日記
■2022年07月31日（日）　 広告をアレンジして取り次ぐだけでは儲からないのが正しいと思う
「神様も身動きがとれない」ネット広告　DMP大手社長が語る実情
個人的には広告など新聞広告のレベルですら広告主にとって過剰サービスだと思いますが、ともあれ仕組みという面で変化が難しくなっていることは否定できません。仕組みが発信者と受信者の間のあらゆる部分に分散しているため、大きな動きというのが極めてしにくくなっています。TCPやIPのような基盤の部分やHTTP関係のような広範に使われている仕組みの場合それが顕著で、さらに今の主流は昔のようなクライアントとサーバーの間で断続的にやり取りをするのではなく、クライアントとサーバーが相当緊密に連携して動作するモデルです。もちろんTELNET上でのシェルを使った作業のようにサーバーどころかオペレーターが連携するモデルはあったわけですが、HTTPはそこをばっさり切り捨ててクライアントのデータ送信要求にサーバーが答えるという単純なモデルにしたところに特徴があったのに、動的コンテンツという形でそれが崩れてしまいました。またエンドツーエンドというモデルもキャッシュや境界防御、CDNという形で崩れています。もちろん商流上の利害関係者が絡まることで変えにくくなる面もあるでしょうが、少なくともGoogleはDMPはオプショナルにするビジネスモデルのはずです。シンプルな機能をユーザーが直接中抜きで買うというのが同社の考え方のはずで、中間業者によるアレンジはユーザーが選ぶことでしかないという立場でしょう。Googleの強みは仲介業者を組織していることではなく仲介業者でも集まってくるような仕組みを提供していることなので、機械が絡まない関係性はさして意に介さないと思います。差し止め訴訟でも起こされて認められれば別ですが。
とはいえ、正直この段階でネット広告についてビッグテックとひとくくりにするのはどうかと思います。ネット広告への態度もそうですが、そもそもビジネスモデルが各社違います。一つの業界がみんな揃って同じビジネスモデルを使っていた書籍出版業や20世紀マスメディアの広告収益事業と一緒にするべきではないと思います。

■2022年07月30日（土）　 本質的にエネルギー収支が負なはずなんだけど
メタネーション技術が未来を救う?　合成メタンの都市ガスで脱炭素へ
そりゃメタンと酸素から二酸化炭素と水ができる過程が燃焼なのですから、逆反応だって起こせるわけですが、エネルギー収支としてはどうなのでしょうか。燃焼が発熱反応である以上、その逆反応は吸熱反応であるはずです。つまり触媒下であってもなにがしかの形で最低燃焼で出る分のエネルギーを供給しないと二酸化炭素と水はメタンと酸素にはなりません。化石燃料は生化学的地質学的な過程でその過程を完了したものですし、バイオ燃料は糖なり油脂なりという形で太陽光を使って植物が固定済みの物質を作り出しています。この固定プロセスで投入される分を突っ込んで反応させる場合、通常は同じ燃料を燃して得られる以上のエネルギーを消費します。つまりこのプロセスで得られるメタンよりもたくさんのメタンを燃やさないと、この反応は起こせないはずなのです。それは、脱炭素と言うのでしょうか？

■2022年07月30日（土）　 そもそも欠席という形を強いられるような制度がいかがなものか
「育児」理由の議会欠席　地方で進む規則改正　そのわけは
もちろん代表制の合議体にジェンダーバイアスがあるようではまずいわけですが、とはいえ議会を欠席するというのがどういうことなのかも、そろそろ考えてみるべきではないでしょうか。
欠席が可能だとすれば、出産や育児はその理由であり得ます。今まさに生まれる生命や保護する子供と政治のどちらが大事かといえば、それはもちろん生命や子供です。
しかし、議員の機能から言えば、本来いかなる理由であっても議事の欠席は許されないと思います。議事において有権者を代表して討議と採決に加わることは、議案の提案やそのための作業と合わせて議員の欠くべからざる機能です。親が死のうが死病で倒れようが欠席は許されません。欠席すれば、代表する有権者を巻き添えに議事を他人に委ねることになります。定員分名簿を埋める方式ならまだしも、特定の候補者を指名し得票上位から当選とされる以上、議員には投票してくれた有権者を代表する面がどうしてもあります。議会総体として有権者全体を代表するというわけにはなかなかいきません。また人を選ぶのである以上、その人でないと代表できない部分がどうしてもあります。議事の欠席というのは原則としてそのような有権者からの委任をないがしろにすると言わざるを得ません。これは性別の問題ではなく、例え男性であっても出席を確保する見通しのない者は議員としての資格が疑われるということです。議会戦術として、定足数未充足によりそもそも議事を進行させないという意味合いの欠席や、議案に対する全面的な不同意を示すための欠席というのはあり得ますが、議員という属人的な「仕事」において、休むというのは極めて慎重な判断が必要です。風邪を引いたから休みますで繰り延べられたり他人がやってくれて済んだりする「仕事」ではないのです。
この種の制約は議員の選挙が人を選ぶから発生するわけで、いわば方式に特有の制約です。今時人を選ばないといけない理由も欠席に際して代理の連絡が滞る理由もないように思うのですが、議員定数に満たない定足数の設定も含めて相当の理由をもって議事への不参加を認めるのであれば、むしろ議事の進行に異存ない場合は欠席という形を取らないで済む方策を考えるべきではないでしょうか。

■2022年07月29日（金）　 賃金格差がなくなるまでどうしようもない気もしますが
技能実習制度「目的と実態が乖離」　本格見直しを検討へ　法相
現行制度に問題があることは確かですが、正直派遣と同じでこうなることはわかりきっていたと思います。見直してどうなるというのでしょうか。実態に合わせるのでしょうか。どうしてもこうなるから実態に合わせて問題が起きないように使用者の管理を強めてその代わり堂々と搾取できるようにしましたなんて、洒落になりませんけど。

■2022年07月29日（金）　 そもそもカタログだけ見てグリーンかどうかなんてわかるのか？
見せかけの「グリーン」投資駆逐へ　求められるリテラシーと厳しい目
そもそも投資というものはリテラシーが求められるものでしょう。特定目的の投資商品であれば、それは標榜している目的に即した事業なのかを検めるだけの目が要求されるのも、南海バブル以降は当たり前のことです。まあ、パッシブ投資という話もあるわけですが、さすがにグリーン投資でパッシブ投資は、少なくとも今のところはないと思います。判断は全部市場に投げてマーケットポートフォリオを保有するという投資手法は、少なくともモラルマネーなんてものを標榜する場合は望ましくないでしょう。
もっともモラルマネーという発想自体はあまり感心しません。そういう投資がおかしいというのではなく、発行された証券を仲買人が大量に売りさばくような販売モデルとは合わないと思います。

■2022年07月29日（金）　 まあ、利用を断る方があほでしょうねえ
「夫婦」切符使えますか　同性カップルの問いへの「ショック」な返信
どっちもあほというか、夫婦向けの割引乗車券が使えないことでショックを受けるのもそうですし、そこで杓子定規なことをして客を逃す方はさらにバカをかけるべきでしょう。もちろん宿屋であれば想定外と弁解のしようもあるでしょうが、たかが旅客鉄道業者が同性カップルだからとカップル向けの割引を拒否してどうするんでしょうか。男女の組でないといけない理由が、規則以外のどこにあるのでしょうかね。これが事実婚で証明手段が一切ないというならともかく、パートナーシップ認定を受けていたということですから、それなりに妥当な証明手段があるわけです。販売促進の目的は十分達しているわけで、同性カップルへの理解がどうこう言う以前に商売人として問題があります。
とはいえ、正直夫婦というのは戸籍上の夫婦を言うという定義を問題にすることも、また夫婦という概念を絶対視することも、どうかと思います。もちろんカップルを子産み、子育ての主体ではなく配偶性で見る限り同性のカップルが夫婦概念から外れるという常識はおかしいわけですが、少なくとも男女のカップルを前提とした施策があって悪いとは思いません。そこに同性カップルが参画を拒否されたからと言って、直ちに不当かどうかは言えないと思います。それこそ仮に役所が双方40歳未満の夫婦に対して出産奨励手当の支給を行ったとして、では夫婦だから同性カップルも支給を受けるのが妥当かと言われると、正直趣旨に照らしておかしい気はします。もちろんそういう支給は個々のカップルを不当に差別するものだとは言いえると思いますが。

■2022年07月29日（金）　 不注意で済むのか？
ゴーン事件弁護人への東京地検の捜索は「違法」　東京地裁
そりゃそうだ。
業務妨害程度ならともかく、弁護士から資料を無暗に押収するというのは対象以外の依頼者の情報を覗き見るということです。職権乱用、公務員の不当な権限行使で見た人全員懲役刑を食らってもかまわないという覚悟でやったとしても覆水が盆に返らない以上公務としては問題はあります。賠償レベルの問題ではないはずで、むしろ職務上遵守すべき規範を意図的に無視した犯罪という認定がふさわしいでしょう。弁護士が刑事訴訟をするわけにはいかないから賠償請求になっているだけのことです。
この意味では注意義務違反ではないという認定については控訴してしかるべきだと思いますし、正直審理で地検側の関係者を明白にして、告訴の便宜を図るべきではないのかと思います。地検を告訴するわけにはいかないというか告訴するにしても地検にすることになるので、決定や捜索を担当した人を個別に告訴するしかないはずです。

■2022年07月28日（木）　 事業としては誇りを捨てるべき状況もある
これまでの誇りと、この先にあるもの。
「だから、ここからしばらくは、大きな流れの中で、いつ終わるともわからない様々な協議が淡々と進んでいくだけ、という展開になるのかもしれないが、願わくばその過程でも、ここまで培われてきた”誇り”が大事にされることを自分は願っているし、さもなければ事業者として存在する価値はない、というくらいの覚悟がこの場面では必要だろう、と思う次第である。

後々、”どさくさ紛れ”と後ろ指をさされるようなことがないように・・・。」
もちろんこれは正論であって、特に電電公社や国鉄、郵便といった官営インフラ事業を継承した事業者としては事業開始当初の理想に誇りの根拠を見出してほしいと思います。
とはいえこれも指摘があるように、民営化というのは効率性の向上を期待して行われたものであり、そこに赤字ローカル線とドル箱路線の抱き合わせによるトータルとしての財務安定化という仕組みを仕込んだのは方便でしかありません。そもそも国鉄末期において既に赤字ローカル線の処理は懸案化していました。民営化したからといって改善するものとは限らないのです。処理において官営事業という縛りを取り払ってより柔軟な方策を強引にでも取れるというのが、ある意味民営化の目的であったとも言えます。その意味で、JR北海道が札幌近郊鉄道と札幌空港連絡鉄道に縮退することや、本州三社が(一部の)赤字ローカル線の廃止と新幹線を基幹都市間鉄道とした「新幹線と東京・大阪近郊鉄道モデル」に縮退することは、織り込み済みでした。抱き合わせはその中で国鉄という経営の枠を外して効率性の改善を試みる過渡的措置だったはずです。赤字ローカル線はより適切な経営主体による引き受けがそもそも想定されていたでしょう。この間その引き受けの主体となるべき赤字ローカル線が通る地方自治体の財務が悪化し続けたというのは想定外ではあったでしょうが、おらが鉄道ならおらたちが守るというのが着地点だったし、その上でトータルとしてネットワークを維持するべきだという発想だったはずです。この意味でJR旅客各社というのは津々浦々に伸びた鉄道ネットワークの維持という誇りの主体とはなりえません。
もちろんすでに多数の私鉄が共存している東京首都圏および大阪都市圏の近郊鉄道事業について、それこそ上下分離による旧国鉄路線への私鉄乗り入れは前向きに考えるべきだと思いますし、新幹線への私鉄の参入も、JRTTを軸に進める余地が十分あります。本州三社が例えばウィラーのような「たかが一交通事業者」に、「普通の娘」になっていくことが望ましいでしょう。おそらくそうなりたいからその際に重荷である赤字ローカル線について、議論を提起したのだと思いますし、政府や利用者としては、JR各社が撤退するのであればどのように路線を引き受け、あるいは他の交通手段に転換していくべきか、そしてJR旅客各社が国鉄から受け継いだ特権的地位をどのように解除していくべきかという発想でその議論に対するべきであるように思います。

■2022年07月28日（木）　 ブルマー=スク水=昭和のエロ親父のイデア＝日本の伝統
ブルマーの謎
なかなか力の入った本だと思いますが、昭和人のろくでもない実態はともかくとして、いわゆるブルマー(これによって代替された元祖ブルマー、つまりちょうちんブルマーではなく)が水着を原型としており、製造業者も水着の製造業者だった(販売は制服屋)という指摘があります。デザインや加工だけでなく素材としても近いものだったらしいですが、これはつまり、ブルマーとスク水という二大アイテムはそもそも同じところから出てきたということになりはしないでしょうか。

本書本文末尾の「ともあれ、密着型ブルマーはいまでは道徳的意味合いをすっかり失い、もっぱら下半身の防寒と防犯という実用的な目的のために、いくぶんか姿を 変えながらいまも少女たちのスカートの下でひっそりと生き続けている。」というのは、感慨というよりはいささか著者のノスタルジーを疑わせはしますが、衣料としては所を得て本来の姿に戻ったと言えると思います。
一方で学校用水着はそのセクシャルな位置付けを含めて未だに健在であるわけですが、正直いいかげん、着衣水泳による溺死防止を前提にできないものかという気がします。まあ、「水濡れした着衣のエロス」などという戯けた話もありますが、そもそも夏場に20時間とか30時間競技水泳をしないといけないから水着で衆人環視の場所に出るなどという羞恥プレイを別に好きなわけでもない異性のいる場所でしないといけないわけです。着衣で沈まないようにするというレベルなら、そこまでの時間数はいりませんし、おそらく相当数がそこで苦手意識を持ってしまう顔を水につけて行動するという苦行も最小限にできます。そして、日常生活で必要なレベルで水慣れするならそのレベルで十分です。
運動は水泳も含めてできるのが良いことというイデオロギーがありますが、身体の鍛錬や適切なカロリー消費という点ではそれこそ1日2回自衛隊体操でもやっていればいいのであり、体育という意味で最重要なのは長距離重量歩行、つまり重い荷物を背負って長距離を歩くという運動です。最適なのは登山でしょうし、トレイリングなども適切でしょう。いずれも安全の観点から薄着が望ましくないものです。トレイリングはＴシャツに短パンでやってもいいでしょうが、藪漕ぎを前提にするなら長袖必須、手袋も必要ですし、靴もそれなりに厚くて丈夫な底でないといけません。重いものを持ってあまり良くない道を相当距離を上手に歩く必要性は大人になれば嫌と言うほどわかります。これは都市部の鉄道利用者が短距離ダッシュを階段を含めて行う必要を痛感するようなものです。またこうした運動では、適宜の休憩や水分補給などの判断能力も養えます。ギリシャ市民を理想にしながら何をするにも小高いアゴラまで歩くという前提を忘れた近代から現代の学校体育とは有用さのレベルが違うのです。基準としては、高校生で20-30kgを背負って20kmを6時間というところでしょう。この時点で、一時間の体育の授業ではなく、月に二日ほど体育の日レベルです。当然時間割の組み方も生徒のグループの編成方法も、現在の40人で50分とは違ってきます。スプリントやランニングはともかく、サッカーやソフトボール、バレーボール、バスケットボール、テニスなどの球技や格闘技のような反道徳的な競技(礼をすれば相手を投げ飛ばしていいとか殴っていいなどというわけがないですね)、水泳や器械体操、ダンス表現(！)などの学校以外ではあまりやりようがない運動はどうでもいいので、体育というなら無手体操と長距離歩行をしっかりやるべきです。これなら、面白くはなくても挫折はしにくいですしね。高校総体は一種目のみ、弘前市から出発して下関市まで徒歩でスタンプラリーというのはどうでしょうか。江戸時代にはできていたことですからね。

■2022年07月27日（水）　 問い詰めたんじゃないの？
「僕がボディータッチしたらどうなの」市議が性的少数者への発言謝罪
単純に訊き方が悪かっただけだと思いますが。苦情を受けて困惑する方が無神経です。
率直な議論と言いますが、それならば言葉自体は同じでも理解したい、共感を目指すという態度を相手にわかる形で示すことが重要です。おそらくですが、上から目線で詰問してしまったのではないでしょうか(なお興味本位でという方向性もありますが、さすがにそんな誠意のないことをしておいて率直になどとは言わないと思いたいところです)。理解のない人が詰問してくるのがどれだけきついかは、それこそ留置所で一週間も取り調べを受ければ痛感するのではないかと思います。その意味では、聞き取り調査という活動が議員の調査活動に含まれるというのであれば、議員は当選時でも一週間ほど警察か自衛隊で拷問される研修を受けるべきかもしれません。

■2022年07月27日（水）　 つまり競技と娯楽は両立しないと？
観客はパフォーマンスを左右する？　スポーツ心理学者が指摘するかぎ
観客がパフォーマンスを左右するのだとすれば、観客は競技における擾乱要因に他なりませんから、競技としての観点からは観客は排除するべきです。もちろん実力を発揮できると言うプラスの面もありますが、逆に例えばホームチーム一色の観客がゲストチームに圧力をかけるような事態では試合が正しく競技にならないからです。
とはいえ選手と観客の間での相互の感情移入によってカタルシスを生じさせる競技イベントとしては別です。その場合、ゲストチームが心理的にサンドバッグになっても観客がカタルシスを得られれば問題ありません。試合自体は、そのようなカタルシスを生じさせる材料でしかないからです。
まあ、スポーツの本来の在り方からすれば、他人の競技を見ることではなく、自分で競技をすることによってカタルシスを得るべきなのですが。その意味では、その発生過程を歪めかねないという意味で観客の存在には肯定的になれません。

■2022年07月27日（水）　 非国民を制裁しないわけにはいかないですか
ロシア寄りの動画をネット拡散　英国人ユーチューバーに英政府が制裁
戦争である以上仕方ない面はあるのですが、嫌な話です。人命や生存の基盤が失われること以上に、こういう話が発生してしまうことが、戦争を含めた抗争という関係性の嫌らしいところです。こればかりはスポーツマンシップとか健全な競争などと言ったところでどうにもなりません。

■2022年07月27日（水）　 それはむしろマッカーシズムに共感便乗するような国民の問題
安倍元首相の国葬、「非国民」を生む懸念も　大学院生が訴える反対論
「国葬は安倍氏が行ってきたことへの批判を封じ、自由な言論を基礎とする民主主義を損なうおそれがある。」
正直これは、政府や政権がそれを意図しているとしても、そのような国葬にどう対峙するかという国民側の問題だと思います。安倍氏が毀貶はあるにしても国政の枢要にあって国務をこなしてきたことは事実であり、国家として国葬という形でそれを賞するという政府の方針は、例えプロパガンダの面が強いと言っても叙勲と同様に不当とは言えないものでしょう。ただしその政府の見解を国民が共有する筋合いは全くありません。弔意を表し喪に服するのも無視して平常通り過ごすのも間違った政策の責任者として非難するのも当然の在り方です。他人のそれを非国民扱いする人の心性こそ、民主主義を損なう克服すべき対象です。つまり、国葬なのだから喪に服さないのはおかしいと言われたら国主催のイベントなど知ったことか、このファシストめ、貴様こそが非国民だと反論すること、国民として国家を代表した政府のイベントへの参加を自身の意思に基づき拒否する - まあ、イベントに参加したい人は参加していいと思いますが、この場合それが意思表示になるのは拒否した人との対比の中でです - ことこそが、民主主義における個人たる主権者として民度を示すことになると思います。
その意味で、国葬についての政策論は、この財政難の時期に国葬などというイベントに公金を支出していいのかという問題に矮小化されてしかるべきです。

官房長官「真に必要な経費となるよう努める」　「国葬」の予備費使用
葬式なんて全面的に無駄を積算しただけなのですから、必要な経費などというものを算定しようもないと思うのですが。もっとも、どうせやるなら大喪の礼よりも盛況にするのはいいかもしれません。日本国では天皇よりも国会が指名する行政の長が偉いのだと示すいい機会ではあります。それなら、真に必要な経費かもしれませんね。

