日記

■2020年09月30日（水）　これは恥ずかしい

楽天モバイルの5G、使える場所は限定的
楽天モバイル、5Gサービスエリア公開
真面目にやる気がないのならさっさと撤退してもらえませんかね。
さすがに三木谷さんならばこれに満足しているとも思えないわけで、とにかく発表はそれで済ませたけど内部的には尻を叩いている状況なのだろうと思います。
とはいえ、いくら他社も似たり寄ったりとはいえ、新規参入でこれはひどいでしょう。新規参入だからこそ既存の他社に先んじないといけないわけで、特に通信ネットワークならば長期の見通しとメリハリが不可欠です。つまり、スタートでは十分なリソースをつぎ込んで一定の地域、せめて東京都区内全体くらいのエリアをカバーする、それができるだけの資金を序盤で引っ張ってくるべきで、それが都内は世田谷区ばかりでそれも一部だけ、他の地域も点々というのは、うちは安かろう悪かろうですと言っているようにしか見えません。やっぱりドコモと見限る企業の総務の顔が目に浮かびます。孫さんとまでは言わないにせよ、三木谷さんもお金を引っ張ってくるのが上手な人だろうと思っていたのですが、ただのコストカッターだったのでしょうか。
とはいえこうなるとやはり、いきなりユニバーサルサービスを自前でというのは競争的市場を作るにはハードルが高すぎるのではないかと言わざるを得ません。系列化を禁止したうえでMVNO兼営で市単位でのローカルキャリアを認めるべきではないでしょうか。

楽天モバイルの5Gは“超限定的”　3キャリアにどこまで対抗できるのか
大逆転は無理？楽天モバイル5Gにガッカリした理由
でもって、こんなことを言われてしまうわけです。IT Mediaはソフトバンク系の会社なので新参者をけなしている可能性を割り引いて考えるにしても、楽天にはもう少しやりようというものがあると思うのですよ。ちなみにどちらも同じ方の記事ですので、一粒で二度おいしいという話です。正直たいして変わらないネタで複数のメディアに記事を書くのは信義則から見てどうなのかという気はするのですが(学術雑誌の場合、これをやると最悪二重投稿としてリジェクトされます)。
個人的には、公衆通信ネットワークというのは、技術的な先端性よりもカバー率というか、そのサービスを実感できる領域が一定の広さであることの方が問題だと思うのです。公衆電話が電話局にしかなかったら誰も使わないでしょう。またプレゼンスの面からも、せめて世田谷区でも下北沢駅周辺をカバーするくらいはできなかったのかと思います。もちろん住宅地を優先してカバーするのも一策ではあるのですが、その場合相当広い地域、せめて小学校の校区を完全にカバーする程度はないと、オカルトスポット扱いを免れません。ひょっとして、楽天の5Gスポットを探せ的な宣伝イベントでも計画しているんですかね。

■2020年09月30日（水）　泉佐野市よりはまっとうな戦略ではあります

ふるさと納税で63億円流出　川崎市が「逆襲」の返礼品
地方税の「流出」についてはお気の毒というしかないのですが、「「市内の中小企業の製品を返礼品にすることを通じて、企業支援を進めていこう」と割り切って考えることにした。」というのは、一応総務省サイドが想定するまっとうな方針だと思います。どちらかというと、高額な返礼品などで寄付を取り込もうという方針の方が顰蹙を買っていたわけで、ここまでサードパーティーのカタログ作りが充実すると、地元企業の広告に使うというのは役所のできる支援策として立派に成り立つでしょう。なりふり構わず返礼品を積んで公共事業の資金を稼ぐよりよほどましです。
とはいえ、ふるさと納税での控除を「流出」よばわりするというのは、正直どうかと思います。返礼品目当てで寄付をして控除を受けるのは二重に利得を受けることになりあまり褒められたものではないとはいえ、川崎市に納税するよりは返礼品をくれるところに寄付する方が良い、地方税の控除を受けたいと思われてしまったのは、川崎市の存在意義が市民の理解を得られていないということです。せっかくそこまでそっぽを向かれていたという状況が明らかになったわけですから、少し、せめて税金を規定額納めてもらう程度に評価してもらう方向を考えてみた方が良いでしょう。まあ、川崎市くらい規模が大きいと、身近な行政というわけにはいかないかもしれませんけど。

■2020年09月30日（水）23:07　コスプレイラスト仕様のグッズとは羨ましい

しろさんのTwitterの2020/9/28 16:04のツィートなのですが、何とも破壊力の大きなグッズです。おそらくサードシーズン公式サイトにあるグッズ「10000mA大容量モバイルバッテリー」のイラスト違いのサンプルではないかと思うのですが、サードシーズン#5のコスプレ撮影の衣装ですね。あの回、ほのかのドレス姿の破壊力に行っちゃった人も結構いたのではないかと思います。公式グッズにはこのラインナップはありません。つまりサンプルのみで発売されずに終わったものということです。関係者特権でしょうが、できれば改めて発売を検討して欲しいと思います。まあ、原作にはないプロットで、そもそもヤマノススメでもなんでもない話なのですが、アニメ制作サイドのキャラの扱いがよく表れているプロットだと思いますし、グッズもしろさん一押しの実用グッズでもあります。最近ストイックに写真に走ってしまい、格好良さが強調されている原作のほのかですが、93合目の丸襟の上着はかわいいですし(とはいえこの回も重量機材を背負って出かけた挙句にへばるというストイックな話なのですが)、アニメのデザインではロリっぽさが強化されているため、かわいいのも似合うのです。もちろん、157合目でお兄ちゃんにさりげなく支えられてちょっと感動しているほのかもかわいいですし、お兄ちゃんがかわいがるのもよくわかります。が、アニメデザインのほのかがかわいい恰好をしているのは別腹です。
オリンパスの映像事業は本日日本産業パートナーズへの売却の契約がなされましたが、OM-Dのオプションのグリップかボディージャケットあたりでほのかグッズの可能性というのはないのでしょうか。アニメでは富士フィルムの機材を使っているので微妙ではありますが。
オリンパスと言えば、とうとうOlympus Viewerのサポートが終了したようで、半強制的にOlympus Workspaceがインストールされました。おそらくほのかも正規ユーザーだと思うのですが、使っているシーンがありません。せっかくなので、ノートパソコンくらい買ってあげてください。写真部ならPCで現像してプリンタで仕上げることもあるはずで、そのあたりの苦労もネタになりうると思います。まあ、「カメラはじめて」の方のネタではあるのですが、ミトちゃんはカメラから借り物で活動も浮き草稼業なので、カメラからデータを取り出して何かをするのがいつになるやら、わかったものではありません。
そういえば、私がE-P1で撮った写真をJPEGに現像して送りつけるとでかいと文句を言われるのですが、ほのかは撮った写真をあおいかここなあたりに送り付けていたシーンがあった記憶があります。あの時はどうやって取り出したのでしょうね？もちろんパソコンがあれば現像して(というかほのかの場合JPEGで撮って出ししている気がする)サイズ調整してメールに添付することはできるわけですが。

■2020年09月30日（水）　割増賃金の問題じゃないでしょう

部活顧問、割増賃金求め提訴「生徒下宿、私生活なし」
いやこれ、なんで割増賃金の支払い請求なんでしょうか？スカウトした生徒を自宅に下宿させて面倒を見るなんてのは被用者のやることではないですし、そもそも学校側はやらせてはいけないし、被用者がそういうことをやろうとしたらこっちが責任を問われるからやめろと指示しないといけないのです。どうしてそんな状況になったのか理解しがたいのですが、本来、不当な労働条件を課した、賠償金を払い労働条件を是正しろという請求になるべきではないでしょうか。
雇用者として当然するべき管理をせずにおかしな形で業務をさせたなんてことになったら学校としては相当致命的な悪評でしょうから、学校側としては、本人が勝手にやったことで学校側は関知しない、当然割増賃金を支払う義務もないと主張せざるを得ないと思います。スカウトしてきた生徒を自宅で管理保護しろなどという指示をしていたとすれば、スキャンダルもいいところです。もしかすると世間には、娯楽読み物などで時折見られるような、スカウトした人はスカウトされる側を保護監督し親同然に面倒を見るべきだなどという常識が存在するのかもしれませんし、スカウトの際に生徒の保護者からそれを求められたのかもしれませんが、巨人の星のころじゃないんですから(というか相撲など一部の業界では今でも常識かもしれませんけどね)、下宿費用についての裁量権もない雇われ指導者が内弟子を取るような行動は、たとえ本人が納得ずくでやろうとしても雇用者としてはハラスメントにつながりかねないからと止めないといけないのです。増して下宿費用を出し渋ったなどということになれば論外で、その場合は下宿しないと通学できないようなところからスカウトしてくるのを止めないといけません。そういった被用者に対する監督を怠ったり、本人の裁量と目こぼししたり、あろうことかそういった行為を示唆したのだとしたら、それは犯罪です。労基から送検されて刑事裁判の被告になるのが当然です。監督当局としてもそもそも学校を運営する資格なしとして廃校、法人の認可取り消し、解散を決定しないといけないような事案です。当然学校側としては、組織を維持するために、たとえ事実がそうであったとしても、雇った顧問に生徒の生活の面倒を見るよう指示しましたなどとは言えず、しらばっくれないといけないのです。
正直そんなことをやった顧問も資質に問題ありというほかありません。最低限、高体連からの学校および顧問個人の排除措置、つまり部としての公式大会への参加禁止、活動の自粛、顧問の指導活動禁止は止むを得ないと思います。学校全体としての高体連加盟資格の停止もあってよいくらいです。つまり他の部もまとめて当分活動禁止、公式大会に参加できないということですね。
呆れたのは、学校がそんなことに手を染めていたことではなく(というかむしろいかにもやりそうなことです)、記事が「公立校の教職員は給与特措法により時間外手当や休日手当は支給されず、月給の4%にあたる額が上乗せされている。」と締められている点です。これでは生徒の生活の面倒を見るのは時間外勤務でしかない、生徒がスカウトした指導者の個人的な保護下に置かれるのは当然だと言っているのと同じです。記事を執筆した記者、それを訂正もせずに通した編集部の見識を疑います。

■2020年09月30日（水）　動くとわかっているのに170mも押したくないのはよくわかる

無車検ゴーカートで公道走行か　交通遊園職員を書類送検
検挙は当然なんですけど、それでもこの手の事例は痛ましいと思います。確かにたかが170mなので押してこいというのは不当とは言えません。しかし、動くとわかっている車を170m押して運搬するというのは、なかなかに納得しにくい作業だと思います。楽をする誘惑は相当強いでしょう。警察としては規則は守れと言うのが当然ですし、善良な運転者や周辺住人としては無車検の車両を公道で運転するような人間を雇うな、指導を徹底しろという気持ちになるでしょうが、そもそも押して運搬などというけち臭いことをさせたという点で、運営している江南市には責任があると思います。交通規則を守らせることが絶対なら、多少の費用が掛かろうともトレーラーやレッカーで運搬させるべきなのです。まあ、170mを数万円払ってレッカーなんて無駄遣いだという小市民根性を否定まではできないのですが、予想できる以上問題が起こらないように手配するのが使用者の義務なので、不適切な作業手順を策定して作業者に押し付け、法的なリスクを負わせ、不当な損害を与えた点については、補償をするべきです。運転免許停止の補償というと、10万円くらいにはなるでしょうかね。そもそも作業手順自体に問題があるわけですから、作業の実施に際して法を犯したからと言って、過度の懲戒はするべきではありません。謹慎だ解雇だと言うなら、いい加減な作業手順をそのままにしていた管理者を、市の管理職や市長も含めて懲戒解雇すべきです。正直道路運送車両法違反容疑にも連座するべきだと思いますが、警察の判断だと監督不行き届き程度になるんですかね。
とにかく日本の法制度は雇用者に甘すぎるので(その割に解雇規制だけ強い)、コンプライアンスの責任追及にしても制度の在り方にしても、取り締まり側が筋を通すことが必要でしょう。現場の作業者にばかり遵法精神を求めるのは筋違いです。

無車検でゴーカート、交通遊園の職員を不起訴　犬山区検
まあ、交通法規違反としては起訴する必要のない事案ではあると思いますが、今後どうなるかが問題です。

■2020年09月30日（水）　摘発して改まるのかどうか

警備大手系列、機械警備めぐり談合か　公取委が立ち入り
公取がちゃんと仕事をしているならそれは良いことなのですが、正直この例では、談合される方が悪いと思います。
そもそも機械警備やシステマティックなセキュリティでは大手系列による組織化が進んでおり、あまり選択の余地がない状況です。本来公正取引委員会による不当な取引制限の摘発というのはそうした状況を排除し、充分な数の事業者による競争的な市場を確保する手段のはずです。警備事業というのは本来人手があればできる事業で、資本規模拡大による効率化には限界があり、参入のハードルは低かったはずです。それが全国展開する大手による談合ができるほど寡占化してしまっているというのは、そもそも競争的環境を作り出す仕事を公正取引員会が果たしていないということになります。もちろん機械警備の設備への投資や遠隔監視技術の開発による効率化は大手がやりやすいでしょうが、それを大手の事業の中に閉じ込めさせてしまい、陳腐化が遅れることで、そもそも官公庁の入札仕様では新規参入しづらい状況ができてしまっているとか、あるいは入札適格性の認定のハードルが上がってしまっているのであれば(組織犯罪対策などで役務提供のコストが上がってしまっているというのはありうることです)、それはそもそも公正取引委員会を含めた市場規制側の失策です。それを行為の摘発だけしても、そもそも発注する相手がいなくなって発注側が困ることにもなりかねません。

■2020年09月30日（水）　それは有給休暇じゃダメなんでしょうか

愛犬や愛猫との別れにペット休暇　山形のホテルが新設
もちろん事情がある従業員に向けた休暇制度を設けること自体は良いことだと思います。経営者としての善意や配慮ではあるのでしょう。
しかし、それは普通に有給休暇ということでよいのではないかと思うのです。いわゆる法定有給休暇は最低限という話であって、それこそ多く保証する分には問題ありません。もちろん期間従業員や試験採用中の従業員に有給休暇制度を利用させていけないということもありません。それをわざわざ目的を限って制度を設けるというのは、そうでもしないと変に遠慮して休暇を取ってくれない従業員ばかり、あるいはそれ以外の理由で休んでもらっては困るという意思表示、休暇を取りにくい労働環境なのではないかと思えてしまいます。従業員がみんな有給休暇を使い切ってしまって不予の事態に休めないというのは考えにくいですし、そもそもそうであれば有給休暇の上限日数を増やせば済む話です。
まあ、制度にしておけば言い出しやすいですし、理由を明示させておけば職場の他愛のない会話のネタにもなるので(「○○さんペットが亡くなったんだって。みんなで香典を贈ろうか。」とか)、休暇を取る本人が気にしないのであればイイハナシということでもよいのですけどね。

■2020年09月30日（水）　払う気になれないほど高いわりには高級感のない価格

眺め独占、テレビ塔にスイートルーム　1泊18万6千円
値付けが下手なんですかね？それとも需要分析をした結果なのでしょうか。
普通に泊まるのに18万も払いたい人はあまりいないので、とにかくそこに泊まれる、宿泊料金を払えることを他人に自慢したい人をターゲットにしているのだと思うのです。逆に眺めや設備などへの満足感だけなら、3万円はともかく18万円というのはばかげています。
しかし、一泊18万円払ったと言って自慢になるのでしょうか。18万円なんて、それこそ大学生が頑張れば払える程度の額です。その程度のプレミアムにそこまでのお金を払う価値があるという気は、私はしません。これが一泊100万円とでも言うなら、提供する方にも利用する方にも感心するんですけどね。せいぜい貧乏サラリーマンの結婚記念日のプレゼント程度の、いわばしょぼいプレミアムでは、まあ部屋は埋まるだろうけどステータスにはならないよねという評価になります。
高価格帯の水準設定は提供側の自信の表れだと思うのですが、この程度でないとそもそも泊まってくれる人が出てくる自信がないのだろうと思わせられる価格設定です。これがプレミアムでは、日本人というのはつくづく貧乏くさいなと思えます。JR旅客各社のプレミアムツアートレインが出てきたときは感心したのですけどね。まああれも、豪華さではいささかしょぼいのですが、パリ～イスタンブール間豪華寝台車の旅などという企画を打てる地理的な条件がないので(沖縄本島経由で石垣島か台湾まで鉄道を通さないと無理でしょう)、現代日本の鉄道旅の制約の中では妥当な線だと思います。ホテルでスィート2部屋くらいなら、当分は3年に一度くらいしか使われなくても見栄のためならけちけちしない人が納得して使う価格にして欲しいところです。

■2020年09月30日（水）　何ですかこのサブタイトル(初合奏での滝先生風に)

米Amazonの主張に反し、ロボット導入の倉庫で重傷災害が業界平均の2倍に増加との調査報告
いやまあ、自動化したところに人間を混ぜたら危険が増える方が当然な気はしますけど。機械は配慮なんかしてくれませんもの。
それはともかくとして、「KYTをやりましょう。安全確認ヨシ！」は何か間違っていはしませんかね。まず危険予知訓練は、私が研修を受けたころはローマ字のままKYKと言っていた気がするのですが、なんでまた訓練だけトレーニングと読み替えてKYTになったのかが不思議です。そもそもあれはHazard Findingとでも言うべきもので、その場で作業する全従業員がその場の危険について見積もりを行うという意味では訓練の一環ですが、本質的にはRisk estimationです。そして、KYTと言っておいて喚呼を持ってくるのも間違っています。確かに並べて推奨される安全確保のための行動ではあるのですが、KYTは現場を見回ったり討論会をしたりしてここではこういう危険な状態が起こりうる、このようにして安全を確保すべきだと評価をするもので、実際の作業中に安全対策など必要な手順が行われたことを確認する喚呼とは違います。また喚呼は自動機器を動作させる前に行うもので、動作させた後にしていてはかえって危険です。というか、喚呼をして自動機器を動作させた後は、自動機器の動作範囲から退避すべきです。
文筆家や出版の上流工程の人が肉体労働現場の安全工学がらみの知識に疎いのは仕方ないとは思いますが(私も勤めて初めて知りましたし)、それっぽい表現を持ってきたいならまずWikipediaか中災防の解説くらい読むべきです。世の中の大人のそれなりの部分は、現業部門のある会社の事務職も含めて、その手の安全教育を受けた人なのです。ネタバンドのライブならともかく、一応真面目な解説記事でふざけておかしなことを書くと、面白くないうえに馬鹿にされますからね。

■2020年09月29日（火）　いまさら東北本線や仙石線の沿線に施設を集約してどうするのでしょうか

宮城県美術館移転構想　宮城野区住民が県に推進要請
仙台市内の中でも宮城野区はぱっとしない地域であり、公共施設が移転してくるのを歓迎することは理解できます。また県美術館のある川内や県民会館のある定禅寺通り沿いはホールを置いておくにはもったいない地域で、移転で空いた土地の再開発が見込めます。
しかし、今移転、集約するなら仙台市地下鉄東西線沿いでしょう。宮城野区ではなく若林区、六丁の目や荒井あたりであるべきです(逆側の川内、青葉山方面は東北大学の領地です)。いささか呆れた話ではありますが、仙台市の交通の結節点はJR仙台駅ではなく地下鉄の南北線勾当台公園駅と地下鉄仙台駅、南北線五橋駅あたりになってしまっています。地下鉄仙台駅がJR仙台駅地下ではなく数十メートル離れた愛宕上杉通の地下にあることが原因なのですが、そもそも仙台駅前が東西ともに商業施設で飽和してしまっており、バスターミナルとそれを支える太い道路が置けないのです。結果としてターミナルを分散させ、路線バスについては地下鉄で目的地最寄りのターミナルに移動してからバスに乗り換えるというのが公共交通機関を利用する際の定石になっています。仙石線など元の仙台駅の位置が悪いため、通勤客はあおば通駅(南北線広瀬通駅が最寄)を利用します。一方仙台駅のバスターミナルは、西も東も観光用のバスの運用に特化しています。県内が目的地の長距離バスですら、仙台駅最寄りの乗り場はターミナルから外れた道路沿い、始発は一般的に県庁市役所前(南北線勾当台公園駅)です。そうである以上、市民のための施設は地下鉄沿線に作るのが妥当です。仙石線など松島まで停車駅なしでもよいくらいでしょう。
どうせ経済状況が変わって仙台港周辺の工業団地にできた空き地の活用なのでしょうが、陸前高砂あたりに作られても不便なので、そちらは苦竹と松島の自衛隊施設にでも移ってきてもらって、市や県の施設は地下鉄周辺に置き、思う存分頻繁運転をすればよいのです。
前川建築の県美術館、一転存続へ　知事「解体は暴力的」
解体がまずいなら建物だけ残して事業移転という手もあったとは思うのですが、土地を転用できない以上事業も残した方がましということでしょうかね。
まあ、文化施設などと言わず、宮城県庁を仙台市中心部から移転すればよいのではないでしょうか。一応ビジネス街も商業地域も近い一等地ですし、せっかく仙台市は政令指定都市なのですから、仙台市内に関する業務を原則として仙台市に移管し、中心部の拠点を全て移転先に集約、土地を売り飛ばすなり貸して賃料を取るなりすればよいでしょう。市内だから、仙台市民の用務先だから地下鉄の方が便利なのであって、他の市町村からのアクセスであれば、仙台駅をハブとするJRネットワークは捨てたものではありません(同じくらい悪いとも言う)。それでも仙石線はひどいのですが、いまさら仙台駅の改築もしにくい以上(というか新幹線を通すときにでも一緒に工事すればよかったと思うのですが、あの時点では在来線の整理をやっている余力はなかったですかね)、仙石線をあおば通～多賀城間往復及び多賀城～高城町間の往復運転とし、塩釜近辺に入れ替え設備を作って仙台側の頻繁運転に対応、松島へのアクセスは東北本線経由で高城町に行ってから戻るでもよさそうなものです。

