならば送還すれば拘束されることはありえ、その点はそれこそ中東に行ったままなかなか帰ってこない参院議員と同じです。その状況で定住を容認しがたい場合の合理的かつ人道的な措置は、一つは避難先の斡旋と国外移送、もう一つはゲットーへの閉じ込めでしょう。もちろん難民認定を却下した以上帰国による危険はないと日本政府として判断したことになるわけですが、日本政府として安全を保障できるわけではないはずですし、そんな権限もないはずです。日本政府はふらっと逃げてきた人に定住して欲しくない、そういうことでしかないはずです。もちろんその場合日本への避難と定住を支援するような活動は弾圧するべきですが、一方で送還して拘禁などされたら夢見が悪くはないでしょうか。
もちろん避難者を門前払いするのもたらいまわしにするのも隔離措置を取るのもあまり人道的な気はしないのですが、だからと言って日本語も話せない人を社会に受け入れるのは嫌、定住を支援する費用支出もうれしくないというのは、正直否定まではしがたい心情だと思います。日本国内に相当の支援者がついてそちらで保護する、定住化させないための出国もそちらで手配するというならともかく、人道の名の下に下級市民を作りかねないような施策も問題があります。最初の難民申請が却下されたら退去、その代わり現時点で難民申請を出している人には通常の期限付き就労査証を発給し期限切れ後の出国移住を斡旋するあたりが落としどころの気がします。
もっとも、賛否で言うなら難民申請を提出した人については原国籍放棄を前提に受け入れるべきだと思います。無国籍の避難民として保護し、保護期間中の住所移動と出国を禁じた上で、犯罪や反社会的行為無く保護期間を満了したときは永住権か日本国籍を認めるのが良いと思います。

「無理やり帰すな!」入管法改正案に抗議 国会前で学生らが廃案訴え
そういうことはまず保証人としてしっかり抱え込んでから言って欲しいと思います。後先考えず人道ではそれこそ無意味に財政赤字だけ増やすことになります。

■2023年03月07日(火)  トウモロコシなんぞ遺伝子操作してまで作ってないでもっと市場自体を拡大できるものを作ればいいのに
遺伝子組み換えトウモロコシ、メキシコが禁輸 米は反発「非科学的」
一瞬メキシコが最近禁輸に走って(それ自体はあり得ることです)それに文句を言っているのかと思いましたが、どうもそうではなさそうです。だとすれば表題の付け方がおかしいわけで、「米、メキシコに「遺伝子組み換えトウモロコシの禁輸は非科学的」と主張」あたりではないでしょうか。
もっとも禁輸措置はそれこそ廉価な米国産トウモロコシを排除する理由付けとして遺伝子組み換えだからと言っている可能性もあります。そう言っておけば、米国産の輸入に検査を課せますし、疑わしいとなれば搬入を拒否することもできます。非科学的な理由であろうと、食糧輸入国になったうえに零細農民由来の失業者が大量発生したり、他人に主食の穀物の種子の供給を掌握されたりするのを防ぐ理由になるのなら適切なのでしょう。
というか、米国農業界はなんでまたそんなに売るほど農作物を作るのでしょうか。日本の場合米が余った時点で減反に走ったわけですが、国内市場で余るほど採れるなら生産を抑止し農家を別の作物に転作させた方がいい気がします。それこそコーヒーなんかいかがでしょうか。無理か。

■2023年03月07日(火)  そもそもAIは人減らしの道具だと思いますが
文系もデジタル人材に?  「やらされてる」感に専門家が抱く危機感
やらされてるなんて思う人が使い道のない労働力という点は変わらない気がしますが。そもそも使用者からすれば預けた仕事を達成してくれればいいはずで、そこでAIなりを活用するというのは従事者の問題です。その上で、使用者がこの仕事はAIなしには完遂出来ない、AIを扱えない人には預けられないと思うならそれはそれでいいわけで、そこを不満に思うなら、雇用関係を切って自分でAIなしに稼いでいくだけのことでしょう。それを雇われていたい、でもデジタルは嫌というのはわがままというものです。むしろ人手不足の時こそ被用者は雇用関係を切ってよりリーズナブルな雇用関係を求めるべきで、そこには業務遂行に関係ない要求を突き付けてくる使用者に雇われるのは御免だという話も含まれます。それで既存の従業員に逃げられ、適切なAI人材とやらにも恵まれない状況になれば、使用者はAIを自分で活用して他人に任せず仕事を進める状況に追い込まれるでしょう。