■2022年07月27日（水）　 JR四国を倒産させて路線だけ公的管理にしてもいいんですけど？
ローカル線存廃の議論「国主導はありがたい」　JR四国社長が歓迎
気持ちはわからないでもありませんが、正直能天気という印象を免れません。
もちろんJR各社が儲かりもしない旅客路線を維持する義務はないと思います。ただし、JR各社の設備は本来国鉄という形で鉄道を運行するために国民から付託されたものであることは認識されてしかるべきです。つまり路線を運行しないというのであれば、土地から線路から一切の設備はいかなる対価もなく手放されなければなりません。民営化して株を売ったことで回収されたなどというぬるい問題ではないし、そもそもそれを言うならローカル線でも維持する、民営化によって機構を改革しそれができる採算性を確立するというのが民営化時点での公的な約束ではあったでしょう。
これを敷衍すれば、JR各社の全資産を収用したうえで会社は倒産させることも正当です。設備主体の公共交通という公的事業はそれだけの重みをもつと思うのですが、JR四国経営者の発言はそのあたりを甘く考えてるという印象を受けます。

「ローカル線、JRだけでは維持困難」赤字補う想定、各社崩れる
もちろん、事業体としてできないならできないでいいわけです。必要なのは旧国鉄という事業体ではなくて、鉄道ネットワークを運営できる組織ですから。株式会社というのはいかようにも料理できますので、JRを証言台に立たせたうえで、第三者委員会がしっかり再編成の仕方を考えればいいと思います。まだ5年やそこらはもつでしょうし、どうせ最終的には今の株式会社は潰して事業だけ再建してもいいわけです。JR各社の存続を前提としないという原則だけは据えて欲しいと思いますが(別に存続させたっていいですけど、存続を前提にすれば議論が歪みます)、それで結局民営採算路線に走って路線リストラになったら、それはそれで世の中そういうものだということで、困る人が対応すれば済むことです。

■2022年07月27日（水）　 これはテロリズム
明石市長に辞職迫る脅迫メール「殺す」「銃を作った」　警備強化へ
これはまあ、脅迫行為も含めたテロリズムですね。
もっとも、正直市長は執務室から出てくる必要はないわけで、24時間365.25日勤務で執務室で書類を読んでは決済していればいいわけです。予算の決定も含めて、市長に指示を出す部分は議会ができます。

■2022年07月27日（水）　 配達とポストからの回収さえ麻痺しなければいいんですけどね
日本郵便、コロナ拡大で154郵便局の窓口業務休止　要員確保難しく
郵便局の場合大都市の機能集約局に行けばだいたい窓口が開いているのだと思いますが、正直集約局は終日夜間窓口対応のみにして、その人員を回して小規模局での平日日中の窓口営業を確保した方がいいような気がします。機能としては集約局に来いで済むわけですし、大口顧客にとってはおそらくその方がありがたいのですが、郵便局という組織機構が多少なりとも公的なものとして存続する鍵は小口利用者を絶対に見捨てないという態度を示し続けることにあると思います。
もちろん、効率優先でこれをきっかけにそれこそ小規模局を整理し、小口利用者はスマホアプリでも使ってくださいというのも正解だとは思いますが、その場合それこそ事業間の隔離や分割を含む全面的な民営化を肯定せざるを得なくなると思います。

■2022年07月27日（水）　 配達とポストからの回収さえ麻痺しなければいいんですけどね
日本郵便、コロナ拡大で154郵便局の窓口業務休止　要員確保難しく
郵便局の場合大都市の機能集約局に行けばだいたい窓口が開いているのだと思いますが、正直集約局は終日夜間窓口対応のみにして、その人員を回して小規模局での平日日中の窓口営業を確保した方がいいような気がします。機能としては集約局に来いで済むわけですし、大口顧客にとってはおそらくその方がありがたいのですが、郵便局という組織機構が多少なりとも公的なものとして存続する鍵は小口利用者を絶対に見捨てないという態度を示し続けることにあると思います。
もちろん、効率優先でこれをきっかけにそれこそ小規模局を整理し、小口利用者はスマホアプリでも使ってくださいというのも正解だとは思いますが、その場合それこそ事業間の隔離や分割を含む全面的な民営化を肯定せざるを得なくなると思います。

■2022年07月27日（水）　 今さら小麦の価格抑制策でもないでしょうからね
コメも値上がりへ？　今年の作付面積、昨年より3%減　コロナ影響も
消費者物価全体に対するコメ価格は低すぎると思いますので、値上げできる形が出てくるのは当然だと思います(そもそもコストに対して収益が低かったわけですし、ここのところコストは上昇気味だと思います)。問題はその結果生計費が賃金に対して上昇することにどう対応するかです。長期的には需要増に対して供給を抑制する施策も求められるかもしれません。
基本的には農家の設備費を控除した一人当たり所得が会社員の平均賃金を上回ることが望ましいわけですが、それで会社員が生きていけなくなったらさすがに問題でしょう。賃労働者は生かさぬように、殺さぬようにしないといけません。

■2022年07月27日（水）　 この件は地方自治体によるテロリズムではないのか
阿武町誤入金、山口地裁が田口容疑者の保釈を決定　県警は全額を立件
保釈にしろ立件にしろ、法律の上での筋としてはそうなると思います。後は裁判で決着させ、当事者双方を拘束していくしかないでしょう。これは民事も同じで、その上で必要なら裁判所が債務の破棄を判断する形かと思います。「返還」した側に対しての自治体の不当な業務の妨害、権限の濫用はおそらく問題にはならない(被害者側が問題にしない)のだと思います。
とはいえ、これは地方自治体という権力機構による、正しくテロリズム、すなわち暴力と恐怖による市民支配ではないでしょうか。現在の慣用表現としてのテロリズムとは制度の裏付けがある点が異なりますが、本来テルールというのはジャコバン独裁時の制度的なものと非制度的なものを組み合わせた公権力による暴力と恐怖による統治を言ったわけで、どう見ても市民を威嚇しているとしか見えない阿武町執行部のやりようはテロリズムと判断できると思います。

■2022年07月27日（水）　 この件は地方自治体によるテロリズムではないのか
阿武町誤入金、山口地裁が田口容疑者の保釈を決定　県警は全額を立件
保釈にしろ立件にしろ、法律の上での筋としてはそうなると思います。後は裁判で決着させ、当事者双方を拘束していくしかないでしょう。これは民事も同じで、その上で必要なら裁判所が債務の破棄を判断する形かと思います。「返還」した側に対しての自治体の不当な業務の妨害、権限の濫用はおそらく問題にはならない(被害者側が問題にしない)のだと思います。
とはいえ、これは地方自治体という権力機構による、正しくテロリズム、すなわち暴力と恐怖による市民支配ではないでしょうか。現在の慣用表現としてのテロリズムとは制度の裏付けがある点が異なりますが、本来テルールというのはジャコバン独裁時の制度的なものと非制度的なものを組み合わせた公権力による暴力と恐怖による統治を言ったわけで、どう見ても市民を威嚇しているとしか見えない阿武町執行部のやりようはテロリズムと判断できると思います。

■2022年07月27日（水）　 頭を下げて舌を出していてよいのなら構わないでしょうが
「解決に日本側の誠意が必要」　徴用工問題で韓国外相が見解
誠意というのがどういうものかが問題ではあると思います。とりあえず形式的に謝罪の言葉を非拘束的な形で表明して、その代わり韓国側というか被害者側が相当思い切った譲歩、つまり判決の全面的な公式撤回(つまり判例としての定着も排除)と資産の凍結解除および凍結期間中の金利および凍結についての賠償の支払い、今後被害者側への支援は全面的に韓国政府が窓口となる(つまり企業も日本政府もそのような苦情には直接対応しない、対応を免除される)仕組みの構築などを受け入れれば、つまり形式的に謝罪してそれですべて水に流して全面的解決とし、後は韓国の国内問題、補償についての政府間協議の問題とする(つまり実質的には誠意の欠片もない口だけの謝罪で問題を公式に消滅させる)というのであれば短期的な調整は可能でしょうが、実質的な誠意とやらを求められた場合難航するのではないでしょうか。まだしも、韓国政府が関係する日本企業を一方的に懲罰して韓国内の資産を没収、韓国内の組織を解体して一定の個人も含めて韓国内での行動を禁止し、日本側は形式的な非難に留め日本企業は韓国から撤退、何なら相互の査証免除協定も解消して、政府間交流と韓国側商社による貿易、一般市民レベルの交流に留める方が手っ取り早い気がします。
まあ、後者の方策はあまり民主的ではないし日本企業、特に直接の当事者とは言えない企業にまで負担を強いるものではあるのですが、どうせ日本で会社経営などしているような人たちが誠意のある反省なんてものをするわけがないので、実質的に二度と繰り返さないようにしてしまう、その上で根に持たないようにしていく方が良いのではないかという気がします。

■2022年07月26日（火）　 勉強しろ勉強！
サイボウズ青野氏とさくら田中氏対談　禁断の「チェックシート問題」について
「「このクラウドサービスを利用したいです」と情シスやセキュリティ担当者に申し出」て「クラウドサービスの利用が業務委託やアウトソーシングの延長として考えられていることも問題です。アウトソーシングサービスなど外注先に何かを委託する時に使われていたチェックシートを、クラウドサービスの利用でも使われていることにも疑問を感じます」なのだとしたら、多分その会社は、クラウドサービスは利用しない方がいいですね。またどうしてこう、日本の組織というのはオペレーション優先でチェックをいい加減にするのでしょうか。情シスから出てきたチェックシートを自分で埋めるところまでが担当者の仕事であり、当然チェックシートを埋めるだけの調査を自分でしないといけないのです。それをベンダーに丸投げするというのは、何かあったときに責任を取れないと言っていることであり、当然クラウドサービスのような外部サービスの導入を担当する資格自体がありません。

■2022年07月25日（月）　 だからAIでも使ってみろと
キヤノンMJ、預貯金等紹介業務を支援する“公的照会BPO・OCRサービス”をJAバンクに導入
この「紹介」は「照会」の間違いですかね。預貯金等紹介業務というと訪問販売員が「うちの投資商品いかがっすかあ」と知り合いの紹介と称して訪ねてくるように聞こえますが、預貯金等照会業務だと貴行にこの人物の預貯金口座はありますか？という問い合わせに対応する業務になります。
ちゃんとチェックしましょうね。今時AIでもこの手の間違いは見つけられる気がします。

■2022年07月25日（月）　 基礎文献を検討し直す必要がある気がしますが
純粋機械化経済
正直日本が総体としての計算機技術開発で後れを取っていることは事実ですし、人工知能が汎用技術として全般的イノベーションの基礎になるという主張自体も納得できるのですが、説明が論を台無しにしている感があります。そもそもこの本自体が古臭い文明論の体裁を取っているのですが、引用されている文献がいささか際物に近い哲学と文明論(歴史総説を装ったものも含む)であり、なおかつ主張や事実関係としておかしい部分をそのまま使っています。その結果、それこそ経営評論家やシリコンバレーのIT長者が書いた文明論の様相を呈しています。例えば塩野七生氏あたりが真面目に近いスタンスで論説を書くとこうなるのではないでしょうか。あるいは田中芳樹「創竜伝」の文明論の風情と言ってもかまいません。どうもふざけているらしい表現も散見されるのでどこまで真面目に書いた本なのかなという気はするのですが、なんとなく出来の良い学生が一般向けに書いた本程度には真面目なのではないかという印象を受けます。だとすると、1970年代ならまだしも21世紀に要求される論の水準には達していないと言わざるを得ません。
どうにも気になったのが、図7-4アメリカの生産性上昇の推移というグラフで、Gordon (1999, 2010)から取っているというのですが、1930年から1950年が生産性のピークになっています。この点は本文にもそう書いてあります。何が気になるのかというと、1930年といえば大恐慌が始まった年です。もちろん1940年から1950年までは第二次世界大戦から朝鮮戦争にかけてアメリカ工業が回復した時期なのですが、その一方で1930年から1940年まではニューディール政策にも関わらず(というか経済学からの議論としては景気回復策が色々不足していたという話だったと思いますが)アメリカ経済は不況をのたうち回っていました。ちなみに大恐慌直前のギルディッドエイジが1910年から1930年まで、アメリカ経済の黄金時代が1950年から1970年までになるかと思います。だとすると、この生産性の推移が経済状況(概ね経済成長率と言えると思います)とはあまり相関していないか、もしかすると逆相関していることになります。もちろんそのあたりは生産性の定義次第であり得るとは思うので、嘘だろうなどとは言わないのですが、どんなデータを使ってどう処理するとこの推移になるのかを原典に当たって検討するべきではないかと思えます。
なんというか、生産性の制約についての説明や20世紀後半(第二次世界大戦をピークとした集権制度に対して終戦後の反動に起源をもつアパシーに見えるという点でまさに20世紀後半)の思想や文化の流れの把握には説得力を感じるだけに、ラノベで開陳されているような文明論の部分が残念です。

ちなみに本書では中華人民共和国ないしはその後継政体(正直国という言葉を無造作に使う傾向も含めて文明論臭いわけですが)がどこまで経済発展を続けるかについて、本書は楽観的なようですが、中所得国の罠に嵌らないというのは正しい評価だと思います。ただし、二点問題があると思います。まず、市場金融化が進展した経済において必ず発生する資産バブルとその破裂による経済的混乱ですが、著者はそういうことが起これば経済発展が止まる可能性があると述べており、かつこれは2022年現在その兆候が表れているように思います。次に、それこそ中国王朝史上頻繁にあった名君の暗君化で、こちらは著者は楽観的なようですが、個人的には近い将来発生するのではないかと思えます。どちらもリゾームシステムの部分ではなく集中システムのコアへの打撃になりますので、華人資本や中国系移民は発展を続けても中華人民共和国は混乱を来すのではないでしょうか。
大脱出した中国系がいわゆる民主主義諸国を乗っ取る代わりに中国本土のヘゲモニーが崩壊するのではないかという気もしているのですが、これはホラの類ですね。北京への偏見に基づいた妄想と言われても仕方ありません。

■2022年07月24日（日）　 ビジネスパーソンになるなら国会中継を見るべき
早送り視聴できない国会　上西教授に聞く「イライラしない楽しみ方」
早送り視聴したければリアルタイムで見ないで録画すればいいだけです。もっとも報道記者が国会中継は録画でなどと言ったら真面目にやってるのか疑われそうですが。ちなみにもっと遅れてもいいのであれば、議事録が公開されるまで待って読む手もあります。
委員会審議も含めて国会での議論がどのように進んだのかというのは政治の過程を見るうえで大事なことなので、それこそ報道機関が国会中継という形で扱うのではなく事務局が撮影したものを流しつつ録画を動画ファイルとして任意にダウンロードできるようにしておいてほしいくらいですし、議事録も即日公開ができないかどうか検討して欲しいものです。
一方でリアルタイムのやり取りの退屈さに耐えて内容を適切に把握する能力はビジネスパーソンには必須でもあります。なにしろ退屈千番の会議に耐えてそこから必要なものを汲み取り、あるいは打ち合わせで相手側のそうした幻惑に対応し、あるいは自分でそうやって相手を煙に巻くことが求められるのですから。

■2022年07月24日（日）　 だから多摩川にでも流せと
福島第一原発の処理水放出計画を認可　放出の終了は「約30年後」
だから安全なのなら高速道路沿いにでもパイプラインを引いて多摩川でも隅田川でも流して東京湾に入れたらいいでしょうが。なんで福島沖に流したがるんでしょうか。

■2022年07月24日（日）　 金融税で十分でしょう
返済財源に電気料金上乗せ案も　どうなる20兆円のGX経済移行債
証券取引税を市場取引について1取引10万円もかければいいだけだと思いますが、違うのでしょうかね？発行だけ課税を免除すれば問題は起きないでしょう。

■2022年07月24日（日）　 まあ、護憲以外は自民党と変わらないのでは自民党の方がましですから
都市部で進む「立憲離れ」　参院選比例区の得票率をみてみると
データが示す前になんであんな右派社会党みたいな定見のない頑迷固陋が都市部の有権者に受けると思ったのかの方を訊きたいです。自民党の左派や家父長国家福祉主義とたいして違うように見えない主張をヒステリックに叫ばれても自民党の分派としか思えません。それならまだ、小泉純一郎っぽい維新の会系の方が何か変えてくれそうというイメージを抱きやすいというものですし、極端な主張を出しやすいという点では参政党やN党のほうがわかりやすいというものです。
まあ、正直自民党の間口が広すぎるのが問題で政見として自民のスペクトルの中に埋没するからと言って立憲だけに責任があるわけではありません。とはいえ自民党内に右派から右寄り中道左派までが分布してしまっている時点で、それ以外の政党は極右か護憲勢力と称する中道左派、極左しか立場を取りようがなく、中道左派では自民党左派と護憲以外で区別がつかず、これではどうも政権担当能力があるように見えない政党では二大政党制など狙えないのです。無理なものは無理です。1990年からの自民党分裂再編成の際に分派側がまとまってマジョリティを確保するというのが伝統的な二大政党論に沿った形になるここまでの最後の機会でしたが、数次の政権担当の機会を棒に振ったわけですから、中道左派は愛想を尽かされても不思議はありません。そうなると現状中道右派と右派ポピュリズムしか選択肢がないのですが、これは自民党と維新の会が取ってしまいました。
もちろん政策の軸はさらに錯綜しており、単純な左右や伝統政治勢力とポピュリズム勢力の対立軸では分類できなくなっていますから、余計に区別がつかないのです。まあ、正直この状況で財政再建を打ち出したのは、自民党側が財政拡大を打ち出したためであるにせよ、いささかまずかったと思いますが、さすがに極右や右派ポピュリズムのような公務員整理による財政再建を主張するわけにもいかないでしょう。

■2022年07月23日（土）　 ならば稚内市はコミューンに解体すべき
宗谷線抜海駅存続、住民が管理費負担すれば「協力」　北海道稚内市長
もちろん住民負担の方針自体はあってもいいと思います。
ただしその場合、住民のニーズが稚内市内でクトネベツ町内会管轄地域とそれ以外で異なるわけですから、稚内市はコミューンとして町内会単位に分割し、市としてはその連合体に再編成すべきということになります。もちろん行財政の権限はコミューンが持ち、市はコミューンの連合としてコミューンから供給された財源をもって委任されたことだけを行うことになります。もちろん人口比例に基づいた代表制ではなく、各コミューンの代表が対等の立場で、拒否権もしくは実施拒否権をもって市の決定において対峙するものでしょう。市にいくら出すべきかは法定業務を除きコミューンが合意した範囲に留まりますから、市の財政も権限も相当縮減されます。