■2020年09月29日（火）　過当競争でもないのに帳簿が赤いのを責任と言われても大変ですよね

「過去の栄光」扱いの地銀にスガショック　再編の未来は
なんというか、明治のころから真面目に地元の経済の発展に尽くしてきたのにひどい話ではあります。とはいえ、そもそも銀行自体、日本銀行以外は用済みですけどね。
再編してどうにかなるのかというあたりが問題です。「だが、金融自由化とバブル崩壊で競争は激しくなり、地方の人口減で市場は縮小。大規模な金融緩和で低金利が常態化し、地銀の利息収入はしぼんでいった。2020年3月期の地銀全体の業績は4年連続で減益。最終赤字を計上する地銀も増えてきた。」のだとすれば、そもそも資本を集約したところで(人員や設備の整理は大前提として)その資本を十分に活用するだけの利息は稼げません。現状の融資残高ですら、行員が足で稼いできた面があり、そのネットワークを縮小した場合、財務の規模自体縮小することになります。つまり、郵便局と農協と電子少額決済以外の金融サービスが少人数でそれなりのパフォーマンスを見込める一定以上の規模の都市のみに集約し、それ以外からは全面的に撤退することになります。まあ、ゆうちょ銀行と農協、信用組合あたりにとっては、ユーザーの選択肢がなくなるのでボリュームを稼ぎやすくはなるでしょうが…効率は良くないので赤字体質はあまり変わらないでしょう。最悪、関東・近畿・名古屋大都市圏は金利の極端な下落、それ以外は極端な流動性トラップと日常的な物々交換経済ということになるかもしれません。つまり再編の結果財務体質が強くなった銀行が都市部でサービスを提供し、可能ならば得意分野を生かしつつ、融資金利については過当競争を展開、一方金融機関からほぼ見放されたところでは、現金収入は最寄りの大都市にある銀行の口座に固定してどうしてもお金でないといけない(税金、公共料金や大型機材の購入、通信販売など)支払いの決済手段とし、かつ決済不能を避けるためお金の使用を極端に絞り、地元では物々交換と相互の役務提供で日常的な経済を閉じてしまい、商店が農協の農機販売窓口以外はなくなる(ある意味これの一類型)という状況です。
買い物が普通にできる社会に住んでいると想像しがたいですが、どうしても商品としてしか手に入らないものやサービスはあるにしても、個人レベルではだいたいはないならないで何とかなってしまうものです。問題は公共サービスを行政機関がコントロールできなくなることで、そもそもお金で買ってもらうことで提供してきたサービスが地元の物々交換や共有設備になってしまうと、広域自治体と住民の日常生活の縁が切れてしまいます。水道は自宅の井戸から汲むとなると飲み水の衛生管理が行き届かなくなりますし、医者にかかる習慣がなくなれば健康管理もできなくなります。外部に物を売るのでなければ通信も不要です。携帯電話すら一家に一台になってしまうかもしれません。手近な拠点がないために嗜好品の通信販売や生産設備の購入くらいにしか使えないお金をあまりメリットの感じられない税金を払うために稼げと言ってしまうと、行政機関と住民が対立することになりかねません。本来、近くの医療機関にすぐにかかれるからこそ健康保険の意味があり、地元の青年団に頼らずともすぐに駆け付けてくれるから消防や警察の意味があるのです。そういったサービスが都市に引きこもってしまえば、自家用車で半時間かかるような都市の行政機関に対する住民のシンパシーは薄れます。もちろん切れてなくなるわけではなく、非日常的な用途に使う現金収入を得る場、現金でないと買えないものや役務を買う場として、そして都市から見れば自給できないものの供給源として、つながり続けますが、それこそ週に一回物を売りに行ったついでにトラックの整備と情報収集、自宅の屋根の太陽電池パネルや井戸のポンプの整備依頼をするくらいには関係が縮小してしまうかもしれません。そうなれば、都市とそれ以外は隣り合わせの別の世界ということになってしまいます。
もちろんそれでよいという立場は可能です。しかし、都市の視点で現金は何もしなくても流通するものだと思い込んで制度をいじった結果そうなってしまった場合、それは明らかに意図せざる結果でしょう。
もちろん地銀と言わず銀行自体、社会の需要に応えられていない部分や、状況にそぐわない構造があるので、何もしないというわけにはいかないでしょう。とはいえ都市部と違い、非都市部では集約による効率の向上という策は通用しにくい面があり、数を減らせばよいとは言えません。
郵便局事業は非効率だ、不透明だということで郵政民営化をしたわけですが、銀行支店があるから大丈夫と言っていたのがその支店が撤退どころか銀行自体すらなくなりかねない、辛うじて郵便局が残っているだけという状況をどう思うか、小泉純一郎さんに訊いてみたいものです。というかこのままだと郵便局もなくなって、コンビニATMまで働き方改革とチェーンの経営合理化の結果なくなりかねないのですが、家庭菜園で自給しつつネットで稼いで(稼いだ金は既存の銀行口座に入るのでそのまま引き落としの原資になる)ネットスーパーで買ったもの(代金は当然口座から引き落とし)を週一くらいで配達してもらうことになるんですかね。いやまあ、口座が銀行にあるかそれ以外の決済業者にあるかという話もありそうですが。

■2020年09月28日（月）　こういうのも資本市場の劣化なんですかね

電力容量市場、国民負担1.6兆円　当初想定の1.5倍
何が起きたのかなと思ったのですが、どうも電力の小売り単価が下がり電力供給事業の経営が短期のエネルギー調達価格や電力のスポット市場ベースになり、既存設備の効率的な稼働ばかり追求して、発電所の新設や設備強化のような長期投資を控えがちになる点を、将来の電力供給能力を扱う市場を作ることで補い、長期の投資を行うモチベーションを作ろうとしたのではないかと思います。いかにも市場原理主義者がやりそうなことですが、正直うまくいく理由の方がないのではないかという気がします。
電力需要の予測に対して供給力と価格を入札させているようですが、そもそも長期投資を行う投資家がいないのが問題なのに事業者だけで入札市場を作ったら入札価格が高止まりするに決まっています。通常の長期投資では個別の予測を元に投資と予測が外れた場合のリスクヘッジを組み合わせるはずですが、その予測を親方日の丸がしたうえで売り手を募集すれば、リスクヘッジ分を含めてコストを積み上げるのが当たり前です。設備調達時点で引き受け価格を十分に積んでおけば、将来の電力価格が安くなったとしても財務状態を悪化させずに対応することができますし、電力価格が高くなればその分儲かります。入札価格が下がるとしたら、将来電力価格がエネルギー調達コストを上回って高くなるという予測を持つ事業者が相当数いた場合ですが…この場合そもそも容量市場自体不要であることは言うを待ちません。リーズナブルに投資を回収できることを説明できる事業者がそれだけいるとすれば、普通に資金調達をして投資を実行すればよいからです。つまり容量市場に集まってくるのは自分の予測に自信が持てない貧乏人とさばを読んで吹っ掛けようとする鞘取り商人ばかりであり、つまりは妥当と思われる範囲で入札価格を吹っかける、吹っ掛けようがない事業者はそもそも応募しないということになります。代表的な市場価格指標の下で発電所建設がペイしないと判断されているのであれば、その価格指標を元に入札予想価格を出しても当たるはずがありません。
価格決定におけるモデル分析は大変結構なのですが、状況の折り込みを間違えると現実を代表しえないという意味でモデルですらなくなってしまいます。流通市場ばかり見ている弊害ではないかと思いますが(実際非常にわかりやすいですしね)、まだないものを流通市場をモデルに設計するとだいたい間違えます。その手の試みを始めてからかれこれ50年は経つわけですから、流通市場ベースのモデルからのずれくらいちゃんと評価して欲しいものです。
参考:
ちなみに約定価格の推測は盛大に間違えています。
容量市場の傾向と対策前編：容量市場の何が問題なのか？その背景をさぐる
日本の容量市場はどのようなしくみになったのか：容量市場の傾向と対策　後編

「消費者負担で、ぬれ手であわの利益も」　容量市場入札
でまあ、問題になると。
正直、電源各社としては濡れ手に粟と言われても困ると思います。それなりのコストを支払って発電所を維持し、あるいは建て替え、新規に建てているわけで、本来はそういった継続を前提とするモデルから見て余りに経営方針が短期的になった、必要なら買ってくればよいという考え方が蔓延した、だからこその発電容量確保であるわけです。そして電源各社にしてみれば、うちはこの価格なら発電所を維持する、そこまで払えないというなら発電事業の縮小や撤退も考えますから、好きにしてくださいということになります。これぞ自由市場です。
発電も含めたインフラ事業は、たしかに利回りの良い安定した事業ではありますが、一方で典型的なNIMBY運営事業でもあり、初期投資も大きく、大勢から出資を募ったうえで特許会社として一定の権限を与えられて初めてできるものです。そして大規模な資本だけに事業に伴う様々な問題に対応できていたのです。
もちろん、特に太陽光発電事業は比較的小規模な資金でもスタートできるようになっていますが、火力や原子力のように燃料さえ供給していれば安定して発電できるわけでも、一部の火力発電のように需要に合わせて電力供給を調節できるわけでもなく、そもそもFITで優遇してすら発電量としては不十分、そして供給の不安定さゆえに供給の調節を優先する電力会社というか配電会社から嫌われる始末です(火力と原子力の利権故に排除しているという主張もありますけどね: とはいえ、電源として問題がないのなら地域配電ネットワークを立ち上げる事業者くらい出てきそうなものです)。そして、小規模事業故にネットワークや供給の調整にまで目がいかず、既存のネットワークにただ乗りするしかありません。まともな発電事業者(というか発電設備の技術者)からすれば、あんな子供のおもちゃみたいなものとうちの発送電システムを一緒にするなと机を叩いて主張したくなるというものでしょう。
正直、産業資本が衰退して金融屋がのさばって、産業分野において事業を展開するために必要な技術を放り投げて「市場がすべてを解決する！」と言い放った悪影響だと言わざるを得ません。もっともおそらくこれはあくまでも過渡期の現象で、長期的には適切な設備と技術を持つ事業者しか供給ができなくなり、私的独占という形であれ安定した価格や市場が成立していくと思いますけどね。レバレッジを利かせすぎていることもあってそのあたりの時間スケールを無視して議論をする傾向があるので、一回の入札の結果に過剰に反応したり(もっとも規模の上では影響が大きすぎますが)、短期的な需給見通しに一喜一憂したりすることになります。

■2020年09月28日（月）　資質と能力って何？

行政エリートと教育現場のゆきちがいについて
もちろん日本の教員の労働条件は知的専門職としてはあまり良くない代わりに向上のモチベーションがないというか何か間違った方向を指している点には異論がないわけですが。
「私は教員の資質・力量を抜本的に向上させなければ、どのような優れた提案も実践はできないと考える。」と言いますが、ではその資質や力量というのは何なのか。少なくとも今の教育においては教員の力量に基づくのはせいぜいが児童生徒のモチベーションの喚起と教室の治安維持程度で、たいした能力はいりません。教室で講義を聞いているより喫茶店で教科書と副読本を読み込んでいる方がよほど効果があるでしょう。とりあえず、高校までの学校が市民に求められる基礎的な知的能力や教養を身に着ける場であるとして、卒業生にそのような知的能力や教養を保証する組織的教育の基盤、その要素としての教員の資質や力量というのは何なのか。そしてどのようにすれば教員を志望するものはその資質や力量を身に着け、磨いていけるのか。
「公立私立を問わず学校教員の知的能力を修士課程修了程度にたかめ」と言います。もちろん望ましいことです。システムとしては大学の教育課程を相当に変えて、今の学部課程を旧制高校レベルの教養教育とし、専門知識の習得は修士課程に集約することになるかと思います(その代わり、学部課程の年限を短縮し、修士課程の年限を今の2年から延ばす形があり得るでしょう)。学部も、教育学部や医学部といった専門家教育の形は修士課程以降に配置し、大学卒業までの課程では知的専門職に一般的に必要とされる能力、技能を希望する専門課程に進むための基礎知識を学ぶ中で身に着けることになります。もちろんこれは学習レベルの話なので、やり方としては大学進学を前提とする高校についてカリキュラムを前倒しし、大学の教養教育を廃して、大学卒業レベルで今の修士課程修了レベルの知的能力を身につけさせる形もあり得るでしょう。高校教育の複線化ということです。今の形で知的専門職に就くまでの修業年限を延長するか、下っ端の知的専門職とそれ以外の分岐を早めるかの選択になります(分岐した場合でも、高度専門職はどちらからも出るというのが理想ではありますし、今のようなところ天生産システムではなくして、例えば帳簿係の事務員(商業高校で簿記資格を取ったとか)が大学で会計学あたりを学んで雇われ経営者や士業を目指す形もある意味望ましいはずです)。では、そうした専門職育成システムにおいて教員志望者が身に着けるべきものは何なのか。少なくとも愛国主義ではないことは確かだと思いますけどね。
教員の処遇にしても、授業に会議に事務作業に研修に部活の指導に校外活動の引率に通信システムや舞台のセットアップにと振り回され、頼みのバカンスがコロナウイルス感染症騒動で潰れるような処遇は明らかにおかしいわけですが、一方で同じように授業をしているのに明らかにパートナーとアソシエイトの差があって、しかもパートナーが学校に責任を負っているわけでもないというのだっておかしいでしょう。欧米のように休暇期間中は出勤しない(というか教員と学校の契約は授業を担当する契約であって授業のない契約期間中は仕事がない)形の方がよほど合理性があります。もちろん給料も研修機関も少ない中で学校にいろいろ集約してやってきた結果ではあるのですが、それでは専門職は育たず、現場での「企業特殊的技能」にばかり通じた小役人が育つだけです。
その資質や力量、そしてその涵養を論じる際に、いかに見識があるからと言って、官僚出身の評論家に下駄を預けるのは感心しません。そもそもまさに彼らの世代が教員のキャリアシステムをいじった結果が今の能力不足で資質も向上しない教員のキャリアシステムです。在職研修ではとにかく上から課題を押し付けて忙しくさせておく、教師という専門職ではなく教員という技官として扱い、職業教師を国家資格に縛り付け、専門職団体であるはずの教員組合を排除してしまい(教員の労働組合が専門職組合の名に値するものだったかどうかはともかくとして)、本流の教育を語る資格を文部科学省と教育委員会が独占する(そして世俗側では受験産業とカルチャーセンターが広告を流す)といった教育行政を展開してきたのは彼らです。
どうせここまで考えを進めたわけですから、能力や資質はこういうものであり、このようにすれば育つと思う、教育修士号を持つ専門職がこのようにして能力を高めていくことが望ましいはずだというところまで論を進め、「あらためて具体的かつ現実的な提案を」すべきでしょう。

■2020年09月27日（日）　土地も0円、固定資産税なしでよいのでは？

町営温泉0円で売ります　にぎわい今は昔、買い手つかず
そりゃ儲かりもしないものを買う人はそうそういないでしょう。いったいなんで建物を解体して土地だけ再利用するのでなく、土地を売る話になっているのでしょうか。とにかく事業として民間に売り払って尻拭いなどという甘ったれた発想は、せいぜい博多や神戸あたりまでしか通用しないと思うべきです。観光産業の活性化の足掛かりにしたいなら、土地代や土地価格で決まる固定資産税もゼロにすべきです(優遇を期間限定にするかどうかは考えようですけど)。とにかく温泉入浴施設として活用して欲しいというのなら運営コストを最小化するような優遇措置は必要ですし、リスクを考えれば撤退時の買取価格保証をつけてほしいところです。それができないというのであれば、塩漬けの負担に耐えられるのは自治体だけでしょう。使い道がないのですから、更地にして機会を待つなり、その目があるなら他の事業に貸すなり売り払うなりすべきです。

売却価格0円だったけど　町営温泉の買い手なし、廃止も
いわんこっちゃない。

■2020年09月26日（土）　内部告発はともかく、これ以上国会を混乱させてどうするんでしょうかね

選択肢はデモ・国会論戦・内部告発
内部告発は当事者の問題ですし「問題があるなら表に出せ」というのが一応法律の求めるところなのでよいのですが。
デモと国会論戦はいかにも自称リベラルらしいとはいえ、傍迷惑にもほどがあると思います。デモというか街頭での大衆示威行動が顰蹙を買うものでしかないことは言うまでもありませんし、国会論戦にしても、ここ数年野党がやってきたような内閣の上げ足ばかり取っているような論戦や与党を説得することを考えているとも思えない抽象論ばかりの論戦では国会での審議が停滞するばかりで、かえってファシズム政権とやらの支持を増やしてしまうと思いますけどね。
いわゆる疑惑関連は、国会論戦ではなく、議員レベルの調査から国政調査に持って行き、閣僚や国会議員を問い詰める場合でも参考人質疑や証人喚問という形を取るべきです。法案を議論すべき審議をむやみに質疑応答で浪費することはもはや許されません。
新自由主義的政策は、リベラル側(新自由主義は保守・リベラルの軸とは別に考えるべきでしょう: 体制不信やアナーキズム側からのネオリベというかリバータリアニズムもあり、それこそ昨今のプラットフォーマー側はこれです)も含めて行き詰まりが見えてきていると思いますが、具体的な政策提案をぶつけることができない限り選挙のネタにすらなりません。国会での議論など無意味です。むしろ行き詰まりが見えてきている以上突っ込みどころがあるわけで、内閣の政策にケチをつけるだけでなく、ちゃんと対案を出す形で対抗していくべきです。なぜか新首相の目玉政策のひとつらしい携帯電話料金についても、健全な競争などとぬるいことを言っている内閣の値下げ圧力を具体化する提案は、それこそ市場の失敗や私的独占の規制の観点からいくらでもできるはずです。
外交も、議論をしたり方針を転換しているような状況ではありません。解決を急いで足元を見られた前首相の対ロ交渉からも明らかです。日本駐留米軍の問題は議論せざるを得ませんが、その場合でも、どうにも風儀が悪いからと言って米軍を撤退させるような議論を今しても仕方ありません。地位協定や駐留経費の問題も、国会で議論するにしろ話の進め方には注意する必要があります。管轄権を寄こせ、金は出さないなどと言えばこじれかねず、それでなら撤退するというならそれは良いわけですが、そんな安易な発想をするのはトランプさんだけでしょう。おそらく拒否されるか、より厄介な要求を突き付けられることになります。民間ベースで米国内での世論を醸成する方が良策だと思います。
というわけで、デモや吊し上げ質問などせずともできることはいろいろあります。メディアで過激な反政府活動を主張している暇があったら市民運動らしい活動を進めてはいかがでしょうか。

■2020年09月26日（土）　 16bitカラー？16bitのDOSプログラム?