■2023年03月06日(月)  アンチテロリズムと言うならシニックに山上氏を英雄化するのが良い気がする
安倍氏の銃撃事件現場に「モニュメント造って」 奈良市議会自民会派
雄々しく立つ山上氏がみっともなく倒れ込む安倍氏を睥睨しているモニュメントだったら作ってもいい気がしますが。もちろんそんな強さは今時はやらないわけで、通りかかった子供が「ままー、人を殺すのっていいことなの?」と訊き、母親が「そんなわけないでしょ。ああいう人を傷つけてふんぞり返るようなのは独善的な悪い人なの」と答えることこそが望ましいと思います。

■2023年03月04日(土)  だって放っておくと勝手に寮生を募集したりするんだもの
退寮に従わない学生に処分示唆 廃止方針の格安寮めぐり、金沢大
そりゃまあ、格安なのが問題なんじゃないですからね。何かと学内治安がらみで問題を引き起こし、当局側で募集を停止しても勝手に寮生が入寮者を募集するような前例があるので、学生よりもはるかに長期間を見ている大学当局が閉鎖を急ぐ方がむしろ当然です。警官隊を導入して退去の強制執行を進めないだけ穏健だと思います。
もちろん格安な居住設備が失われるのは問題ではあるのですが、むしろ安いところに集まってくる学生が変なルサンチマンを持って好ましくない活動に走り、周囲を色々な意味で巻き込むことも問題です。その対策として個室寮への移行が進められたのが40年ほど前ですが、その結果寮費が値上げされている点は問題として、その際旧寮の寮生と懐古派の教授は学生寮文化を損なうと反対しています。もちろんその前に新左翼過激派問題、改築問題や寮費値上げ問題などで当局と寮生の信頼関係は損なわれていたわけですが、当局からすればその学生寮文化が問題を作っているわけで、その排除に妥協などしようがないでしょう。旧寮が消え去るのは必然です。

金沢大の廃寮問題、大学が水道停止を通知 国は「丁寧な対応」要請
「特に寮生が一貫して求めてきたのは議論の場だ。」
そんな余地はないと思います。寮自治会の闘争で議論に応じて酷い目にあってきた組織的経験は消えていないでしょう。まさに日頃の行いがものを言っています。閉鎖阻止、退寮反対では議論になりません。可及的速やかな全員の退去と学内の寮生自治組織の解体(まあ、大学と交渉する学生団体でなくなればいいと思います)を前提に実効性のある対案(それこそパトロンでも見つけてきて引っ越すとか)を出すのでなければ、議論などするだけ時間の無駄です。
もちろんだから強硬措置が容認されるというものでもありませんが、寮生は大学の施設を不法に占拠しているという自覚は持つべきですし、学業を続けられなくなると主張するにしても大学の施設管理権に従うことは前提にしないといけません。

■2023年03月03日(金)  事実をそのまま言ったからといって信じてもらえるとは限らない
「コオロギ粉末は一切使用してない」「補助金や助成金も一切受けていない」 酒田米菓、昆虫食を働きかけとの拡散情報を否定
まあ、噂だしなあ。色々都市伝説とかありますからねえ。Twitterで流れる情報など裏も取らずに信じる方が馬鹿という話はあるのですが、馬鹿を馬鹿にしていても事態は改善しません。とはいえ公式で情報を流したからと言って信じるほどTwitter民が利口かというと、かえって隠してるなどと思いそうな気がするんですよね。陰謀論大スキーですし。宣伝傭兵でも雇ってカウンターキャンペーンでも打った方がいいと思うのですが。

■2023年03月03日(金)  今さら遅いというか共闘すべき内容を勘違いしています
競合百貨店の労組が異例の共闘 そごう・西武の売却で、従業員は?
連帯による共闘はいいとして、戦う目標が雇用維持では話になりません。百貨店事業自体がもはやオワコンであり、端的に言って百貨店事業の従業員というのは不要なのです。スキルを活かして別の分野なり職なりに進み、あるいは新規のビジネスを提案してくれるというならともかく、雇用の維持を前提とするのでは、十分な事業再編を行えません。