■2022年07月23日（土）　 作品の鑑賞は権利であって義務ではない
映画を早送りで観る人たち

正直題名から想像できる以上の本ではありません。著者の主張としては鑑賞ロマンティシズムの垂れ流しに過ぎません。
「かつて、倍速視聴にいちいち目くじらを立てる人がいた」というのが、著者の一応の結論です。しかし、現象としてはともかく、作品鑑賞論としては、そもそも映画をオリジナルの状態で鑑賞すべきというのは、映画というメディアが市民権を得た時期において既に過度にロマンチックな立場として批判の対象でした。1931年にヴァルター・ベンヤミンは写真小史において、映画を絵画や演劇とは異なる細切れにして編集された複製物であり、そもそもアウラがないのが本質だと論じています。そして著者が論じるようにテキストの読みを脱構築する思想が展開されますが、一方で新古典主義のストラヴィンスキーのように、絵画のコラージュのように曲を構成する方法論も出現していますし、映画も1910年代にはコラージュを意識した構成が行われていますし、映画の編集過程はどんなにロマン主義的な作品であってもコラージュそのものです。そこでコラージュは制作者のみが行いうる特権だなどとは、正直言えないと思います。それが1910年代の状況であり、100年も過ぎてから倍速視聴ごときに目くじらを立て、その背景をデータに即して論じるなど、時代遅れのロマン派芸術主義者としか思えません。ちなみに劇についていえば、全体を通して観るというのは19世紀も半ばになって生じた流行でしかありません。ある特定の幕、場しか鑑賞しないという姿勢があったことは、オペラについて証拠が残っています。これに対して全面的な拒否を示した典型がリヒャルト・ワグナーです。
もちろん製作者の視点や批評の視点としてのロマン主義は、是認されてしかるべきです。これは一鑑賞者としてそのような姿勢で視聴することも含みます。全編をインテンポで鑑賞することは、あってしかるべき鑑賞姿勢です。これは著者も論じているようにファスト視聴をする人たちもけして否定していません。
問題は、社会批評としてそれと異なる鑑賞姿勢を問題視する態度、制作側の意図を絶対視する論調です。自分の意図したように作品を見て欲しいというのは近代以降の製作者の本能かもしれませんが、それこそ著者も指摘している通り、上演側は作品に対してある意味傲慢極まりないとすらいえる改変を施して来ました。ロッシーニなど歌手が自分の曲をちゃんと歌わないと激怒し、楽譜を細かく書き込んでこの通り歌えと主張しています。ある意味では映画の制作は、その改変過程を、出演者すら道具として監督を含む編集担当チームに集中したものとも言えます。映画はカットごとに撮影したフィルムを張り合わせ、音声を合成したものですし、著者の指摘する吹替はもちろん、アニメーションの製作など音(セリフ)は出演者ごとに収録して合成することすらあります。とある本でクラシック批評家がポピュラー音楽のパッケージでは何度もテイクを録ってフレーズごとに継ぎ接ぎ合成すると慨嘆していましたが、むしろそれは当たり前の方法論ですし、ポピュラー音楽ではDJミックスという形でさらに過激なコラージュも前世紀に出現しています。ここに至っては、作品というのはコラージュの素材に過ぎず、ミキサーは著作権料を払って素材を買ってきて抜粋しつなぎなおし逆転すらして使うのです。ならば、買ってきた映画を倍速で視聴して何が悪いのでしょうか。そもそも単話に分割されている連作を特定の話(幕)だけ見て何が悪いのでしょうか。それこそベートーヴェンの第9交響曲の合唱部分だけ取り出して歌ったり聞いたりするのと何も変わりません。あるいはパッヘルベルのカノンをホモフォニックに編曲するのと同じです。倍速視聴が問題なら、この辺りなど作品の侮辱に他なりません。そして500年は前から聴いた人がお気に入りのフレーズを口ずさむように、そのような改変は普通の営為だというのが、現代の鑑賞の理解のはずです。作品は全体を制作者の想定通りに見なければ鑑賞したとは言えないなどというのは、こと映画については、そのえの字もわかっていない愚見です。もちろん芸術として鑑賞するかどうかというのも視聴者の選択することです。芸術作品として製作されたものだから芸術として鑑賞されなければならないなどというのは、例えば前衛芸術がどんなものかを知らない間抜けな意見でしょう。作者はあれを芸術作品として提示しますが、それは鑑賞者がどのように受け取るか、例えば芸術作品と銘打って量産品の便器が展示されたときにそれを商品展示として見るか芸術作品として見るかの選択やその際の困惑も含めてのパフォーマンスです。現代において芸術と称するならそこまでの視界を持たないといけないのであって、ナイーブに芸術作品を芸術作品として鑑賞して欲しい、実利重視の視聴は良くないなどと言うのは、落選者が理解されなかったのは残念だ、これがわからないのは審査員の目が節穴だと語るがごとき話です。
また編集という行為を特権化している点でも、著者は現代芸術を語る見識に欠けると思います。抄訳や総集編について「それを作っているのが誰かという点が重要だ。」などと語ることは不見識です。たとえ原作者が行った編集であろうとも、それが公表された作品の編集である限りにおいて、他の誰が行った編集とも解釈であるという点で等価です。問題はその解釈に説得力があるかどうかであり、たとえプロがやったことでも、その品質は蓋然的にしか担保されず、個々に - 個々の解釈というだけではなくその解釈の個別の享受者ごとに - 評価されるべきです。今時プロが手掛けた駄作などそこら中に氾濫していますし、大家が手掛けたものも少なくありません。またトスカニーニはボレロの演奏を作曲者のラベルに憤慨されていますが、ならばその演奏は駄演だったのでしょうか。つまりその時のトスカニーニはラベルの音楽を理解できない稚拙な指揮者だったと主張するわけでしょうか。パロディーとしての編集は万人に開かれたものであるとして、それでも抜粋、要約としての編集版は原作の妥当な抽出物でなければならないと論じることは可能ですが、そもそもネット用語の「公式」が象徴するように、公認の解釈であってもそれは一解釈でしかありません。解釈が発散することを防ぐための参照的な枠組み、単なる便宜でしかありません。どのように要約すれば作品の本質を抽出したことになるかなどというのは、一意には決定できないのです。ましてファスト映画など、そもそも編集者が一定の時間枠の中でしかるべきと抽出したものなのですから、全編を見た場合の印象との対応性は一定程度担保されていると言えます。そのしかるべきの部分が問題になっているとしても、公認プロがファスト映画を作るような一応倍速でも全編を見る非公認編集者に勝るとは言えません。
もっとも本書は、それでも全体をインテンポで鑑賞して欲しいという製作者の悲痛な呼びかけを知る資料ではあります。上から目線の構成論はともかく、「残念、というか何かに負けた気分です」という脚本家のコメントは、まさに製作者が作品をインテンポで全編見るべきものとして視聴してもらえなかった、単なる情報として消費されたという点での悲痛な敗北宣言です。仮にその痛みを乗り越え次は見飛ばした人にちゃんと見てもらえる作品を自身が満足できるものとして作るのがプロとしての在り方だとしても、そしてどのような調子でそう言われたのだとしても、負けを自認せざるを得ない感慨は聞き手として汲み取り、共感せざるを得ません。
創造的行為としての編集は、本来素材やその関係者と編集者、その編集を肯定する人との間の、互いに傷つけ血を流すようなやり取りではあると思います。ただ何の前提もなく、享受の対象は享受者によっていかなる形にも改変(解釈)されうるというのが現代における鑑賞、それもモノの鑑賞の大前提であるということは言えます。その改変がいかなる態度で、いかなる文脈で行われたかを問わず、モノの取り扱いとしてそれは正当です。
ただ一つだけ、素材の使用料を許可なく払わないのはおかしいでしょう。

■2022年07月23日（土）　 警察が身柄の確保を延長するというと悪印象がありますが
山上容疑者を鑑定留置へ　11月下旬まで　安倍元首相銃撃事件
身柄の確保にしても、これは適切と言わざるを得ません。
ただまあ、鑑定留置中に不当な取り扱いが行われていないかどうかというのは別の問題ではあります。

■2022年07月23日（土）　 和語の多用は不適切ではないのか
新しいスタートアップ担当相　山際経済再生相が兼務へ
『「新設の」スタートアップ担当相　山際経済再生相が兼務へ』と書くべきではないでしょうか。一瞬、現内閣にスタートアップ担当相があり、それが交代したのかと思いました。

■2022年07月23日（土）　 ヤジが対象に脅威を与える行為であることは否定できないと思いますが
ヤジ排除訴訟の原告2人を「蛮人」とツイート　自民系の北海道議
正直仇や疎かに「政府と国家を区別し、総理（や政府首脳）に対する批判を国家に対する批判と混同しない。」と切り捨てられない部分があります。仮に行ったのが批判だとしても、公人として警護を受ける人物に対して不正規な働きかけを行うという点では、暴力の行使であろうとヤジであろうと同じ類型に属します。一方で、公人として警護を受ける身でありながら公人たる自覚に欠ける振る舞いをすることはその地位にある資格を強く疑わせる行為でもあるのですが。ですから安倍「元首相」・「現職衆議院議員」襲撃の不当性と「もり・かけ」交際の不当性とは表裏の問題ではあるでしょう。
もちろん襲撃事件を単なる暴力事件と扱う限りは、「もり・かけ」交際も一公務員の公私混同という扱いに留まることになります。

■2022年07月22日（金）　 またいつだったか医師でやったみたいなことを
薬学部の定員抑制へ　退学率5割超の大学も　質低下に懸念の声
まあ、薬学部の場合薬剤師国家試験の予備校という位置づけですし、国家試験合格率の実績次第では廃止すら検討しうるでしょう。まあ、大学設置基準と受験資格付与認定が連動すること自体はおかしい気がします。学部の設置基準とは別に厚労省が修了者の薬剤師国家試験受験資格の認定基準を定め、コースを対象に審査と認定を行い、事情に応じて認定を取り消す形が望ましいとは思います。とはいえこの場合でも、認定が取り消された場合学生の扱いはどうなるのかという話は出てきますが、それはそれで予備校として事業を行う大学やそこを選ぶ学生が弁えるべきリスクのうちと言えなくもありません。
退学率を基準にするのは正直大学としてはおかしいと思います。むしろ退学率は9割を超えるというのがまっとうな大学ではないかと思います。

■2022年07月21日（木）　 結局批判と抵抗がアナーキズムの本質かなあというね
正しい人間像を疑う　生存しているだけで抵抗　女性たちがつくる潮流
もちろん疑うのは素晴らしいことで、正しい人間像などというのは本質的にナンセンスでしょう。正しさというのは本質的に支配に異ならないからです。その意味で正しさに疑問を持ち、検証を突きつけ解体を迫る意味でのアナーキズムを否定するわけにはいきません。
とはいえ、批判の基盤としてのアナーキズムはともかく、政治思想としてのアナーキズムはどの政治思想とも異ならずナンセンスです。というよりも政治思想になった時点で破綻すると言うべきかもしれません。いかなる思想も統合の枢軸となった時点で支配であることを免れません。これではアナーキズムは特定のアナーキズムを枢軸として人々を統合した時点でアナーキズムによって疑われるべき支配思想へと転化し、アナーキズムではなくなってしまいます。それが例えば西洋思想が家人を支配する社会人による社会を理想とするからなのか、それともアナーキズムや政治批判の先に第三の国があるのかは正直わかりませんが、少なくとも近代アナーキズムの理想化するコミューンがアナーキーというよりはコミュニティという下手をすると剥き出しの暴力による支配の枠組みでしかないことは、例えばマフノを見れば明白ではないでしょうか。
一方で、いかなる政治思想もアナーキズムによる一貫した批判の鍛錬を耐え切れなければ少なくとも民主的な思想とは言いえないことは、アナーキズムが様々な政治思想の初期や分派に見られる理想主義に普遍的に見られることから明らかだと思います。それが合理的な支配に対する絶望であるとしても、不正義についての批判というのは少なくとも検討されなければなりません。その意味では、槌と鎌ではもちろんなく、正義を樹立する剣でもなく、ただ剣を鍛える槌と鉄床であることに耐えるのがアナーキストなのかもしれないとは思います。槌と鉄床だって丈夫＝一貫しかつ堅牢でないといけないのですが、それらは直接に建材とはなりえないのです。
もっとも、批判すなわちアナーキズムではありません。「善なる支配」の視点からの批判だってあり得るからです。正直それはそれで胡散臭いですけどね。

■2022年07月20日（水）　 こういう時の健全財政の確保
安倍氏の国葬「国民に政治的評価を強制との指摘あたらず」　官房長官
まあ、評価の強制だとは思わないですね。一時的な私人の団体にすぎない政府の評価と個人としての評価は別だと思いますから。
とはいえ、たかが人の葬式、あるいは顕彰に公費を支出していいのかという議論は、せこいようでもあっていいと思います。業績に国家として報いる、報いられる仕組みがあることが望ましいという主張はあるわけですが、それがどうしたという内容も少なくないわけで、それこそ費用対効果も含めて議論するべきでしょう。その中で効果として業績を顕彰し周知せしめるなどという話が出てくれば、それこそ評価の押し付けではあります。

■2022年07月20日（水）　 「ゆるく生きる」ことが産業の上に乗っていることが問題
正義の奴隷にならない　タバコも吸う、ステーキも食う　ゆるく生きる
正直あの本は笑えないのですが。笑えるという人の感覚の方を疑います。
とはいえ、別に個人としてタバコを吸うのもステーキを食べるのもかまわないとは思います。問題はその需要に応じて供給を行うことで、例えば自宅でタバコ(でも何か別の植物でもかまいませんが)を育てていいかげんな加工のおそらくさしておいしくない煙草を自作して吸っている分には、私に煙を吐きかけたり同じ部屋にいる状態で吸ったりしなければあまり気にしません。ステーキも同じで、ステーキを食べたいから周りに迷惑をかけない範囲で牧場を確保して牛を飼い、自分で屠畜して食べ尽くす分には、仮にそれで食中毒や感染症にかかったとしても本人限りであれば構わないわけです。
ただし他人との関係性というのはあり、そのあたりを合意できない相手と結婚する、結婚してもなおそれを貫くというのは問題があります。その意味では振られてよかったですよね。そんな女性と添うたら人生大変ですよ？人生観が一致する女性が見当たらないというのはマイノリティーの宿命というやつで、頑張ってアナーキーな生活思想を普及していただきたいと思います。またそれ以外にも他人との関係性の中では制約が発生することは当然で、一応法律上、電気を使う契約を電力会社として請求された電力料金を払わないというわけにはいきません。形式上は、契約者は払わないという選択を放棄したものと判定されます。払いたくなければ電力会社の電気を使わなければいいわけで、コミューンで電力を自給している分には、せいぜい役所が不法建築物、無免許事業と文句を言ってくる程度であり、そういう苦情と闘うことはアナーキストとして正当です。またその上で、どうもこれだけは商用サービスを使わざるを得ないが、商用サービスしかないというのは不当だ、なんとかしようという闘いも、アナーキストとして正当なものでしょう。まあそこで、例えば近所の電話回線にタッピングして無断使用するのが適切かどうかは別問題です。

■2022年07月20日（水）　 マニアの遺品が発掘されての不法投棄じゃないの？
東京・成城の路上に「小銃のようなもの」　警察が型番を調べると…
迷惑な落し物があったものですね。状態が悪いことを考えるとマニアのコレクションが発掘されたものの処分のしようがなくて放置した可能性がありますか。何しろ見かけは小銃そのものですので、物騒極まりありません。
この際ですので、廃棄についても製造物責任を義務付け、ホビー制作者も含めて厄介な廃棄物を作る源を一掃するというのはどうでしょうか。何しろ持ち主からすれば適当に捨てるというわけにはいかず、入手した本人ならまだしも相続人が困る事例が出ています。当然得体の知れないごみについては、登録事業者の組合が一切の制約なく処理を受け付けて処分費用を負担し、その分の便宜を受けるわけです。例えば登録事業者に限り消費税の一定割合を一定の形式(組合の会費でしょうかね)でプールできるというのはどうでしょうか。

■2022年07月20日（水）　 非課税では意味がない
「資産所得倍増プラン」の中身、考えてみました　証券業界が提言
非預金資産倍増というだけなら、さほど難しい事とは思わないですね。元本保証を一定限度内で付ければいいだけですから。現行の銀行預金と同様の1000万円でいいと思いますが、付帯サービスなしで証券会社の謂わば元本保証投資信託として受け入れるわけです。当面は定期預金代替でよいでしょう。積立制度を設けるかどうかは任意だと思いますが、5年満期の自動更新あたりでいいかと思います。
逆に元本保証がない場合、おそらく何をどうやろうと、もちろん投資教育とやらをどうやろうと、不当販売(つまり必ず儲かると言ったのに損をした)の巣窟になり、非預金資産とは怪しいものだという評価に落ち着かざるを得ません。
世の中にはリスク資産と安全資産のバランスという考え方があり、ある程度安全資産の規模を増やしておかないと、リスク資産への投資は見込めないものです。老後資産2000万円というなら、基本的には一人当たり3000万円くらいまで制度的な安全資産を認めるべきですし、その中で預貯金1000万円、国債商品1000万円、その他証券投資1000万円といった構成を取り入れること自体はあっていいでしょう。またこれはいわば担保ですので、普通預金のように即時引き出せたり決済に使えたりする必要はありません。普通預金側にこれを担保にした貸し越しがあれば済むことです。また当座貸し越し枠が3000万円ないといけないなどということはなく、預貯金担保で800万円もあれば十分で、貸し越しは適宜他の資産を取り崩して充当すれば済むわけです。

■2022年07月20日（水）　 「デジタル化」もコスト面で実現不可能でもいいからせめて目視をちゃんと置き換えられる仕組みを制度的に義務付けて欲しいものですが
OMRONから来ているメールニュースに保全革新ソリューションという刊行物の案内がありました。とりあえず5巻出ているようですが、中身はOMRONだけに保全というか監視の自動化、遠隔化の話です。とはいえユーザーと相対するメーカーの文書だけあって、監視が総合的でないといけないという点は踏まえられています。つまり代表的なセンサーだけあればいいというのではなく、点検で見ていたものを網羅的にセンサーに置き換えないといけないという発想です。少なくともカメラがあればいいだろう的なアイデアではありません。ただ、これいくらかかるの？という話はあったりします。年々安くなっているとはいえ、センサーというのは安いものではありません。データ送信や記録の部分はさらに安価になっていますが、やはりちゃんと設計しないとコスト上昇を招きます。当座は熟練作業者をこき使った方が安いという話ですね。一番値段が下がったのが演算処理とヴィジュアライズの部分ではないかと思うのですが、例えばVol.1の6ページの図にはキーパネルが4枚見えますので、少なくとも手前の黒いフルキーボードの英数キー部分とテンキー部分の配置を逆にしたようなものが実際にキーボードなのだとすれば、最低でもこの図に写っている部分だけで30万円ほどはすることになります。おそらくトータルでは数百万になるのでしょう。作業チームの残業代や夜勤手当を減らせるといったメリットがなければ出しにくい金額です。逆に言えばそういう計算をする余力のあるところはちゃんと出せるのですが。
とはいえ、「デジタル化」などという掛け声も、法制化やプロセス認定の制度作りの部分でこのパンフレット程度の発想は欲しいものです。

■2022年07月20日（水）　 判断をミスってもチェックだけはミスらないのが官僚ではないのでしょうか
5億円を「0円」に　介護保険料の天引きミス、4万9千人に納付依頼
え？市が全部被るんじゃないんですか？だって市は適正な手続として対象者の介護保険料を0円と判定したんですよね？
と言いたくなりますが、まあ、間違いは間違いで、決定自体は別なんですよね。誤魔化す方法としてどうなんだというのはともかくとして、納付書を送るから払ってほしいというのは仕方がないのでしょう。できればこれを機に、天引きを全廃して全面的に納付書もしくは口座引き落とし払いに移行して欲しいものですが。
また、正直間違いとしてもレベルが低いです。チェックがないか、チェックがチェックとして機能していません。官僚機構として破滅していませんか？

■2022年07月20日（水）　 あんたが言うか！
マイナカードの普及、交付税額への反映は「せこい」　松井・大阪市長
せこいというのは同感ですが、松井市長自身が色々とせこい方ですので、その方から言われると納得できません。
まあ、発想のレベルでせこいのはここ100年ほどの日本の政治は全般的にそうなので、そこは当分改まらないなと諦めてはいるのですが。原則レベルでの理解は難しいとはいえ、ある意味読み取りやすくもありますしね。