16bitセンセーション１私とみんなが作った美少女ゲーム
1992年というともう32bitが出始めてたのでは(PC-9801RAが1988年)と一瞬不思議に思って、もしかして16bitカラーかと納得しかけました。とはいえ、1992年だとWindows3.1日本語版は出ていたので16bitカラーのモードもあったはずですが、美少女ゲームの主戦場はPC-9800のDOS環境で、こちらは16「色」なはずなんですよね。16bit CPUとの互換性はあったわけですが(32bitプログラミングが一般的になるのはWindows95以降)、美少女ゲームだとそもそもXMSが前提のものが多かったのではないか、16bit CPUの機種では動かなかったのではないかという気がするのですが…80286に大容量の主記憶(といったって数MB)を搭載した機種では動いたのかな？ある意味その少し前の美少女ゲームの代表作と言える「プリンセスメーカー」(29ページに登場)は、大学の先生が備品のはずのPC-9801VXで遊んでいた記憶があるので、ハードディスクドライブがあれば動いたのでしょうね。その前の美少女系ゲームというと、負けると女の子が脱いでいくトランプやマージャンが主流ではないかと思います。
それが、いつのまにかWindows3.1のハンドルを使ったメモリアロケーションすらすたれてしまって(一応APIは残っている)…64bitメモリアロケーションだとうっかりサフィックスをつけずにunsigned intを渡してしまうと4GByte以上のメモリを確保できないという方向で世代交代を認識させられる始末です(MicrosoftのCコンパイラでは64bitオプション下でもintとlong intが32bitという正直意味不明の仕様で、llというサフィックスをつけないと整数型の定数が32bitと解釈されます: size_t型の値なら64bitなんですが)。
でまあ、やはり16bit CPUなんですね。ちなみに最初の話からダウトで、16bitというかPC-9801へのシフトは1986年あたりのはずです。この年にPC-9801UVが登場、11月登場のPC-9801VM21と合わせて他社製品をほぼ排除してしまいます。1987年にはエプソンからPC-286が登場、平成になるころにはPC-9801互換でなければパソコンにあらずという風情になります。おかげで、未だに制御系にこのあたりに大量に導入されたPC-9801ベースのシステム(そしてAT系に移行できず、ハードウェアだけ取り換えて使われ続けた)の生き残りがいるのですが。そして登場したPC-9801RX21ですが、そりゃRXじゃ高級機でしょうね。普及機はEXなのですが、これは3.5インチドライブ装備で、一方で当時のソフトはメディアのコストのせいでしょうか、5インチも多かったのです。1993年には主要機種はすでに32bit CPU (Intel系なら80386SX以上)、ただし9801系も含めてソフトウェアはMS-DOSの16bitプログラムで、普通に使えるメモリは640KBが上限でした。海外ものではXMSとSVGA前提のものも多かったですけどね。EMSは、やはり扱いが面倒だったのか、バッファとして使うのがせいぜいでしたが、XMSをEMSエミュレーションで使うものもそれなりにあったはずです。
一方で若木氏のコメントはその通りで、ゲームの制作サイドとしてはX68000(1987年)やFM-TOWNS(1989年)の方が評価が高かったはずです。しかし、今と違ってゲーム機に10万円も出す人は少なく、「仕事用」と言い訳のできるPC-9801系の優勢を覆すには至りませんでした。1990年代初頭というと、この決着が完全についた時期で、シャープはX68000とAXの失敗が痛かったのかパソコンから手を引いてPDAに逃避(ザウルスです)、富士通は1992年からAT互換機商売を始めます。一方で作中タウンズで絵をスキャンするシーンが出てくるようにPC-9801でのお絵かきははっきり言って不便で、SonyやSGIのUNIXワークステーションを買えない会社はX68000やFM-TOWNSを使っていたようです。それが、Macintoshに置き換わっていきます。
一方でこのころが16bitのMacintoshが日本で普及し始めた時期でもあり、1989年にPC-9801Nを買って使っていた私は、大学でMac派の教官にさんざん馬鹿にされたものです。いや、確かにMS-ExcelとMac Draw、Adobe Photoshopは便利でしたけどね。とはいえあの当時のMacは特に日本語環境が不安定で、Mac派の教官に提出するレポートを書いていてプリンタの巻き添えでパソコンが停止、データは吹っ飛ぶプリンタのハードディスク(フォントが入っていた)は落ちる先生には怒られるという情けない経験があります。また1993年ごろには廉価な68k Macintoshが出てきたのですが、本体も学生が買えるような安いプリンタ(まともなレーザーライターは100万以上した)もメモリが足らず、こってりしたグラフをMS-ExcelからMac Drawにペーストしたとたんにハングアップしたり、印刷を始めたら10分くらい何も出てこなかったり(ページのイメージデータをいったんメモリ上に作り上げるわけですが、メモリが足りないためハードディスクに書き込まれ、さらにプリンタが受け入れられるサイズに分割されてから少しづつ送られるため、1ページ分の処理が終わるまで何も出てこない)、戸惑ったユーザーからいろいろ相談を持ち込まれたものです。私はPC9801ユーザーだっての。
そして、1995年までのトピックがDOS/Vマシンの高速VGA(というかSVGA)でごりごりとFPSをするというものです。そう、DOOMです。Macintoshは、おそらくウインドウシステムの負荷が大きすぎて、高速描画を要求するゲームには向かなかったのでしょう。こちらのヒットタイトルはシムシティですが、スーパーファミコンで初めて見た人の方が多いのではないでしょうか。このトレンドを見る限り、いわゆる美少女ゲームは、PC-9801のグラフィック環境が貧弱であったからこそ、テレビ画面よりはくっきりした絵を低速とはいえインタラクティブに表示でき、かつ描画が低速であるため動きのあるゲームには向かず、紙芝居的なゲームへと突き進んだというべきでしょう。そして、画像の扱いでは先行していたはずのMacintoshやUNIXワークステーションのデスクトップをPC-9801の美少女ゲームのキャラが彩るという事態になるのです。ちなみにMacintoshでもエロ系を見たことはあるのですが、美少女ゲームのようなリリカルあるいはポップなものではなく、劇画系の裸のお姉ちゃんが踊り続けるデスクトップアクセサリでした。
1992年と言えば大戦略IVが出た年なのですが、あれはその後のマスターコンバットシリーズにつながる、美少女ゲームの要素も取り入れたものでした。まあ、かわいい補佐官がついて、枠の中でピロピロと状況報告をしてくれるだけなんですが…あのゲームはプレイ進行モードに入ると決着がつくまで設定モードに戻れないのですが、プレイを破棄して設定モードに戻るコマンドがありまして、これを発行したときに復唱する補佐官の表情がですね…いやでもね、あのゲーム、序盤や水上戦での敗北が非常に痛いのです。序盤だと虎の子の装甲戦闘車両をつぎ込んで全滅なんかされたら、手持ち資金が少ないだけに軍団の再建すらままならなくなりますし、航空機と戦闘艦艇は補給の際資金も資材も馬鹿食いしますから、司令部まで攻め込まれて負けると資金も資材も吹っ飛んだ状態になります。それこそ補給時の支出の大きい上級の装甲戦闘車両を使うとメガネ島で補給ができずに負けてしまう状態になります。一度そうなってしまうと、軍団を作り直すしかありません。稼ぎなおそうにも、一番勝ちやすいマップで勝てないのですから。
そして1993年、CPUアクセラレーターというと通称下駄という奴ですね。あれだと、80486SXのソケットに80486DXを指すタイプでしょうか。ちなみにこれより以前は拡張スロットに高速CPUを乗せたボードを挿して低速な拡張バス経由で無理やり計算をするという、主にレイトレーシング系のアクセラレーターが中心であり、一方Windows時代になると単純で並列性の高い計算ではCPUをはるかに上回るGPUにデータをバースト転送してバッチで計算させるアクセラレーター、すなわちGPGPUが出てきます。
そして3.5インチディスケット4枚で収めようとしていますが、言っておきますが「プリメ」PC-9801版はディスケット8枚です。1990年代はPC-9801もDOS/VもまだCD-ROMドライブがまともに使えず(使おうとするとデバイスドライバにメインメモリを相当消費され、まず確実に本体プログラムが動かなくなった)、せいぜいがインストーラーにCD-ROMサポートを入れてハードディスクにインストールさせ、そちらから起動するくらいでした。というか、Windows95まではインストールメディアはディスケットだったのです。Windows95日本語版の20枚を超えるディスケット…あれだけは、FM-TOWNSがうらやましかったものです。85ページにオートディスクチェンジャーなる周辺機器が出てきますが、仕様的に厳しいにせよ(おそらく起動時に一度すべてのディスケットのインデックスをドライブ側に作る必要があり、それに1分近くかかるでしょう)、欲しかった人はいたと思います。ちなみにCD-ROMにはオートチェンジャーが実在します。
とはいえハードディスクにWindows3.1が入っているのが普通になったのもこのころなのですが、ディスケットからインストールしたゲームにブートするMS-DOSを上書きされてしまい、Windows3.1が起動しなくなるという事故が発生した時期でもありました。やらかした後輩を叱りつけてパソコンを復旧してあげたものです。いや他にも、PC-9801のゲームというのは風儀が悪くて、よくトラブルの原因になりました。というか、素直にWindowsをシャットダウンしてディスケットからブートすればよいものを、ファイルマネージャーからディスケット内のゲームプログラムを起動しようとしてエラーが出た(そもそもWindows上で動くことを前提にしていないんだから仕方がない)と泣きついてくるのには困ったものです。
今氏のコラムにある違法コピーや無断レンタルも深刻で、とはいえパソコンを買ったところで資金が尽きるのは今も昔も同じ、MS-Officeのプリインストールまではビジネスソフトでもごく普通にありました。なにしろMS-DOS用の表計算ソフトLotus 1-2-3なんか10万円近くするわけで、経費でもなければ買えない、小さな会社では従業員の数だけ揃える予算が出ず…とはいえディスケットが読めなくなってしまうと大枚はたいて買ったソフトが使えなくなってしまったりするわけで、バックアップを取るのは当然の権利だと主張するコピープロテクト解除ソフトがいろいろあったりもします(54ページ)。というか、レンタル屋の店頭に並んでるのが違法コピーされたディスケットとマニュアルなんてこともあったなあ。
もっとも、そこで自炊、つまり必要なソフトを自分で作ってしまう猛者も結構いたのが当時の事情で、LSI-C98の試食版(よくプログラミング系の雑誌の付録についていた)や、Turbo-CやQuick-Cといった廉価な開発環境に世話になった(でもVisual C++ Ver.6が出るまではそれも違法コピーが多かった)人も結構いたのです。GNUのUNIX用ツールがMS-DOS用に盛んに移植されていたのもこの時期です。ただし、TeXだけはさすがに動かず、大学のUNIXワークステーションのアカウントを持つ数理系の学生さんがうらやましかったものです。roffなら動いたのではないかと思うのですが、さすがに移植版を見た記憶がありません。今だとVisual Studioのコミュニティ版を入れている類ですが、自炊する人はむしろLinuxを入れるような気がします。
そしてバージョン問題というか互換性問題。1992年当時は機種ごとの違いで、それこそPC-9801で動くと思ってDOS/V版を買う人が問題になったりしたわけですが、その少し後、1995年くらいでしょうか、DOS/Vのグラフィックがきれいなゲームになると、グラボが対応しているものでないと動かない。つまりWindows仕様のS3 86C911を積んだマシンで動かそうとしたらVoodooやRivaでないと動かないとエラーが出るのです。まあ、ゲームは今でもしょぼいハードだと動かないものがありますけどね。
ハードディスク、1993年当時だとまだSCSIでしょうか。内蔵ハードディスクには120MBのモデルはないようなので、外付けだと思われます。AT互換機はすでにIDEが標準でした。120MBで5万円が安いとか10MBあたり1万円とか言ってますが、1988年ごろだと40MBのハードディスクが40万円はしたのです。それがあれよあれよという間に安くなり、容量も増えて、1991年ごろでSCSIの120MBで10万円を切っていたでしょうか。もっともこのころは、PC-9801用の場合SCSIデバイス自体に互換性がなく、違う会社のSCSIインターフェースボードとハードディスクを組み合わせると動かないなどということが普通にありました。DOS/Vではそういうことはあまりなかったようです(相性問題が出やすいインターフェースボードというのはあった)。というか、SCSIはもともとワークステーション用の標準規格なんで、互換性がある方が普通なんですけどね。IDEにも504MBの壁という奴があり、ちょうどこのころ問題になっていたはずです。それを考えると、120MBで5万円というのは高いのではないかと…200MBか300MBの間違いじゃないですかね？それとSTOPキー(Ctrl+Cでもよい)を押すのは本体の電源を切る前です(ディスケットについても押すのが正しいのです)。間違っても本体の電源を切る前にハードディスクドライブの電源を切ってはいけません。これはディスクの書き込みバッファをクリアし、ドライブのヘッドを安全位置に戻しているので、忘れるとディスクの回転の停止に伴ってヘッドがディスクに墜落する場合があり、ディスクが傷ついてその部分のデータが吹っ飛びます。重罪なのは当然です。今ではWindowsが終了処理としてこれをやってくれるのですが、ブルースクリーンにもならずにハングアップした場合、いきなり電源コードを抜くとこれが起こることがあります。しばらくアクセスがないとドライブの方で自動的にヘッドを安全位置に戻すので、アクセスランプが消えてから数分間待ったうえで電源コードを抜きましょう。もっとも、Windows7以降はブルースクリーンになるかCtrl+Alt+Delでのタスクマネージャーの呼び出しで正気に戻ることがほとんどですけどね。
パソコン通信、1994年だと、ASCII-netに加入したころですね。あの頃はちょうどNiftyServe、PC-VAN (後のBiglobe)、ASCII-netといった大手パソコン通信がjunetとの相互接続を始めたころでして、制限はありましたが大学のメールアドレス宛に電子メールが送れるようになりました。まあ、うっかりすると文字化けするんですが。大学のメールアドレスも貰ったのですが、あの当時は学内LANに学生がパソコンをつなぐことができず、計算機センターにでも行かないと読めなかったのです。その割に教官が出張していると電子メールでしか連絡が取れなくなってしまうので(携帯電話はまだそれほど普及していなかった)、帰宅してテレホタイムにメールをチェックすると鳥取出張中の教官からの指示メールが文字化けしていたりしたものです。でもって、junetでは掲示板とかBBSとは言わず、netnewsと言い、かつパソコン通信が特定のサイトにローカルなのと違い、管理者の都合で見られるものが制約されていましたが、バケツリレー式に複数のサイトの間で転送されていました。つまり、他の大学の人ともやり取りができたわけです。
そして1995年、色々ありましたが、何と言ってもここからWindowsが32bit前提になりました。そしてMac以外のパソコンがWindowsが前提になりました。CD-ROMが普通に使えるようになり、PC-9801/9821は急激に存在感を失っていきます。もはやPC-98x1でもAT互換機でもなく、Intel{3|4|5}86系命令のCPUとPCIバス、ATAの内蔵ハードディスクとATAPI CD-ROMを備えたWindowsマシンが標準となります。USBはもう少し後ですが、PCIでplug and playがサポートされるようになり、色々設定しなくても、組み立てて電源を入れれば自動的に正しいデバイスドライバが動くようになりました(USBでホットプラグ、つまり電源を入れた状態で機材を取り付け・取り外しすることができるようになります)。「CONFIGも書けない奴」がパソコンを使えるようになったわけです。

■2020年09月26日（土）　競技ごとに開催地を決めた方が

「五輪貴族」厚遇しません　大会簡素化、52項目で合意
いやまあ、スポンサーへの要求額を増やせばいい気もしますが。それでも、委員に使われるよりも選手や競技に使われた方が聞こえはいいかもしれませんね。
単独の大会についてはそのあたりが切り口になるとしても、ここまで競技が増えると、特定の地域で開催するのが良いのかどうかという視点もありそうな気がします。もちろん競技自体は現地委員会が決めているわけで、競技団体の要求に合わせて身の丈に合わない数の競技を抱え込む方が悪いのですが、例えば東京オリンピックと言っておいて一部の競技の開催地が北海道というのはおかしいでしょう。競技環境の問題があるならそもそも初めから札幌でもどこでも抱き込んでおけばよいし、国際委員会も招致の受付に際して条件を付けておけばよいわけで、後出しで気温がどうこうと言う話になった今回は非常に問題です。それこそハノイや香港あたりが招致したいと言い出した場合など、どうするのでしょうか。国際委員会には、コアとなる競技を規定すると同時にその開催条件を定めるなど、よりフェアな運営を心掛けてほしいと思います。

■2020年09月26日（土）　文句を言うくらいならその分を負担すればよい

アップルがFacebook有料イベントのApp Store税を一時免除。ただしゲーム企業を除く
なんでFacebookの拡販策のためにAppleが手数料を割り引かないといけないのでしょうか。Appleのフレームワークの上でどうこう言うなら、Apple Storeからの申し込みについてはApple税分をFacebookが補填すればよいのです。それでもAppleのプラットフォームを使いたいかどうか、AppleがFacebookというサービスを必要としているかどうかというだけのことです。
まあ、AppleにしてみればユーザーにはApple IDベースのサービスに移行して欲しいのではないでしょうかね。Facebook胡散臭いという主張自体はもっともなのですし。

■2020年09月26日（土）　そういえば通勤時間は勤務中だという話があったなあ

笑えないバーチャル通勤
通勤が心理状態を切り替えるトリガーになっていたというのはありうることです。また出勤中会議をするまでもなく顔を合わせる状況でしていた話し合いをテレカンで埋め合わせていることもあり得るでしょう。ちなみに、喫煙室の人脈というのもあります。
とはいえ、人間が通勤などするようになったのはここ100年程度のこと、どう見てもまだ200年は経っていないのです。それまではどうしていたのかというと、ごく一部の書記や中級職人以外は職住一体、自宅が職場であるか、親方の職場に下宿していたわけです。大都市の上層中流階級が郊外に住宅を持ち始めるのが19世紀の後半なので、そのあたりが職住一体では気が休まらなくなった走りかもしれません。とはいえ、気持ちの切り替えだけなら明確なトリガーさえあれば時間だけなら5分か10分でよいはずです。また通勤だけがトリガーになるわけではないはずで(「一連の儀式は、通勤というよりも、始業と終業に伴うルーティンワークの一種であり、本来は勤務時間内にこなすべきタスクのようにも感じる。」)、商店の主が入り口に鍵をかけ暖簾を下すことで気分を切り替えていたように、仕事用のパソコンをシャットダウンする、あるいはVDIの接続を切るといった行動で切り替えをすることは可能だと思います。むしろ居場所が自宅のままであるため環境が変わらないことで気分の切り替えに失敗している可能性があり、その場合仮想通勤では切り替えは厳しいかもしれません。
一方でコミュニケーションの密度は確かに問題です。会議以外の場で共有されていた情報というのも少なくないはずで、そのような場で培われた共通認識が作業を進めるうえでの大前提であることは大いにあり得ます。この状況で、無意識にせよそうした機会の減少を補うために会議が増えることはあり得ます。もっともこれも、仕事の組織を整理し、仕事の進め方を外注寄りにすることで補えるというのが、近代の組織論の主張ではあるでしょう。調査結果をリリースしたのがMSなのか日本MSなのか書かれていませんが、日本MSなのだとしたら、そもそも顔を見ながら仕事をすることが大前提の日本の職場がより密な打ち合わせを求めているだけという可能性もあります。またTeamsを使うような仕事はマニュアルワークだけでは済まないものである可能性が高く、その背景が投影されているのかもしれません。
ふと思うのは、朝礼や終礼は勤務かという話があったとか、通勤は実質的には拘束されている勤務時間だという話があったと思います。妙な工夫をする以前に、今まで見ていなかったところも含めて、仕事というものを効率化することが必要なのかもしれません。

■2020年09月26日（土）　頭からぱくりと、頑張りましたね

まるごと食べた！！
まあ、オイルサーディンやアンチョビも、普通は頭を落としてワタを抜いてありますもんね。抵抗感はわかります。そして、理解されなかったことやそれが残念だったこともわかります。
ただ、ワカサギとかは食べる機会はなかったのでしょうか。天婦羅を食べたことがあるのであれば、一度くらいは出そうなものですが。
次は、踊り食いあたりですかね？

■2020年09月25日（金）　愉快犯か何かですかね？

球場予約システムに不正ログイン試行→別システムに変更→同一IPから大量申込→紙に変更　川崎市
そもそもこの手のシステムではDoSや不正申請への対応策を組み込んでおく方が常識のはずですが、1日数万件程度でシステムが共通する窓口全てに影響するというのは、そもそも回線に比べてサーバーが貧弱である可能性があります。どうせこんな申請一日数十件だろうと高をくくってサーバーをケチったのでしょうか。紙での申請の想定を見直さずにネット申請を立ち上げたのだとすると、この種の脆弱なシステムになるかもしれません。紙の場合いたずらでの申請はそもそも窓口に来なければならない点でリスクがありますし、一人の人が大量に申請をしたり、同じ人が何度も窓口に来れば、おかしいと気づきます。本来ネット申請でも同じようなチェックを意図的に組み込み、さらに適切なフィルタを機械的にかけて、不正と判断したら拒まないといけないのです。申請が出たら担当者が判断というのでは間に合いません。
さすがに球場の利用申請が15万件というのはまともな申請ではないので、意図的な業務妨害であることは確実ですし、自治体の申請窓口というのは色々な意味で標的になりやすいものでもあります。嫌がらせの可能性もありますし、愉快犯なのかもしれません。どのみちそういう対象になる以上、申請処理の明確化と自動化が、ネット申請の導入においては必須だと思います。

■2020年09月25日（金）　海賊モチーフだったAppleが海賊どもに狙われる

EpicやSpotify等、アップルやGoogleにアプリストア改善を求める連合結成
別に刑務所にいなければならないわけでも、税金を払わないといけないわけでもありません。別のプラットフォームに移動する自由、別のプラットフォームを立ち上げる自由はちゃんとあるのです。AppleやGoogleはうちのプラットフォームに乗るつもりならルールは守ってくださいよと言っているだけです。UI訴訟のように法的に競合を排除しているわけではありません。もちろん、Appleのプラットフォームはおいしい市場ではあるわけですし、GoogleもAppleほど効果的にアプリを管理できているわけではないにせよ、ただ乗りしようとするとユーザーの協力が必要になることは変わりありません。またAppleにせよGoogleにせよ、アプリ自体を提供してもいるわけで、胴元が賭けに参加しているようなアンフェアな感じというのはあります。とはいえ、「アプリエコシステム全体で選択の自由と公正な競争を提唱するために業界をリードする企業」とやらが言っていることは、自分たちにはAppleやGoogleの仕組みに乗らなくてもアプリを供給し、決済手段を提供する能力があるのだから、それを活用してもっと儲けたい、自分たちに都合のよいように制度を整備したいというだけのことです。何か公正だの正義だのと言いたいなら、メーカーお仕着せのシステムに寄生していないで、せめてファーウェイと同レベルの環境整備をするべきです。
もちろん、陸の上の主権や財産権など知ったことか、海は自由だと言い放つのは一つの道ではあるのですが、ならばせめて、「Jailbreakノススメ」くらいはちゃんとやるべきでしょう。そして、マルウェアを懸念するユーザーに、われわれの環境を導入すれば檻の外に出ても安心なのだとアピールすべきです。
それにしても、そういう海賊じみた連中の槍玉に挙げられているのがかつて海賊モチーフで自社製品を宣伝していたAppleであるというのがなかな皮肉ではあります。まあ、海賊が安定した結果主権国家なり封建領主なりになるというのはよくあることなので、Appleには頑張って「あれはあれ、これはこれ」と主張していただくのが良いでしょう。

「もしも現代のアップルが初代MacintoshのCMを作ったら」というコンセプト映像が公開
でまあ、方向性は違いますがこんなネタが。

■2020年09月25日（金）　ご意見はご意見として承るがこちらにも事情があるって

菅新総理の携帯値下げ要請に対する、KDDI高橋社長のコメント全文
携帯値下げ、真摯に受け止めたい──KDDIの高橋誠社長が明言
『今後もauブランドは多様なサービスをデータ容量を気にせず無制限で使いたいお客様に提案していきますし、UQではシンプルかつお手頃価格にこだわった方に提案していきます。これに加えて、傘下のJ：COMやビッグローブといったMVNOのマルチブランドをしっかり提供していき、お客様の用途にあわせた料金プランを展開するのが重要だと思っています』
つまり基本となる料金自体を下げる気はなく、オプションプラン、サブブランドで対応するということですよね。

『いずれにしても、国際的に比較しても遜色のない料金を求められていることは重々承知しておりますので、政府や総務省の要請を真摯に受け止めて、ただ企業としても持続的に成長しなければなりませんので、通信やそれ以外の事業を含めて持続的に成長することを前提に、マルチブランドでしっかり対応していきたいし、さらなる低廉化に取り組んでいきたいと思っています』
つまり現状で対応できる範囲では対応するが、抜本的な変更は行わない、ブランドを整理する気もあまりないということですよね。

まあ、そう言うだろうとは思います。どうせ市場での競争にこだわっている限り政府ができることには限界がありますし、インフラを提供する寡占企業である以上簡単に排除できるものでもありません。
とはいえ、ここまで馬鹿にされて、とにかく落としどころを探るのか、落とし穴を掘るのか、政府の出方が気になるところです。

料金引き下げやエリア拡大に言及、au発表会で見えた高橋社長の本音
「各種値引きを適用することで」
これは実質ゼロ回答ということで、困惑しているというよりは意地でも値下げなんかするものかということでしょう。真面目に考えるならば、基本料金を下げて付加サービスでチャージをかけるのが当然です。
もっとも5Gのネットワーク整備があるので値下げを考えている余力がないというのはあり得るわけですが、実態として儲かってしまっている以上、値下げか5Gネットワークの展開か、少なくともどちらかでよほどの急展開がないと総務省から苦情は言われるでしょうね。まあ、どうせ苦情どまりだとは思いますけど。