■2023年03月03日(金)  そもそも何のために奨学金制度を置いてると思っているのでしょうか
産めるか産めないかで人を選別? 自民党の奨学金減免案に批判の声
理由の付け方が古臭すぎる気はしますね。
もちろん一番良いのは返済制度を全廃することです。高等教育が選良のためのものというのはもはや時代遅れであり、高等教育はそれを前提にした職に就きたい人全てが受けられるものになっています。つまり受けないのは自由だが受けたいと思った人は受けられてしかるべきということです。それを学資自弁を前提に貸与をもって補助とするなどというのは、日本経済の生産性を高めることを妨げていると言っても過言ではありません。今時それほど稼げないけど日本経済に貢献するボランティアで高等教育を必要とするものはたくさんあります。教育などその最たるもので、指導要領への対応はどうでもいいとして、集団に物を教えるという技術を追求しているのが大学の人文科学系です。何か間違った方向で才を発揮してしまった教授クラスはともかくとして、人文科学系はリベラルアーツの基礎三課の正統な後継者であり、これは言葉を道具として揮えるようになることを目的としています。本来ここを出た人たちにとって、教師として何かを教えるというのは天職のはずなのです。とにかく新規の技術知識を迅速に社会全体に届けること、そうして現場の人に新しい技術を身に着けてもらうことが求められているのですから、使命感を持って安い給料で教育を展開してくれる末端の教師はそれこそ介護の人手並にたくさん必要です。それを給料がいいからと金融や広告、事務職に行かせてしまったら、話にならないでしょう。つまり免除条件だの免除職だの言っていては奨学金制度が役割を果たせないのです。
もっとも高等教育の全面的な給費制度化は財政に負担をかける、せめて総合的に政策に資する形にしたいという発想は理解できはします。ただ、だからといって少子化対策や防衛技術開発への動員はあまりにも挑発的です。貰える給料で子育てなんぞできるか、まして奨学金の返済など考えられないという問題なのに、子供を作ることが免除の条件というのでは露骨に過ぎます。もちろん、生活が健康で文化的なレベルで成り立つと期待できる時期を先延ばしにする、例えば僻地勤務十年間を条件にするというのも顰蹙は買うでしょう。十年間耐え忍ぶのはともかくとしてその先が見通せません。
そのあたり、政策レベルで人間を単なる資源と看做すのはもう限界だと思います。

■2023年03月03日(金)  正直株式の取引自体を原則禁止の届け出制にしてしまった方がましだと思いますが
TOB、市場での買い付けも義務化検討 金融庁
趣旨は分かるけどどこまで徹底できますかね。
もちろん一株の売買から届け出をすることにすれば、相当把握はできるはずです。特に市場での取引というのは一般に代理人や仕組みを通すわけですから、証券取引代理業と市場運営事務局を抑えてしまえばどの会社の株を誰が売って誰が買ったかはわかるわけです。
とはいえTOBというのはそういう制度ではなく、キャンセルできるというメリットと引き換えに買い集めを公然化させる仕組みです。市場外であろうと、利用するかしないかは買い手の任意のはずです。日本の場合様々な影響を与えるであろう場合に限りこの制度を用いることが義務とされていますが、それは基本的に買い付けの量の問題で、少しづつ買い増して行く分には規制は及ばないように思います。その代わり、株式の大量保有報告という制度もあるわけですが。つまり、市場価格への影響を除けば、市場でTOBを義務付けるメリットというのはなく、大量保有の報告で十分と思います。
もちろん株式の流通性や株式市場自体の必然性というのはなくて、発行者側から見れば持ち分権なし、配当保証なしの永久債(つまり償還義務なし)の方が都合が良いでしょうし、大多数の買い手としても株主権など無用であり、単純に現在の経営陣の知らないところで所有者が変わる事態を容認するかどうかというだけのことです。