■2022年07月20日（水）　 あなた一般教養の憲法の講義をちゃんと聞いてないだろう？
「黄金の3年」での改憲論議、長島美紀さんの見方は　コメントプラス
もちろんこれはこれでありの考え方なのですが、こと憲法改正に関しては問題のある考え方とも言えます。いわゆる4項目のうち1と2が自民党の根本的な改憲主張ですが、大日本帝国悪玉史観に立つ限り、その帝国において統帥権を振り回して予算から外交、国土開発や治安維持まで口も手も出しまくった、その軍に徴兵制で国民を動員し思想教育を行った、そして財閥と共に侵略主義と中国大陸および朝鮮半島における民族浄化政策の首魁として国家機構から抹消された軍を呼び戻し、天皇の筆頭家臣である内閣総理大臣の名の下で国会を無視した政策実施を可能にする勅令大権と戒厳大権を再導入することは、日本国の国体を否定するものに他ならないのです。これでは対案を出して議論などというレベルではなく、絶対否定、せいぜい提案者の言う不便はこうすれば現行規定下で十分解消できると言うしかありません。憲法下の一つの国家機関でしかない国会が憲法の、すなわち憲法に基づいて設置される国家機関が依って立つべき理念の是非を論じることができるというのは立憲主義とは言えないでしょう。
もちろん日本は日本国憲法の制定にあたって大日本帝国憲法の改正規定を利用しており、ある意味では立憲主義を踏み出す行為を乗り越え、かつフランスにおける帝政の否定のように立憲主義から踏み出す行為を否定したことがないという意味で、立憲主義からは自由な位置にあるのかもしれません。立憲主義の枠内で憲法をどこまで改正できるのかというのは、法学においてすら解決がつかない論争をしている状態にあります。これは「民主主義の根幹は、『自分の意見が間違っているかもしれない』という前提のもとに、異なる意見を持つ人と議論し、合意に達する、熟議にあると考えています。」というレベルではなく、熟議に基づく合意が民主主義であるかどうか、あるいは民主主義は是か非かというレベルの問題です。立法権の主権的行使に基づいてこの点に判断を下すにしても、それは日本国憲法という法的枠組みの外側で行わなければなりませんし、判断が日本国憲法の規定と合致しないものであれば、憲法改正ではなく憲法の廃棄と新しい憲法秩序の構築という主権の行使に基づかないといけません。もちろんその際には、日本という国家の枠組みすら、理念的には一度解体されることになります。主権の行使である以上、例え熟議の結果であっても、その秩序に同意しないという対抗的な主権の行使は正当だからです。それが平穏に解消されるにせよ、あるいは暴力をもっていずれかが他方を圧殺するにせよ - 大日本帝国憲法にせよ日本国憲法にせよまず対抗勢力を圧殺したうえで憲法秩序を構築したわけですが - 主権の行使においては理屈としてはその場にいる人すべてが行使の結果の自身への適用について拒否権を持ちます。それを解消する手段は受け入れか力しかありません。
以上の議論を前提にしたうえで、「憲法改正」の動きは大きくなるが具体的な動きとして強まるとは思えないという観測や、「憲法改正」は熟議によるべきという理念については限定的に同意できるでしょう。限定的にというのは、対立を超えて3年で憲法を改正する方法がないわけではないからです。いわゆる改憲勢力は憲法を持って国会を含めた国家機関の活動を規制するという理念にはむしろ反抗的であり、国家機関、特に行政機関にかけられた活動への制約を緩める方向に親和的です。つまり、実施側の判断でなんとでも解釈できる曖昧な規程への改正であれば合意できてしまう可能性があります。議席数で改憲提案側がマジョリティーを握ったということは、提案側で合意すれば即国会での可決までは持っていけるということです。憲法審や国会での議決というのは手続でしかありませんから、実質的な合意を国会外で行うことを止める手段はありません。
一方で、憲法が改正されたからといって物事が大きく変わらない可能性は高いでしょう。自衛隊はすでにあるわけですし、緊急事態対応もけして成功していないとはいえ色々と箍が外れています。ロシア軍がウクライナを制圧してポーランドに溢れ出してくれば、あるいは台湾海峡の両岸で米軍と中国人民軍が対峙するような状況になればまた別でしょうが、岸信介氏を除き改憲派の政治家たちですら大日本帝国では軍部と統制官僚に逼塞させられた系譜を引いており、これは改憲派をバックアップする財界人も同じです。戦争をやりたいわけでも企業活動を国家統制したいわけでも、ましてや実力機関として軍や警察がのしてくるのを歓迎するわけでもないのです。今のところ軍も警察も抑え込めたとは思っているでしょうが、陸上自衛隊一個大隊が反乱を起こせば鎮圧の前に自分たちの命が危なくなることくらいは、それこそ先日の安倍元首相射殺事件でも明らかですし、失敗をすれば自分たちが末端の警官や自衛官にすら恨まれかねないこともそれこそ新型コロナウイルス感染症対応のごたごたで明らかでしょう。権力を活用しようとする者は何者をも信じることができないのですから、箍を緩めても火遊びに走るには慎重でしょう。問題が起こるとすれば、不意に火遊びが発生してしまった場合です。

■2022年07月19日（火）　 権力が迫ってくるとすたこらさっさと逃げ出すのはある意味軽やかなのか？
（現場へ！）新しいアナーキスト：１　権力から離れて、軽やかに
いや、森さんのありようって軽やかですかね？まあ、とらえどころなくすり抜けて逃げ出そうという考え方をするのであれば軽やかでないといけないのかもしれませんが。
ところで著書「アナキズム入門」の180ページに「ところでどうでもいい話だが、現在のフランスやイタリアの郵便局もよく手紙やら小包が届かなかったりする。日本くらいなんじゃないかな、こんなに郵便が円滑に動いているのは」とありますが、それこそ当たり前のことですが、アナーキズムから考えれば郵便など機能するはずがありません。郵便制度というのは各部分が機械のように正確に働いて初めて機能します。欧米の労働者というのは一般的になかなかアナーキーですので、機械のように正確には働きません(正直あっちの労働者のおっちゃんたちは褒めるとビールをおごってくれたりするので好きだったりします - よく仕事はサボったり定時でいきなり終えたりされるんですけど: アジア人は差別されたりもしますが、言い返しはしても、正直アジア人がやってることを考えれば嫌がられても仕方ないだろうと思うので、素朴で素直で好ましいとは思うのですね)。だからこそ欧米では資本家のイニシアティブにより機械化が進展するのです。ある意味現在の究極の形がコンピューターネットワークであり、まさに機械がルールに従って勤勉正確にデータの配送をやってのけます。まあ、たまに正確でなくなったりしますが、それはたいていどこかで人間がサボっているわけです。例外的な条件をちゃんと検討するのをさぼったのか、どんなデータでも受け取れるだけの容量を整えるのをさぼった(けちった)のか、手順通り正しく作業するのをさぼったのか、手順通り正しく作業できているかどうかチェックするのをさぼったのか、それとも目的の結果を得られるように正しい手順を構築するのをさぼったのかは場合によりますが。また欧米では昔送金も頻繁に失敗したようです。そのために保険制度が発達し、さらに人間がやると遅くて信用できないから通信経路だけでも電信でするようになり、さらにやはりコンピューターで手続をするようになったわけです。日本以外でペーパーレスが進むのも、おそらく紙の書類を人間が読むより電子データをコンピューターだけで処理した方が資本家や実務専門家にとっては信用できるからでしょう。なまじ人間が正確に動くと、コンピューターに金をかけるよりはそのまま人間にやらせておいた方が安上がりだろうということになるのです。その意味では郵便制度がちゃんと機能しているかどうかというのは、アナーキズムにおいて極めて重要な、どうでもよくない論点です。もちろん繰り返しになりますが機能していないのがアナーキズム的には正しいのですけど。
というわけで、アナーキストは郵便制度など信じてはいけません。潜在的アナルコキャピタリスティックアイソレーショニストとして機械文明を信望するか、連絡を取りたかったら歩いてボートを漕いで直接行かないといけません。客船や飛行機など乗ってはいけないのです。目的地に着くかどうかなんてわかりませんし、知らない人が整備した飛行機など整備不良で落ちるかもしれませんからね。

■2022年07月19日（火）　 男親の「うちの子だ」は認めるべきでない
離婚後の「共同親権」、賛否対立し大激論　「単独親権」維持も併記
「父母双方が子を養育する責務を負う」という発想は正しいと思います。夫婦となり子供を作るというのは、少なくとも子供が成人するまでは共同親権者として付き合うという重大な決心でなければなりません。これは事実上の夫婦の場合でも同じだと思いますが、夫が子供を認知していない場合の処理については正直形式を基準に考えるしかありません。親子関係を推定しうるかどうかに関わらず権利義務共に認めにくいと思います。そこの選択も含めて自分たちの家族というのはどうあるべきかを、夫婦が選択するべきです。
問題は一方が単独親権を寄こせと言ってくることを認めるかどうかです。双方共に監護養育の意思があるのに一方を排除することを求めるというのは原則我がままであり、相当の事情があることを前提に裁判所が判断に関与するべきでしょう。この点で単独親権自体はあっていいと思いますが、親の協議だけでそれを認めるべきではないでしょう。
それこそ親権は放棄するから監護養育の義務を免除してくれという分には、裁判所の判断でそれを認めざるを得ないと思います。親であろうとする以上親としての義務は果たすべきですが、もはや親であることに耐えきれないというのであればそれは酌量せざるを得ません。ただしその場合、放棄した人はその親子関係の親としては死んだものと扱うべきです。相続までは発生させないにせよ、現有資産の相当部分を養育費として取られることは当然でしょう。
なお、形式的に単独親権の是非を判断するとすれば、親権は母親にあるものと判断せざるを得ないでしょう。父子の親子関係というか保護被保護関係のみに実体がある場合は別として、離婚に際して単独親権の申し立てがあった場合は、原則として母親に親権を認め、父親には養育のための資産の供出を命じるのが筋だと思います。この点は事後であっても一括での清算を認めるしかないと思います。裁判所が職権で長期の養育費負担を命じるというのは、さすがに問題があります。これはもちろん何らかの事情で父親に単独親権が認められた場合も同じで、母親の養育義務は適当な時点で一括で清算するべきで、本人の選択なく長期の養育費負担を課すべきではありません。

■2022年07月19日（火）　 今さら総括の野党共闘のと言われてもねえ
�犲�滅�瓩靴震酖浙ζ�、比例票狙いの各党立候補も不発
「総括」は必要なのでしょうし、やって無駄ということもないだろうと思いますが、そもそも総括を繰り返してきた結果の維新の出現でありそっち系の新政党の出現であること、しかも悉くがナショナリスト系ポピュリズムであることは考慮するべきだと思います。今さら時代遅れの中道二大政党制を志向する(正直これが実現するとすれば自民党の文字通りの - かつて起きたようなマイノリティの離脱ではなくてという意味で - 分裂でしょう)なら別ですが、総括によって世代交代を実行しても右傾してポピュリズム政党化するか党内抗争で弱体化するのが関の山であり、再編も含めて日本の政党政治というシステムは完全に行き詰まり、人的代表とその集まりとしての政党という仕組みはもはや救済不可能と判断するべきではないかと思います。
もちろん今の状況で何ができるのかというのは大事なことで、例えば議員が団体を作ることを禁止するにしても国会議員選挙を全国区のみにするにしてもその制度をどうやって成立させるかは問題ですが、野党の総括による適正化などというものに期待を抱くのは意味がないと思いますけどね。政見としてコスモポリタニズムなりナショナルリベラリズムなり非戦国家論なりが通用するというなら自らそのような政見を唱えて立候補するべきでしょうし、しそうもないと思うなら日本国という制度から背を向けるだけのことです。

■2022年07月18日（月）　 始めも終わりも計画性のないことで
酔客は街に戻った…でも運転代行業者は　飲酒運転の検挙、急増のわけ
本当にバカみたいというか、そんなスイッチを点け消しするみたいに仕組みとしての経済が元に戻るわけがないというか、そもそも新宿で飲んだことのある人なら何があるのか見当くらいはついていたはずです。2年も制約がかかっていれば相当部分が機能不良を起こしていることも予測できる方がむしろ当たり前です。現物市場だってそれが成り立つためには物流を始めとしたインフラストラクチャーが必要なのであって、商品市場を含めた証券市場のような電気か紙と場立ちさえいれば成り立つものと一緒にするべきではありません。飲み屋の店主や客がそこまで考えない(＝すべてが元に戻ったと思う)というのは無理からぬところがありますが、規制側や運営側はそんな視程の短い、視野の狭いことではだめなのです。だいたい鉄道のダイヤだって元に戻っていないはずでしょう。
まあ、3年くらい警視庁がオーバーワークを続ければ運転代行業者も需要を確信して戻ってくると思いますので、それまで都内で飲酒運転の検問を徹底するしかないと思います。

ヨーロッパ、夏休みなのに飛行機欠航、荷物は未着　コロナ解雇が影響
もちろんこれも同じことで、それこそ旅客需要と支援サービス業界の予測のずれも考慮して、今夏のバカンスシーズンの再開を期すなら最低半年前、つまり年始あたりの時期から元のシフトに戻るように調整を進めておかないといけなかった(当然見込が外れた場合の補償は政府が提供する必要があった)わけで、空港の要員なんて人数も解雇状況も統計が取れているのですから、予測は容易だったはずです。まさに役人はちゃんと仕事をしろというところですが、市場の指標を使ったシミュレーションばかりやっていて勘を失いましたか？

■2022年07月17日（日）　 個人のサブ回線所持よりもMVNOのマルチキャリア化を
一般ユーザーに「サブ回線」は本当に必要なのか――10年に1度の大規模通信障害を恐れて「コスト」を払う意味はあるか
「またやってくるかも知れない「通信障害」のために、毎月、サブ回線の通信費を負担し続けるべきか、それとも通信障害になったら、数時間もしくは数日、通信を諦めるか。悩ましい選択を迫られているようだ。」
正直そんなに悩ましい選択とも思えません。通信は切れるのだと全面的に認められるかどうかでしかないでしょう。うちの、弊社のこれこれのサービスはこういう通信回線を基盤としているので、ここが落ちたらサービス自体落ちますよと、できればこの程度の確率で、最大何時間くらい落ちますよと、言えるのであればそれはそれで問題なく、現状を維持すればいいのです。
記事中にあるように通信障害に対する対応策はただ一つ、通信回線の冗長化だけです。もっとも携帯電話回線を複数契約して冗長化になりうるかは難しいところですが、ないよりはずっとましであることは、ここしばらくで複数のキャリアが同時に落ちていないことからもわかります。
問題はこれをどう実現するかで、もちろん通信手段の確保が究極には利用者自ら実現するべきことだという観点からは、まあ、サブ回線でも持っておけばという話になります。ただし契約を複数するというのはコストの面であまり有り難くないところがあります。回線運営者だって契約者情報を管理しないといけないのであり、基本的にはそのコストが基本料金になります。複数の回線運営者と回線契約をすれば、その基本料金はその分かかるものです。解はいくつかあって、基本料金分を通信料、例えば定額データ通信料金と一括して取る形です。メイン回線がこの形であれば、サブ回線で基本料金が別にかかってもあまり気にならないのではないでしょうか。もう一つは、MVNOが複数のキャリア回線に対応することです。SIMロックの解除などという話がある通り、端末側のチューナーや契約者識別番号自体はどの基地局ネットワークを使っても同じものが使えます。問題は契約者識別番号の認証にあり、これが今のところ特定のキャリアネットワークに限定されてしまっていますが、原理的にはMVNOが自前の認証機材を持ち、ユーザーがどの対応ネットワークに端末を接続しても認証できるようにするということは可能なはずです。この形であれば、契約者管理コストはMVNOが一括して管理できますし(その意味では少々高くはなるかもしれません)、ユーザーは都合の良い方のキャリアネットワークに繋げばいいことになります。自動でできればそれに越したことはないでしょうが、手動での切り替えでもいいでしょう。
もちろん何があっても切れては困るというのなら、携帯電話回線だけ多重化しては駄目で、様々な通信サービスを基盤としてまとめる形で冗長性がありかつシームレスな通信手段を自ら構築する必要があります。

■2022年07月17日（日）　 G20という枠にこだわる方が情けなくありませんか？
G20へのロシア参加は「消防士の集まりに放火犯を招くようなもの」
別に招いたっていいと思いますが。消防士の研修会で放火犯にパネリストとして放火の際着目する点を講演してもらえば、おそらく有意義でしょう。「会議へのロシアの参加は不適切で、率直に言ってばかげている」という趣旨なら、もしかしたら英法諸国ではそんな考え方はしないのかもしれませんが、検察庁の会議や最高裁判所の裁判官評議に法務大臣が出席するようなものとかでしょう。
英米の政治家は最近修辞能力が低下していたりはしませんか？というのと、そんなにロシアと関わるのが嫌ならインドネシアに議長国などさせておかないで話の合う仲間だけで集まって対ロ経済制裁でも決めればいいのです。

■2022年07月17日（日）　 売春さえしなきゃいいんじゃないかと
貧して媚びる音楽・芸能界　異例の自民候補支持、「頼らないと…」
いやまあ、媚びて悪いとは言いませんので、媚びるだけでなくワーグナーくらい毟ってください。まあ、税金から毟られると困りますが、人と一緒に食っていくというのはそういうことですから。毟られないように立ち回るのはむしろ他の納税者のするべきことではあるでしょう。もちろんプロイセンを引き込んでバイエルン王国を倒してしまうのも、とち狂った王様をクーデターで監禁してしまうのも、それはそれで手なわけです。

■2022年07月16日（土）　 つまり台湾産の方が高いとか？
中国産マグロを台湾産と表示　豊洲市場の「大卸」、2.3万本販売
これ、なんでまたその表示したかが問題ではないでしょうか。もちろん正確な表示は品質の見極めにもあった方がいいでしょうが、正直仲卸のレベルで現物を見て産地なしで品質や相場を判定できないようでは問題がある気がします。つまり問題はコンプライアンスであり、単にトレーサビリティの問題というならまだしも、輸入量規制や漁獲高規制の問題であればことは深刻です。

■2022年07月16日（土）　 専門学科を置くなら高等専門学校化した方が良いのでは
埼玉県立高12校→6校再編案　進む少子化、新校に専門学科設置方針
「募集学級数が少なかったり、定員割れしたりしている状況から選んだ」
こういう考え方もありだとは思うのですが、なぜ募集学級数が少ないのか、なぜ定員割れしているのかまで検討することが求められてはないかが気になります。少なくとも立地地の人口が少ないために総定員が少ない、定員割れしているというのであれば、むしろ大規模校の定員を削ってでもテコ入れしないと人口の少ない地域の人が割を食うからです。昨今高校は行くのが当然という様相を呈しており、選んで遠くの学校に行くというならまだしも、どの学校も通学至難となれば住民サービスが悪いと言うしかありません。もちろん代替措置として全面的なオンライン化措置を講じるとでも言うなら別ですが、いくら高校でもできれば徒歩圏(直線距離で2km以内)に1校、どう譲っても直線距離で4kmの範囲内で通えてしかるべきではないでしょうか。その上で、遠くの学校を選ぶ(あるいは近くの学校に入学できる学力がないので遠くの学校に行く)のは、まあ、選択の問題ではあるでしょう。
その上で、専門学科を置いてあえてその学校に行く意味を作るという発想は悪くないのですが、正直高校レベルでの専門学科にどれだけの意味があるのか、専門学科を出てそれだけの求人があるのかという検証はした方がいいと思います。少なくとも情報業界では学校での勉強だけだと表層的な技術知識に留まる傾向があると思いますし、それでは採用後3年もすれば使えない余剰人員化しかねません。もちろん基礎知識、基盤的知識は必要ですが、その上で、今高卒を対象とした専門学校で教えられている内容を2-3年で独習するだけの学習能力が求められています(基礎知識、基盤的知識はこれを行うための、まさに基盤です)。学校のカリキュラムとして見た場合、基礎2年、実践的な課題をこなす演習形式で学習の仕方をマスターするのに3年の5年は必要ではないかと思います(専門学科内で領域に特化した課題 - つまりアプリケーションプログラミングとネットワーク機器運用とでは異なるツリーの課題群 - を3年間で20程度こなす前提で)。もちろん趣味が高じている人はそれを独習で2年ほどで身につけてしまうのですが、趣味が高じる時点で学習能力が高くモチベーションも高いのです。専門学科とはいえ学校に来るような人はそうとは限らないのだという認識でないといけないでしょう。

■2022年07月16日（土）　 普通断熱というと中が蒸し風呂になったときも外には熱が漏れないわけですが
省エネ義務化で「断熱後進国」は変わるのか　先進地・鳥取を見る
まあ、欧米の基準を半熱帯の日本に持ってきて適合するのかどうかは気になりますが。何しろ断熱効果満点の建物で夏場にエアコンをかけなくても済む国の基準ですので(内部での発熱もあるので普通は冷房必須)、最高気温はそれなりでもおそらく日照時間というか最高気温になる時間が短い鳥取や青森ならともかく、東京や大阪では風を通して服を脱ぎ、冬場は隙間風に耐えつつひたすら着込んでこたつに籠っている方がいいのではないかと思えなくもありません。逆に言えば高地や宮城県北部以北、本州以東の日本海側などでは、断熱建築物には大きな効果があると思います。寝殿造や書院造のような開放的な構造と、寒地の伝統的な民家のような暖房性を重視した構造の差に当たると個人的には思っていますが、そう考えると江戸は、東京湾あたりの影響で相当暖かかったというか冬寒くなかったのでしょうね。もちろん日本の施主と建築屋は機能性能の妥当性を考えずに「コストパフォーマンスのいい」＝「見てくれだけで建築費をケチった」建物を量産効果を最大限活用して - 特に建売や賃貸物件の場合に - 建てることは周知の事実ですので、斉一的な規制は不適切などと言っていると沖縄から北海道まで同じような安普請が建つというのもわかるのですが。少なくとも共通規制で大手建材メーカー・ハウスメーカーが地場の真面目な建築屋に比べて不利になるのを防ごうというだけの理屈ではないことは理解します。