KDDI社長「値下げは難しい」が本音か
KDDIの本音を読むのは難しいことではないわけですが、「キャリアとしては素直に「総務省の言いなり」にしてきたのに、「まだ高い」と言われても困惑するしかないわけだ。」というのは甘ったれが過ぎます。菅首相(いや、こう書くと直人さんのことを言っているような気になるのですが)は身銭を切ってでも基本価格を下げ、5Gも即刻、せめて主要都市のオフィス街だけでも完全にカバーしろと言っているのです。赤字で上場廃止されるまでやれ、配当や余計なプロジェクトやサブブランドに金をかけるなと。多分骨くらいは拾ってくれるでしょうし、過疎地のサポートが落ち込んでもかまわないと思っているかもはしれませんけど。
もっとも、強面の政権筆頭の圧力に対して困惑してみせるというのは狸も甚だしいし、そこで本気で困惑するような人がああいう会社でトップを張れるわけもないので、すっとぼけて反論して見せているわけですが。そこは石川さんも5G展開重視派なので、わかっていて「困惑するしかないわけだ。」として「5G展開の方が大事だし事業者を潰してしまったら元も子もないでしょ。」と主張しているわけです。正直、いったん潰して株主に負担を押し付けて救済してしまった方が、料金値下げの点では手っ取り早いとは思うのですけどね。
とはいえそう考えていくと気になるのがNTTのDocomo TOBで、石川氏もコメントしていますが(「値下げを実現しNTTドコモの利益率が減少しようが、NTT並びに政府は理解を示すことだろう。」)、個人的には、さして財務的に問題があるわけでもないDocomoをこの状況で完全子会社にするとなると、遠距離通信事業のNTT Communicationsも合わせて電電公社系通信事業の再統合を、通信料金引き下げとバーターで実現しようとしているように思えてしまいます。とはいえ今更電電公社系だけでまとまったところで財務状態が良くなるだけで、公益というレベルにするにはKDDIとSoftbankも吸収したうえで認可独占事業にでもしないとダメでしょうけどね。現状では健全な競争などと言っていては、投資が分散するばかりで効率が良くなりません。ああ、楽天は今のところ吸収するほどの価値はないわけですけど。
でもって「KDDIがMVNOだったUQモバイルをKDDIに移管してサブブランド化したように、NTTドコモが「OCN モバイル ONE」をサブブランド化し、ドコモショップで販売すれば、しっくりくるだろう。～NTTドコモのプランは5Gを中心とし、現在、キャンペーンで提供されている「無制限」を前提とするが、料金体系は現行プランと据え置き。～一方、菅総理が「大容量プランが世界に比べて高い」と指摘しているので、OCN モバイル ONEでは、総務省が世界6か国で比較している「20GBプラン」を安めに設定して、「世界に比べても妥当」という料金設定にすれば全て丸く収まるのではないか。」というのは見当違いも甚だしいのであって、MVNO向けの卸価格もそれ相応にしろ、むしろ今のメインのプラン、基本プランを余計なオプションをごたごたと盛った高価格サブブランドにしろと言っていると考えるべきです。NTTやKDDIが看板のプランをプレミアムなものとして維持したいとしても、店頭で値段と安心感を天秤にかけるような状況を総務省が欲しているとは思えません。国際ローミングまでつけろとは言わないと思いますが、全国どこでも不足なく通話と動画再生などを含めた一般的な通信アプリが使えて(なにしろリモート受講用の回線として使えない契約では意味がありません)、それで高校生の小遣いで払える程度を標準にすると考えるべきです。それがDocomoやauというブランドで取り扱われるかどうかはある意味どうでもよいことですが、差別化をするなら、基本プランの価格帯こそ、キャリアの特別サービス、つまり国際ローミングや高品質の動画配信オプション、動画配信サービスとのタイアップ特典をつけるプレミアムブランドでないといけないのです。まして、ユーザーから見れば当然のサービスと思えるようなサポートや保証をオプション扱いして単価の高い契約に誘導するようなやり方をすれば、それは虎の尾を踏むと思うべきでしょう。
もっとも、総務省の尾を踏んだところでネズミ一匹出るのが関の山と、キャリアは思っていそうですけど。

■2020年09月24日（木）　問題なのはそこじゃない

在宅なのに「出張」扱い、1日200円　一律支給廃止へ
「出張」が泊りがけで配置以外の場所で勤務を行うことなら、自宅勤務が出張扱いというのはおかしな話ではないですし、旅行雑費にしても趣旨を見る限りおかしいとは言えない気がします。さすがに宿泊費が出ていたらおかしい気はしますが、自宅にいることになっているからと言って、例えば近所のビジネスホテルをデイユースして仕事をすれば宿泊費くらいはかかりますしね。
旅行雑費がおかしいというなら、そもそも携帯電話を持っているのが普通、ホテルにいれば公衆無線LANが使える時代に連絡を取るのに一日200円も使うかという点でしょう。

■2020年09月24日（木）　警官が内偵調査中に私物のスマホなんか持つなよ

私有スマホで捜査情報を誤送信　兵庫県警巡査部長を処分
「公用スマホは配備されていないという。」
あきらかにここが問題でしょう。というか、内偵調査中の警察官が本庁に電話をかけて情報を照会し、それを手持ちのスマホに送って欲しいと頼むことにまず問題がありますし(スマホから写真を送れる以上、照会をかけた警官も内偵行動中に私物スマホを携行し、公務に流用しています)、そこで簡便、迅速に送る方法が(スマホでなくてもかまわないわけですが)用意されていないとしたら、スマホで写真を撮ってメールで送ろうと思うのは非常に自然です。十分なセキュリティを施した携帯用照会端末を配備することは拳銃の管理と同じでさほど難しいことではありませんし、不用意な行為を行った点については当事者が責められるべきだとしても、原因は明らかに警察庁や兵庫県警の怠慢です。
譴責された警察官の方には、この経験をもとに、警察の情報装備を改善する方向で現場の声を上げていっていただきたいものです。
というか、たぶん過去にも、それこそ公衆電話あたりから情報を照会して口頭で伝えるくらいはあったんだろうなあ。

■2020年09月24日（木）　正攻法だけど間違っている

在宅勤務の課題「自宅ネットワーク環境」を企業はどう支えるべきか
半分広告の記事なんで釣ってるだろうという部分は見逃しますが、問題なのは、解決の方向性があまりにも正攻法すぎる点です。自宅ネットワークの不安定性をIT部門のサポートで解決しよう、そのために自宅ネットワークの状況をIT部門が把握できるようにしようというのは、どうしようもなく正攻法です。どんな技術者であれ状況の把握こそが問題解決の糸口であることに異論はないでしょうし、サポートを求められたら「今どんな状況ですか」と訊くことは間違いありません。そして、サポートを求める側からは満足に状況を説明してもらえず、とにかく何とかしろという悲鳴ばかり上がってくるのもよくある話です。
だからと言って、自宅にIT部門の監視機器を置いて情報収集をするというのはいろいろと間違っています。それをやってよいなら、それこそ公安調査庁あたりに通信サポートチームでも設置して電話会社とネットワーク機器メーカーのコールセンター業務でも下請けしたらよいのです。うまくいけば適切なサポートが迅速に得られるのと引き換えに、自宅の状況が駄々洩れになります。しかも勤務先となると、気に入らないからと言って拒否しにくいという問題が生じます。確実にリモートワークに対応できるようにIT部門による監視に同意すべしと雇用契約や服務規定に書かれた場合、例えばエロ同人誌の企画会議をテレカンするからいやだと思っても断り切れないと思われます。雇用側としてはソリューションになるでしょうが、公害並みに問題があります。
まっとうなソリューションとしては、家庭用のネットワーク機器をより高度にオートノモスかつインテリジェントにするか、全国民がコンピューターネットワークを自分で敷設、設定できるようにするかだと思います。勤務先やメーカーのサーバーに問い合わせて云々だとそこで情報が洩れるわけで、あくまでも直接接続しているネットワーク内で自立する形で、安定した運用ができる設定を行えるようにすることが必要です。クラウド設定とかはもってのほかです。ログにしても、充分なログをローカルに保存し、必要なアプリケーションサービスに関わる項目を簡単に取り出せないといけません。ポートがどうとかディスティネーションアドレスがどうとかいう質問が出てきてユーザーを困惑させるようではだめなのです。ネットワーク機器メーカーとしては、経験のある組織内のネットワーク管理のロジックを家庭に延ばすのではなく、自律したLAN同士をプライバシーの問題なくつなぐという認識をもって問題解決策を立案して欲しいものです。

■2020年09月24日（木）　ネット屋のバランス感覚ではどうなるか

さくらインターネット、東京オフィス半減へ　“眺めがいい最上階”も手放す、田中社長「リモート前提」の考え方
「在宅勤務は厳しいから、どこまで行ってもオフィスは必要だと私は思っています。ただ、オフィスが東京の街中にある必要があるとは思っていません」さくらインターネット社長、田中邦裕のコメント
こういうことだと思います。働き方を云々する際は、ここから始めないと失敗するのではないでしょうか。
その一方で、そういった声が上がったことは何度かあるにもかかわらず、なぜ大都市圏へのオフィス集中、なかんずく東京へのオフィス集中が起きたかも、考えないといけないでしょう。実際、意図して集まらずとも階段を上り下りするだけで、近所の建物に行くだけでだいたいの人に会えるというのは、調整型の業務においては効率が良いはずです。まあ、これはこれでそうでなくともよい業務が調整型にされてしまうというデメリットもあるのですが。またインフラストラクチャーというのは集約されている方が利用効率が良くなる傾向があります。もっともこれも、利用が集中することで渋滞が発生して効率が落ちることもあるのですが。
通信回線というインフラストラクチャーを運営している事業者として、さくらインターネットはこの種の問題についてはそれなりの見識があるはずです。20世紀までの都市計画から抜け出せない建築屋に代わって新しいモデルを提示することができるとよいのですが。

■2020年09月23日（水）　 Mictosoft(ミクトソフト)ってどこの何屋さんですかね

Linux版Mictosoft Edgeブラウザー、10月にプレビュー版が公開へ
だから配信する前に校正くらいやれと言ってるでしょうに。rとtなんで入力ミスをすることは仕方ないのですが、出稿時と掲載時の両方でチェックをすり抜けるようなtypoには見えません。同人誌や学校の文芸部の部誌じゃないんだから、プロならプロとして恥ずかしくない仕事を心がけるべきです。

■2020年09月23日（水）　不正利用者呼ばわりはひどいでしょう

ゆうちょ銀のVISAデビット「mijica」で不正送金　332万円
「不正利用者のmijicaも16日に停止した。」
いや、これ、不正利用した人じゃなくて不正利用された人のmijica、つまり不正送金に使われたアカウントを停止したんですよね？
それはさておき。
一ヶ月様子を見ている間にぼろぼろと被害が出たという印象を受けるのですが、ゆうちょ銀行は何をやっているのでしょうか。しかも連携口座ならそもそも元になる口座のカードなりがあるわけで、カード番号などと迂遠なことを言わず、連携するには非接触ICカードとリーダーが必須でもよかったはずです。5年前には非接触ICカードが十分使えたはずですし、それ以前からのサービスだとしても切り替えはできたはずです。

■2020年09月23日（水）　経団連は自分のDXを改善すべし

「デジタル庁、国や地方をまとめる“司令塔”の組織に」　経団連が提言
窓口の縦割りはともかく、国と地方の縄張り争いはアメリカ合衆国あたりの方がよほどひどいと思いますけどね。というか、経団連は役所に発破かけてる暇があったら加入企業の窓口の整備を進めてもらえませんかね。ネットのフォームじゃ埒が明かなくてコールセンターにかけたら口先だけ丁寧な下請けオペレーターを板挟みで困らせる羽目になるのはこちらが困ります。それと必ずコールバックしてくるのも止めてください。電話を待たされるのは迷惑です。

■2020年09月23日（水）　こういう有様だからネット民が愛想をつかすのだと思う

マネロン対策が重荷　海外送金から撤退・縮小の地銀も
まあ、口座間送金でそもそも普段の取引のない銀行へということになると、リスクも大きいでしょうし、撤退は仕方がない部分もあると思います。そもそもうまみのある地域はほぼクレジットカードで支払いができてしまい、銀行間送金の必要が減っています(一千万円未満ならクレカの範囲でしょう)。
とはいえ、未だにクレジットカードが中小規模の事業者に浸透していない地域もあり、支払い方法を確認すると銀行振り込みを指定されることもあります。為替で割引のレートが予想できればまだましですが、銀行間での口座間送金に頼るということは相手方の事情は基本的にわからないということで、おそらく請求元が取引銀行にこの銀行からの為替はいくらで割引するかと聞いても、そんな銀行聞いたことがない、実際に手続をしてみないとコストがわからないから割引額も回答できないなどと言われてしまう可能性がそれなりにあります。送金に際して手数料なり割引分なりを含めていくら送ればよいかわからないというのは非常に困ります。
民間主導だと、そもそも需要を見込めないと判断されたところやリスクが大きいと判断されるところは網羅されず、それこそ送金なり決済なりといった現代の取引に必須のインフラストラクチャーとしては肝心なところであてになりません。もう少しレートが低いところで安定してくれれば、暗号通貨という線も考えられるのですが、さすがに株式市場を上回る不安定さで投機目的の資金流入で対通貨レートが上昇してしまっているのでは使いにくいものです。いやだって、暗号通貨建てで送金して相手が暗号通貨を受け取りたいお金に両替するところでレートが変わってしまっているようなことが起こりうるんだもの。暗号「通貨」などという変なものを実装するのではなく、作成時点で対通貨両替レートが確定するような為替として実装してくれればよかったんですけどね。その場合、外国為替市場みたいな取引になるのでしょうけど。
できないと言うのを無理にやれとは言えませんし、そもそも銀行自体が時代遅れの代物で、期待などしても仕方がないのでしょうが、取引の広域化はここ100年の顕著なトレンドですし、少額決済だって20世紀末から出ている話ではあるわけです。見えていて当然の話を無視しておいて、偉そうな顔をするのはやめてもらえませんかね。

カニ購入→海外送金断られる業者　マネロン警戒する銀行
こういうことです。
まあ、銀行間送金(いわゆる電信送金)に頼らずとも送金する方法はいくつかあるので、断るならそういう手段を案内してくれれば済むはずですが、そもそも送金という行為自体が問題視されているわけで、それこそお互いに取引のある銀行の窓口のある都市で合流して現金を受け渡すような羽目になるかもしれません。
もっとも、こういう利用者の不便を顧みない、ニーズではなくコストばかり気にする銀行はそのうち潰れると思いますけどね。

■2020年09月22日（火）　けち臭いと言えばそうなんですが

国や東電の批判NG?　伝承館語り部に要求、原稿添削も
まあ、今の国に国策を批判するような施設を許容する度量はないでしょうね。金を出す以上は口も出すというのは、特に公的なお金である以上ある意味当然だと思います。それを見越して設立時に対策をしておくのがむしろ当然のことなので、現時点での市民団体の存在意義はそこにあります。公益に資するが過去や現在の政府(国にしろ自治体にしろ)の政策に反するような事業の受け皿になり、資金を集めて経営を安定化させるのです。捕鯨文化の展示施設に反捕鯨団体の関係者が入館しようとして揉めたことがありますが、日本の原子力政策を批判する展示施設に、電力会社の関係者が入ってきていちゃもんをつけたり、手先の市民団体が営業妨害をするようであれば、施設側は当然に管理権を行使できますし、過度の営業妨害となれば刑事案件です。そうやって実力で文化なり負の記憶なりを守るのが節度のある活動というものであって、たとえ募金活動であっても街頭で怒鳴り散らすのは穏当とは言わないのです。

■2020年09月22日（火）　働かせすぎと処遇の格差は別問題

仕事は増える、ボーナスは出ない　秘書が訴えた「格差」
それ格差かね？いや、仕事量が多すぎるという主張はその通りだと思うのです。大学もそうですけど、研究系の公的機関の無法地帯ぶりは半端ではないのでね。そこは事務方や教員が襟を正し、適切な人事や労務を行わないといけません。雇ってしまえば何をやらせてもいいなどということは絶対にないのです。やってしまったことはちゃんと賠償金を払って始末したうえで、同じことが起きないように、秘書(やサポートスタッフ)の業務をちゃんと整備し、適正な人員配置や職務管理を行わないといけません。
とはいえ、元から臨時雇用扱いである教員や教室の秘書と、教員や正規の事務職員の処遇に差があるのが問題かというと…どちらかというと期間の定めのない雇用への移行を前提としている現行法制の方が問題があると思います。
そもそもが日本の雇用システムが雇用主本位でいい加減で安易に人を雇えてしまうことが問題なので、まずは経営者側に、労務の適正な運用を強制するべきです。職務記述書の作成と審査で業務が止まるくらいでちょうどよいはずです。その上で、この職務であればこの処遇が適切だという判断をした方が良いのです。もちろん本来は労働組合がそこに関わり、少なくとも現場の労働者から見てその職務記述や職務範囲がどうだということを主張すべきですが、まあ、日本の労働組合には無理でしょうね。代わりに監督当局が頑張るしかありません。

アルバイト秘書に賞与なし「不合理とまで言えず」最高裁
でまあ、こうなったわけですが。
ボーナス寄こせなどと訴えるからこうなるのだと思いますけどね。雇用側の業務の設定における義務の懈怠により損害を被ったので賠償しろと言えば、少しは違ったのではないでしょうか。その場合の損害の算定については、正規社員なり契約社員なりの給与額なり一時金の額なりを援用できるわけですし。
いわゆる賞与(というか定期賞与)が何であるのかについてはいろいろと議論があるわけですが、基本的には雇用側の義務的経費の算定基準には含まれないが経費として法人事業税の控除枠には算入できる労働者への支給というのが唯一の定義だと思います。つまり雇用側から言えば「賃金」ではなく、支払い額についても支払い対象についても裁量がある。正直そこを「ボーナスには働いたこと自体への功労の趣旨もある」と言ってしまうことには無理があり、労働契約において定期賞与の支払いが取り決められていない以上支払いの必要はないというならそうだと思います。同一労働同一賃金と言うなら、給与に差をつけるならそれにふさわしい差を仕事の内容にもつけろという話になるように思います。その点でアルバイト秘書の仕事がマニュアルワークでもなければしかるべき職務記述書もなく、ずるずると範囲が拡大していくものだったことには問題があるので、例えば労働基準監督署なりが適切な基準を示し、それを超えた内容については少なくとも労働者が拒否できる、雇用者は正規社員に回すなり増員するなりする、すでに生じてしまった労働については仕方ないので賠償して清算する、だって仕事があるんだもんなどという雇用側の甘えは許さないというのが同一労働同一賃金ということです。もちろん逆側で、労働者としてはこれ以上はやらないと言うのが義務で、労働者がこれもできるからやらせろ、その分給与を増やせと言ってきても雇用側は拒否できるということです。
そういう意味でボーナスを払えというのは筋が悪くて、ボーナスを払わないのは不当だ、今までの分を払えとした場合、それが前例になってしまいます。つまり今後もボーナスを払い続けないといけないことになります。これは将来の労働コストの増加を避けたい雇用者側にとっては避けたい事態ですし、そのための有期雇用、アルバイトです。まあ、筋論から言えばそこで労働コストの増加を気にするくらいなら労働の効率を改善して長期の雇用と条件を確保しろということになるのですが、どのみちそれに失敗すれば経営破綻で全員の雇用が失われるわけで、そこまでの義務は課せないでしょう。裁判所としてはおかしな前例は作れないというのは理解できるし、そこはちゃんと読んで訴えないといけないと思います。今後仕事を整理することを前提にこれまでの分について賠償金を払えというなら、まだしも話し合いのしようがあるでしょうし、仕事の整理さえちゃんとすれば前例になるとしても人件費の増加は抑えられるかもしれません。まあ、教員や学生が不満を持つかもしれませんけどね。本来は労働組合がバックについて適正な水準を勧告するべきですが、現状そんな期待はできないので、具体的な基準についての行政なり司法なりの介入は止むを得ないと思います。

■2020年09月22日（火）　日頃の行いって大事だなあ

デモ起きるNYは「暴力容認区域」　司法省発表に市反発
街頭での大衆示威行動に対して厳格な対応を求めること自体には正当性があると思うのですが、トランプ政権が言うと嫌がらせをしているようにしか見えません。「（認定は）完全に政治的で違憲だ。トランプ政権は自らの失敗を隠すため、批判の矛先をほかに向けている」という対応も納得できます。正直どっちもどっちで、「暴力と器物破壊を容認している行政区域」という指定自体は非常に納得でき、デモを理由に「不要不急の渡航はお控えください」が出てもおかしくないと思います。愛があればよいってわけではないのですよ。
もちろん一部の過激なトランプ支持者や極右の街頭行動も問題であることには変わりありませんので、アメリカ合衆国司法省には、そのあたりにもちゃんと対応していただきたいものです。

■2020年09月22日（火）　再起動で設定が吹っ飛ぶのはひどいな

「iPhone標準メールアプリをGmailに」がついに実現。ただしリセット後は要再設定
「ただし、記事執筆時点ではiPhoneやiPadを再起動するたびにデフォルトのアプリがリセットされて、Safariや純正メールに逆戻りするバグがあることをアップルが公式に認めています。」
そりゃバグだよね。実は正しい仕様なのかもしれませんけど。
この記者には珍しくまともな記事だと思ったら、ネタがまともなだけでした。そもそもスマートフォンやタブレット単体でながら作業というのが間違っているので(だってサイドで動画を再生しているときに電話がかかってきたらどうするんですか)、動画を流しっぱなしにしておきたいならARグラスの片方にでも動画を流しておけばよいのです。重さは筋力と精神力でカバー(by 音海モアさん)してください。スマートフォンはそういうデバイスじゃありません。

■2020年09月22日（火）　他の人の論説がドコモをかばっているように見える

人を欺くプロのマジシャンが考える、「ドコモ口座」問題の脆弱性とは?
視点なのか文章の問題なのか、こういう論説なら抵抗を感じないのですけどね。あえて付け加えるなら、バランスが取れていなかったことが問題というよりは、ドコモ側と銀行側でバランスの適正な位置の認識がずれていたのをすり合わせなかったのが問題というあたりでしょうか。
「今回の事件、一番悪いのは預金を詐取した犯人です。」というのはもちろんのこととして、脆弱性があったことについて責任を取るべきなのは、どう見てもドコモと銀行のこの手の企画の担当者だと思います。事業をしている人は末端の顧客と違って「知らなかった」では済まないわけで、少なくともIT関係者から見れば問題があることは明らかなのですから、ドコモには意図的にバランスを利便性に振ってあるからリスクがありますよと説明する責任があるし、銀行にはサービス全体を精査してリスクを明らかにし、事業を始める前に対応策を検討する義務があります。どちらもそれを怠ったのですから、事業開始の判断を下した時以降の経営者も含めて、義務を懈怠した責任を取らないといけません。賠償して済む話ではないので、懲戒処分になるわけですが、顕在化しなかったものの不注意で無用のリスクを生じさせた責任の処理というのは制度が整っていなくて、難しい問題ではあります。とはいえ、あんな間の抜けた説明をして恥じない人が経営しているところで電子口座を使いたいとは思わないのですけど。

dアカウント、回線未契約でも生体認証のみでログイン可能に　iOSから
いや、前から進めていたのはわかりますけど、よりによってこの状況で実施ですか？
馬鹿じゃないの？