■2023年03月03日(金)  その分家賃は上がるんじゃないかと
数千円値下げ?割高なLPガスの料金慣行を是正へ 経産省が制度改正
おそらくこの書き方は良くないんで、LPガスの代わりに家賃が上がって相殺されるのではないかと思います。
もちろん仕組みの透明性としては望ましいことです。家賃とまとめて水道光熱費が徴収される、かつ定額で支払総額の変動がないというならともかく、大家に支払う金額が上下するとか、普通そうであるように各々別に料金を徴収するというのであれば、家賃に反映されていてしかるべきコストをガス料金が含んでいるというのは不透明と言うべきでしょう。
本来そう書くべきで、値段が下がることを強調した書き方は、経産省がそういう言い方をしがちだということはありますが、事の本質を見誤っています。もちろん住宅が供給過剰だったりするとどこかで料金慣行を是正した分のコスト増が呑まれてしまって家賃に反映されないということもあり得ますが、トータルコストとして妥当なものであればガス代が下がる分は家賃が上がると分析しないといけません。
もっとも、その賃貸住宅などでの負担分を戸建ての持ち主も払っている面があるので、その場合はLPガスの価格低下分だけを享受できる可能性もあります。もっともコスト構成と価格の値の間には直接的な関係はないので、格安ガス屋が戸建て向け市場に入る場合よりは影響は限定的だと思います。

■2023年03月02日(木)  それこそ土地と同じで資産価格で収用して公営化という線もあり得ますが
「大手電力は送電部門を手放せ」 不正閲覧めぐり有識者会議が提言へ
まあ、売り出して売れるものならその方がよいとは思います。単純に発電と送電の兼営を(資本関係も含めて)制度的に認めなければよいだけなので、兼営禁止と電力事業者やその所有者の証券保有禁止を定めれば済むことです。もちろん電力事業者は上場していた場合上場廃止にはなるでしょう。なにしろ発電事業者の株を買う人が送電事業者の株を持っていてはいけないという話だからです。株でなければよいので、電力事業者の公募による資金調達手段は社債に変わることになるでしょう。
とはいえ、送電事業は発電事業にもまして公益性の高いものであり、民営で済ませて良いのかは問題とは思います。もちろん事業運営における効率性を確保できるのであれば民営を模索するべきですが、どのみち地域独占事業の方が効率が良いことや連携の関係で取引が固定化しやすいことを考えると、民営のメリットがどこまであるのかは問われてしかるべきだと思います。

■2023年03月02日(木)  そこで補助するような発想をするから財政赤字が減らないのでは?
130万円の壁対策「国が10〜15万円給付を」 公明が提案
馬鹿げています。むしろ年収200万円以下の雇用を罰則をもって禁止する方が筋が通っています。
まず、当面健康保険などにおける被扶養者制度を無くすことはできません。無収入の人に保険料を課すことにはそれはそれで問題があるからです。無収入の場合の保険料支払いなり収入に完全に比例した保険料の設定なりに国民的合意ができることが、被扶養者制度解消の前提であり、もちろん整合性としてはこれが望ましいわけです。とはいえ、これには相当な時間がかかるでしょう。
一方、自営で130万円以下の所得がある層については、いわゆる壁的な問題はないと言って良いでしょう。所得を抑えるならば供給か利幅を減らすだけです。
結局問題があるのは雇用だけということになり、この場合労働時間に時間給を乗じた値に必ずなることが、労働動員の都合上問題になっているわけです。であればむしろ、被扶養者になるような就労の方を禁止してしまうのが筋でしょう。正社員登用策と重なりますが、あまりに軽量の雇用自体を違法化することこそ、仮に雇用の偽装を招くことになっても、様々な制度が前提とする一定以上の水準の雇用に基づく負担には必要です。それを下回るような雇用は、仮に使用者と労働者が望むとしても不健全なのです。いわゆる自己実現なり労働能力の獲得のための就労なりは、無給のインターンシップやボランティアで充足するべきです。この場合そもそも賃労働ではないので、労働者側には無理な条件でその就業を続ける動機がありません。インターンシップにおいて正規の雇用につながらないような条件のものは忌避されるでしょうし、正規の雇用を求めるのに十分な経験を積めばそちらに移行していきます。もちろん先に正規の雇用を見通せないような需給状況の職種では、資格取得に必要な最低限のインターンしか得られないでしょう。ボランティアでは基本的に条件に不満があれば継続する理由がありません。もちろん拘束自体は色々な理由で発生する可能性がありますが、合理的な解除は可能です。
一方で短時間の就業で被扶養者に留まれる程度の稼得を得ようと考えるのならば、個人経営への家族従業を除き、就労だのノンリスクだのといった甘えたことを言うべきではありません。それこそ雇用の偽装とも関連しますが、雇用とは使用者と被用者が拘束的関係に入ることであり、お手伝いをしてお駄賃を貰うような安易なものではありません。何しろ使用者にしてみれば雇用であるだけに就業において適切な環境を整備しなければなりませんし、本来被用者をやたらと使いまわしていいものでもありません。給仕なら給仕以外の仕事、調理補助やチラシ配り、掃除などをさせては本来いけないのです。
もちろん、低賃金に支えられた非効率な事業が、なくなるか雇用労働に依存しないものに変化することは、日本経済の効率化の観点から喜ばしいことでしょう。