■2022年07月15日（金）　 兵食はまずくない
海軍さんの料理帖 明治〜昭和まで 歴史で辿る日本海軍レシピ46品
いやなんというか、坂本少佐と豆狸に見えるのは気のせいでしょうか。豆狸は生活シーンでは司厨兵じみてましたし。まあ、坂本少佐はうまければ嬉しいがまずくても気にしない感じですが。
それはともかくとして、軍用食と言うと確かに米軍のMREレーションと基地食堂のハッシュドポテトとコーンスープにパンという食事の印象がないわけではないのですが、軍隊の食事が酷かったのは西洋では19世紀前半までです。それも酷かった理由が、軍隊というのは移動しないといけないわけで、移動に際して補給をどう賄うかという問題になった結果であり、食品加工技術の発達段階もあってまずい携行食や主計士官や出入り業者が中抜きをして兵の食が貧しくなるという状況を導いただけで、18世紀の常備軍や国民軍による小銃歩兵と砲兵中心の戦いから、国家指導者や軍指導者はまずは軍用食の栄養、そして味にも関心を示してきました。合わせて18世紀の英仏戦争あたりから海軍の拡張も始まり、こちらも食糧問題で艦内での兵の反乱が相次ぎ、艦船の動力源の石炭化、石油化と相まって保存手段も調理手段も改善しました。かくして19世紀末には、国家が最優先で物資調達を行うようになったことで、軍隊食は同時代の一般社会の平均と比べると非常に良くなりました。カリスマシェフが大富豪のために作る料理ほどのものではありませんが、組織的に徹底的多面的に検討し抜かれたレシピや調理法と近代的な機材、訓練された調理要員により、農魚村部の日常食(祝祭用の料理はまた別です)や都市部の下級店員クラスの行くような食堂、民間工場の工員向け食堂などよりはよほど上質でおいしくて種類も豊富な食事になりました。第一次世界大戦のドイツと言うと、食料輸入が途絶えて全体的に食が貧しくなったことで知られますが、それでも兵隊さんの食事は一般市民よりも随分と良かったのです。なにしろ市中に出回るのはデデ肉や廃用馬の肉なのに軍隊では普通に豚肉を食べているような状況でしたから。
戦前日本の軍隊は存続期間中を通じて非常に勉強熱心で、そのためにかえって動脈硬化を起こした面があるのですが、非常に早期から、兵の食は軍事行動の根幹であると認識していました。多数の兵隊が集まって同じ兵糧で生活しているので、食事の影響も見えやすかったこともあるでしょう。特に軍政系や平時に司令官職に進むような(つまり普通に仕事ができる)人は、兵の食事に関心のない人はほぼいませんでした。上級士官の粗食ならともかく下級士官や兵の飯がまずくて戦争ができるかというのが出世する人たちのメンタリティだったようです。戦闘部門からはばかにされつつも、中央の強い支援を得て、補給部門は軍の食を継続的に改善しています。野草を食べたなんてのは補給がやむをえない事情で途絶えたからであり、むしろ中央では、戦闘行動の失敗で補給線を切れさせた戦闘指揮官が補給部門から罵倒されていました。もちろん補給には輸入される原料を使った燃料や弾薬も含まれますので、その輸入も途切れさせた戦闘部門に対する補給部門の憎悪は並大抵のものではなかったようです。
というわけで、各国海軍で生じた反乱についても十分調査し、かつ兵の体が弱れば軍事行動に支障が出ることを留学生や観戦武官として学び実地でも裏付けを得た海軍エリートたちは、自分たちも料亭で飽食するとともに水兵の食事にも怠りなく、大量生産系ではあるにせよ美味しい兵食の実現に努め、それが今日のセントラルキッチンシステムの基礎技術を整備する一環になったのです。つまりコンビニ弁当や程度のいい(つまり栄養士や調理師が頑張っている)学校給食程度に美味しいのは当たり前なのですね。

■2022年07月14日（木）　 店舗との移動を含めた準備行動に30分を算入しないのは論外です
「着替えは労働時間ではない」と賃金払わず　飲食大手に是正勧告
制服への着替えは労働時間か　モスやスタバ、ロイホ…分かれる対応
本来出退勤時間以外の拘束時間は全て労働時間のはずです。
ただまあ、制服に着替えて出勤定時を迎える風習は確かにありましたね。上着を羽織るだけですし、一応制服で出勤しても問題はないからではあるのでしょうけど。筋論から言えば、出勤定時にロッカールームに着いて身支度を整えて定席について朝会というのが正しくはあります。ただ、着替えの時間をきっちり決められる方が拘束感は強いでしょうし、それもあって揃っていないといけない業務開始のアクションを出勤定時に設定してしまうことが多いのでしょうけど。
とはいえ、これが出勤の際と退勤の際の合計だとしても、30分は酷過ぎます。せいぜい合計10分がいいところであり、見積もってみてそれ以上になるなら準備としてそれだけの時間を必要とするということですから、労働時間に算入してしかるべきでしょう。もちろん準備動作の最適化のような一定の管理はせざるを得ません。これは工場などで実施例があるはずです。本来タイムカードは、出勤のため入構した時点と退勤のため出構する時点に押すべきものです。

■2022年07月13日（水）　 株主の責任が限定的である以上その株主の資産である会社に損害を与えた責任は経営者にあるとしか言えない

13兆円賠償、判決確定すれば自己破産の可能性　旧経営陣の「義務」
そりゃ保険でカバーできなければ自己破産しかないでしょう。そういうときのために自己破産という制度があるのですし、そうでなければ一度始めてしまった事業については司法すら指弾できないという問題が生じることになりかねません。相場の額の賠償責任を課して事業経営に規律を与えるとともに、賠償責任を負わされた経営者の自己破産をもって損失を会社と株主に波及させる、それが世の中の仕組みというものです。この場合会社への賠償責任は形式的に生じているにすぎず、果たされなくても会社には損害が実質的にないわけですから、何の問題もありません。もちろんそれで賠償金が入らなくなった会社が倒産する場合、その会社の事業が必要なものである限りは、株主と債権者の犠牲のもとに事業の再建が図られます。それもまた世の中の仕組みというものです。そういう仕組みを回すことを躊躇してはならないと思います。
もっとも地裁判決であり、内容としても重大なものであるだけに、上級審で審査する余地は十分あると思います。被告側が控訴してもおかしいとは言えないと思いますし、そこで頑張っておけば最高裁の判断をもって経営責任保険の保険者に事故の妥当性を主張しやすいかもしれません。地裁で確定させてしまうと、保険をあてにして不適切な認定について回避の責任を尽くさなかった不誠実な被保険者として保険金の支払いを拒否されるかもしれません。

■2022年07月13日（水）　 正直経営において過失があったことは否定しがたい

「原発は誰かの犠牲の上に」　脱原発、東電株主になって訴えた30年
主張は理解できますが、そもそも商業給電というのはそういうものです。そこの非倫理性を訴えた場合、都市への電力供給という事業そのものが倫理的に許されないものになることは認識しておくべきでしょう。
発電というのは、それこそ再生可能エネルギーも含めて、必ず何がしかの、誰かの犠牲を伴います。それは太陽光発電パネルや風力発電機によって破壊される景観を借景する人かもしれませんし、そういったものの設置に際して林野の伐採で土砂崩れの危険を被る隣接地の所有者かもしれません。火力発電ならさらに直接的な環境汚染が生じますし、水力も規模が大きくなれば犠牲を伴います。他の手段でも同じことです。発電者と受電者が同じであれば犠牲と便益がバランスするはずですが、違う場合はこのバランスは発電事業者と地元の協議を通じて取られていくことになります。発電事業者はこの場合消費者の利益を背負っていますから、一度できた合意に地元が異議を唱えたとしても応じられるとは限りません。双方が善意で誠意を尽くしていてもそうなのであり、地元の犠牲を買い叩いて儲けよう、電気料金を下げようなどという話が出てくるとバランスなど取れるわけがありません。

■2022年07月12日（火）　 なんか安全のためにどんどん不随意になっていきますね
車の安全に関するEUの新規則、「ビジョン・ゼロ」の実現に向け一歩前進
なんかもう、自動停止装置でもつけちゃえって感じですけど。
もちろんドライバーの不穏な操作で周囲を危険に曝すようなことがなくなるのは良い事なのですが、そもそも自動車が人と入り混じって走っているという時点で相当危険な事態です。日本でもヨーロッパでも自家用車がないと生活が立ちいかないという事情も地域によってはあるわけで、本来強制というのは、随意操作感を楽しむ趣味人に不随意な機材を押し付け製品価格の上昇を図るためではなく、地域単位で希望すれば簡便に文明的な生活をすることを支えるため、そうして安全のために併存しては危険な物事を隔離するためにするのではないかと思います。今時地域の特性を塗り潰したような均一な発展とやらの是非をまっとうに論じられる程度には民度は上がってきているはずですし、地域間の対立については調停の方法を探れば済むことです。むしろそちらの方が、開発関連法制の望ましい発展を期待できるでしょう。

■2022年07月12日（火）　 提案者としてはともかく評決参加者としての議員が専門バカでいいのかという話はある
「ユニークじゃない議員は不要」ネットが主戦場、山田太郎氏の選挙術
もちろん、比例で特定分野の専門性をアピールして票を集めるというのは選挙への対応としてはありです。票を投じる有権者も、自分のわかる話をしてくれる人に投票するなら安心感はあるでしょう。どうせ他の候補だって専門化するか程度の違いで票に対する考え方は似たようなレベルなのですから、むしろ特定分野の意見をきちんと国政の場に持ち出すという点でメリットがあるでしょう。
ただし政治というのは専門家だけではできません。議員には他人が言っていることを理解して是非を判断することも求められます。少なくとも評決に際しては、専門バカでは済まないわけです。この意味で、専門バカが票を取れてしまうような選挙戦術を肯定できる気はあまりしません。
選挙で議員となる500人なり200人なりに高度な専門性や専門的なことについての見識を求められるとは思えませんので(大学の先生が世の中何人いるか考えればわかることで、職業的な専門家はさらにその数倍いるのです)、もはや国会議員に法案の提案を期待することに無理があるのではないかという気がします。例えば一定人数、最低でも十万人程度にはなると思いますが、その程度の賛同のある法案を誰でも提案でき、議会は法案への賛否を決するのみというのも制度としてはありではないかと思います。この場合内閣を特別扱いする必要はありませんので、賛同者の数さえ集められれば官僚が直接法案を持ち込むこともできますし、予算のような締め切りのある法案は例えば12月27日必着で提案を集めるわけです。もちろん案件があるから招集しますではまずいので、選挙が終われば国会は次の選挙まで通年開催とし、各議院の事務局が機械的に提案を受け付け公示して賛否の意見を求め、委員会審議レベルの検討はこの時点で済んでいるわけですから即本会議で読み合わせなり提案演説と意見演説なりの聴取あたりを行い、そうしたければ議員討論を経て採決というのを週休二日でやっていくことになります。

■2022年07月12日（火）　 この件についての介入自体はする必要はない状況でしょう
宗教法人への介入「極めて抑制的であるべき」　銃撃事件で文科相
もちろん反社会的実力行使を目論んでいるという明白な証拠があるというのでもない限りは、宗教活動の実質に政府機関が判断に基づいて介入することは避けるべきです。例えそれがある意味悪名の高い統一教会系の団体であっても、政府の介入という事態はそれよりもはるかに悪性が高いものです。オウム真理教への介入についても、地下鉄サリン事件がなければ望ましくはなかったでしょう。
とはいえこの場合、故安倍元首相がそのような団体に関与していたかどうかは、容疑者の主観においてどのように認識されていたか、それがどのように形成されたかという点が問題なだけであり、客観的な証拠としては団体の外部でそれを証拠立てる記録があれば十分でしょう。その真実性も問われません。真実であるからと言って加害行為が逆恨みに基づくものであること、加害する必然性がなく情状としても斟酌する必要がない(もちろんそのように思い込むに至った事情は別ですが)ことは明白で、追及の必要がありません。思想信条の自由を侵害してまで介入するべきではないのです。なお、憲法の宗教の規定は特定の信仰やそれに関わる宗教団体を優遇してはならない趣旨であり(具体的には神道の切り離し)、いわゆる弾圧からの保護としては思想信条の自由で十分です。
ただし、信仰の組織が公序良俗に反しがちである点は、斉一的な外形規制というか宗教団体設置の根拠法における制度についてもはや十分考慮されるべき状況だと思います。また宗教団体が公益的な業務(例えば埋葬地の管理)を受託することも、見直しをしていくべきではないかと思います。信仰を個人の信条として制度的に純化し、組織としての宗教や機能としての宗教的習俗は公的な世界から排除することが望ましいということを、信仰や宗教に関わる法制度の原則として明記するべきだと思います。つまり良い宗教団体と悪い宗教団体があるのではなく、宗教団体、宗教的習俗とは須らくサスピシャスなのです。
容疑者母が旧統一教会に「献金1億円超」　親族が証言、夫の保険金も

■2022年07月11日（月）　 労働者は契約上はある程度物ですが、人を物に擬制するだけに色々と規制がかかっています
働き手は「もの扱い」なの?　パタゴニアのパート社員は声を上げた
ある意味物です。自身の処分権を譲渡するという形式の労働契約という商事契約の対象となっているわけですから、自身を物として差し出しているというしかありません。これは事業に参画する組合契約や法人設立・参加の契約とは契約類型が異なります。
ただし労働契約の対象たる物(本来は物なのは労働契約の一方の当事者の労働力だが労働者と分離できないので労働者自体が物としてやり取りされる)は本質的に人であるがゆえに、様々な配慮を要求されます。例えば物として賃労働に使役される時間は限定的でないといけませんし、使役の内容についても従事させる職務の限定、安全確保や衛生確保、過剰な使役の禁止などの規制があります。ただし所詮物として外部から調達しているだけなので、事業や職務への思い入れは労働契約の対象である労働者については考慮されません。事業の都合で職務がなくなった場合や契約上合理的な基準をもって想定された労働力が供給できないと判断された場合はもちろん、均質な労働力の供給源として差別的にならない範囲で使用者側から労働契約の破棄が可能です。もちろん商事契約である以上契約者の利害の均衡を損なわない範囲で一方的な解役は可能でなければなりません。
とはいえ、「新しい人を採用してフレッシュにしていきたい」という人事方針とか「親愛なるパタゴニアファミリーの皆様」という労務管理方針が賃労働制度において妥当なものかどうかは、どうも疑問です。定期的に人を入れ替えていくという人事方針は労働は一定の基準に則って非人格的で均質なものと見るべきという賃労働制度の大原則と抵触していると思いますし、過度に身内意識を主張する労務管理方針は労働を客観的で非人格的なものと見る賃労働の観念とは相容れません。もちろん、就業が労働契約でないといけないということは全くありません。例えば日本の持ち分会社の設立契約は設立参加者の就業を前提にしています。組合契約でも同じです。事業の「一員」という感覚であればこちらの契約類型が望ましいでしょう。人格的な労働力のリフレッシュという人事方針と適合する就業を伴う契約類型には心当たりがありません。リフレッシュされる機能が前の物との非定形な差異、つまり一定時間着用したシャツを着替えるような考え方だからです。こういう考え方を使う制度は、保守整備(一定期間使用した部品などは消耗したと看做して交換する)とか固定資産税法上の減価償却(設備は法定耐用年数だけ使用されるものと想定する)くらいしか思いつきません。労働制度上の任期についても、本来長期間労働者を特定の職務や労働契約に拘束することを避けると同時に一定期間後明白に職務が消滅する場合においてその期間を明示するようにしてあるのであって、職務が消滅していないのに現任者の希望に基づく現任者の任用を拒否できるかというと、少なくとも不適切な基準に基づく労働力の差別には該当するでしょう。こういう観念が通用しうる類型というと、委任と貸借でしょうか。委任や貸借においては、特約条項がない限り委任者や借主による解約への制限はありません。また役務契約であっても対象の更新を役務の内容の一部として盛り込むことはできるでしょう。ただし受任者を特定の恣意的な指揮監督の下に置く委任契約や労務や労働力の貸借は労働契約の類型に取り込まれるというのが通念だと思いますが。もちろん委任契約も、契約当事者双方について均衡を確保するために、労働契約ほどではないにせよ内容について規制が設けられています。
一定の労務管理や人事の方針を設定するには適合した契約類型を規制も含めて法律論として検討することが不可欠のはずで、その結果実施不可能であると判断されることもあり得ます。どうもそこを契約自由の概念を盾に押し通す考え方が1970年代以降出て来ているように思いますが、そもそも契約を自由にしておくと著しく均衡を逸した契約で当事者を拘束することになりかねないという懸念が契約概念を類型に整理することも含めた契約規制の原点なのですから、本来は経営側が規制に服するべきでしょう。規制されたくないなら、労働契約や委任契約のような規制される類型を選ばないことです。

「最も弱い立場が不利益に」　パタゴニア労組代表、会見で訴える
弱いと言いますけど、不利益の内容が期待に反する雇用の終了というのは少々おかしい気がします。もちろん不当な理由での個別的解雇はおかしいと思いますし、任期が終わったから解雇、でも新規に雇用した人がやってるのは前の人と同じことというのはおかしいと思います。今後も賃労働を使用した業務を続けるなら、問題の再任拒否規程は相当手を入れ、ショップスタッフについてはなくすべきでしょう。
とはいえそのような不適切な人事政策を矯正して雇用を継続させるべきだという発想は馴染めません。不適切な人事政策に対するペナルティはそのような政策を取る限りにおける雇用の禁止であるべきでしょう。そのような使用者の元での就業の拒否、そのような使用者が被用者を使用した場合の刑事処分と雇用契約の使用者に不利な形での無効化、もしくは使用者の事業の解体が適切な形であって、不適切な人事政策を実施する使用者を矯正しうる、強制して適切な雇用の実施を期待できるなどという発想がおかしいように思います。

■2022年07月11日（月）　 分離しなきゃいいってもんでもないでしょうが
ケアしながら大学へ、奨学金返済…「二重の困難」加速させる世帯分離
「世帯分離」施策に原因を求めるというのはいかがなものでしょうか。本来生活の保証というのは理屈の上では個人を単位として行われるべきもので、制度的には世帯は言うならば負担や責任主体となれない人を取りまとめる責任者、世帯主を設定するための便宜に過ぎません。これは戸籍が財産所有と各種の義務(典型的には納税と兵役)の主体を管理するための便宜であったのと同じです。
適当なところで就職させるとか奨学金を返済させるといったろくでもない発想を、まずは一掃することが、「二重の困難」とやらをなくすには大事ではないでしょうか。

■2022年07月11日（月）　 日本以上に平和ボケしてないか？
ウクライナの港封鎖は「宣戦布告」　WFP事務局長、ロシアとも交渉
港から積み出せないなら愚痴ってないで金に糸目をつけずに適切な代替手段を講じるのが官僚組織の仕事だと思いますが。それこそルーマニアからオデッサまで標準軌の鉄道を路盤は多少いいかげんでもいいので引いて、ディーゼル牽引の貨物列車を頻繁運行してあげれば、みんな喜ぶでしょう。もちろん舗装道路を敷いて大量のトラックを投入すしても、UNEP以外は喜ぶでしょう。ちなみにルーマニアは一応産油国ですので、適切な価格で買ってあげる限りはマーケットの価格変動に右往左往させられるようなことは起りにくいはずです。逆に「宣戦布告」だなどと言って洒落で宣戦布告してこられたらどうするのでしょうか。WFPは交戦主体であるのでその積み荷を輸送する船舶や航空機は交戦国が拿捕できるなどと主張することだってあり得ると思います。戦争というのはそれだけ無茶苦茶な事態ですので、仇や疎かに比喩として引っ張ってくるべき言葉ではありません。比喩で通じるレベルならともかく、主権国家相手に戦争を引き合いに出すのは、平和ボケではないかと思います。

■2022年07月09日（土）　 規律違反ではあるのですが
交番や警察署で性的行為、警察官の男女を懲戒処分　同じ交番に勤務
退屈だったんですかね。まあ、文化圏によっては気にする方が野暮らしいですが。
処分、特に組織内の人の処分は形式的にせざるを得ない部分があるので、交番で規律に反する行為をしてはいけないとかその場合懲戒するとかいうのは当然ではあるのですが、いけないことだというのを知らなかった、あるいはそこまで形式的に懲戒されるとは思わなかったというのならともかく、そもそも規律が要請された場でその規律に反すること自体を快と感じていたのであれば、そもそもが規律と懲戒では抑止手段にならないでしょう。本来はそのような志向の有無も含めて適性を判断すること、あるいは少なくとも明確に規定された一定の場所で規律に形式的に従う習慣をつけることが、警察官の任用課程の目的の一つではあるはずです。それが警察官であるから要請されるふるまいであることも含めて(自営のイラストレーターあたりが自分で確保した仕事場で性的行為をしたからといって問題にはなりにくいでしょうし: アシスタントを雇ってとなると服務規律の問題が出てきますけど)、逸脱を回避できるような方法論があれば望ましいのかなとは思います。