■2020年09月22日（火）　日本の宝とまでは言いませんけどね

「日本の宝・中小企業」をイジメる菅総理は、「悪」なのか
再編圧力を強めるならそれは悪でしょう。株式会社の会計制度を規模によらず同じにする、真面目に帳簿をつけたくなければ合名会社か合資会社にしろというなら構いませんけど。
事業の私物化自体は、そもそも事業というのは私物であって、だからこそリスクを取る気になるわけですから、個人事業や同列に扱うことが可能な親族経営なら、外車を乗り回そうがゴルフ場の会員権を収集しようが全く問題はないわけです。問題なのは、それを経費につけて色々ごまかそうとするとか(事業所得税の節税だってこの場合ごまかしです)、物的会社にしながら私物のままにする場合であって(しかもこれが節税策だったりします)、大規模顧客や金融機関に家族経営や人的会社を評価する能力がないこともあり、株式会社でないと融資が受けられないとか、とにかく株式会社と名乗っておけばとりあえず取引で信頼してもらえるなどという馬鹿げた事態になっています。そこをちゃんとすれば、中小企業でよいというのは(適正規模という話もあるわけですし)別に悪いことではありません。むしろ無意味に規模を拡大し、従業員を増やす方が、経営効率を下げる問題行動です。
従業員の扱いも、家族経営なのに賃労働者を雇用できるという(まあ、雇用自体は個人でもできるわけですけど)制度のわりに一定以上の規模の組織でないと監督当局の監視が行き届かないという制度上の矛盾であり、規模は本来関係なく、監督当局や一般労組がまじめに仕事をすればよいだけのことです。もちろん労使関係の適正化によって雇用のコストが上昇してブラックな雇用が減れば失業率は上がるでしょうが、少なくともアトキンソン氏の主張はそこはそこでちゃんと手当てする、半端な中小企業が減ればフリーランスの組合で仕事を受けるとか、まっとうな労働条件で仕事を回せる事業体に転職するとかもできますよという話でしょう。
そのあたりをすっ飛ばして中小企業にだって問題もあるという論調は、もちろんマスコミの論陣のカウンターパートを提示するという意図あってだとは思いますが、落としどころをミスリードしかねません。ディベートは構いませんが、手持ちの手垢にまみれたクリシェを基盤に据えたレトリック技術の誇示ではなく、事業の成長とは何か、私企業とは何かを見据えた上で議論を展開して欲しいものです。
正直この人を自営でやらせておくと危ないので、どこかのコンサルティングファームに縛り付けてスポークスマンでもやらせておく方が良いのではないでしょうか。

■2020年09月22日（火）　安倍政権がファシズム政権なのではなく

私は非常識な少数派ではない
政権担当者の政策実施における独善と決定過程の独占、行政への権力の集中、正当化策の広範な実施などを見る限り、安倍政権にファシズムないしは同時期の国粋主義的独裁指向政権との親和性がないとは言いにくいのは確かです。ただしそれを言うなら、日本は少なくとも1980年代中期以降ずっと、非自民政権や短期政権も含めてファシズム政権ばかりです。
まあ、市民活動家も赤い旅団やグリーンピースの同類に見えるので、「ある「特異な時代」は、ある「特異な人物」を調達するのであろう。」というか、その時代の人物はその時代にふさわしいものばかりになると言うべきかと思います。つまり、「特異」と言ってしまうと、時代における普遍性という性質を見落としてしまうのではないでしょうか。
ちなみに個人的には、中学生が教室で社団の、あるいは全員の未来を語っている方がよほどおかしな情景であって、ありていに言ってファシズム時代の残滓を感じます。粗大ごみを雑木林に投棄することは決して褒められたことではありませんが、とはいえしかるべき金銭を払って処理施設に搬入するよりはよほど人間の本質に即していると思います。

■2020年09月21日（月）　舐め切っているという方が

菅首相就任に通信業界関係者の身震いが止まらない
確かに値下げおじさんが首相になったのは困惑する事態でしょうが、そもそも総務省は圧力をかけるだけで、真面目に仕事をしていません。キャリアとしては、ケチをつけてくるだけでいつでもどうにでもごまかせると舐め切っているのではないかと思えます。
MVNO政策との齟齬も、そもそもMVNOの導入が料金低下の道具でしかなく、その政策ではキャリアの卸値が下がらない限り料金が下がらない、あるいは料金と一緒に品質も下がると、ある意味では見放した結果である可能性があります。
総務省が携帯電話料金の低下と品質の維持を重視するなら話は簡単で、卸の回線使用料を統制してしまえばよいのです。MNOはこの値段で回線をMVNOに提供すること。そう決めればよいのです。料金水準自体は、料金を下げろ下げろと言っている以上一定の根拠をもって算定が可能なはずで、品質も、ネットワーク自体の品質を落とせばMNO自身に跳ね返ってくるわけですから、MVNOとのゲートウェイで品質を落としたところで嫌がらせ程度の意味しかないはずです。そもそもMNOは三社がようやく四社になるかどうかという極端な寡占状況で、統制をかける理由は十分あります。
問題は総務省にそれができるかという点で、新自由主義、市場効率思想にこだわっている限り、それはできません。この点で、MVNOはともかくMNOは、振り回されて損失を被ることには身震いしているかもしれませんが、所詮弱腰の役所でいつでも出し抜けると舐め切っているという方が正しいように思います。端末割引規制がかえって収益を改善しているというのもそういう話で、本来総務省としては端末価格は製造コストに見合ったものとし、料金部分を下げるという発想だったはずです。つまり、端末割引規制と合わせて回線料金規制も行わないと意味がなかった。それをまともにできなかった時点で、総務省は脅してくるだけで武器は抜かないと、MNOは高をくくったのではないでしょうか。

菅総理と武田総務大臣の「携帯料金値下げ」発言、3キャリアはどう受け止めた？
「　9月18日の会見では、具体的な値下げのレベルについて「1割では済まない」趣旨のコメントも残している。「もっと健全な市場競争が果たされれば、1割以上の値下げも可能と踏んでいる。1割で決めつけていいのか。できる限り公正な競争の下で通話料金を下げたい」と同氏。」
こういうことを言ってると下がりませんからね？少なくともユニバーサルサービスを撤廃しないと、設備投資の負担が大きすぎて、競合になるような新規参入が起きません。それで健全な市場競争など起きるはずがないのです。まずちゃんと競争になる環境を整えるべきです。あまり大都市圏だけひいきになるような政策はありがたくないのですが、とりあえず三都の地域キャリアを認めるあたりから始めるのが楽なのではないでしょうか。

■2020年09月21日（月）　株式会社の会計にのれんを計上してよいのか？

大戸屋買収の渦中に、コロワイドが「場外乱闘」に巻き込まれた理由
減損テストから見る、コロワイドが新潮にブチ切れた理由
企業の経営状態を把握するために作り出された概念のひとつが「のれん」(会計英語ではgoodwillになるらしい)であるわけですが、当たり前ですが収益力の評価というのは極めて恣意的なものです。もちろんその時点での過去の稼ぎはちゃんと数字で出てくるわけですが、それが来期も続くのかといった部分は未知数です。
人的会社であれば、社員が納得している限り貸借対照表が赤字だろうがそれを収益見通しで埋めていようが気にすることはありません。実現すればそれでよいですし、しなければ社員が穴埋めをするだけのことです。
しかし上場株式会社のような物的会社の場合、帳簿上の赤字を資産評価額で埋めてよいのかどうかには議論があると思います。そもそも近代的な株式会社が資産の収益性が問題になるようなリスキーな経営をやってよいのかどうかが問題です。昔の、単位持ち分制度の期間限定の会社(つまり継続は予定されていない)という意味の株式会社であれば、資産の収益性は設立時の経営方針に織り込まれているわけですが、近代の、有限責任株式とその市場取引に立脚する株式会社の場合、会計記録による経営状態の把握が極めて重要で(なにしろ株を市場で買う人にはそれ以外の情報がないことが多い)、経営者による収益性の評価が会計に入ってしまうようでは株主や株主になろうとしている投資家が経営状態を評価することができなくなります。アナリストによる評価にしても、恣意的である点では経営者のそれと異なりません。債券であればとにかく利子が支払われているなら健全、後はリスクで済みますが、株式の場合株主が経営の評価も求められているわけですから、経営者が自分は健全だと思うと言っているのを鵜呑みにするわけにもいかないのです。
その意味では、コロワイドを含む上場株式会社には、非常に厳密な財務健全性を課す必要があると思います。のれんは元より、各種資産の評価額も、時価の上下で含み益や含み損が出るようなものはゼロ査定とし、その上で黒字であることが必要です。
そうした意味で、のれんに過度に頼ったことを指摘されて反論せざるを得ないような経営というのは、会計基準上は問題がないとしても、上場株式会社の経営としては極めて問題があるように思います。
まあ、論説報道系の週刊誌が変な根拠でいちゃもんをつけることは昔からあって、特に敵対的買収のような派手な行動をとったところは標的になりやすいのですが、会計基準上は問題ありませんというのは当事者や会計監査人が言っていればよいことで、それで原稿料を稼ぐというのは感心できません。

■2020年09月21日（月）　レンズと畳は新しい方が良いでしょうけど

第6回：もはや不変と呼びたいキヤノンEFマウント
「というわけで、これでまたRFレンズの新規導入が遅れてしまいそうな気がします。ありがたいような困ったような。キヤノンさん申し訳ありません。」
マウントアダプターを使うような人はキャノンユーザーとは言えないという話もあるようですが、昨今とにかくボディもレンズも重くなるんですよね、キャノンに限らず。まあ、メーカー純正のエントリーモデルのキットレンズのようにもはや持ちにくいほどサイズも重さも切り詰めたものが良いかと言われると、それならコンパクトでいいよねって言うね。
動画については向こう10年くらいで8kがデフォルトになっていくのではないかと思いますが(それくらいしか設備投資のネタがないし、家電メーカーの差別化競争のせいでどんどん受像機が8k化してますから: パッケージメディアだけ取り残されると見ました)、商業写真で4kが必要になることはまあ、ないでしょうね。印刷物の解像度は写真用とされるプリンターより低いはずですし、判型もA4以下が普通、A3やポスターでようやく4kでしょうか。もちろん展示会用であれば、高解像度の大判に耐える画質も活用できるでしょうけど、昨今はそういう用途では「味」のほうが重視されたりします。Web向け素材などそもそも100Mpixですら持て余すわけで、8kに対応できる解像度とか表現力を向上させる大口径などと言われても仕事に使いようがないというのは、納得できます。
とはいえ、ハイアマチュアの購買意欲を刺激すべく大口径レンズから順に投入される状況がいつまでも続くとも思えず、EFマウントボディが製造終了となるにつれて普通の用途向けのRFマウントレンズが供給されていくと思います。とはいえそういうのは普及版なわけで、絞りリングはついていないかもしれませんね。ズームリングだけはなくすわけにはいかないのですけど。
とはいえ、個人的にはやはりレンズにフォーカスリングと絞りリングがついていて欲しいと思います。ボディ側にあると使いにくいのですよ。特に、背面の下部にやたらと制御機構がついていると構えたときにM4/3ですら指が届かない、ファインダーを覗いているときなど絶対操作できないのです(背面液晶のタッチなんかなんに使うのかいまだに疑問です)。だからといって上部や前面というのは制約があるわけで、ある程度レンズ側にコントローラーがあって欲しいのです。もっとも保持しながらリングを回すというのは結構慣れが必要なので、スイッチというのはありだと思うのですけど、そもそもM4/3のレンズは短すぎてコントローラーを置くスペースに乏しいのです。

■2020年09月20日（日）　公道でのイベント自体控えた方が良いのではないか

市街地を駆け抜けたカート　島根で日本初の公道レース
もちろん道路管理者の管理の下でやっているのだと思うので、法的な問題はないのでしょう。有志が勝手にやっているイベント(走り屋や一部の自転車イベントなど)ではないわけです。
とはいえ、色々理由をつけて屋台禁止だとか集会禁止だとか言っているご時世に、観光イベントなら公道でやってよいのかという気がします。もちろん、公道は理由があれば届け出の上占拠してイベントに使ってよいのだというならそれでよいのですが、それならば屋台だろうとカフェのオープンスペースだろうと示威行動だろうと政治的な主張に絡む集会だろうと、届け出は競合しない限り受理されてしかるべきで、競合にしてもまずは仲裁を試みないといけませんし、理由次第で受理しないなどということがあってはなりません。公道というのは通行するためのもので、イベントスペースではないと考えるからこそ、往来の邪魔になるから受理できないという話ができるのです。政治団体のデモはダメで役所肝入りのイベントは良いというのはアンフェアです。
個人的には、公道ではイベントをしないというのが正しいと思います。イベントにも使うというなら少なくとも日中の車の入域を規制するのが筋です。つまり「公道」ではなくしてしまうわけです。道沿いの商店街も、歩行が前提だから意味があるのであって、自動車での通行で沿線に店があっても路上駐車で邪魔になるだけです。広場に道に変幻自在、車が通れば沿線が潤うなどというのは時代遅れの発想であって、自動車を効率的に通す道と人が活動する広場とは峻別されないといけません。そして道を塞いだら犯罪者として扱われるべきです。

■2020年09月19日（土）　そもそも出席できないのなら辞職すべきでは？

出産立ち会いは「事故」？　仙台市議、欠席規則に異議
議員や首長に奥さんがいて子供を出産することの方が問題があると思うのですが。
もちろん個人として妻の出産に立ち会い、子育てを行うことは大事な権利ですし、望ましいことだと思います。むしろ公職よりよほど大事でしょう。しかし、議員や首長の職というのは本人の辞職なくしては替えがきかないものであり、事情があるから議会を欠席するではすまないのです。欠席で定足数を満足できなければ議事が止まりますし、そもそも議会での活動を期待して票を投じた有権者の期待を裏切ることになります。任期中議員としての活動に支障が出ない自信があるからこそ立候補していると考えるべきで、妻が出産するから、育児があるからというなら欠席を申し出る前に辞職すべきです。いやまあ、出産への立ち合いは欠席もやむを得ないかもしれませんが(一回だけですしね)、育児の場合少なくとも5年はある程度の頻度で発生します。これは、議員としての活動を継続しがたい理由だと思います。
ところで、法律用語としての事故は、いわゆる事故ではなく、この場合なら出席に支障が出る相当の事情という意味ではないでしょうか。確かに奥さんの出産やそれへの立ち合いを事故呼ばわりされるというのはうれしくないでしょうし、その他であって明確に配慮すべき理由があるなら、明文として追加することは適切だと思いますし、配偶者の出産や子女に関わる重大な行事への立ち合いは追加されてしかるべきだとは思いますが、列挙してはいないけれども相当の事情がある場合議長なりの判断で欠席を認めることができる旨の規定を曲解するのはおかしいと思います。

■2020年09月19日（土）　これでもサプライサイド？

家計の預金、過去最高の1031兆円　消費減と給付金で
ここまできて預金が積みあがるというと、やはり家計が流動性の罠にはまっていて、消費を控える層と消費せざるを得ない層が開いているのではないかという気がします。投資マインドが冷え込むのは仕方がなくて、そもそも証券市場自体が色々やって燃料を追加して燃え上がらせた資金供給主体の膨張で、それでも上がりきらずに大半の投機案件が元本割れ、その分預金に積みあがった現金は低金利政策と銀行の融資能力不足によりデフレを見越してしまって活用されずに退蔵状態と化し、現金を供給してもひたすら預金に積みあがり、実需どころか金融市場にも出ていかない状況ができつつある、ように見えます。
まず景気の刺激策が必要であることは言うを待たないでしょうが、合わせて、いったん預金を安全な金融資産に吸収してしまうべきではないでしょうか。株式のようなハイリスク資産では限界があり、景気が悪い以上融資や企業債も難しい以上、とりあえず国債で預金として積みあがっている現金を回収するしかありません。ゼロ金利政策で銀行間取引金利が落ち込んでいる以上国債は目減りしないだけで十分であり、つまり十分な量の割引債を長期で発行すれば済みます。民間への現金供給が金融チャンネルで必要になればその割引債を担保に日銀から供給すればよいわけで、増税のようにポジション自体が帳消しになってしまうのではないだけに名目のボリュームを保ちつつ実質的な通貨供給を絞る効果があるはずです。それでリスク資産の価格が低下するでしょうが、低金利で資産価格が下がれば、資産アセットを誤った層を犠牲にしてではありますが、安全資産を確保した層が事業を始めやすくなります。その上で、割引債で集めた現金を使ってどうしても必要な層に現金が廻る形とやらなければいけない(と思う: 主観で構わないが事業組織の救済は考えない)事業に資金が廻る形で公共事業を実施、そしてできれば金融の上に決済が乗る形ではなく、決済が単独で回る形を整えるべきだと思います。国際決済が金融をベースにしている点はすぐには変わらないでしょうが、そもそもこちらは少額決済はクレジットカードシステムベースに移行している状況であり、大規模決済はルートが確立しています。国内決済のように金融システムのパフォーマンスが下がって利便性が低下している状況ではありません。
増税では公平性の問題があるため余った資金を狙い撃ちにして回収するのに限界がありますし、ポジション自体を縮減してしまうため経済の潤滑油としての機能まで損なってしまいます。短期の見通しに経営資源の運用を合わせる形では、全体ではボラティリティばかり上がって長期的なパフォーマンスが改善しません。資本市場では必要な機能を果たせないことが明らかになった以上、経済政策としては、現金供給の見かけのボリューム保ちつつ余剰資金を恣意的であっても長期的な観点から事業に投入する必要があります。

■2020年09月18日（金）　尊重はしているだろうけど尊敬はしているのだろうか

「タトゥー文化への尊敬感じた」無罪確定の彫り師側語る
「一審と控訴審で主任弁護人を務めた亀石倫子弁護士は、「彫り師という職業を守るための闘いだった。最高裁の判断は、彫り師という職業とタトゥー文化への尊敬を感じる素晴らしい内容だった」と話した。」
このコメントを理解できる感性は持ち合わせていません。もちろん違法でない職業というのは法律上の取り扱いにおいて尊重されるべきで、正直報道されている判決はずいぶんと無理をしているような気がしますけれども(正直その主張ならば美容整形というのは医療行為ではないのかと思いますし)、侵襲の程度として医師に任せなければ安全を保てないというレベルではないというならその通りだと思いますし、それを医師法違反で摘発したのは筋違いだから無罪というのは理解できます。法執行の上で、道徳観念を貫徹するために恣意的に、あるいは杓子定規に法律を適用することはあってはいけないと思います。特に日本の法律はある程度意図的に厳密さを落としてあるわけですから、恣意的な刑事罰の適用には大きな問題があります。しかし、タトゥー文化が尊敬されるべきものかというと、そうではないと思います。どうも文化なら何でも尊敬され、尊重されるべきだという感覚が業界人や文化人にあるようなのですが、それを言うなら殺人だろうが傷害だろうが窃盗だろうが文化には違いないのです。昨今の問題なら虐待も幼児への性的行為も文化には違いありません。まあ、本来の文化の意味(中華文明(culturaに由来するというなら地中海都市文明)に適応させる)ではなく、19世紀後半の国民主義から始まる意味での文化、英仏のcivilizationに対抗する意味でのKulturで、エスニックな習俗と言った方が良いのでしょうけど。それをとにかく守れ尊敬しろというのは、不見識だと思います。さすがに現状鯨面文身は化粧とは言わず、せいぜいがしたいならすればいいけど感心しないというレベルだと思います。それが尊敬されるべきものだ、尊敬されているという主張には、非常に違和感があります。それを施術する職業が迫害されるべきだとは全く思いませんが、個人的にはタトゥー文化を普及と言われたら寄るな、あっち行けと言います。施術ミスで客に被害を与えたといった理由以外で摘発されていたら差別だ、迫害だと抗議しますが、顧客がいなくなって撤退する分にはむしろ望ましいと思います。もちろん個人の好き嫌いの部分なので、この弁護士さん個人が尊敬するというなら気にしませんけど、公的な意見、判断を下している裁判官(個人としてどういう意見を持っているかはともかくとして職権として判決を出している状況)についてそうだと言われると、あまりいい気はしません。ポジショントークはしてしかるべきですが、裁判の判決という公的な意見について過度に自分のポジションを投影したコメントをするのは、本人ではなく資格のある代理人としてはふさわしくないと思います。
まあ、職に貴賎なしではなく、職に貴なし、ただ賤であるのみではあるでしょう。

■2020年09月18日（金）　あまり市民団体に同情できない

市役所前の護憲集会、不許可は「適法」　市民団体が敗訴
集会の自由を侵害しているという主張はわからないでもないのですが、正直他にやる場所はありそうなもので、市民団体に同情できません。
集まって何かやろうというだけでなく、そもそも人目のあるところで集まって主張をアピールしようという趣旨で、だからこそ兼六園のすぐそば、美術館などに隣接する市役所前広場の使用を希望したのだと思います。そんなところで、フリーマーケットならともかく市民団体の集会などやって欲しくないという市役所側の都合は理解できます。1980年代までならともかく、主義主張をアピールするために目立つところ、人通りの多いところで集会をやって気炎を上げるのは、主張の内容にかかわらず迷惑行為だというのはむしろ常識であり、知らない、もしくは気にしないのは市民運動家くらいのものでしょう。裁判官の右傾化というよりは、むしろそうした市民感覚に敏感な判断ではないかと思います。
小市民の保守性を嘆くのは構いませんけど、その小市民にアピールしないとそもそも市民運動たりえず、ただの過激派政治団体ですからね。

■2020年09月17日（木）　推進だけなら役所はいらない

「デジタル庁」設置法案を通常国会で提出へ　平井担当相
庁である必要ってあるのでしょうか。ただの制度立案や調整なら大臣官房だけ置くか内閣府に事務局を置くので十分で、規制まで考えるなら現状役所では不向きでしょう。技術を取りまとめることを考えると、むしろ独立行政委員会なり独立行政法人なりの方が向いていると思います。あえて言うならそこまでの組織を作って省庁との関係を整備して安定させるまでが担当相の仕事ということになるでしょうか。