■2023年03月02日(木)  フィンランドにとっては200年来の悲願
フィンランド議会、自国のNATO加盟法案を圧倒的多数で可決
フィンランドは全く不思議はないわけです。何しろロシアからソ連から何度も攻め込んできて、19世紀はまるまるロシア帝国に支配されていました。その上でその前に支配していたスウェーデンにも警戒感はあるわけですが、ちょうど民族意識が高まってきたところにロシア帝国の中央集権化政策が重なったため、そこから解放されたレーニン政権期を除き、何かと手を出してきたロシアやソヴィエト連邦のイメージが悪いものになっています。当然ロシアを称するロシア連邦は、現在につながる拡大主義、バルト海政策の関係で強く警戒されています。第二次世界大戦において西側の連合国から隔離されてドイツと提携せざるを得ず、スターリン政権に攻め込まれ、その後長くフィンランド化などと称される外交的状況に置かれたこともあり、米英仏(独)の絡む枠組みの中で安全保障を図ることに前向きです。フィンランドに米軍二個師団+一個航空団くらい駐屯したとしても、正直プーチン政権の自業自得だと思います。
もっともロシアとの国境にフェンスを張っているのは理由が違う気がします。ロシアが攻めてくるとすればフェンスでは全く防げませんし、単に国境の哨戒を密にするので十分です。密入国防止というのはあるかもしれませんが、むしろ遊牧民などの移動の防止ではないかとも思えます。何よりありそうなのは、プーチン政権への意思表示でしょう。

■2023年03月01日(水)  根源でなくてよかったかもしれない
読める、読めるぞ! 難解な「AWS公式のサービス説明」、ChatGPTの説明なら分かりやすかった
ある意味正しいな、この使い方。
こういう話ではなかったと思いますが、アシモフのファウンデーションシリーズで、締結された協定を解析した結果交渉相手方の義務が全く設定されていなかったというシーンがあります。AWS文学のような文飾を極めんとする行為への対抗策の模索は昔からあり、例えば法実務家などそれも仕事だったと言えます。もちろん文飾を極めて自分に都合の良い文書を作るのも仕事です。理想はともかくとして、契約書を含む法律文書が空疎で不誠実な文飾に満ちたものというのは、少なくとも歴史時代以降は常識であるようです。その文書を的確に読み解き、さらに自分の都合の良いように再解釈し利用するというのが法的な交渉ですし、そこまで行かないまでも妥当な読みを客観的に引き出すことは、必要とされてきました。文書そのものからであれ、別のソースからであれ、それが非属人的にできるような環境になってきたというのは一応進歩なのだと思います。

■2023年03月01日(水)  人が保護具もなしにキャットウォークをうろついているのなんてもはや学校くらいか
労働現場の安全の常識、学校にも 「かかりつけエンジニア」の提案
正直社会性を養う意味では絶対に同じ基準を導入した方がよいと思います。そのためには、就労しないことを前提に未成年に各種の資格の取得をも認める必要がありますが、ともあれ現在労働現場で要求されているような安全教育や安全確保措置は、大学だろうと学校だろうと共通に導入されなければなりません。でないと、学校で変な感覚を身につけた新社会人に現場が困ることになります。
とはいえ、それにはどうしてもコストがかかります。先生方は監督資格を取らないとそもそも実習ができないということになりますし、学校だからで済ませてきたいい加減な施工もできなくなりますし、生徒への拘束も必要になります。もちろん学校というのは自宅ではなく、本質的に不自由な場であり、例えば適切な訓練と作業具で安全が確保されていなければ屋上をうろつくわけにはいきません。そういう不自由を受け入れる訓練も、学校において期待されていることの一つではあります。