■2022年07月09日（土）　 進出する以前に家庭に自ら飛び込み状況に投げ入れられているのでは？
「男性の家庭進出」当たり前に ベビーマッサージ教室開き、考えた
まあ、夫婦の夫であり親である以上「進出」以前に男性も家庭に在るものだと思うのですが。もちろんそんなことすら当たり前でない社会常識はおかしいわけですけど。
だからといって妻なり子供の母親なりが襟首をつかんで引きずるというのは逆効果だとは思うので、男性が主体的に家庭の運営に両性の本質的平等に基づく夫婦の一人として関わることを「進出」と形容せざるを得ない状況ではあります。
ただし、「誰もが子育てしやすい社会へ。」というスローガンは同意しかねます。もちろん産み産ませた子を育てるのが産み産ませた者の義務である以上それがしやすい社会であることは望ましいと思いますが、それ以前に子育てしにくい社会においてそのしにくさのゆえに自分の手に負えないであろうと予想できる子供を作ることの方が犯罪的でしょう。子供を作るという行為ができた子供に及ぼす危険、その危険から子供を守るために自らに生じる制約を自覚し、子供を作るという行為への慎重さを確保し、かつそのような行為に踏み出す際に危険が生じにくい状況を自ら確保する主体性が、親になろうとする者には求められていると思います。そのような主体性の認識と主体的判断の責任を子育てしやすい社会的な仕組みで緩和すること自体は、スローガンとしては受け入れられません。

■2022年07月09日（土）　 あなたが欲しかったんじゃなかったっけ？
マスク氏、ツイッターへ買収撤回の方針通知　「重大な違反」と主張
買収合意の撤回は構わないと思いますが、それを「買収撤回」と報じるのはどうなのでしょうか。大規模な増資を計画していたという話もなかったと思いますし、そもそも敵対的買収であれTwitterが欲しいのはマスク氏の方のはずで、むしろ敵対的買収への移行も見据えて買収価額を下げるための戦略的な行動ではないかと思います。
まあ、市場株価が下がった程度で株主の納得を失うような経営にはそもそも問題がありますので、買収提案を反故にされて株価が下がった責任を問われて現経営陣が追放され、そこでTwitterの経営が傾いて倒産しても、個人的には全く問題ないと思いますが。GoogleやAmazonと違ってあのサービスはなくてもかまいません。

買収、撤回、どちらに転んでも茨の道　ツイッターの厳しい先行き
「だったらいいな」でしょうか。もちろんイーロン・マスクという人物に目を付けられて振り回された影響、あるいは一部の著名人ユーザーの言動に絡んで結構アンビバレントな立場に追い込まれているというのはあるわけですが、それはそもそもオールドメディアを含めた世情の報道や事物の評論の伝達媒体について須らく信頼性が問われてきているわけです。Twitterを含めた報知型SNSがオールドメディアの特権性の批判の上に出てきたものであることは疑い有りません。現状のものが最終形態であるとは言えないにせよ、新聞社が「茨の道」などと他人事のような論評を装っていられるわけではないと思います。個人のコミュニケーションに根差したサービスという点では、そちらを徹底してフォローというシステムを見直しユーザーの露出を抑制する方向で建て直してしまう可能性もあるでしょうし、いわゆる「世界」に根差した公論形成を志向する薄利多売型オールドメディア、放送メディアよりは生き残りやすいのではないかと思います。

ツイッター株、マスク氏の買収撤回で急落　4千億円超の価値吹き飛ぶ
ツイッター社、買収完了を求めてマスク氏を提訴　法廷争いに発展
ツイッター、マスク氏を提訴　株価下落で「逃げたかった」と主張
まあ、Twitter経営陣としては株価下落の責任は取りたくないでしょうが…放置するとその4000億円分の補償を株主から求められかねませんからね。
ただ、売買の合意がそこまで拘束的なものであるべきなのかは疑問です。もちろん買う気もないのに注文してドタキャンしたらペナルティーはあってしかるべきでしょうが、それが「買収完了」という形での履行の督促であるのは変だと思います。
市場で株価がついている以上、Twitter社の株式は買収合意によって所有者が固定されているわけではないはずです。つまりこの段階では買収合意はTwitter社が株式のマスク氏への売却を株主に斡旋する以上のものではなく、Twitter社は売り主ではないはずですから履行を強制できるとは思えません。仮にTwitter社が新株を発行してマスク氏が買い取るという形であれば、市場での価格の変動の方が見当違いでしょう。いずれにしてもあるべき姿はせいぜいがマスク氏が合意済みの価格にペナルティを加えた額をTwitter社に支払い、買収合意を消滅させるという以上のものにはなりえないと思います。株価下落の責任は株主が経営陣に対して追及するべきものであり、それが補償されるべきだということになれば、マスク氏の支払いによってTwitter社には十分な支払い原資があるはずです。
そして、そんな買収合意をドタキャンするような人が株主になって嬉しいですか？もちろん株主が売買を合意した相手方に合意を履行させ、その結果マスク氏がもしかすると嫌々ながらもTwitter社の株主になるというなら筋は通ります。しかし記事の趣旨はTwitter社経営陣がマスク氏との間に会社買収の合意を取り結び(もっとも他人の持っている株式について勝手に合意するというのも変な話なのですが)、その契約の履行を督促しているというものでしょう。この場合合意自体は会社の買収を対象とするものであっても、Twitter社には合意の実現を強制する利益がないと思います。そんな人物を会社の実権を持つ株主にする利益が会社にありません。
何がおかしいというなら、買い手と会社あるいは会社経営陣との間の会社買収の合意というものについてのこうした捻じれをおかしいと言うべきであり、Twitter社の先行きについての憶測を面白おかしく論評している場合ではありません。

■2022年07月09日（土）　 せめて金くらい払えよってことですよね？
ウクライナ情勢「原子力の理解進むとても良い機会」　福井県知事発言
いやまあ、正直どう聞いても、原子力発電は立地地域のああいった理解や危険の負担を基盤に行われている、発電事業者や消費地は立地地域へのより一層の財政移転を進めて欲しい＝金払えという皮肉と聞こえるのですが。その意味で誤解の余地などないでしょう。

■2022年07月09日（土）　 むしろ一試合20万円くらいの競技税を取るべき
「お金持ちのスポーツ」にさせないために　模索する高校野球の現場
道具以前に、あんな設備が必要な時点で、興行主が金を取ってプロのする様子を庶民に見せる正しく興行スポーツであることに間違いなく、学校ではなく必ず会社がするべきものだと思いますが。ちなみに会社というのは法律上営利の社団法人の一類型です。つまり野球という競技は戦車競走や剣闘試合の同類です。
ですから、野球をするなら必ず税金を払うべきです。一応選手9人に監督を含めて1チーム10人ですので、試合の参加者一人一万円で一試合20万円くらいでしょうか。貧乏な団体に野球をする資格はありません。まして公的資金で賄われている学校の中で学校の資金で賄われる活動として野球が実践され、地方公共団体が競技場を整備するなど、論外だと思います。
もちろん、貧乏人が野球をすることは別問題です。興行を目的とする営利企業である以上、競技者に装備を支給し、ファイトマネーを払うのは当然です。ですからファイトマネー目当ての貧乏人が身体能力をてこに競技者として参入してくることはむしろ当たり前です。「とらのあな」が蔓延し、金持ちは株を買う以上には近づかない庶民の娯楽と貧乏人の出世の手段というのが、野球、サッカー、バスケットボールなどのあるべき姿でしょう。

■2022年07月08日（金）　 首相登板のチャンスが二回あったことといい、運に恵まれた人生だったようで
安倍元首相撃たれる　救急医らの見方は　心臓や大血管の損傷を懸念
銃撃された安倍元首相、心臓と大血管を損傷　死亡確認の病院が会見
安倍晋三元首相、演説中に撃たれ死亡　男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕
殺してどうするんだろうかと思ってしまうわけですが、まあ、殺したい事情があったんでしょうかね。とはいえ政治家の暗殺というのは、もちろん特に人を殺すことを想定されていない人が大人を殺すというのは一般にそうですが、色々と問題です。対応を怠った場合殺される可能性があるということになると、何かと過剰対応が取られる、つまり他人が公然と撃たれるようなご時世だ、李下に冠を脱ぐなとか、こいつらいかにも人でも撃ちそうなことを言っている、している、だから規制してしまえとかいうことになります。殺害の動機の是非以前に他人の命を奪い、そのような手段で他人の活動を妨害しようとする時点で、どうしてそこまで思い詰めるのか、思い詰めたのでなければなぜそんな行動に至るのか、その後どうなると考えてそういうことをやったのかと思えます。
とはいえ、安倍氏にとっては悪くない亡くなり方ではあるでしょう。正直安倍晋三元首相という存在を最大限に活用しうる亡くなり方です。このような暴挙を許してはならない、安倍政治の継承をという話を都合よく通しやすくなります。また安倍氏自身については、これで当面どうこう言われる要素が激減したものと思いますし、他の政治家も安倍氏を責めたり対立したりする必要がなくなったわけで、安堵したのではないでしょうか。死んだ人は褒め上げておけばいいわけですから。
というか、生きていると邪魔になった政権周辺か理由をつけて財務省を抑え込みたい防衛省あたりの、死んだ英雄にするための陰謀じゃないでしょうね？

IOCバッハ会長が声明　東京五輪は「安倍氏なしでは実現できず」
まあ、リオデジャネイロで道化役までやってくれた人はおろそかにしにくいでしょうが、それを言うなら過日亡くなった石原慎太郎氏をどれだけ悔やんだのでしょうか。むしろあの人こそ、なくしては東京五輪が実現しなかった人だと思いますが。

「かつてない政治テロ」憲法改正・アベノミクス…政権運営に影響甚大
政治家というのは古来テロリズムで真っ先に死ぬべき立場ですので、やっている以上死ぬ覚悟はできているものでしょう。これは会社の社長も同じことです。
影響甚大と言いますが、確かに甚大かもしれませんが、むしろ良い影響が大きいのではないか、周囲にとっては都合のいい横死だったのではないかと思うのですが、違いますか？

「暴力に屈せぬ」街頭に戻る党首ら　物価高、安全保障など最後の訴え
これは当然でしょうね。作家が千人単位の取り巻きと建物を占拠して立て籠もってアジ演説をしているとか、自衛隊や警視庁がクーデターを起こしたというなら別ですが、とりあえずは個人による偶発的な殺人事件に過ぎません。事件の再発の懸念よりは、有権者への街頭での訴えの方がよほど大事ですし、そうすることがこのような事件は殺人という事実以上に重要なものではないのだと示すことにつながります。
もちろん、今の安倍元首相は公務員として短期的に替えのきかない立場にあるわけでもありませんでした。職務代行を置く必要すらありません。改選の候補者でもありませんから、せいぜい来週くらいから補欠選挙の手配でもして年内に後任の衆議院議員を選出すれば済む程度のことです。個人や家族としてはもちろん取り返しのつかない事態ですし、政治家としてはいなくなったことで物事がどう動いていくのかは問題ですが、時間が制約されていることに伴う混乱は発生しません。正直そこに、どうにも胡散臭さを感じてしまうのですが、これは陰謀論的発想ではあるわけです。

卑劣な事件に衝撃、「異論」も認める選挙と民主主義を　プチ鹿島さん
もちろん「異論」も認める選挙と民主主義が重要であることはわかりますが、この件はそういう問題なのでしょうか。何が「卑劣」なのでしょうか。もちろん公党の有力政治家が理由がどうあれ街頭で演説中に殺害されたことは残念ですが、少なくとも殺害の動機については安倍元首相の政見に関わるものが聞こえてきた記憶がありません。もちろん裏にそういった動機が、実行犯であれそれ以外であれある可能性はありますが、政治家が街頭演説中に殺害されたことだけにそのような意図を見てしまうのは陰謀論的思考ではないでしょうか。もちろん陰謀論的に解釈する余地は十分にありますが、その場合誰がどのような陰謀を企んだかを整合させるべきであり、それこそ福島瑞穂氏あたりが殺されたというならともかく、昨今の状況では安倍元首相はむしろそのような陰謀を企む側でしょう。政治家が政治活動の場で殺されたら政見の抑圧だと衝撃を受けるというのはおかしいと思います。人間、逆恨みであっても殺される程度の恨みは色々と背負っているものです。元首相ともなればなおさらでしょう。

池上彰さん「暴力を非難する機運を」　安倍元首相銃撃事件に識者らは
それを言うなら、勝手に配っておいた金を間違ったからすぐ全額返せと言うのだって暴力ではないにしろ暴力的だと思いますし、そこで訴訟や告訴に訴え、別件を取りかカリに第三者の資産を差し押さえて強迫するのはもはや暴力同然だと思いますが、それは非難断罪に値しないのでしょうか。
もちろん暴力自体は非難されてしかるべきであり、それは動機が家庭の不幸の先に見えた人物への逆恨みであってもそうですが、それを言うならそもそも安倍氏自身が暴力への志向を感じさせる言動をしていた人でしょう。もちろんだから暴力で倒れてよいというのではなく、たまたま政治家が政治活動で街頭演説中に射撃されて死んだからといって板垣死すとも自由は死せずと叫ばずともいいということです。暴力への批判というまっとうなものであっても、そこに至る筋が違っていれば説得力は雲散霧消します。まして加害者が見当違いだと言いたくなるような筋だったりすると、そちらこそ言論と称した社会的暴力です。個別の事象に関してであれ社会の先行きについて象徴的な意味合いを見出すこと自体は構わないとしても、そのような大きな流ればかり見て個別の事情を等閑視するのはおかしいと思います。
また今時の日本社会において、DVならまだしも公然と暴力に走るというのは、加害者の周囲で相当状況が歪んでいたと判断するしかありません。まだ事情が判然としないにせよ、「識者」による解釈においてはそこを理解しようという姿勢が求められると思います。その姿勢なく民主主義の危機を叫ぶようでは、識者の前に編集部が事情を歪曲して個人をないがしろにしていると言うしかありません。それこそ「自由な言論がしにくいといった閉塞（へいそく）感」を導くものではないかと思います。

選挙中の凶弾、近代国家の基盤を脅かす　政治と暴力を遠ざけるには
萱野さんならこう言うでしょうね。
犯行自体のとらえ方は同意できるのですが、選挙運動中の政治家を特別視することはどうかと思います。
近代国家の基盤の一つは公共安全の確保であり、それが戒厳下以外で成立していることが近代国家という政治体の成立要件です。選挙運動中の政治家に対する襲撃というのは、単純にはこの意味で近代国家の危機であるにすぎません。それがその政治家の象徴する政治体制の敵視という意味を持つのは、まさに襲撃者のその政治家が体制の象徴であるという主観によります。
一方で政治家が公然と殺害されたという事実は、民主主義を超えた国家への国民の動員を、象徴的危機を演出することによって成し遂げる契機となりえます。むしろ政治家は、このために自身を供物として国家国体に捧げなければなりません。彼自身は畑でカブのごとく採れるものでしかありませんが、他者による象徴的な死を遂げることによって守るべき国家の象徴になるのです。これによって、守るべき内実のない国家体制がその強化のために国民を動員する国家と国民の統合の象徴を得るわけです。
正直民主主義の視点からはこんな動員はたまったものではなく、淡々と通常犯罪として処理し、彼を忘れて日常を維持し、国家による動員の呼びかけに応じないことが正しい対処になります(こんな感じで)。それがし難いことが、国家的危機ではないでしょうか。

相次ぐ政治家への「暴力」、なぜ後を絶たない　背景にある社会認識
そりゃまあ、街頭に立って騒いでいる人に暴力を加えたところで良心の呵責は少ないと思いますね。子供が募金を集めているというならまだしも、いい大人が上から一方的な主張を喋っているだけでは、あれは的だと思われても仕方ありません。
また文化的に、先頭に立つ者は贄だとは言えると思います。大工事でまず人柱を埋めていたように、先に立つ者はまず犠牲になって後続の奮起を促し、あるいは危険を知らせ、そしてその場を司る超自然的な存在を慰めるのです。政治家というのは場合によっては自分たちに人柱になれと命じる立場なのですから、それが無防備になる街頭へと出る機会、とくにただの人として同胞に訴える選挙のような状況で、反対する者が物理的襲撃をもって成否を賭けてその主張の当否を問う神明裁判を試みることは心情的には納得できる部分があると思います。

元首相銃撃は「民主主義への挑戦」か　宇野重規さんが考える「敗北」
もちろん民主主義に照らして問題が全くないとは言えないでしょうね。主観的に理由があれば殺していいなどということは全くありませんし、一定の技術的な合理性を積み重ねた結果であるにせよ、政治活動中の政治家を襲撃する形になってしまった。仮に本人にとっては後者がどうでもいい事であっても、政治に関わる言論に暴力でもって対峙する形を作ってしまったことは、少なくとも公然と身を曝すことが襲撃につながることを明示した点で政治家が公然と身を曝すことを要求している地縁ベースの民主主義への脅威になっています。公然と行動する人と不特定多数の間の安全についての信頼関係を損なうというのは、色々と問題があります。
ところで、「殺害にいたるには飛躍があります。投票を通じて意思を表明したり、不当にお金をとられたなら世論や裁判所に訴えたり、といった行動をとることができたはずです。それらをすっ飛ばして凶行に走っています」と言いますが、個人的には飛躍もなければさほどすっ飛ばしてもいないように思います。そもそも合理的に考えれば、安倍元首相を殺害したところで何も解決しません。もちろん安倍元首相を象徴として逆恨みしてはいたでしょうが、おそらくそれ以上に世間や社会に絶望していたのではないでしょうか。投票では何も変わらない、世論は関心を示してくれない、裁判所に訴えたところで門前払い、ならば行動あるのみ、安倍元首相を殺して少しでも留飲を下げ、後のことは考えないというところまで精神的に追い詰められてしまうというのは、昨今の凶行に絡んでそれなりに見られるパターンだと思います。それを、そう言うしかないのかもしれませんが、飛躍とかすっ飛ばすと言ってしまうということは、宇野氏が現代日本社会の問題に疎いことを示してしまっているように思えます。もちろん手段はある、用意されているというのも間違ってはいませんが、それを利用しようとするところにまずハードルがあるのが現代日本社会であり、おかしな孤立感に苛まれて社会的見当識を失い、過激な行動に走ることを、構造的な問題としてとらえられないようでは、政治思想、政治哲学と言ってもそちらが社会の現実から遊離したものになると思います。もちろん意図してそのような層を切り捨てる立場はあり得て、ハイデガーやハーレントにはその傾向があると個人的には思います。ただしそのような思想は思想としては深いものであり得ても、一般倫理としては机上のものであることを免れないと思います。

動機が釈然としない事件、向き合い方は　映画監督・森達也さんに聞く
「容疑者にその意図はなくてもメディアが『疑似のテロ』にしてしまったと思います」
そういうことですね。報道路線の修正なりバランス確保なりとしては妥当な記事です。
とはいえ「動機が釈然としない」というのは他人から見ての話でしかない気がします。行動としては相当合理的だからです。刑事責任能力という点では善悪の判断能力の点で責任能力を失っているが行動の計画能力や判断能力については高度な合理性を発揮する、つまり善悪についてのみ合理的に判断する能力を失っているということはありえますので精神鑑定はするべきですが、この場合政治指導者や陰謀論者などと同じで行動に関わる善悪の判断基準がおかしくなり、戦争でも外国への制裁でも痛みを伴う政策実施でも冷酷非情な財政再建策の実施でもダム開発や干拓の推進でも他人の殺害でも歯止めがかからなくなり、本人にしてみれば、あるいは最終的な結果に至る過程としては辻褄が合った合理的なものなのだけれども、第三者からすれば動機が釈然としない、どうしてそんな判断になるということになります。その意味では動機自体よりもそのような象徴的な殺害を可とする善悪判断に到達する経緯が問題ではあると思います。もちろんその過程で容疑者に対するある種の扇動や思考誘導のような働きかけが行われたことが明らかになる可能性もあるわけですが、何分精神的に追い詰められた人間は色々と箍が外れるので、状況のしからしむるところという可能性もあるとは思います。

「社会」に悲鳴を上げた末の絶望、元首相に矛先　鴻上尚史さんに聞く
絶望自体は事実であるというしかないと思います。その上で、なぜ絶望に至るしかなかったのかを問うて事件を消化していくしかありません。この手の事件は、日本社会を告発しているという面があると思います。もちろんそれが新自由主義の結果として表れたものなのか、それともより長いスパンでの問題を映すものなのかは問題です。個人的には統一教会を含む新宗教問題が近代日本と絡み合っている以上後者ではあると思いますが。霊感商法とかリテラシーに還元してしまうとまずいと思います。
個人的には、刑事責任能力があるとしても殺人被害者1名で量刑が行われればそれに越したことはないと思います。