“まるっと”しすぎ「デジタル庁」に期待できない理由、それでも期待したい理由
意気を逆手に取られてベンダーにむしられて終わりに一票。
正直、コンサルタントやソリューションプロバイダーでは役に立たないので、自前で試作くらいはできるのでないと成功はおぼつかないと思います。なお、普通のプロジェクトだと、試作はできたが本番用にスケールアップしたところで齟齬が出てデスマーチになります。じゃあ、省庁の課や自治体の現場の状況を把握していて、それをモデルに落すだけでなくそれなりに流れを追える程度の試作ができる人が役所にいるのか。少なくとも事務系キャリアにはいないでしょう。それでは、いくらトップが剛腕を振るおうとも、実装のところで問題が出ます。
まあ、だからと言ってやらないで済むことではないというのはそうではあるのでしょうが、基盤ができていないところでむやみに急がず、5年くらい情報系の技官に各現場を回らせながら下ごしらえをした方が良いと思いますけどね。

■2020年09月17日（木）　文化は保護の理由にはならない

カラオケ業界が「もう限界」　世界に誇るレジャーなのに
まあ、防音設備の開発や普及も含めて、都市型カラオケボックスにはいろいろと有益な面があったとは思います。それこそ学校の合唱よりもよほど音楽を身近にしたと思いますし。ど下手な歌い手だって、ボックスの中で知り合いを相手に歌っている限りは迷惑ではないですしね。
ただ、新聞屋の煽り文句とはいえ、もう限界とか言うのは無策に過ぎると思います。ならば閉店も妥当な策でしょう。カラオケ屋がないならないで、代わりのレジャーはあります。世界に誇るから維持しなければならないという考え方の方がおかしいのです。大人の文化的な習い事も世界に誇るべきレジャーでしたが、今やすっかり地場の趣味か子供の手倣い、あるいは花嫁修業で、音楽など楽曲著作権団体の圧迫まで受けています。カラオケに関しては、河原で歌われるよりはカラオケボックスにこもっていてくれた方が良いという話はあるのですが…
楽曲という課金アイテムなしでスペースの賃貸しが成り立つかどうかというと、正直懸念は小さくありません。楽曲使用料がかからなくなるとはいえ、ネット完備の防音ブースというだけでは一時間1000円以上のコストを払ってくれる客がどれだけいるか。それこそリモートワーク促進に便乗して、賃労働者の持ち出しが増える分の納税申告に際しての控除をカラオケボックス系の賃貸しブースの利用について認めさせるくらいの運動はあってもよいかもしれません。
もちろん、カラオケボックスの撤退で不動産需要が減って不動産価格や賃貸の相場が下がってくれるならそれは良いことですが。

■2020年09月17日（木）　実用本位自体は悪いことではないのですが

河野行革相、未明の就任会見慣例を批判「やめたらいい」
この人、民主国家の政治指導者は向いてないんじゃないかな…いや、専制国家や独裁国家の場合国家の統合の象徴というのは国王なり独裁者なりが引き受けてくれるわけで、下僚は実務に徹していればよいわけですが、民主国家では閣僚や議員が一体として行動することが国家の統合を象徴しています。ここしばらくの河野さんの言動を見ると、ハプスブルグ帝国やプロイセンドイツの大臣を思わせられるのです。それで国家意思が皇帝なりで代表されているように見えていればまあ良いのですが、下僚が前に出すぎると有司専制とか奸臣とか呼ばれてクーデター(奸臣誅滅)の標的になるわけです。それも議会が前に出るならまだしも、内閣や閣僚が前に出てきて効率重視、議会や報道を軽視などと言っていると、典型的な官僚専制になってしまいます。
それと、順番待ちさせられた挙句に午前1時に会見をさせられた不満はわからないでもないですが、執務室に戻ってその庁舎で会見をしたら報道各社が複数の記者で会見の取材を並行して進めることになります。どちらが効率的かは、一概には言えないと思います。まして、ペーパーの一枚も出しておけばよいなどというのであれば、報道軽視と言われても仕方ないでしょう。
まあ、国会も報道も、軽視されても仕方なくはあるのですけど。他人の粗を繕って成果を誇るならともかく、粗をつつくことばかりにこだわっているのでは、相手をしていてあまり建設的とは思えないでしょうからね。

■2020年09月16日（水）　考えれば分かったことだと思うのですが…

レジ袋有料でカゴパク急増　「今度返すからいいでしょ」
これ、いっそ、欧米みたいにレジを増やしてレジの端っこで持参の容器に詰めさせ、移動用のかごを提供しないという形の方が良いのでしょうか。後ろから次の人の商品が流れてくる状況でパッキングをするというのはなかなか居心地が悪かったわけですが、かごを使わせるとパクられるというのではたまったものではありませんね。まあ、レジで客が容器なりをレジ係に渡してレジ係が詰めてもよいわけですが。これだと、レジ係が容器をくださいと声掛けすることができ、容器を渡さない場合袋代を追加してそれに詰める形にできますし。
後はまあ、とりあえず捨てれば腐るということで紙袋に戻るんですかね。コストは増えるでしょうし水濡れすると底が抜けたり破れたりしますが、ある程度まとまった量の買い物をする人は買い物袋を持参するなり車で来て荷台に乗せるなりするでしょうし、少量の買い物ならば痛い目にあえば懲りるでしょうし、たいていは問題が起きないものですし。
もちろん、カートを使うシステムのスーパーマーケットで運搬に便利だからとカートを持って帰ってしまうような人はどうしようもないわけですけど。
そもそも手軽に買い物ができるのが大前提の社会で運搬用の容器を持ってこいだの持ってこないのならペナルティ付きの容器代を払えだのというのが浸透するには相当時間がかかることは、少し考えればわかることです。制度だけ作って対応は自己責任というのも、下策ではないかと思うのですけどね。

■2020年09月16日（水）　 CMカットくらいできるのが当然

アップルのとんでもないプライバシー対策にフェイスブックが悲鳴
「しかし、アップルは後戻りするつもりはなさそうです。皆さんは、どう考えますか？」
とんでもなくはないと思いますけどね。そもそも、維持費が安いから、維持費を稼げるから広告付きのレンタルサーバーやメッセージングサービスを使ったり広告を張り付けたページを作ったりする方に問題があるわけで、広告を入れる前にワンクッションおけというのは十分にまっとうな主張だと思います。Facebookあたりはユーザーは登録時に任意の広告が入ることを承知していると主張するわけですが、Facebookのような知り合いが使っている場合に選択の余地がないサービスで個人の行動追跡についてフリーアクセスを要求されるという方が問題です。
広告で稼ぐことが前提のサービスは、もう少し自制というものを身に着けるべきだと思います。また開発者も、手っ取り早く広告を取ってサービスを拡大しようとするのではなく、普通の人が手元で動かせるようなシステムを開発して欲しいと思います。

■2020年09月16日（水）　イタリアの途中下車事情

日本では、101km以上の乗車距離の乗車券で有効期限内(通常数日で距離によって変わる)であれば、任意に途中下車が可能です(指定席券、指定席特急券は下車前途無効ですね: 指定席特急券の場合別の列車でも自由席には乗れるのですが)。
イタリアはどうなのかなと思っていたのですが。
イタリアの電車の乗り方、切符の買い方
海外旅行で列車に乗るのに気ままな旅などそうそうしないわけで、する人は乗り放題のパスを都合するのが一般的です。では普通の乗車券ではどうなるか。
「イタリアの切符は途中下車が可能です。切符の有効時間内(下記⑧)であれば、乗車駅②と降車駅③の途中の駅であれば途中下車できます。
複数の路線を利用する場合は経由地⑥が重要になってきます。」
そしてこの有効時間ですが。
「刻印時より６時間有効
（Vale 6H da Convalida 距離が長いとこの有効時間も長くなります）」
短い！Orvieto-Firenze SMNですからそもそもさほど乗車距離は長くないのですが、最初にこの切符で改札をくぐってから6時間です。標準的な乗車時間は快速で2時間半程度(というか特急でもたいして時間が変わらないのがひどいと思いますが)なので、途中下車しても2時間程度滞在するのが関の山。まあ、お昼ご飯くらいは食べられるのでしょうかね。それでもイタリア国鉄の長距離ダイヤは薄いので、うっかりすると最終的な降車駅に着く前に有効期限が過ぎているということがあり得ます。日本の場合短距離で当日のみ有効(ただし途中下車前途無効)、長距離だと最低二日は有効ですから、長距離の乗車券を買って途中下車と宿泊をしつつなどという旅をする人がいるのですが(基本的に通しで買った方が割安ですしね)、トレニタリアの場合これは考えない方がよさそうです。
ちなみにトレニタリアの場合、長距離(乗車駅と下車駅を指定する形)の乗車券は切符を買ったうえで駅の刻印機で有効化し、その時点から有効時間(乗車期限とは別)の計算が始まります。短距離はゾーンをいくつ跨げるかで変わり、これは発行時点から有効時間が始まるようで、有効化を必要としません。日本で言えば、駅の掲示板で今いる駅から降りる駅までの運賃を確認してその金額の切符を普通の自動販売機で買うのに近いのですが、有人の主要駅でもなければ自動販売機など動いておらず、駅前のバールやタバッキで買うのが普通のようです。駅前のバールやタバッキの主人はたいてい片言の英語くらいは話せると思いますが(私が使った駅がたまたま外国からのバカンス客が多い駅で英語が通じたなどということではないとよいのですが)、切符を買える程度のイタリア語は覚えていった方が良いでしょう。無人駅には刻印機などという気の利いたものはない様子で、うっかり長距離切符を刻印なしで使って罰金を取られたらどうするんだと不安になりましたが、たぶんタバッキのご主人に言えば有効化してくれるのでしょうし、最悪でも最寄りの主要駅までの短距離切符を買ってそこで有効化するということだと思います(主要駅で刻印機のないような無人駅までの切符を買うこと自体は可能です)。ちなみに日本だと有人の窓口に行けば短距離切符も長距離切符も買うことができますが、駅前タバッキで長距離切符や主要駅からの特急券を買うことができるかどうかは不明です。なんとなく、それはピサ中央駅の窓口で買えなどと言われてしまいそうな気がします。
長距離切符を買ったことのある人ならわかると思いますが、日本の鉄道会社は乗車距離に基づいて運賃が決まっているものの、本来列車というのはこの列車にこの駅からこの駅までという形で乗るものです。長距離乗車券も、発駅から経由地点ないしは路線を経て目的駅までという形で発行されます(運賃は乗車距離ベースで計算されています)。徒歩や馬車で数時間かかるところに行くための手段なのですから、長距離を移動する場合でも、乗るときに降りる駅までの切符を買うのが正しいはずです。また数日にわたって旅行する場合でも、予定を立てるなり乗り越し清算制度を利用するなどして都度清算すれば済むわけです。公共交通機関を利用して移動する人口が増えたために自動化が必要になった状況はともかくとして、途中下車などという変な制度は必要ないはずです。任意に乗り降りをしたいのであれば、周遊券やフリーパスという制度があります。
少なくとも日本では、どうも鉄道営業法に基づく規則である鉄道運輸規程に「乗車券ハ其ノ通用区間中何レノ部分ニ付イテモ其ノ効力ヲ有ス但シ特種ノ乗車券又ハ列車ニ付鉄道ガ別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」とあり、JR各社の途中下車制度はそれに基づいているらしいのですが、いわゆる私鉄でこの条項を守っている例を知りません(どうも西鉄と一部の第三セクターでは可能なようなのですが)。Wikipediaの途中下車の記事にあるように宿泊のため途中駅で下車していたのだとすると、現在のいわゆる私鉄は近畿日本鉄道を除き普通列車での移動で一日を超えてしまうような路線はない(近鉄の難波～名古屋間で187kmなので、表定速度が時速20km程度だと途中で夜になる: もっとも現在の列車は普通列車の表定速度で時速40km程度は出るため、よほど乗り継ぎが悪くなければそんなことは起きない)ため全て但し書きの扱いになっているのかもしれません。おそらく距離逓減制の運賃の下でのユーザーとしての利便性から官営鉄道についてこの種の規則を制定し、それが生き残っているのだと思いますが、どうせ東京発だと7時間もあれば青森でも鹿児島中央でも到着できる時代ですし、出張で鹿児島に行くような人は大阪で一泊などせずまず飛行機を使うのですから、いい加減廃止した方が良い気がします。正直この途中下車制度の活用例は、例えば小田実の「なんでも見てやろう」の航空機搭乗券での例に代表されるようにキセル紛いの非常に疑わしい事例ばかりであり(というかJR各社の大都市近郊区間の運賃計算に関する特例を利用した大回りなどもいい大人のやることじゃないだろうという類ですよね)、普通の人が利用する事例は完全に消滅したと言ってよい以上、なくしてしかるべきです。その分フリーパスを充実して欲しいのですが、少なくともJRはこの種の切符に消極的です。切符の迅速発行、迅速改札に自信があるのでしょうし、発行手続以前に会社をまたぐ場合を含めて乗車時の処理が面倒というということなのだと思いますが、ふと気になった駅で降りたいという需要もあるわけなので、特急券を別途買えば新幹線を含めて乗り放題のフリーパスを用意して欲しいものです。
イタリアの場合、そもそも改札がないので、経路としてあり得ない駅から乗ってきたのを検札で捕まる場合を除き、乗車券では最初の乗車駅からずっと乗っているのか途中駅から乗ってきたのかはわかりません(列車指定の特急券の場合別の列車に乗ってしまうとおそらく罰金ものです)。ですから途中下車制度があるというよりは、列車の指定がない場合は有効時間中はあくまでも有効で、途中で乗り換えようと下車しようと問題にしないということでしょう。当然、Roma-Termini発Falconara-Marittima、Modena経由Milano-Centrale行の乗車券でFirenze Rifrediを通る列車に乗っていると(共通する区間以外は)キセル扱いで罰金ものです。日本だって、東京発名古屋行東海道線経由の切符で松本あたりをうろついているとキセルですからね。

■2020年09月15日（火）　そもそも何を確認しているのか

ドコモ口座事件、「3つの違和感」　ドコモが土下座すればいいの？
指摘しているような点を突き詰めないと鼬ごっこで終わるというのはその通りだと思います。
とはいえ、これだと「本人確認の徹底を、金融機関や決済事業者への個人情報の集約を」という話になります。そもそも何が問題になっているのかというと、口座名義人が本人であるかどうかではなく、口座を操作しようとしている誰かが口座にアクセス権を持っているのかどうかが問題なのです。ATMの場合はカードを持っていて暗証番号を入力できるならばその人は口座へのアクセス権を持っているという話です。実際に操作をしているのが本人だろうが親しい知人だろうが、カードを盗み取って暗証番号も聞きだした赤の他人だろうが問題にはしません。その上で、カードを盗んで暗証番号までぶっこ抜くのはそれなりに手間がかかる、その間にカードの無効化処理をすればよいという話になるわけです。ネットからの操作の場合、現時点ではカード並みに簡便で有効なトークンを開発できておらず、二段階認証をもってしてもおそらく不正利用を排除できません。携帯電話回線契約における本人確認を利用してようやく銀行カードに準じた権限確認ができるかどうかというレベルです。つまり、預金保険までついて口座開設がある程度融資の前提になっている銀行はともかく、事業について何の保証もない通信サービス会社風情が顧客から個人情報を強請り取っている、あるいは誇り高い自由な民間企業が警察の手先に堕しているわけです。そのあたりの問題意識がないと、客の素性を詮索して差別するような話になりかねません。実際、問題を組織犯罪対策にからめるような論調がマスコミにはありますし、「仮になにかあってもトラック（追跡）が容易な仕組み」というのは顧客の行動記録を第三者が無造作に閲覧することになりかねません。なにしろ、口座を操作できるということはまかり間違えば本来の持ち主に成り代わってログの閲覧を請求できることにつながります。
あくまでも、1.権限のない人による操作を防ぐ、2.権限がない人による操作の可能性がある場合に合理的な期間操作を一時的に棚上げにする、3.権限がない人による操作が発生してしまった場合、そのような操作であることが明白な操作を事後的に取り消す、またそのような操作を特定できる仕組みを整える、というものであるべきで、契約の主体が本人であるかどうかとか、操作を行ったのが本人であるかどうかというのはどうでもよいことなのです。
不正引き出し、なぜ問題を丸かぶり？　ドコモ内部に不可思議な動き
こういう意見が出てくるのは当然だと思いますけど、そもそもネット取引に疎い銀行に決済各社がいい加減なセールスをしてそれが通ってしまったという話だと思いますけどね。そもそも記事でも指摘しているように、二要素認証といったところで認証に何を使うかで強度は全く異なるし、生体認証を使おうと思えばコストだってかかるわけで、記者会見で二要素認証が云々で済ませてしまったゆうちょ銀行が技術面に疎いことは明らかです。もちろんそれでは本来済まないわけですけど、銀行の方でネット取引に本腰を入れていなかった以上(それ自体は事業における怠慢だと思いますが)、そこに乗じた形を作ってしまった決済各社により問題があるでしょう。
もちろんやるのならちゃんとやれと言うのは大事ですが、金融当局も総務省も含めてHowの部分は全くわかっていないと思われるので、いま進めるとまず確実に建設的な方向には行きません。不便だ、対応を急げ、バスに乗り遅れるなと言って済んだ時代は10年前までで、今はもう自信がないならやるなと言うべき時代です。どうせ預金も個人向け融資も商売にならなくなっているので、投資や融資を銀行の分野にして、要求払い口座はデポジットベースの決済に保険をつけていく方がましかもしれません。

■2020年09月15日（火）　エコな話題ってしょぼいですね

Google、2030年までに100％カーボンフリーになる目標を宣言
カーボンフリーと言われて人間以外のカーボンを全て追放するのかと思ってしまった(当然食料や飲料もカーボンフリー)のはまあ、私くらいなのでしょうね。なんならGoogleには完全なカーボンフリー、ケイ素と金属と酸素のみで事業を実施して欲しいものですが(そうすると鋼鉄が使えなくなるのですが、コストを度外視すればアルミ系合金やチタン合金で済むはずです)。
それは冗談にしても、カーボンフリーがエネルギーの由来に炭化水素燃料が絡まないという意味であれば残念な話です。事業の過程において炭素を含むものは一切排出しない、炭化水素系樹脂製品も呼吸による二酸化炭素も繊維くずも「排出」せず、一度入ったものは徹底的にリサイクルして活用することが望ましいと思います。
でなければ、カーボンダイオキサイドをカーボンと略すのは止めていただきたい。

■2020年09月15日（火）　いつの世も運用アウトソース詐欺の種は尽きず

民泊投資大手が事業停止　実績偽り勧誘、実体ない物件も
いやまあ、投資で代行、配当という時点で妖しさ大爆発ですけどね。オーナーシップリスクを顧客に押し付けた上で売り上げを掠め取るわけですから。筋を言うなら、会社に株式なり融資なりで投資してもらって、物件を会社所有にして事業を実施、利払いなり配当なりをする形でないといけません。あるいは顧客から物件を借りて賃料を支払い、事業に使うかですね。
正直騙される方も悪い類だと思いますが、そもそも不動産業界にこの種の風儀の悪さが蔓延しているのも問題で(賃貸経営大手とか)、規制を考えた方が良い気がします。

■2020年09月14日（月）　金谷か新金谷で乗り換えでいいと思う

リニア駆け引きの駒にされた「静岡空港駅」は本当に必要か
「大井川鐵道案を今回の渾身のオチとして締めさせていただく。」
いや静岡空港アクセス線、JR東海に頼るよりは大井川鉄道をテコ入れする方がどう見ても筋がいいと思うんですよね。新幹線でハブ空港に移動というのは、今のところことごとく中断に追い込まれていますし。とはいえいったん金谷で乗り換えて新金谷で空港線に乗り換えとなると時間のロスが大きいので、新金谷分岐にしろ列車としては金谷を始発とした方が良いとは思いますけど。いっそ東海道本線の静岡～浜松間は並行在来線扱いにして大井川鉄道に移管してしまえという気もします。東京や名古屋、大阪に行くのなら静岡や掛川、浜松から新幹線に乗ればよいわけですし、地元路線として静鉄程度の頻繁運転をしてもらったうえで(新幹線との乗り継ぎなら10～15分に一本の運転頻度で十分です)、貨物と長距離の企画列車について線路の使用料を取れるなら、静岡や浜松という観光において拠点となる都市からのアクセスを作る上ではむしろ便利だと思うのですけど。どうせサンライズなんて静岡県民には何のメリットもないので、貨物程度の通行料を取れれば十分ですし(どうせこの区間では静岡と浜松に止まるだけなので運賃の調整も必要ないし)、その貨物は県内の港湾との連携も期待できますから優遇した方が良いですし。金谷乗換なんて言ってないで静岡や浜松から直通便を運航できた方が、大井川鉄道にとっても便利だと思うのですけどね。

■2020年09月14日（月）　袋詰めを要求しておきながら袋の使用は禁止とはこれいかに

レジ袋有料化から考える　ゴミ袋の売れ行きが伸びる矛盾
矛盾というなら、環境政策は全般的に矛盾を起こしていると思います。
プラスチックごみを外国に送って処分しているというのもそうですし(本来ゴミとしての処分は国内で完結し、再生素材の状態で売却するならするべきですし、回収業や処理業の許可も国内処理を前提に審査すべきです)、ゴミを持ち帰れとか(袋が必須でしょう)回収時にごみがこぼれたりしないように包めとか(袋詰めしろってことですよね)言っておきながら、「そのほかのプラスチック製品も無駄に使い捨てていないか、見直すきっかけにしてもらうのが狙いです。」はないでしょう。そもそも無駄というなら一番無駄なのはプラスチックや金属を素材として含む筐体だと思います。ボールペンから小型家電まで、分別どころか分解すらできない、ユーザーの手元では何をどうすることもできないゴミが出ています。見直すというならまず、複合素材も含めて材料の供給を許可制とし、許可審査において安全性と並んでリサイクルや廃棄の容易さも基準とすべきです。また「売り渡し」を禁止し、一定期間の使用の後メーカーへの返却とメーカーでの処理を義務付けるか、メーカーが処理方法を公的な処理機関に寄託し、さらに商品1個につき一定金額を保証金として支払い、回収や処理の原資にするべきです。輸入品などで製造者が国内の規制に服していない場合は、例えば通関させた者(再販業者に限らない: つまり海外で買い物をして品物を持ち込んだ場合は持ち込んだ本人)が責任を負うべきでしょう。規制前に売ってしまったものについては産業界が責任を取るべきです。そういった形で元を締めるべきなのに、排出者に義務を負わせ、回収料だ分別処理だと意味不明な負担を押し付けて不法投棄を誘発しています。容器だって、スチロールトレイのような簡易に過ぎるものは禁止し、店側で安心できる形で共通の再利用可能な容器を提供し、回収も買った店でないとダメとか指定の回収窓口にとか言わず、とにかく何も考えずに最寄りの店なり回収所なりに出せば正しい処理に回っていくように設計すべきですし、特殊な容器を使った場合は処罰するべきです。例えば段ボール箱を破損時のリサイクルにも配慮した規格品のプラスチックコンテナに代え、自治体や小売店での回収と自動的な付着物検査と洗浄(と必要なら滅菌処理や無菌パッキング)でリユースできるようにし、新品の出荷時価格にプレミアムを付けるようにすればゴミだって減ります。