■2023年03月01日(水)  キッパーは観光土産じゃない
作家オーウェルが擁護した英国メシ、5代目職人の小屋を訪ねた
キッパーには食品製造業の暗部を見る羽目になった悲しい思い出もあるわけですが。あのポーランド産のキッパーの缶詰、絶対キッパーじゃないだろ。ともあれそんな中、ちゃんとしたキッパーを作る職人さんを取材してしまう気持ちはわかります。売れそうですもんね。
でも、キッパーというのは本来工場生産品です。甘塩の塩鮭と同じで、工場で量産して大量流通に乗せて一気にはけることが前提の食品です。職人芸よりは、趣味人の家内生産や工場生産スーパーマーケット販売が似合う品なのです。もちろん燻製の製造所というのは17世紀くらいには立派な工場であり、その技術は最先端技術でした。相応の産業資本家でなければ、貴族レベルの趣味人くらいしか実施できなかったものです。いろいろと条件が整って加工が平民クラスの趣味人や独立職人の手の届くものになりましたが、本来は消費者保護施策の下で大企業が作って売るもの、そして病膏肓に入った趣味人が自宅で作って自分で食べるものです。

■2023年03月01日(水)  面白いかもしれないけど商品として品がない
おなじみ「割引シール」がカプセルトイに 身につけるだけで謎のおトク感があるラバーマスコット
いや、同人ネタじゃないんだから。だいたい身につけるとお得感って、身に着けている=貼付されているものが割引になっているわけですよね。つまり身につけるとその人が自分を割引していることになると思うのですが、いったい何を割り引いているのでしょうか。

■2023年03月01日(水)  何で返してくれなんて言い出すんだか
40人に賞与支給ミス 「400万円返して」と南伊勢町が交渉開始
また誤送金したのを返してくれみたいな話が訳の分からない流れになっていますね。計算間違いをして支給してしまった、それが発覚したというのはわかります。十分ありうることです。しかし間違いの検査を配置転換済みの元担当者にやらせたというのはさっぱり理由がわかりませんし、間違って支給したから返してくれなど、よくも恥ずかしげもなく言えたものと思います。百歩譲って民間企業と従業員なら民事かもしれませんが、地方自治体が当事者という時点で間違いましたじゃすまないでしょう。当時の町長から出金担当の係長、主任あたりまで切腹ものですし、いきなり妙なことを言われた町職員は慰謝料を請求したって良いくらいです。

■2023年03月01日(水)  ここで送金手数料まで減らしたら経営に支障が出るからだと思いますが
QR決済のチャージ手数料、銀行は「根拠の説明を」 公取委が提言
理屈ではありますが、ネオリベに汚染されてますねえ、公取。まあ、銀行業を潰すつもりだというなら反対まではしませんが、それで銀行経営が悪化して決済に支障が生じたらどうするつもりなんでしょうか。少なくとも民間事業としての役務提供では、安ければよいとはいかないものなんですが。
もっとも市中銀行が決済を扱うこと自体は現在ではもはや望ましくない気がします。キャッシュレスとか言っていないで、基本的な口座間決済機能はマイナンバーとも結びつけて日銀に集約するべきでしょう。かつて銀行の機能は貨幣の発行という質的なものでしたが、現在では貨幣量の制御という量の問題に変化しています。また決済はもはや取引主体間の金融リスクを許容できる状況ではありません。インフラが止まることは、ほぼ完全に許されないのです。であれば最もリスク体制が高い日銀が決済サービスを直接提供し、支えつつ通貨のボリュームのコトンロールに活用することが望ましいはずです。

過去ログ 2012年04月 
2016年05月 06月 07月 08月 09月 10月 12月 
2017年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2018年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2019年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2020年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2021年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2022年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2023年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2024年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月