■2022年07月07日（木）　 人格が「生まれる」というひたすら頭の悪い発想
AIが創作するとは？「人格が生まれる可能性も」　3人の先輩に聞く
この種の、「人格」が客観的に存在するものだという迷信はいい加減にした方がよいのではないでしょうか。尊重すべきものでないとは絶対言いませんが、それは人格が存在するからではなく、そのように仮構しておかないと不便だからです。逆にこのような性質を満たすから人格が発生したと言えるなどという条件は全くありません。
人格に限らず法制度も含めて生活上基盤となる概念や尊重されるべき性質がその物理的存在性に根拠を持つなどという発想はばかげています。財産と同じで、存在するから尊重されなければならないのではなく、生活のルールとして尊重すると決めているから尊重されるのです。逆に不便がないなら財産だろうが人格だろうが尊重しなくてもかまわないわけですが、とりあえず財産や人格を尊重しなくても不便が生じないというのは相当極端な状況に限られるとは言えるでしょう。

■2022年07月07日（木）　 保護者が一ヶ月バカンスを取って貸別荘にでも連れて行けば済む話ではある
暑すぎてプール中止、やけどしそうな遊具「夏のピースが埋まらない」
まあ、プールに虫捕り程度であればさっさと学校なりを閉めてバカンスに行けばいいですむのですが、そのバカンスに誰が連れて行くのという話はあります。結局登校日やプール開放への参加、保育園でのイベントとして、居住地やイベント向けの観光地でやらないといけないので、ことさら悪条件が目立つのだと思います。

■2022年07月07日（木）　 今の家族制度はこの手の事件の原因になっている気がする
妊娠中の交際相手を殺害か　容疑で逮捕の会社員「間違いない」
本人の問題が大きいとはいえ、こういう事件を引き起こすのが現在の婚姻制度や家族制度なのですが、別姓カップルや同性カップルの皆さんは本気でこういう制度に取り込んでほしいと思っていらっしゃるのでしょうか。もちろん現状法律上の親族に認められているさまざまな特権を適正に調整しつつ他の親密な関係性に及ぼしていくことは必要ですが、婚姻届の受け取りを求めるとか同性婚を認めないのは憲法違反と訴えるとかいうのは、今のこういう問題のある家族制度を正当であると主張するに等しいと思います。むしろ婚姻制度や民法上の法定相続の制度を迂回しつつ実態としての親密関係における関係性の証明や関係者の取り扱いについて私法や行政法の上で適切な前例を積み上げ、民法と戸籍法を基盤とする家族制度を空文化させていくべきではないかと思います。

■2022年07月07日（木）　 そりゃちゃんと経営していれば東京や首都圏にいる必要はないですから
進む「脱首都圏」　北海道への本社移転が過去最多、そのワケは
コスト面では北海道の方が条件がいいでしょうからね。東京や周辺にいないと仕事が入ってこないとか東京卸売市場に依存しているとかいうならともかく、情報だけの問題であれば本社機能はどこにあってももはや変わりありません。
ニセコであれば悪くないと思いますが、移転するにしても札幌近辺や函館ではなく、道東や道北を候補にして欲しいものです。工場立地と違って特に現地に求めるものというのはないわけですから、せいぜい道路がちゃんと敷いてあれば、浜頓別であろうが網走であろうが構わないはずです。

■2022年07月07日（木）　 償還費は貸してもらえるがその分経済を締め付けられるような再建策は嫌なんだろうな
スリランカが「破産」を表明　プーチン大統領に燃料支援など要請
バイデンさん何やってますかね。
まあ、金利の支払いや償還をする金を借りてくるつもりはなくても燃料や食料は欲しいということだと思うので、スリランカの現政権が意図的に踏み倒したということになると思いますが。ロシアみたいにそもそも払おうにも外貨の入手を妨害されているのなら支払い停止は仕方ありませんが、スリランカの場合国民に犠牲を強いれば借り入れを取り付けてくることで支払い拒否は避けられたはずです。債務の利払いや償還を優先する選択を国内的に説得できなかったか、既存債務を踏み倒した方が痛みを伴う経済再建を行うにしても説得力があると判断したかでしょう。

■2022年07月07日（木）　 日本で職務執行内閣が一ヶ月も続くよりはましな事態だとは思いますが
英ジョンソン首相が辞任へ「仕事を降りるのは残念」　にじんだ悔恨
まあ、下院が後任の指名を添えて国王に首相の解任を要請しない限りは首相の座に留まれるはずではあります。また首相が下院の支持を失ったと国王が判断した場合、国王と首相の関係性次第では国王がその意志で首相を解任して下院に後任の承認を求める可能性もありはします。その意味で英国首相の地位というのは原則として国王の判断によるもので、下院の意思が示された場合に国王がそれに対抗することがほぼ不可能という話であって、この場合保守党が呑気に党首選挙をしていようが、国王は自分の命懸けではあれ(うっかりしたことをやって下院と揉めたらそれこそ国王の退位や死刑という話になりかねないのです)国政の責任を取る覚悟で判断ができます。日本のように内閣総理大臣が辞任を言い出すと完全な無責任状態になるようなわけではありません。
とはいえ、正直いつまでやってるんだという話があったのも事実ではあり、EUとの脱退合意が成立した時点で保守党は後任を選ぶべきだったとは思います。まあ、下院議員選挙で大勝した直後ではあり、そこで党首を変えるという発想はしにくかっただろうとは思いますが、選挙の焦点がブレグジットに絞られ過ぎており、それこそ2021年中に下院選挙があってもあまり不自然ではなかったのではないかと思います。実際には伝染病対応でそれどころではなかったわけですが。

■2022年07月06日（水）　 難民よりこっちの方が問題な気がするな
胎児死産の女性に禁錮50年、中絶にも厳罰　エルサルバドル
家族に妊娠を告げられない19歳の妊婦に子供を保護する全面的な責任を合理的に期待しうるかという点がどうにも疑問ですが、現地法でのこの判決の妥当性はともかくとして、政治的迫害を受けているとして亡命を受け入れうる事案ではないかという気がします。強姦あたりならまだしも幼児殺害とはいえ死産や堕胎で禁固50年の量刑は均衡を逸しており、妊娠に際して出産を拒否したことを理由に政治的に迫害されていると言えるのではないでしょうか。

■2022年07月06日（水）　 そもそもなぜ申告したとおりに通勤しないと問題になるのか
バス利用と申告、実は徒歩通勤　手当30万円不正受給、税務署員減給
いやまあ、このあたりはいささか難しい問題があって、例えば定期券さえ買っていれば徒歩通勤していてもかまわないような気はしますね。
通勤という労働に従事する目的で行う行動があって、そのコストを雇い主が負担しているということになるのだと思いますが、そういう建前だと、実際に発生したコストを補填するという考え方の制度になり、コストの発生過程まで管理統制するということになりかねません。この時居住や通勤というのは使用者が全面的に管理統制しうるものなのかという問題が出てきます。例えば通勤中に保育園や幼稚園に子供を預けるのは是か非かという話も出てきます。管理統制しえないものだとすれば、どこかで不公正をありうるものとして「見做し」で処理することになるのではないかと思います。

■2022年07月06日（水）　 とりあえず相続と表見代理の問題ではあるのですが
結婚は「子育てする男女」のため？　直木賞候補・窪美澄さんの違和感
家族制度、婚姻制度は合理的に定義するとすればそうならざるを得ないでしょう。
その上で、そうしたものとしての家族に帰属しない人をも包摂する社会であるべきだと思います。現代日本は押しなべて家族原理主義、社会と個人の間に必ず家族を置く、家族に帰属しない個人や民法上の制度としての家族以外の帰属先を認めない傾向があり(もっともそれが職場や労組だというのはちょっとどうかと思いますが)、それが「違和感」や、それこそ生きにくさにつながっていると思います。

■2022年07月05日（火）　 有権者の声を反映するのは国会の役割
「有権者の声を聞くのが内閣。山際大臣は辞任すべきだ」立憲・西村氏
こういうのをごまめの歯ぎしりというわけで、そもそも内閣は有権者に直接責任を負っていません。責任を負っているのは国会に対してです(ちなみに昔は天皇に対してでした)。衆議院議員である西村氏はそれこそそうしたければ国会の召集を要請し招集された国会で山際国務大臣の不信任を提案するべき立場にいます。それが街頭でこんなことを愚痴っているようでは、何のために衆議院議員などやっているのかということになりかねません。
もちろん不信任の議決を通すためには数を握っておく必要があり、そのために、こんな大臣がいる状況はおかしい、それを許しているのが自公のマジョリティーだ、参議院だけでもそれをひっくり返そうというのは妥当ではあります。ただしそこであほなことを言っていると、そもそも立憲民主党が立てた候補に投票する気が失せます。そこは認識してほしいと思います。

■2022年07月05日（火）　 中途半端さが2000年代ですね
第49回：ライカに先んじたデジタル機「エプソンR-D1」の歴史的意義
まあ、合焦検出機構以外はなにもわざわざレンジファインダーにする必要はない、イメージングセンサーのデータを内蔵モニタに表示すれば済むことだろうという点を除けば、合理的な形状ではありました。なにしろ一眼レフではないのですからミラーやペンタプリズムはいらないわけで、性能としても600万画素なら普通に撮るには十分です。
もっとも、そのレンジファインダーという機構をそのまま持ってきて撮像部だけデジタルにしている点が2000年代ならではの中途半端さで、一眼レフにもこの傾向があるわけです。オートフォーカスなら1980年代からあったわけですから、技術的には2000年時点でミラーレス一眼カメラが出ていても全くおかしくありませんでした。投入が2009年まで遅れたのは、ひとえに商業的な判断、つまりどのメーカーもミラーレスデジタル一眼というカメラシステムを売る自信がなかったというだけだと思います。まあ、35mmイメージングセンサーの値段がまだまだこなれていなかった時期で、センサーの画素数はともかくとして、APS-Cやフォーサーズで別個のシステムを作って売れるのかという不安、とりあえず既存のマウントや機構と相乗りさせておけという発想は理解できないでもありません。
その一方で、もしかすると結果論ではあるにせよ、このカメラが銀塩カメラの操作感を取り込んでいる点は今のレトロ系モデルに通じる要素ということになります。正直写真を撮っているときにいちいち設定確認のため画面を見ている余裕などないので、慣れてしまえば指の感触で状況がわかるレバーやダイヤルの方が適切ではないかと思うことはしばしばあります。もちろん銀塩カメラとは設定の数が違うわけで、全部レバーやダイヤルでするとなればボディをレバーとダイヤルが埋め尽くしても足りないでしょうが、どうせ設定自体はワイヤードロジックである必要はない、レバーやダイヤルの状態とメモリ上のデータをコンピューターが結び付ければ済むことなので、プリセットの切り替えダイヤルも含めて4つもあれば足ります。軍艦部に二つ、前面に一つ、レンズに一つと割り振って任意に機能を設定できれば十分だと思うのです。後はせいぜい、レリーズボタンの他にフォーカス・測光点設定のためのカーソル操作ボタン(兼設定モード時のメニュー選択カーソル操作ボタン)がフロントかグリップにあればいい程度でしょう。その意味でファインダーよりもレバーやダイヤルが欲しいのですが、なぜかメーカーさんはファインダーをつけることには熱心でも操作系はボタンだけに拘りますね。

■2022年07月05日（火）　 キンボ
ナポリのキンボのミディアムローストコーヒーを試してみました。一緒に注文したものの中でなぜか単独で真っ先に届いたのですが、とりあえずイリーのインテンソよりはコクがあります。インテンソだと焙り過ぎてコクが飛ぶんですかね。どちらかというと深煎りの方がコクがある印象だったのですが。
イリーのインテンソとキンボのミディアムローストを混ぜると、結構ありです。とりあえずインテンソを敷いてからその上にミディアムローストを載せました。

■2022年07月04日（月）　 マイルールじゃないですか
「ひとの演説会場で立憲のビラ掲げるのはルール違反」自民・茂木氏
そもそもそういう公式ルールはないと思いますが。公職選挙法や運用規則にそんな規定があるのでしょうか。
政見が対立する相手の演説会で主張のアピールをするのは、かれこれ100年以上も伝統のある手法です。もちろん演説会に乱入してめちゃくちゃにするという手法も伝統的なものですが(官憲もよくやりました)、さすがに度を越して乱闘にでもなるとルール違反でしょうね。
ルール通りにするというのは大事なことですが、そのルールは公認されたものでなければならず、根拠の怪しいマイルールではだめです。もちろん暗黙のルールなど価値もありません。風儀のよろしくない行為を倫理的に規制するのは、有権者がそっぽを向かない限りということだけです。当然、立憲のビラを掲げた入場者を自民の支持者が排除したらそちらが暴行罪でしょう。そういうものです。

■2022年07月04日（月）　 自分の軽さを理由に税制の適用を免れようというのは感心できない
日本漫画家協会、インボイス制度に反対声明　“本名バレ”のリスクなど指摘
指摘する内容が違う気がしますが、そもそも本名バレと言いますけど、税務署に屋号を登録していればそちらが使えるのではないかと思うのですが、違うのでしょうか。また少なくとも登録申請書からは公表されるのが氏名ないしは名称と所在地のみと読めるのですが、仮に例えば事業内容によって公表されるリストが分かれるといった理由によって氏名と所在地以上の情報を特定できるのだとしても、「漫画家」などという事業内容はおそらくないのではないかと思うのですが。少なくとも分類に使うのであればあらかじめ定められた分類名から適切なものを選ぶ形のはずで、その場合「その他サービス業」とか「その他業務請負」といった分類名ではないかと思います。また所得税との対応から言って、雑収入に対応する分類項目がないといけません。当然他のものと一緒にされるはずで、出版社に提出したインボイスが外に漏れない限り(もちろん出版社や税務署がインボイスを適切に扱うことが前提ですが)取引関係と徴税当局以外に個人情報が漏れることはないと思われます。
また本来インボイスを提出できないということは取引相手である免税事業者が消費税を納税していないということであり、このため課税事業者が納税に際して取引相手が納税済みであるはずの分を控除できないわけです。これは免税事業者との個別の取引についてのみ発生する制約のはずで、免税事業者になるような零細な作家との取引で発生する消費税は当然少なく、問題になるとも思えませんし、そもそも出版社側でそれを前提に取引を行うべき事例です。一定規模以上の商取引を繰り返し行うのであれば作家側で当然に消費税の納税に対応した事務を行うべきですし(この意味で事務負担は増えるのでしょう)、その事務コストも含めた原稿料を設定すべきことは当然です。作家と出版社の間の力関係で事務コストの転嫁ができないというのは別の問題です。もちろん作家側の商取引の規模が小さい場合(副業としての単発的な寄稿やデビュー時など)は消費税の納税などしないでしょうし、インボイスが発行されないのは当たり前です。
事務負担の増大は唯一事業者に明白に不利になる問題ですが、消費税自体の徴収も含めてそれだけのコストを事業に課す理由があるというのが消費税の制度ですから、コストが増えるから対象外にせよというのはおかしな主張です。
もちろん消費税納税にもインボイスにも絶対に関わらない方法はあります。納税するような事業を行わなければいいわけです。商行為を行って稼ぐのでなければ、消費者としてのみ消費税に関わる形になりますから、事務負担も発生しません。

■2022年07月04日（月）　 なんとも迷惑な
保健室で内科検診中、女子生徒を盗撮した疑い　岡山市の医師を逮捕
なんというか、必然的に信頼感を損なわれることになるお医者さん全体や、もしかしてその手の不当な扱いをされるかもしれないと懸念する羽目になる患者さんにとっては大変な迷惑ですね。かといって根本的な排除策というのはないわけで、制度に対する信頼を損なう行為というのが基本的にはなかなかに重い罪ではあるということだと思います。
だからといって信頼を損なうような行為、事実を報道することは規制されるべきだとは思いませんが。

■2022年07月04日（月）　 そもそも権利に対応するべき義務は何だという感じですね
子どもの権利は義務とセット？　教員に尋ねた結果は　国際NGO調査
いわゆる「子どもの権利」と言われるものは、基本的にはまっとうに扱われることを保障するというもので、何らかの義務と対応するものではないですね。消極的権利としての生存権が義務と対置されると言う人はあまりいないと思います。それと同じことでしょう。
もっとも日本の教員は学齢期の子供に関わる秩序維持への貢献を暗黙にせよ求められているので、権利と義務が対置されるという発想自体を咎めるわけにはなかなかいかないと思います。例えば消極的生存権すら、法律に即した適正な手続による裁判を経れば死刑という形で否定できるのであり、この場合消極的生存権にも他者のそれや他の重大な権利を侵害しないという制約が課されていることになります。仮に条約を知っていても、権利があるからには義務もあるはずだと考えてしまう傾向はあるでしょう。もちろんそれ以上に、日本の教育において人権教育がなおざりにされてきたことの反映であり、また教員の養成や研修において子供の権利条約がまともに解説されてこなかったことを示すものでもあるでしょう。

■2022年07月04日（月）　 拒否権では改革の手段にはならない
ウクライナ侵攻「国連が機能しないのは組織の欠陥」　自民・麻生氏
安全保障理事会の常任理事国といっても安全保障理事会の決議を止められるだけですが。改革と言うなら、相手に譲歩を強いるための手札、あるいは相手とイーブンな地位を国際的に認められているという主張の材料と言うならともかく、そんな地位に何の意味があるのでしょうか。共和制ローマでの護民官にしても、拒否権と身体不可侵が平民会の支持に裏付けられていたから改革という形での国政への関与ができたわけで、安保理の仲良しクラブに入れたところでそれだけでは意味がないことくらい、わかりそうなものです。
そもそも組織の欠陥と言ったところで、正直そうなる危険を踏まえたうえで国際関係の安定を期する上で大国間の協調が必要だから、当時の大国のうち枢軸側を排除することを前提にしてああいう組織になっているわけです。今のロシアが大国であるかどうかは別として、それを組織の欠陥と言うなら総会決議である加盟国を一方的に平和の敵認定してその国に対する軍事行動に正当性を付与できるとすればそれだって軍事同盟としてはともかく平和と秩序を希求する国際組織としては欠陥ではあるでしょう。むしろ、大国でもない、既存の政権の転覆によって成立した新興国を、核兵器を持っているからと言って大国認定した過去の失策の問題であり、その時点で安全保障理事会常任理事国制度の解消を打ち出せていなかったことこそが問題でしょう。
正直まだしも、日本は大国として安全保障理事会の常任理事国入りを目指すべきであり、そのためには在日米軍の排除と体系としての兵器の国産化、そして過去の自民党政権が容認してきた諸大国との不平等かつ不当な関係の是正が大前提だとでも言う方が説得力があります。当然、台湾やチベットは中国領ではないという話にもなりますね。今なら言えるんじゃないでしょうか。

■2022年07月04日（月）　 行政部として定めたらハラスメントかもしれない
松山市職員は「結婚指輪以外の装飾品NG」　基準はハラスメント？
もちろん規程の厳密化は官僚組織として適切な解ではあるのですが、ここまで来ると職務中は制服を着る規程でいいのではないかという気はしますね。もちろんその制服が差別的なものであってはならないという問題は出てきますが。
正直装飾品については市当局側の見解も妥当な気がするので、この規程を利用したハラスメントが実在するのでない限り(そのようなハラスメントは可能ではあるでしょう)変えるかどうかは好き好きだと思いますが、慎み深い好感を抱かれる服装などというものを客観的に定義することが不可能である以上、変えるのであれば規程そのもので制服を制定し着こなしも定めることで当局と職員を免責するしかないと思います。とはいえそれは服務中の職員を官僚機構の一部品として規程をもって徹底的に統制する(そしてそれに従っている限りにおいて免責する)というブラックな方向性であり、行うとすればそれは議会が立法権力として、討議を尽くしたうえで行うことが求められるでしょう。行政部内部で定める場合、職員に対してであっても権力を行使する正統性が担保されないと思います。

■2022年07月03日（日）　 末端が連絡を取れなくて困っている分には微笑ましい程度ですが
長引く通信障害、公衆電話はどこに？　「探すのにもスマホが…」
近くにいる人からドコモかソフトバンクの携帯電話を借りればいいだけなのではないかと思うのですが。もちろん抵抗は大きいとは思いますが、60年前であればどうにも身動きが取れなくなったときにそのあたりで電話を借りてハブに連絡を入れるのが普通だったはずです。
当然そういうときにハブ側に役割を代替できる要員がいての会社というものです。何かの原因で業務から切り離された要員が出たくらいでビジネスが止まっていては、会社など務まりません。もちろん会社であれば、そういうときのBCPは普通にあるはずですし、それはおおむね有効でなければなりません。常用の通信回線が途絶する事態の想定など初歩の初歩です。