■2020年09月13日（日）　ボイラーメーカーのコロナさんが気の毒というわけではないのですが

コロナは「人間と自然の摩擦の副産物」　国際会合で総括
新聞屋は本当にタイトルのつけ方というか言葉の使い方に気を付けてほしいものです。せいぜいが「コロナ禍」でしょう。このタイトルではコロナ、まあ、つまりいわゆる新型コロナウイルス(WHOの呼称でSARS-CoV-2)による感染症COVID-19が「人間と自然の摩擦の副産物」のようです。文を見る限り「コロナ」の部分は議長総括自体でそうなっているのではなく、新聞屋が自分でそうしたものでしょう。つまり「コロナ」ではなくSARS-CoV-2ないしはCOVID-19と書いても何の支障もないのです。ちなみにCOVID-19はキャメル記法ではCoViD-19というところですね。COronaVIrus-Desease-19です。その上で、副産物であるのはこの感染症への対応策と人間の(主に経済)活動との摩擦であり、つまりCOVID-19の蔓延に伴う好ましくない事態、「禍」です。そこはタイトルからきちんと書いて欲しいものです。
COVID-19禍ないしはSARS-CoV-2感染症関連問題では舌を噛むのだとしても、コロナではあいまいに過ぎます。ボイラーメーカーであるコロナは言うまでもなく、太陽の大気層、炎の周縁部の発光部など、何かを取り囲むように発光しているないしは要素がつながっているものはたいていコロナです。口語、俗語としては仕方ないでしょうが、文語、authentic speechとしては報道のプロが使うにはふさわしくない語と言わざるを得ません(俗語としてドラマやロマーンで使うのはありですけどね)。
それでまあ、議長総括の要約は、大事なのはお金儲けなのだなという印象です。それが悪いとは思わないですが、挙げられている項目から理想や価値観というか、例えば何のために製造拠点において再生可能エネルギーを導入させようとするのか(そもそも製造自体を止めてしまうのではだめなのか)、スマートシティが何をスマートにしていくものなのか(まあ、この文脈なら活動の過程での排熱や廃棄物の排出を最小限にするという意味のスマートでしょうが、普通スマートシティという場合はアクターの活動を監視管理統制して協働を誘発させ活動の衝突や重複を防ぐという意味でしょう)といった部分が見えてこないわけで、むしろ再生可能エネルギーによる発電機や関連機器、スマートシティを実現するためのデバイス、あるいはスマート化の結果集積されるアクターの情報を取引して大儲けというか経済活性化としか読めません。少なくとも記者は議長総括をそういうものとして見ているのでしょう。

店名はレストランコロナ　困ってる？「いえ、まったく」
困らないのと文筆業として節操に欠けるのとは別問題ですからね？

■2020年09月12日（土）　大阪～出雲で銀河ですかい

新しい長距離列車「銀河」、4カ月遅れて京都駅出発
ええと、言っておきますが、「銀河」というのは元は東海道線の夜間急行、寝台急行で、大阪～東京ですからね。大阪～山陰というと大山あたりになるかと思います。東海道線の列車に比べると知名度が低いのが難点ですが…JNRが優等列車に名前を付けまくったので、良さそうな名前にはあらかたイメージがついてしまっているのですが、せっかくいい設備で寝て起きたら出雲という良いコンセプトなので(なにしろ同じコンセプトのサンライズ出雲は下りは大阪駅には止まらない)、もう少し頑張って考えてほしかったと思います。
まあ、鳥取県や島根県の人からすれば、寝台快速はどうでもいいから新幹線引けやというところかもしれませんが。

■2020年09月12日（土）　 Thunderboltでは足りない

ゆくポートくるポート
いやまあ、ノートパソコンのポートは、半分以上が設計の都合だと思いますけどね。IO制御チップはそれだけの機能を持っていて、後はブリッジチップとコネクタを用意してそこまで基板上を配線すればよいわけで、むしろサンダーボルト経由でドックを用意する方がコストがかかるのだと思います。またサンダーボルトというのはあくまでも外部バスで、基板上のより帯域の大きいインターフェースバスの補助があって初めて意味を持ちます。つまりサンダーボルトでつないだドックからサンダーボルトを含めた複数のポートを引き出した場合、外部接続側のサンダーボルトポートでは性能をフルに発揮することができなくなります。サンダーボルトポートが2つもあったら外部接続側の性能は半分以下になってしまいます。このあたりはくだくだ言わずとも、山田氏ならわかっているはずです。
とはいえ、ThunderboltではなくPCI-Express x32 Gen.6あたりを引き出せるなら、ドックというのは多少のコストを払っても便利だろうと思います。まあ、出先でHDMIしかないプロジェクターにつなぐことはあると思うので、HDMIを1個くらいは筐体につけておいて欲しいですが(この場合むしろUSBやThunderboltの方がいらない)、マウスやキーボード、外付けハードディスクをつなぐような状況ではドックで十分だろうというのはその通りだと思います(まあ、タッチパッドの類の扱いにくさからすればマウス用のUSBポートはあった方が良いかもしれないですし、山田氏の主張に沿う形としてはそれがUSB-PD入力対応であればより良いでしょう)。

■2020年09月11日（金）　そもそも養育費分担という制度が短期の清算の観点から不合理

振り込まれない養育費、電話出ない父親　政府が対策検討
これも、こういうことを言って結婚や子作りを苦役にするのなら、そもそも出生率増加などと言わなければいい気がします。結婚すれば、子供を作れば、一定の確率で離婚も育児放棄も出ます。離婚してしまえば、放棄してしまえば、後は責任を負わないというのは、ある意味現代の当然のメンタリティでしょう。むしろ母子家庭側が、養育費をあてにして頑張らずに育児を放棄するべきです。
養育費という制度も、短期での責任清算を不可能にしているという意味で問題の大きい制度だと思います。育てる責任を全うできるだけの財産がないのに子供を作る時点でそもそも無責任ですが、離婚により親権を一方に認める時点で他方に養育資金を分担するだけの資産がないのであれば、破綻処理を行い、その時点で養育費債権を精算するべきでしょう。あくまでも債権だから取り立てます、稼いでいるなら払えるでしょう、稼いで払ってくださいでは、「その意に反する苦役」だと思います。

■2020年09月11日（金）　そもそもLINEだけ優遇しているように見える

「総務省は常識を逸脱」　渋谷区と総務省が対立の“住民票LINE交付”巡り、技術提供会社が国を提訴
正直俺の商売を邪魔するなと言っているようにしか見えません。
おそらく問題は渋谷区にあり、LINEという商用プラットフォームを優遇していることが問題点です。こういうエンドをごまかしておけばいいという発想は公正であるべき行政のやり方としてはおかしくて、別にLINEを排除しろとは言いませんが、LINEを前提としたサービスを行政窓口側で実装するべきではありません。ぎりぎり、独自アプリの実装までだと思いますが、その場合でも主要なプラットフォームをカバーするべきでしょう。ネットであれば、サードパーティーの参入も考えればAPI化が望ましいと思います。APIとして整理したうえで基本的な実装として最小限の機能を持つアプリを用意し、それ以上のサービスは事業者と利用者の自己責任にするという形にするしかないでしょう。当初は使いにくいという非難を浴びるかもしれませんが、代行事業振興の観点からはそうなります。一方ユニバーサルサービスの観点からは当然自治体側がユティリティ―も含めて全体を統一的に提供するべきということになりますが、正直これができるならサードパーティーの参入論など出てきていないでしょう。
使わなければいいだけという気はしますが、もし仮にそのサービスが手軽で便利なのだとしたら、使う人は相当数出るのだと思います。ただし、行政窓口としては、個別の代行サービスについては利用者からクレームが来てもそんなの知ったことか、業者に訊けと言える立場でいて欲しいと思います。

■2020年09月11日（金）　三元豚というのは一代雑種ではないかと

スーパーマーケットで弁当を買おうとしていて、「スペイン産　純粋　三元豚使用」というステッカーの貼られた焼肉弁当っぽいものが目に入りました。三元豚というのは本来純血種を三種類掛け合わせた一代雑種(もちろんどれとどれとどれをどの順番で掛け合わせるというノウハウは確立しているので再生産は可能)のはずなのですが、それが「純粋」？まあ、スペイン産にかかっているのですかね。コピーライターさんも、目を引くような言葉をちりばめたいばかりにわけのわからないキャッチコピーを作ったりしないよう、気を付けてほしいものです。

■2020年09月10日（木）　よたよたアヒルは黙ってなさい！

河野防衛相「中国は安全保障上の脅威」　踏み込んで牽制
元々そうなのかそれとも閣僚を務めて安倍さんあたりの流儀がうつったのか、この状況では不用意な発言だと思います。中国外交がどうとかではなく、河野防衛相を含む安倍内閣が近日中に総辞職することが予定されている実質的な職務執行内閣だからです。内閣総辞職の意思が表明され、手続が実施中である以上、現内閣は事務管理のみを行うべきであり、それは今のところ与党の党首でもある内閣総理大臣が与党幹事長に辞任の意思を表明し、後任を決めるべく与党の党首選を行っている状態で、法律上は辞職が公式になされたわけではないにしても、理念上は同じことです。緊急対応が必要な状況であれば仕方がないにしても、オンライン討論などというある意味予定さえ合えばいつやってもかまわない、公式の政策決定には一切関係ないイベントにおいて外交関係についての意見表明を行うなど、良くて後任の内閣や大臣に対する嫌がらせか新内閣での現ポスト維持の企みです。というか、内閣総辞職の表明を理由に討論会出席を辞退すべき状況です。
本来は、この手の政策決定の空白を避けるために、国会は総辞職が発生した場合に速やかに後任の内閣総理大臣を指名することになっています(国会が休会中の場合は特別国会をできるだけ速やかに招集しないといけません)。しかし、それこそ衆議院議員の総選挙中に現職の内閣総理大臣が死亡したといった場合(当然に内閣総辞職が発生するが衆議院が存在しないため国会を召集できず、参議院の緊急集会では総理大臣を指名できない)、職務執行内閣は極力余計なことはしない、繰り延べられることは新内閣に繰り延べることが期待されます。というかそれが確立した慣習ではないでしょうか。おとなしくしていることすらできないというのなら、そもそも与党党首選のような私的な手続を待って辞任を表明した内閣総理大臣をいつまでもそのままにしておくのではなく、さっさと内閣総理大臣の辞職を国会に通知し、与党としては国会で内閣総理大臣に指名された与党議員を後継党首に選ぶくらいのことをするのが良識というものです。後任が気に入らないなら、それこそゆっくり調整を行って合意できる人を立てた上で内閣への信認を撤回することは、衆議院で多数派を握っていることが前提の与党であればできるはずなのですから。

■2020年09月10日（木）　キャパシタって何時間も蓄電していられるんでしたっけ？

EVが数分で満充電できる？植物材料で性能高めたスーパーキャパシター
根拠のないことは言わないと思いたいですが、キャパシタと言うと常に充電しておいてせいぜい数秒程度の電力を供給するもので、数時間以上の電源供給を行うバッテリーの代わりになるのかが気になります。大容量キャパシタで何とかなるものなら、それこそUPSの瞬停防止の常時給電型はキャパシタでよいはずです。まあ、数分以上はもってくれないと機器を停止する時間が稼げないので、サージ防止タップのおまけにしかならないかもしれませんが。

■2020年09月10日（木）　看板を利用して景観を壊さないと言われても

ソフトバンクが「看板アンテナ」を発表、景観を壊さずに5G基地局を展開
電源が取れるということもあり、電飾看板、照明付き看板への基地局付設は有りだと思いますが、それ以前に看板自体が景観を壊していませんかね？

■2020年09月10日（木）　回線契約者へのサービスに戻るべきでは？

ドコモ口座の不正利用、被害総額は1800万円　銀行と連携して全額補償へ
全額補償はいいのですけどね。それにしても騒がれた割に1800万円で済んでいるのは、少額決済用で銀行口座から引っ張り出せる額に制約があるからでしょうか。
問題は対策です。回線と紐ついていないドコモ口座を当面凍結し、一定期間内に回線契約と回線への紐付けを行わない場合口座自体を廃止するべきでしょう。本来回線と紐ついていないドコモ口座自体はドコモの携帯電話回線への誘因策(と会員数の確保による加盟店の確保策)ではないかと思うのですが、それをわざわざリスクを残してまで維持する(しかもリスクはドコモの回線契約者ですらないユーザー側に残る)ことには納得できかねます。楽天あたりがやるならわかるのですが、ドコモですからね。仮に回線契約なしでの口座開設を認めるにしても、本人確認はともかくとして、半年以内の期間での回線契約との紐付けやそれが行われない場合の自動的な口座廃止を要件としても、あるいは決済サービス自体を(請求事務を受託して携帯電話回線使用料と一括して請求する部分は残すにしても)他の決済事業者に委ねてしまったとしても、問題は起きないはずです。

■2020年09月09日（水）　他人同士の関係性を婚姻という形でしか保証できないほうが問題だと思う

「もしもの時に立ち会えず」進まぬ同性婚議論、続く差別
「最初に入院した病院では「緊急時の連絡は血縁でないとできない」と告げられた。」
個人情報の取り扱いに関わるだけに確立された枠組みによる保証を要求するという病院側の対応には一定の理解はできるものの、そもそも配偶関係には本質的に血縁はないですよね？それとも血縁のある尊属や卑属だけが対象で、配偶者は対象外なのでしょうか？
ともあれ、法的な枠組みについては、婚姻や家族も会社法あたりをベースに整理した方が良い気がしています。率直に言って法律以外の部分での対応が変わるだけで十分なのですが、とはいえ法律によらずに関係性を認定することの難しさは理解できます(ついでに言えば、両性の合意とやらで想定外のリスクを負担させられるのはまっぴらごめんです)。民間のリスクを減らすことが(事故があった場合の弁解手段の提供も含めて)契約法制度の役割であるのであれば、現実に存在する需要を満たす必要はあるでしょう。法制度は伝統的家族制度を保障すべきだという主張自体は理解できますが、関係性を全てそこに収めるべきだという主張はナンセンスです。家族など信用できるか、子飼いの従業員なりかかりつけの弁護士なりの方がよほど信用できるという立場だってあるのです。
記事掲載の写真の主張には全く同意できません。まして婚姻のようなリスキーな契約が保証人が必要とはいえわりと簡易な届け出だけで成立してしまうことこそ、制度上の欠陥です。最低限法制度上影響を被る立場の関係者全員の事前の同意があってしかるべきですし(両性の合意のみに基礎を置くというならともかく、狭い意味での当事者の合意のみで成立する契約としては影響が大きすぎます)、一定の関係を推定する根拠としてなら、あまりに色のついた婚姻という制度とは別の枠組みを整備することの方が望ましいと思います。

■2020年09月09日（水）　いやまあ、しれっと和解するかもしれませんけどね？

アップル、Epicのフォートナイト訴訟に損害賠償請求で反撃。「卑劣な攻撃」「手数料泥棒」と批判
日本はともかく、米国では表向き罵り合っていても裏で交渉を持っていることは普通にあるので、下手をすると年内に手打ちということもあると思いますけどね。まあ、今月中に手打ちはないというか、論点が出尽くしていない気がしますが。

■2020年09月08日（火）　レンズ一体型？

全世界でミラーレスカメラ支持傾向に
「軽量・コンパクト化に需要が転じてきているのだろうか。」
いや、そんなぼけたコメントしてどうするんですか。
レンズ交換式のカメラでミラーレスの需要が相対的に伸びているというのはまあ、よいのです。ここ数年で日本のメーカーもドイツのメーカーも高級ミラーレス機種を市場に投入しており、その影響が出てきた可能性があります。まだ予断を許しませんが、レンズ交換式ミラーレスカメラが市場の認知を得られてきたのかもしれません。
問題はレンズ一体型カメラで、いわゆるコンパクトタイプが復権しているのか、それとも全天型などの新しいジャンルが伸びているのかで話が変わってきます。そもそもレンズ一体型はカメラ内蔵のスマートフォンに取って代わられつつあるという観測だったはずですが、なんでまたここにきて伸びるのか。CIPAのリリースを報じる記事だけに分析が浅いのは仕方ないかもしれませんが、もう少し実態がわかる記事にならないものかと思います。

■2020年09月07日（月）　内閣(総理大臣)が政策実施権を持って行こうとするのは変わらないか

「総理が解散と言えば解散」菅氏の単独インタビュー
通説は内閣が天皇に助言すれば衆議院を解散できるわけですが、この件は珍しく通説と同程度に異論が説得力のある事例だと思いますけどね。
三権分立というのは本来行政権の抑制であって、そこから立法を含む政策決定の権限を議会に、個別事案や法律論についての判断の権限を裁判所に引っこ抜き、議会が人事権を握ることによって統合しているはずです。そこに日本では帝国憲法の習慣を持ち込んで解散権だ予算案提出権だと言うのはおかしい気がするのです。行政の内容はあくまでも法律の執行に限り、法律になっていないことは全くできないでもよい気がするのですよ。まあ、GHQは当時のアメリカの風潮の影響で行政権の抑制に否定的だったので、一般行政という概念自体を否定することは難しそうですが。
とはいえ菅氏にしろ岸田氏や石破氏にしろ、国会への説明責任はともかく行政権の抑制を言い出しそうには見えないのですが。

■2020年09月07日（月）　携帯電話回線料金が高いのは否定しようがないと思いますが

「菅首相」の携帯料金値下げ発言に振り回されていると、日本は世界に置いていかれる
どうなんでしょうかね。そもそもキャリアが大ポカにならない範囲でしか5G基地局を整備しようとしていないわけで、むしろ5G端末がほどほど以上には売れないほうが嬉しそうにも見えますが。
もちろんそもそも回線帯域や遅延への対応といった機能面から言えば、5Gでも不足です。ただでさえ帯域の共有において光ファイバーに劣る無線通信ですから、例えばFTTHを携帯電話回線で代替しようなどと思えば相当の技術開発が必要です。おそらくコスト面ではまだ壁の中にケーブルを這わせてWi-Fiにつなぐ方がましでしょう。どこでも同じようにネットにつながるというのは、おそらく今後10年は実現できません。テレカンをやろうと思えばせめて1Gbpsイーサネットの来ている部屋に入る必要があるという事情は当分変わりません。その意味では、5G推進などというのがそもそも間違っているので、6G、7Gも飛ばしてケーブルを代替できる品質の無線通信規格を開発すべきです。
その上で、キャリアがネットワークの整備は遅れがち、端末も外国製品を買ってきて値引き販売するだけ、そのわりに寡占状態という状況に甘んじるのであれば、少なくとも幹線通信網と携帯電話網の再国営化は検討すべきでしょう。それこそNTT系が垂直統合を希望しているような状況では、民営でやっている意味はない気がします。物理的なネットワークと回線契約を分離し、回線契約部分のコスト競争を促進するというのが、これまでの方針です。4Gの20GBで月5000円は払わないと満足なサービスを受けられないというのは、明らかにインフラの使用料として安くはありません。せめてデータ通信部分だけでも標榜帯域およびデータ送受信容量ベースでの単価で光ファイバーと同じにならないと困ります。民間ができないというなら国営ででもやるべきです。その上で、販売部分をMVNOとして分離すればよいだけのことです。
端末や部品の国内での開発ができていないというなら、先行する海外メーカーの特許を国内で無効化すればよいだけのことです。開発費部分を大きく減らせれば、国内市場分くらいは妥当な費用で供給できるでしょう。国外でも安心して使いたいような人は、海外製の高価なモデルをSIMフリーで購入すればよいのです。ハードウェアで劣っているのは主に製造技術のコスト面であって、日本で作ると値段が10倍になるかもしれないが機能やサイズは同等で収まるはずです。上物のサービス部分ではAppleとGoogleに見放されると問題ですが、それを言うならこの両者はプラットフォーム規制の対象です。
「海外に後れを取る」などと主張するならこの程度は検討しないといけないのであって、「規制をしなければよい」とか「上位モデルの入手性が問題」というのはどうも私的な寡占の追認ではないかと思います。

■2020年09月05日（土）　 GRはどこに行くべきか

GR座談会にお呼ばれしました
なんかはしゃいでいますが、ともあれ結論は穏当だと思います。
リコーのGR Digitalはコアなファンがいますが、正直ほとんどの人にとっては使いにくいと思います。レンズの画角ではなく(それを言うなら私は24mmを常用しているのですから)、シングルフォーカスでレンズ固定だという点です。もちろん寄ったり引いたりすればよい(画角からして基本的には寄っていく感じだと思いますが)のは確かですが、気付いてフレーミングしたときに、寄ったり引いたりするよりはズームさせる方が普通は楽なのです。そういう問題を抱えていて、しかし基本的な性能は良いのではまると素晴らしい写真が撮れる。もちろんちゃんとはまる状況が生じるように設計されていて、よく考えられたカメラだと思います。
それを踏まえて「それから、ライカQ2みたいに35mmフルサイズセンサーを搭載したGRがあってもいいわけ。なるべくコンパクト、軽量にしてもらって。これは画質向上を求めているわけではなくて、本来の28mmレンズはどのような描写をするかということを、あらためて突き詰めてみたくなることがあるわけですよ。」というのは非常に共感できます。デジタルになってからことさら画角と画質ばかりを気にする風潮がありますが、被写界深度(というかぼけない範囲)は特に玄人向けには大事な要素です。もっとも「本来の28mmレンズはどのような描写をするか」という言い方は35mm原理主義的で、35mm判における画角75度、絞りF2.8ではどのような描写をするかと言うべきでしょう。パンフォーカスしか撮れないスマホとの差別化のためにも、こういうモデルはおいしいと思います。とはいえだったら35mm判のレンズ交換式で28mmレンズを使えばいいじゃんと、個人的には言いたくなるわけですが。

■2020年09月03日（木）　スウェーデン語というわけでもなさそうですが

久しぶりにイラストの仕事
再版おめでとうございます。
さて、「セリーズ」、最初題名かと思いましたが、どうもこれはシリーズでしょうか。
ほぼ毎ページに挿絵というのは、ずいぶんと贅沢な本ですね。レイアウトは日本でもありそうな感じです。6巻を2巻にまとめたとのことですが、厚くて重そうなのはともかく、200-300ページくらい、判型が変わっていないとすれば元々は100ページくらいで、さほど厚くなかったのでしょうか。値段も強気そうです。表紙がきれいで、ロングセラーとして新装版というよりは、かつての読者向けの愛蔵版に見えます。だとすると電子書籍版はと言うのは野暮ですね。

■2020年09月02日（水）　やはり来たかという感じですが

Microsoft、ゲームのロード時間を大幅削減する「DirectStorage」のWindows版を提供
SSDが出たときに、ハードディスクと同じデバイスドライバで性能を出せるのかと気になったものでしたが、ここにきてようやく出てきた感じでしょうか。
とはいえDirectかあ…あのインターフェース嫌いなんですよね。ラッピングライブラリがクラスライブラリなんだもの。

■2020年09月02日（水）　さすがに信頼保障の枠組みが崩壊するでしょうに

ロシア議会、App Storeの手数料引き下げやサードパーティ製ストア許可を強制する法案を提出
善意だとしたら馬鹿げていますし、悪意だとしたら自滅的です。
Appleとしては、App Storeの手数料は下げようと思えば下げられるものです。開発ツールを無償で提供していることや無償で配布しているアプリからは手数料を取っていないことから、Appleとしては配布プラットフォームで儲けようとはしていないと考えてよいと思います。どちらかと言えば、プラットフォームに便乗してお金を儲けている人からは便乗料を取るという考え方でしょう。下げないのはむしろ、有償アプリや有償コンテンツがAppleにとってAppleの利益を掠め取るお荷物であるからだと思います。iOSがホームであって欲しい、全てのexperienceをAppleのプラットフォーム上で完結して欲しいからこそ決済機能を組み込むし、その目玉の一つとして有償アプリや有償コンテンツを認めますが、お金を払って使うようなまとまったアプリはAppleがiOSの機能として提供し、マス向けコンテンツは無償であることが望ましいというあたりが本音ではないでしょうか。
一方でサードパーティーストアは、Appleとしては二つの意味で受け入れは不可能でしょう。ひとつはAppleの統一されたexperienceをユーザーに提供するという方針に反しているからです。もうひとつはより深刻で、iOSのセキュリティ機能はAppleがストアでの審査に確信を持てることを前提にしているからです。サードパーティーストアをAppleが認めるということは、iOS上で動くがApple Storeから入手できないアプリが出るということであり、Appleの提供する決済サービスをバイパスした決済が発生するということであり、またストアを提供するサードパーティーのアプリ審査の結果を無条件に認める(認可されたアプリを無害なもの、Appleのガイドラインに沿ったものとしてインストールや実行を許可する)ということです。

■2020年09月02日（水）　杉山淳一一気読み2: 新・汽車旅日記: 銀河もすでになく

眠れない夜を駆ける－寝台急行・銀河－
今更言うまでもありませんが、需要がどうこうではなく、この記事の時点でJRは寝台列車を廃止したいのです。昔はそもそもその日のうちに東京を出て大阪に着かなかったので夜行列車にならざるを得ず、その上位グレードのサービスとして寝台車が出てきたわけですが、今や新幹線なら東京を出て博多に着くのに5時間です。朝から仕事がある人は午後6時までに新幹線に乗って博多でJR九州ホテルブラッサム福岡中央あたりで一泊して欲しいというのが本音です。大阪なら、2145時の新大阪行き最終に乗れば大阪駅にぎりぎりその日のうちに着きます。23時台の列車に乗って早朝に着きたいなどという人は、JRの客ではなく、夜行バスでも運転手付きの専用車でも使ってくださいというわけです。夜間の旅客便の運航をなくせば、保守間合いも稼げるし在来線なら貨物列車も通せる、乗務員の勤務も楽になるといいことだらけです。杉山氏の「夜の幹線の主役は、客車ではなく貨物列車なのだ。」という感想の通りです。
確かにホテルの料金と比べて運賃＋6300円は高いです。しかし、JRの本音としてはこれでも安い。できれば2万円くらいは取りたいのではないでしょうか。そうでもしないと、設備を更新することすらためらわれる。なくすと怒られそうだから誰も乗らなくなるまで、あるいは耐用期限のぎりぎりまで使うけれども、更新する気もなければ普通の列車として残す気もない。「きちんとした空間を用意してそれなりの料金を取る」ように考えて、その結果が乗車一回うん十万円の寝台付き豪華列車です。予約制で気軽に乗れるものでは全くなく、あれがJRの考えたサービス(エクスペリエンス)と価格のバランスなのです。

冷めた囲炉裏－神岡鉄道－
「スーパーカミオカンデは世界に名だたるブランドである。七福神よりも囲炉裏よりも“カミオカ”を示すものだろう。もうすこし宣伝してくれたらよかったのに、と愚痴るのは旅人のわがままか。」
いやまあ、行ってみたら残念施設だったかもしれませんよ？紹介を見た感じ、わざわざ行くような施設には見えなかったですし。
それはともかく、そもそもリスキーな需要掘り起こしをするほどお金をかけられないのがローカル私鉄と僻地の自治体の懐事情で、なにがしかのあぶく銭でアトラクションは作ってみたけどその後の運営までは手が回らないことはままあります。今は少しはましになっているようですが、その代わり記事の翌年2006年には神岡鉄道自体が消滅しています。

幻の線路と廃線跡－宇和島バス　宿毛～宇和島－
「それにしても腹立たしいのはホームページである。」
まあ、よくあるというかよくあったというか、今はそこまでひどい話は減ったと思いますが、事業廃止の場合ページだけ更新されずに残っていて、検索エンジンや真面目に更新していない観光案内あたりから到達できてしまうことがままありました。特に一部業務の廃止や自治体のサーバーに間借りしているような場合、サーバーが残っている状態でデータを消してくれないのです。
大学の学生のサイトもこの傾向があり、それなりに役に立つ場合もあるためか、卒業してもいつまでも、更新されずに残っていることがありました。今は、さすがに大学のサーバーに学生がサイトを置いている事例は減ったと思います。

自然が創った庭園－室戸岬・阿佐海岸鉄道－
「集落があるのに駅がない。ローカル線にはそんな風景が多い。東京で電車の恩恵をたっぷり受けて育った私には、これがどうにも理解できない。クルマで数分の場所に駅があるから良いじゃないか、というのはお役人の発想で、鉄道に乗る人は５分だって歩きたくないし、駅までクルマで行くくらいなら、目的地までクルマで行きたい。そういうことが判らないからローカル線は沿線の人々から見捨てられてしまう。入り口を作らないで客が来ないと嘆いてはいけないと思う。」
これはわかるのですが、そもそもローカル線の場合、駅は必要ない(なかった)場合も多いと思います。何かの理由があって(それは例えば高知～徳島の直通であるとか、貨物列車や軍用列車を通すとかかもしれません)線路を引いたが、沿線住民の利用は期待していなかった。とはいえ線路を通す都合上地元の有力者を無視できず、昔の列車は走らせっぱなしにできなかったので補給拠点も兼ねて適当に駅を置いた。それが自動車専用道路の開通で必要がなくなってしまった。廃止したいけど一部の地元の反対でできない。鉄道の赤字ローカル線はそんなものです。コスト的にはバスも廃止して自家用車とレンタカーで自力救済してもらった方が安上がりです。

未来へのトンネル－本四備讃線－
「投資を回収するために、通行料金は割高で、定期便のトラックドライバーなどはフェリーから橋へ移行しなかった。」
まったく馬鹿げた話ですよね。単体で元を取ろうとする高度成長を過ぎた後のせせこましい節約思想の産物です。いっそ今や管理する領主がいなくなって観光用の見世物になってしまっている中世の橋の料金所と同じで、通行料を廃止し、料金所を黒歴史として晒し者にした方が良いのではないでしょうか。まあ、普通乗用車には公共交通機関を使わない罰金として高額の通行料をかけた方が良いでしょうけど。

横須賀で艦を撮る－京浜急行本線・久里浜線－
京浜急行に乗ったのなら汐入駅が自衛隊横須賀基地と米軍横須賀基地の最寄り駅のはずで、杉山氏がそれを知らないはずはありません。汐入駅からヴェルニー公園のデッキを歩けば旧横須賀鎮守府守衛所を経て横須賀駅に着くので、単に駅に行くならそれでよいはずなのですが、横須賀駅に「降りる」ことに意義があったのでしょうかね。

ややこしいきっぷ－長崎編・序１－
たしかにややこしいですね。
ややこしい切符と言えば盲腸線を含む周遊行程を窓口に示してしまったことがあり、窓口の方が一瞬絶句していました。こういう時は、日本の乗車券と自動改札機のシステムは罪作りと思えます。つまり、途中駅でいったん別路線に乗り、また戻ってくる場合に、改札内で乗り換えできるのに切符の処理は面倒になるのです。最悪別路線の目的駅で改札通過に失敗します。ヨーロッパ式に広域鉄道ネットワーク(とそれに相乗りしている近郊・都市内鉄道)の場合改札がない形なら、盲腸線部分は別の切符にしてもらって、必要なら構内でvalidationすればよいのですけどね。その代わり気の赴くまま降りるような旅はしにくい(この駅からこの駅までこの列車に乗るという切符しか買えない: マニア向けには乗り放題切符が出ていたりする)のですが。

バブル経済の功績－大村線－
「オランダの街並みを再現したテーマパーク、ハウステンボスである。元は海軍基地、その後工業団地だった場所に作った施設で、当初は長崎オランダ村という名前だった。」
ハウステンボス…まあ、名鉄グループのテーマパークよりはよほど頑張っているわけですが、正直映画がらみのあれやこれを含めて遊園地/テーマパークというのは感心できないのですが、工業団地に木を植えたのならまだましですかね。博物館なども、そもそも展示が主体、入場料収入がメインというのはどうかと思います。明治・大正のゲテモノ趣味という奴で、広義の出版が十分普及した現代においては、無駄遣い、動物虐待としか思えません。誰かのコレクションが元だというなら話は別ですが、それなら入場料など取らなければよい。
ちなみに元はというなら海軍基地ではありません。佐世保の軍港はもっと違うところです。第二次大戦中に収容された場所で、その前は干拓地です。

デジカメ宗旨替え - サンライズ瀬戸 -
「目が覚めると列車は停まっていた。時計は03時45分を表示していた。寝台列車で眠っていると、揺れている状態のほうが落ち着くらしい。停まったまま動かない寝台列車は異変だと、身体が察知したようだ。どこの駅だろう。明るいホームの向こうに近江鉄道の電車がある。米原だ。こんな時間の米原停車にも需要があるのかと思う。しかし米原は停車駅ではない。」
何でか知りませんが、この列車、よく米原～大阪間で遅れる印象があります。私も大雪で米原に止められているところで目が覚めて、新大阪で新幹線に移乗させられました。

■2020年09月02日（水）　杉山淳一氏一気読み1-デジタル時事放談

デジタル時事放談
奇数回が杉山氏です。このメディアは作りがなっていなくて、記事にタイムスタンプがついていません。内容からだいたいこの時期に書かれたものではないかと想像はできるのですが、いくら時代を超えた文章と言っても、書かれた時代の背景を理解していないと読みに問題が出ます。ジャーナリスティックな文章ならなおさらです。著者にやらせるような作業ではないので、それこそコンピューターができることなのですから、今からでもちゃんと実装をやり直してほしいです。寄稿の記録ぐらい、編集部かコンピューターに残っていますよね？ちなみに別の連載ではタイムスタンプがついています。ならば古いのも直すべきでしょう。
「コンピュータのみならず、すべての道具は人を幸せにするために作られている。」(第15回「人と機械の分業」)というのが連載のテーマですね。
反動、副作用というのはおそらくあるはずで、例えば今まで所有の延長線上で理解していた(実はそんなことはなかったのですが)コンテンツの「購入」が色々と制約されてきている(コピーも取れなければ転売もできない、それどころか購読サービスを解約すると「定価で買った本」も読めなくなる、ネットに常につながっていないとそもそも享受できないなど)といったこともその一種でしょうし、わけのわからないボタンばっかりついた機械(あるいは最近ならのっぺりした取り付く島もない手帳大の板か？)になじみ損ねると(決して普通に使えるものではない)非常に不便だというのもそうでしょう。
人をあてがえないから機械をあてがうというのは、工場ならともかく対人サービスにおいては愚策です。供給サイドの「人の代わりになる」は今のところ確実にあてにならないレベルで、それこそ杉山氏が得意にする旅行エッセイなら、ホテルのフロントが自動チェックイン機で、周辺の情報を聞こうと思ったらあてが外れて憮然としたといったオチになる感じです。対人サービスにおける人あしらい、杉山氏の言う「癒し」になるでしょうか、それが現場担当者のノウハウに留まり、設計の際にほとんど考慮されない(メーカーはしていると言うでしょうが…そもそも導入決定の担当者がそこを重視していない、あるいは(人を雇う場合はできて当たり前なので)認識していない例が多そうです)のがまず問題であって、コンピューターの問題とは言えない気がします。
コールセンターオペレーターや本社業務、書類管理のところだけ電算化してしまうというのは良くある話で、そもそも設計時点で意識していない機能は入りません。杉山氏の不興を買った保険屋が、そもそも本社から営業に顧客の情報を下すという発想がなかったのか、電算化したときに落してしまったのかは不明ですが(「この生保会社の問題点は、ITシステムの導入にあたり、"顧客へのサービスを向上させる"という目的が見出せなかったことである。これでは顧客離れは避けられないだろう。最新設備のおかげで売上が下がってしまっては、何のためにコンピュータを導入したのか判らない。」と書いているということは杉山氏は後者だと判断したようですが、前者があり得るのです: その場合、コールセンター導入以前はそもそも担当営業を通さずに情報が上がってくることがなかったということになります)、杉山氏がやったミスは明らかで、コールセンターに電話をかけるのではなく、担当営業所に営業時間内に電話をかけて担当営業を呼び出し、手続をするべきだったのです。つまりコールセンターに電話をかけるのではなく、担当営業に事情を伝えるのが、保険屋の期待する「顧客の仕事」なのです。そもそも保険屋というのは、そういう手順で仕事をしていたわけで、コールセンターなどというのは後付け、しかも下請けが何の権限もなくルーチンワークをしていたりするわけです。まあ、まっとうな会社であれば、窓口に来た連絡を担当営業に回すというのは当たり前の話で、杉山氏もそう思われたのだと思いますが、コールセンターのオペレーターというのはそもそも杉山氏が思うような意味での人間ではない、むしろどこぞの家電メーカーの作った受付ロボットの代わりを人間がやっているのです。コンピューターがどうこうと言う以前に、事業者が窓口サービスの機能を実は理解していなかった事例です。コンピューターシステムであればこのくらいできて当たり前というのはそうなのですが、そもそも発注側で認識されていない機能は入りません。
「つまり、"見るまでは語るな"である。」というのは大事なことで、その場に行くことで感じられる、知ることができるものというのは確実にあります。とはいえ、だからと言って「語るな」と言われても困ってしまうわけで、「見なければ語れないことがある」くらいが穏当なところだと思いますが。板門店に日の丸というか自衛隊旗を掲げる場合の問題については、それこそちゃんと読んでいてそれですかという気がしますが。
「オールドメディア」であることの利点というのは、理解できます。「自身の経験から、インターネット上のメディアにステータスを与える存在として、ペーパーメディアの重要性を認識していた。」というのは適切な認識で、聞いたこともないソースから記事を出したところで、読んでもらえてお金が入るようになるには相当時間がかかるのです。ペーパーメディアのというよりは全国に配本できるようなまともな出版社(つまりまともな編集能力を持っていると読者が思っているところ)の重要性だと思いますし、そのうちネットでも、この配信媒体、この編集プロダクションがやっていることだからというステータスが確立していくと思いますが、今はまだそうではない。そういうちゃんとしたところというのは企画採用までの敷居が高いわけで、それをちゃんとやる、乗り越えるだけの準備をするというのが大事です。まあ、2020年現在では紙メディアも放送もろくなもんじゃないよね、やっぱり誰がやっているかの方が大事そうという印象なのですが。それでも、メジャーの出版物流通というチャンネルを利用できる程度にこなれた企画だというのは、ステータスだと思います。
公共施設の端末の扱いというのは、自由がどうこう言う以前に難しい問題があると思います。そもそもインターネット自体が、どこかにある端末を使いに行くという発想ではなく、目の前の端末を使うという思想に基づくので、「公共施設に行かないと端末に触れない」、だから公共施設の端末に規制をかけるのは自由の侵害だというのは想定外なのです。もちろんその割には端末の値段が高いよねという話はあるわけですが、まあ、インターネット部分を実装した人たちにとっては、端末というのはあって当然で、値段など、そのうち安くなるとしか考えなかった。だから、端末がない？なら最低限の機能の端末を安く提供すればいいでしょという、100ドルPCみたいな発想になって、端末メーカーとガジェットオタクから反発を受けるわけです(実際、使えはするけれどあれができないこれができないということになりがちですし)。「インターネットの自由とは、接続している誰もが制限されることなく情報にアクセスできることである。」というのは独立した個人に適用される理念であって、自前の端末を持てない人とか誰かの事業の部品である人には適用されません(誰かの保護下にある人というのもあるのですが、これはまた別の議論が出てきます)。問題というなら、それこそ事業所で従業員管理に使うようなフィルタリングソフトをISPで提供するような話の方だと思います。それと「リンクするな！」はコンピューターの世界ではただの表明と見るべきであって、見る側としては一応尊重はすべきでしょうが、「なんと嘆かわしいことだろうか。」というのは大人げないと思います。電源が入るごとにIPアドレスが変わる端末がインターネットにアクセスしても問題にされないように、端末があれば見られるという機能だけ使ったって良いのです。まあ、リンクされることは防げませんし、「リンクされない権利」などと言い出したら叩き潰そうとしますけど。実効策としては、アクセス制限をかけてもよいし、端末やセッションを識別して一定の順序でしか閲覧できないようにすることだってできます。それをやらずに「リンクするな！」はまあ、笑っちゃうわけですけど、サイトを整備するにあたってリンクでランダムアクセスされることは想定していない、ちゃんと順番に読んで欲しいという意味なら、それはありうる発想だと思います。
IT化したから人を減らそう(というか人を減らすためにIT化しよう)というのが間違っているという主張は、ある程度理解できます。もっといわゆる情緒労働の部分も含めてきめ細やかなサービスを提供し、収益につなげようというのは、まっとうな考え方です。とはいえ、ではワークシェアリングで済むのか、余暇を増やせるのかというと、そもそもそうなるようにビジネスプロセスを設計しないとならないし、余暇の時間だけ増えたところで収入が減っては余暇に何もできない(杉山氏も指摘するように個人的にはこれは間違った考え方だと思いますが)という人が多いでしょう。機材であれ仕事であれシェアする仕組みを作らないとシェアのしようがないですし、余暇産業も何も、余暇産業で使うお金が稼げないのでは、発展のしようがないのです。それこそ「安心」と言っていた保険の外交員だって、会社として顧客をサポートする体制がないからこそ外交員直通の携帯電話番号を顧客に渡しているわけで、こういうのはワークシェアリングとは対極にあるものです。そのあたりをすっとばして議論するのは感心できません。

読んでいて思ったのが、デジタルとアナログという二項対立は結局こういう捉え方なのだろうなということです。つまり、デジタルな道具を使っているからそうなるのではなく、そもそも設計者の認識がデジタルというか利用者からすれば肝心なところを切り落としてしまっていて、それをアナログであるがゆえにそうなっていたところと比較して、だからデジタルはと論じてしまっている。意識して切り落としているのではなく、単に気づいていないだけということも多いと思います。
また、やはりそもそも仕様策定の段階、つまりジャーゴンで言えばビジネスプロセスエンジニアリングになるかと思いますが、そこをきちんとやっておかないと、出来上がるものはまともになりません。設計や分析が大事というとやれツールがどうだ手法がどうだという話になりがちですが、そもそも聞き取りができていないレベルの問題も少なくありません。聞き取りといっても話を聞ければよいというわけではなく、話を聞いた相手が意識していない、あるいは当たり前だと思っていて話さなかった部分に鍵があることもあります。またビジネスプロセス全体を整理・調整しないと顧客満足につながるIT化にはなかなかつながりません。
その上で、人を幸せにするために道具の使い方を工夫していくことが大事でしょう。
それと、個人的には「人と機械の分業」はおかしいと思います。もちろん概念自体は理解できるわけですが、IT化というのは本質的に人がやっていたことを機械にやらせる、決まった手順にユーザーを従わせるものです。義務的なアウトプットのために作業に従事するという意味での仕事は、情緒労働も含めて機械に任せるべきですし、ユーザーは機械に慣れるべきです。サービスサプライヤーの提示する手順に不満があるのであれば、自分の望む手順とサービスサプライヤーの提示する手順を整合させる機械を用意するべきです。そんな調整は、人間の賃労働で行うことではありません。そうして、24時間365日、機械を働かせればよいのです。機械が人を駆逐する、その上で人は、機械には絶対できない部分、つまり責任の引き受けと自発的な活動に特化するべきです(まあ、自発的な活動は人でないとできないとは言えなくて、お金を出して機械を買っておけばその機械が自動的に新しいビジネスを考案して実施してお金を稼いでくれるのであればうれしい人も結構いそうですけど)。これは分担とか分業とは言わないでしょう。人を労働という苦役から解放する、その上で、人はあえて何かを行い(必要で可能なら機械を使って効率よくやって)、その成果を社会に還元するというのが、人と機械の分担ではないでしょうか。
その上で、経営者は、人減らしの口実にIT化を使わない、IT化して浮いた人員で主に情緒労働の部分を充実させる(ことができるかどうかは労働契約によるのではありますが、理念として)、IT化する時は機械でやれることの効率化、窓口の人間をしゃべる人形にしない、現場がストレスなく仕事を進められる設計を、心がけるべきでしょう。もちろん、格安航空会社と同じで、サービスを規格化して自動化して切り詰めて値段を下げるという方向性もありますが、正直それなら人を雇うべきではないと思います。

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