急病で携帯使えず、民家駆け込み通報　KDDI障害、北海道でも影響
このようにちゃんと機転が利く人はいるわけですね。
もっとも、それだけ電話というのが切れては困る通信手段であれば、システム全体(末端回線や端末を含む)を無停止システムとして構成しなければなりません。その基本は多重化による稼働状態の確保です。他の人がだいたい可能な端末や末端回線を持っているというのもある種の多重化です。まあ、自分に問題が起きたときに借りるハードルの高さが問題にはなるわけですが。DSDSあたりも端末以外を多重化するものでもあるでしょう。究極はキャリアを変えて端末複数台持ちということになります。もっともこれは携帯電話回線に限った意味での究極であり、移動体通信回線としては他にも、衛星携帯電話や携帯型衛星放送端末を利用した通信もあります。極点には自分で衛星通信システムのような広域通信システムを運用するという形があるだろうと思いますが、正直自分で運営したからと言って信頼性が増すわけではないので、よほどこだわりのある通信方法が商用化されていないような状況があるのでなければ(現状では例えば量子ペア通信などは商用化されていないでしょう)、既存の通信システムを適切に選択して組み合わせるレベルで十分です。もちろん選択に際して、どこと通信したいのか、それはどのような経路を通るのかまで検討することは当然です。現在携帯電話各社は基地局間の接続にNTTの光ファイバー網やNGNを利用していることが多く、どの会社を使おうともここが落ちれば通信はできなくなります(もっともNTTもそれはわかっており、トータルでの可用性の確保に努力しています)。これは衛星通信経由でも、通信相手の端末までの間のどこかで経由していれば同じことです。例えば日本のインターネットは、通信経路のどこかでまず確実にNGNを経由しています。経由していないとすれば、船舶用衛星無線通信あたりでしょうか(もっとも相手が同じネットワーク上にいるとは限らないわけで、その場合概ねNGNを通って相手のいるネットワークにつながることになります)。通信が相手あってのものである以上、相手側との協調がなければ、適当なところで諦めるというのが合理的な解ではあります。

公衆電話はどう使う？ 大規模な通信障害、知っておくと便利なこと
ケータイが使えなくなったときに慌てないためには、こういうノウハウを知っておくことは大事です。
もっともこんな話は末端の個人レベルの方策であって、誰かと連絡を取れなくなった時にどうするか、日常的に方策を講じておけば済むだけの話ではあります。それこそ陸上自衛隊や海上自衛隊ではどうやっているか、訊いてみるのもいいと思います。前線の部隊、あるいはその指揮官と連絡が途絶するというのは、軍隊であれば当然想定しておくべき状況です。後方司令部がどのようにして状況を把握し、対応するべきかのノウハウは、色々持っているはずです。もちろんその相当部分は規則や制度として整備されているでしょう。また軍隊の場合、現地部隊や兵隊が上級司令部や指揮官との連絡を失った場合に部隊側や兵隊がどう行動するのかのルールも決めてあるはずです。予備的連絡手段の準備も含めて、なにしろ歴史的に培われてきた知見ですから、情勢評価や政策提案と違って客観的な面が強く、聞く価値があるはずです。

スマホにもう1回線　デュアルSIM、KDDI通信障害で注目高まる
というか技術としてはとっくに先に行っている気がしますが。eSIMなら技術的には2回線なんてケチなことはないと思います。
まあ、装備しているチューナーの数の回線しか同時には使えないわけですが、予備回線であれば切り替えれば済むわけで、DSDSなどと言わなくとも、予備回線のSIMを持ち歩いて、メインの回線が途絶した場合SIMを交換して予備回線に切り替えればいいのです。もちろんSIM携行だろうがeSIMに複数の回線データを突っ込んでいようがDSDSだろうが、同じキャリアの複数回線割引とか契約したMVNOの使っているネットワークがメインと同じだったとかいうことになると意味はないのですが。本来はMVNOという仕組みの中でその対応もできるはずで、チューナーが電波を掴んでくれればということにはなりますが、SIMに記録されている加入者情報をMVNOが認証できさえすればどのキャリアの基地局であれ使えるはずです。その意味では全バンド対応のSIMロック解除済み端末であることの方が重要です。わかってますか？スマホ評論家の石川さん？

■2022年07月03日（日）　 そういうあなたの頭が悪い
「質の悪い子どもを増やしては駄目」NHK党・立花氏
ご本人が自ら淘汰されてしかるべきものだと主張しておられるわけですが。
ついでに、第一子を産んで一千万円って、そんな安い話がありますか。ちゃんと成人するまでの養育費を計算したんでしょうか。まさか平均賃金年額300万円、3年休んで一千万円とか計算したんじゃないでしょうね。ちゃんと適切な教育を与え、再就業する際に不安なく子守なりを手当てする費用を負担するのでなければ、それこそアグレッシブで優秀な方ほど子供を作ることを躊躇しかねません。それは主張と食い違うでしょう。
なんかもう、こういう人たちに仲間として非難されることを思うと、国民をやっている気がなくなってきます。

寛容の喪失は国家衰退の大きな指標　ローマ史の泰斗は「歴史に学べ」
というわけで「寛容の喪失」という意味では確かにこの記事の主張にはうなづけるものがあります。
とはいえ日本社会や日本国家の制度が寛容であったことがここ400年ほどであったかというと、正直思い当たりません。それはそれで、応仁の乱あたりから衰退過程にあるというなら納得できる気はします。
もっとも、政治論としてアテネ民主制を引くというのは、陳腐と言う以前に問題がある気がします。共和制ローマや元首制ローマ同様に美化されている面が少なからずあると思いますし、テミストクレスやペリクレスにせよ国家主義、軍事動員優先という面が見えます。非常に微妙な政治的綱渡りをしながらアテネ民主制の全盛期を演出した点は否定できないとは思いますが、神君カエサルと同じで迂闊に学ぼうとすると独裁的国家主義になってしまうし、当時のアテネが市民権としては決して開かれた国家ではなかったという点にも注意は必要でしょう。ペリクレスなど、愛人が外国人であったために自身の提案した市民権相続法に絡んで相続問題を引き起こしています。むしろテミストクレスを陶片追放したアテネ市民の健全さを、1945年のイギリスにおける保守党政権の下野と合わせて想起するべきではないかと思います。

■2022年07月03日（日）　 最初「炎上」したのかと思いました
「決められない」リビア議会が炎上　選挙求めるデモ隊が突入して放火
突入は仕方ないし打ちこわしもありかもしれませんが、放火炎上は止めましょうよ。議会が炎上するのは言論でで十分です。
まあ、議会など不要だ、我々は国民大集会で物事を決めて進めていくというならそれはそれでいいわけですが、議会が「炎上」ではいろいろとシュールすぎます。

■2022年07月02日（土）　 キャリア支配というナンセンス
爆速に生まれ変わっていたキャリアの公衆Wi-Fi
公衆Wi-Fiに繋ぐのに何でアカウント認証が必要なのでしょうか。
リソースの利用権を持つ費用負担者を確定してリソースの維持費を捻出するというのがユーザー登録の仕組みであり、それはすなわちクローズドなインターネットゲートウェイということです。つまり「公衆」の名に値しません。
公衆Wi-Fiというのは、それこそホテルの電気や水道のようなもののはずです。どれだけ使い勝手がよくともそれは付帯サービスであり、設置した施設の利用者が分け隔てなく利用できるもののはずです。飲食店でいえば、せいぜい席料で賄われるべきものです。当然、その場にいる権利のある不特定多数が利用することになり、アカウント制御をする必然性がありません。もちろん場の主宰者としてビジネスセンターを提供することはありえるし、そのアクセスに際して別料金を取ってもいいし、その場合なにがしかのアカウント制御が必要でしょうけど。
インターネットはルーターがパケットを転送していくものであり、そこにはナショナルキャリアなどというものは必要ありません。

■2022年07月02日（土）　 故人を墓から引っ張り出して政治的に利用する行為
故スティーブ・ジョブズ氏に栄誉ある「大統領自由勲章」
故人に勲章を授与するというのは、なんとも微妙な印象があります。もちろん顕彰としてはなしとは言わないのですが、授けられる方にしてみれば断る手段がありません。どんなに栄誉があろうが、そもそも勲章が気に入らないとか授与を判断するあいつが気に入らないとかいう理由で断る人というのはいるわけで、そういう意思表示ができなくなってからの授与は故人を政治的に利用する行為でしかありません。

■2022年07月02日（土）　 どこが「抜本的」なのか、なぜ賃労働者だけが優遇されるのか
非正規労働者などにも育休給付　政府が抜本的見直し検討、課題は財源
財源以前に、なぜ被用者だけ優遇されるのでしょうか。子供を育てるというところの負担は被用者に限らず同じはずで、例えば結婚退職した専業主婦だからといって差別される理由はないはずです。収入が減るから育児休業ができないなどというのは間違った料簡であり、ベビーシッターを雇えないなら父親も母親も出産をもって退職し、小学校就学までは育児に従事するのが筋でしょう。二人、三人となれば当然期間は増えます。その期間生活の保障が必要なら、それは立場に関わらず保障されるべきです。
その上で労働政策としては、就業する余裕ができた時点での就業機会の確保が問題になります。いったん退職したから正社員になれないなどというのは論外であり、40歳から65ないしは70歳までの勤続の機会を保障することが、労働政策としては妥当でしょう。つまりまずやるべきは、国家公務員試験の受験年齢と官公庁の採用年齢を45歳にすることではないでしょうか。何なら一種は、受験資格として二種を持つことと30歳以上であることとしてもいいくらいです。
もちろん独身主義を通して45年ほど就労する人もいてもいいと思いますが、それは家庭人としての人生を放棄した人がすることであり、結婚して子に責任を持つ親となる人には別のコースがあるべきです。
一方この制度だと40歳で結婚して出産する人は不利になるわけですが、もちろん再就労機会の保証は、定年退職の下限を70歳にするならば60歳くらいまでは可能ではあると思います。ただ長期勤続前提の場合やはり採用直後はある程度下積み、つまり40歳で管理職コースとして採用した場合でも課長見習いあたりから始まることになるため、60歳でそこから始めるのが妥当かどうかは検討が必要でしょう。おそらくジョブ型雇用制度が望ましいという話になってくると思います。

■2022年07月02日（土）　 いきなり誤爆させるようなプライム体験の契約の方が問題ではある
アマゾンプライム、2クリックで解約可　欧州で簡素化、日本は対象外
まあ、プライム体験は誤爆で契約しかねませんので(チェックアウトの際に二度だか誤爆したことがあり、根性で解約しました)、解除が簡単で、かつ解除ボタンを誤爆がないような位置に置くことは望ましいでしょうね。本当はプライムの契約手順の方を10ステップくらいの確認が必要なように(もちろん任意の段階で中断できるように)するべきだと思うのですが、さすがにそういうハードルは強要しにくいのでしょうか。
ついでに言えば定期便も誤爆しかねませんので、できれば何とかしてほしいと思います。

■2022年07月02日（土）　 どこまで信じたものやら
「中学の理数授業少ない世代、特許出願数少ない」　研究チームが警鐘
相関は必ずしも因果ではない気がしますが。どうもこういう研究を見ると、例え不当なリジェクトや棚上げの弊害があっても、成果公表時の厳正なピアレビューには意味があると思えます。なにしろこの発表だけでは、どの程度の信憑性があるのか判断しようがありません。むしろ経営工学系の研究主体ということで、信憑性が疑われます。評価の厳しさに定評がある発表媒体の審査を通ったとでもいうなら仮説やその証明の手順について一定の水準を想定できますが、ビジネス論や経営工学、社会政策学の研究の信憑性については、芳しい実績があるという印象が全くありません。
もっとも、今の学校の理数教育の有効性については、時間数だけでなく見直しをした方がいいとは思います。なんというか、理科も大事ですが、数学にもっと力を入れるべきではないでしょうか。中学修了までに線形関数の微積分と線形代数までは終わらせるべきだと思います。別に三角関数や指数・対数関数の微積分までしろとは言いませんので、微積分の概念とベクトルの概念(こちらは理科ではやります)まで身につけていると、実用上はいろいろと便利です。逆に因数分解のような式をこねくり回す技術の方は、微積分で極値の概念を理解できていればコンピューターで力押しで解けますので、高校の理系で十分です(もちろん方程式の解と一次式の積の形式の関係は学ぶべきですが、因数分解はその逆ですので必要まではありません)。本当は整数論までしているといいのですが、これは現行制度上高校までではやりませんし、抽象論をするのでない限り実用性皆無ですので、義務教育ではやりにくいでしょう(理解できないなどということはありません: 私がブルーバックスで整数論の基礎に触れたのは中学生の頃です)。むしろ高1でするべきではないかと思います。実用上は確率・統計も義務教育で身につける方がいいのですが、統計処理の作業部分ならまだしも、確率分布・統計分布の話が出てくると収拾がつかなくなりますので、詰め込む場合相当ドラスティックな履修内容の改廃が必要でしょう。二次方程式までを小学校に詰め込むのでないと無理だと思います。中心極限定理以降は積み残していいのなら、Z変換まではできるかもしれません。

■2022年07月02日（土）　 民主主義国だって侵略はする
骨抜きにされた民主主義　プーチン氏が20年かけ打ってきた布石とは
三権分立をうたう民主主義国家が吹っ掛けられたからと戦争を始めて敵国を無条件降伏させ占領までしたことは、1941年にもあったと思いますが。そういえば1982年にも独裁国家の侵略行為に民主主義国が過剰対応したような何かがありましたっけか。まあ、どっちもどっちなので非難する必要は感じませんし、民間人への攻撃にしても国家総動員が当時の前提であった以上起きるべきして起きたと思いますが、民主主義国を標榜する国が戦争を始めることはよくあることであって、「際立った特徴」では全くありません。もちろん、フランクリン・ルーズベルト政権が独裁政権であるという主張は可能だと思いますし、例えばフランス共和国の周辺諸国への侵略は、たしかに民主主義国とは現在の基準では言えない態勢であったとはいえ、ボナパルティズム以前から始まっています。また各種の植民地侵略は、政体を問わず欧州各国によって実行されました。
また民主主義国が戦争を止められた例もないと思います。外交的な決定や国際介入というのは、独裁的、あるいは少なくとも専制的な体制であって初めて実施できるものでしょう。今回のトルコ共和国がいい例ではないかと思いますが、国際交渉というのは政権への無条件かつ全面的な授権があって初めて効果的に行えるのだと思います。民主政治にできるのは、混乱の末の敗北か、勝利における敵の殲滅のみです。
でまあ、負けてもいないのに侵略に責任を感じる人はあまりいないでしょうね。たしかに民主主義が貫徹した状況で軍事介入を実施するところまで世論を動員することは相当な手間がかかるものであり(もっとも不可能ではないことは歴史が証明していると思いますが)、まして有権者がその政策決定に責任を感じる状況を作り上げることは不可能に近いでしょう。またその場合少しでも損害が出れば、その損害を無駄にしないためにと引っ込みがつかなくなると思います。プーチン氏が真に独裁権力を確保しているのであれば、逆に交渉による早期停戦の目があります。氏の権力が周囲の支持に基づいた危ういものであるからこそ、主導権を維持するために積極性と勝利を演出する必要があるのです。

■2022年07月02日（土）　 おお、止まってしまうとは情けない！
大垣共立銀行、大半のATMが利用できず　KDDI通信障害の影響
昔は一般の電話回線を使っているのでハッキング可能という話があり、今でもISDN回線を使っているためISDNの終息で影響を受けると言われている銀行の通信ですが、携帯電話回線を使っているところもあるのですね。納得はできますが、正直危機管理意識は足りないと思います。二社併用する程度は常識でしょう。災害時にバックボーンが落ちるところまでは予想しておくべきです。
もっとも金融機関に危機管理意識が足りないことは世界的に有名なので、倒産以前に機械的なトラブルで口座にアクセスできなくなることを、利用者は前提にしないといけないのでしょう。銀行口座からオートチャージなどというシステムに頼って少額の資金移動をしていると、手数料負担もさることながら銀行の通信システムがダウンした時に電子決済残高が足りなくなって泣くことになるわけです。

■2022年07月02日（土）　 ポジションの問題だと思います
正当な異議申立か、行きすぎた排除か　キャンセルカルチャーを考える
まず、全般的な人間性が問われるポストについては、過去の言動の詮索自体は決して不当とまでは言えないことは前提だと思います。過去に特に公の場で女性差別的な言動をした人が現在どうなっているかというと、大半はそれこそ森元首相みたいな人になっているわけです。ボランティアなり観客なり、あるいは選手や観客を支えるスタッフや商人なりとして女性の関与が無視できない状況での反感を買うような言動は許されません。また階級的な差別意識にしても、そうした人たちを客として迎える、そういう組織を代表していく立場の人が差別意識をあらわにしていた場合、資質を疑うことは当然です。例えば五輪現地組織委員会の委員長というポストは、そのような全面的な人格に対する評価が行われるべきものです。異議申し立てをして、日の当たる代表、芸術家の地位ではなく、せいぜい裏方の職人の地位に行ってもらう、それは間違っていないことです。また本来名前が出にくい裏方にことさら光を当てて表に引っ張り出す、それで裏方が評価される面があるにしても、そうやって出てくるということは職人としては求められない詮索をされるということであり、それこそ喫煙や飲酒のような行動も問われかねないということです。機能本位で選びたいのであれば、そういうポストにつけてはいけないし、変に四方八方から光が当たるような扱いをしても行けないわけです。
一方で、追及をひたすら行うというのに問題があることも確かに言えます。別にYouTuberとしてある意味自身の供給しているコンテンツとは関係ない広告がついてその上がりをかすめている分には、就いた広告と本人との間には倫理的な関係性はありません。どこかのライブハウスでパフォーマンスをやっている分には、本人の生活全般における品性というのはあまり問われませんし、客層が限定されている以上問う必要もありません。見たくなければ見ないで済むわけですから。

■2022年07月01日（金）　 親なのになんで大臣なんか務めたと批判されるのは構わないですよね
「大臣なのに育児で仕事を休むのかと批判された」自民・小泉進次郎氏
「子どもを育てることと、仕事をすることを両立しやすい」ことが正しいとは、個人的には思いません。もちろん余った時間で仕事をすることは構わないと思いますし、その意味で「人生で大切にする家族とか自分のプライベートとか、そういうことをもっと一人ひとりが優先しやすい、選択しやすいような社会」ではあるべきだと思いますが、むしろ子育てという大事なことを棚に上げて賃労働や受託業務をしているとは何事かと思います。その意味で、結婚したら両方とも仕事は辞めて家庭に専念するべきですし、稼ぐ必要があるなら家庭の範疇の中で稼ぐ方法を探すべきです。他人に時間を縛られるような稼ぎ方はするべきではありません。なぜそんな時期に国会議員や大臣などしたのか、そちらがむしろ責められるべきです。

■2022年07月01日（金）　 もちろん唯一の人格ある創造神が七日間で世界を創造し目的ある被造物として人類をも創造したと主張することは自由ではあるわけですが
「同性愛は精神の障害か依存症」　自民会合で配布の文書に差別的内容
まあそれは、私もナショナリスティックな主張をする人というのは病気だとは言うわけなので、相応の根拠を提示して仮説としてそう言っている分には論破する対象とは見做しても差別的言動とまで言うかどうかは微妙なわけですが、正直どこまで妥当性をもってそういう主張ができるかは疑問だとは思いますね。
ただまあ、神道政治連盟という時点でナチュラルにそういう話が出てくるだろうなとは思います。差別がどうこうではなくて同性愛者はむしろ救済の対象だという認識すらあり得るでしょう。問題は、そう言った認識自体が差別的であるという認識が連盟参加国会議員にないことです。内輪の話に留まる限りはそういう主義主張を抱くこと自体は認められてしかるべきではあるのでしょうが(そして学術的なあるいは芸術的な主張に留まる限りは公表も許されるでしょうが)、政策決定に関わる公職者としてそのような言動に前向きに関わることが極めてリスキーというか一般的に非難に値することであるという認識がない点は、無神経な差別主義者呼ばわりされても仕方ありません。配布文書であっても慎重に扱うべきですし、少なくとも文書として固定されている時点でしっかり取り繕っておくべきです。でないとこうばれた特に、誤解を招いた、「資料は配られたが、読んでいない」、「中身は見ていないが、非常に問題ある内容だ」とでも弁解せざるを得ません。本心からそう思っているならともかく、同性愛なんて常軌を逸していると思っている人が、自分が同性愛を差別的に見ているなどと言われるのは誤解だなどと弁解することは、きわめて不愉快なものではないでしょうか。そういう弁解をしないでいいように立ち回ることも公職者としての資質に関わると思います。

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