日記

■2019年06月24日(月)  電子政府対応のシステム改修のため三カ月間窓口閉鎖とか?
小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」Vol.9 余談
小寺氏、見事にはまったようです。実際あの手続、被用者保険を渡り歩く場合を除き非常に面倒くさいというか時間がかかるし書類を整えないといけないので、お役所仕事とは別の問題があるとは思います。国民健康保険に統合して全て市役所の窓口で手続きできるようにしてくれないかとは思うものの、使用者負担分を取るという点では問題があるのでしょうね。
とはいえ、そこで電子政府というのは少々短絡的でしょう。そもそも、遅延の原因の一つは複数の資料が不足しているのをひとつづつ指摘されたことで、これは役所のマニュアルの問題です。一方で連絡が郵送ベースで時間がかかる(窓口まで行かずに済むだけましではある)件ですが、確かに郵送となれば最短で1両日、転送手続が絡むと小寺氏が指摘する通り一週間程度はかかるわけですが、これは現在一番正確で融通の利くコストの低い連絡手段が窓口と郵送だからです。各種証明書は自治体ごとに書式が異なります。またネット上での連絡先と言っても、それこそ変更するごとに転居届並みの手続が必要になります。個人で携帯電話契約と切り離されたメールアドレスを持っている人も、まだそれが普通とは言えないでしょう。電子政府の導入は、システムの問題というよりもそういうスタイルを受け入れるかどうかの問題であるように思います。
窓口に持って行ったらすぐ手続をしてもらえたのは、まあ、そういうものです。係員の判断でFIFOを飛ばして処理をしたのでしょう。公表する処理時間なんて最悪を見込むもので、しかも一人の係員が複数の処理をしている以上、個別には数分で済む処理でも処理待ちで数日かかることはざらです。もちろん人間の処理をすべてなくしてしまえば数秒で発行できるのでしょうし、一人一作業にでもすればそれなりに改善するかもしれません。
エストニアのような小さい国はともかく、日本のようにそこそこの規模で分散処理を基調に事務手続を発達させてきた場合、電子政府化には膨大な規模のすり合わせが必要となるでしょう。通常業務に加えて特需的にその種の作業が発生する場合のロスは、あり物を流用しても、設計フェーズでSEが払底、調査対応で事務処理が棚上げということになるのではないかと思います。コストどころか、文字通り仕事が止まりかねません。どこかで払うことになるコストだと思えば我慢するしかないにせよ、特需であって終了後は過剰リソースの調整が生じることも含めて、安易な推進はいかがなものかと思います。

■2019年06月22日(土)  クレーマーJR東海?
着工できないリニア 建設許可を出さない静岡県の「正義」
なんか、企業経営者にこの手の失言が多くありませんかね?経団連首脳部の雇用問題へのコメントとか。ふた昔くらい前の政治家や役人の暴言に通じる部分があるように思いますが、主張の筋が通っているかどうかにかかわらず、思い通りにいかないと切れるのは、最近はクレーマーなどというのではないでしょうか。役所を納得させて事業を進めるのは仕事のうちでしょう。

■2019年06月19日(水)  病巣というか、病ですよね
ピアプレッシャーという“病巣”――「休暇制度の充実」だけでは働き方改革を実現できない
「働き方改革」は別に目的ではないのでどうでもよいのですが、休むのが不安というのはわかります。とはいえ、福利厚生の充実の方が効果的というのは、筋から言っておかしいと思います。もちろん従業員厚生として効果的ということは理解できますが、本来働き方改革を含む労働規制改革は、労働者の勤務先からの自立を前提としているはずです。福利厚生の充実は労働者を福利厚生を提供する雇い主に依存させてしまう結果を招くと思います。リゾートホテルの優待券くらいなら転職に際しても問題にならないでしょうが、それこそ事業所内託児所制度があるかどうかというのは、一定の年齢以下の子供を持つ親にとって大問題となりえます。4歳までだとしても2歳違いの子供3人で20代中盤から40前くらいまでの10年以上にわたって雇用者提供の福利厚生に依存するというのは、それこそ雇用の流動化やヒューマンアセットの最適化の観点からも問題があります。ベビーシッターや介護人を雇えるだけの給与を支払う方が筋が良いでしょう。
というか、自営ならともかく、キャリアの継続性や復帰時の不安の問題で被用者が休みを取れないなら、フルタイム雇用でなくとも経歴に傷がつかないように制度を改革すべきです。賃労働者が休めないというのは、その時点で病的です。

■2019年06月19日(水)  解約料規制はそんなに非常識なのか
キャリアの在庫端末処分には「総務省へのお伺い」が必要――日本のスマホ市場に自由競争は存在するのか
KDDIが「ホテル」に出資した理由
携帯解約金は何のため?上限1000円に憶える違和感:本田雅一のウィークリー5Gサマリー
上限1000円で話題、『2年縛り』ってそもそも何?解約金引き下げの影響は
携帯料金、競争もとめ劇薬投入 スマホ割引『上限2万円』の根拠は
「自由競争」などと大上段に振りかぶっていますが、通信事業というのは規制市場であり、自由競争というのはあり得ないでしょう。そもそも基幹通信設備や相当に制限的な免許がなくては参入さえできない、一方で比較的参入が楽なリテール分野、つまりMVNOについてはフルサービスの事業者、つまりMNOの力が甚だ強いのです。
事業者がどのようにふるまいうるかという点は、自由で安定的な市場を成立させるための規制という視点を与えれば、合理的に解釈できます。例えばユニバーサルサービスもその例で、そもそも大都市のような展開コストの小さい市場と山間地のような効率の悪い市場では条件が異なり、本来別の市場とされるべきですが、様々な条件からそれが分離できないために(東京と鹿児島で通話料や基本料金が違うならそれこそ問題です)、ユニバーサルサービスという条件を課して調整しているわけです。こうした規制の一環として、一般ユーザーへの機材売渡の規制や料金制度の統制はあっておかしくないものです。劇薬というほどのものではありません。石川氏が揶揄する端末販売価格規制にしても、総務省だって、単なる譲渡契約で端末の不良在庫を新古品業者に売却するくらいはさほど問題視しないでしょう。逆に端末のキャリアへの卸は問題視するかもしれませんが、それは端末と契約の一括販売につながるからです。MNOというのは参入障壁の高い保護された事業であり、殿様商売と紙一重のお行儀の良さが求められます。
そう考えれば、まずもって透明性の高い整理された料金システムをユーザーを拘束しない形で要求すること自体はどこもおかしくありません。割引や解約金といった料金制度を複雑化させる要素は取り除き、基本料金と本来の通話料のみとするのが筋です。割引のようなことはMVNOにやって欲しいということです。本田氏の指摘するような通信原価の逓減があるとしても、それは料金全体の改定で対応すべしとの立場でしょう。実際、個別にユーザーに発生するコストなど事務コストくらいであり、通信事業者が長期契約を優遇する理由と言えば需要の安定による設備投資見通しの改善くらいしか考えられません。
料金にしても、通信事業者に値引きの余力があることは、状況証拠から明らかでしょう。割引料金を提供できていることもそうですし、ホテル事業のようなアプリケーションに出資できていることからも、設備投資や通信技術への研究投資をしてなお十分な資金があると言えます。電電公社時代のような独占事業でユーザーの行動が約款でがんじがらめなら別ですが、通信が公益的な事業である以上、通信事業は基本的に上下を分離し、通信事業者はデータを分け隔てなく運ぶことに専念するべきです。事業体が別事業に手を出すのはまあ、かまいませんが、その場合免許を別の事業者に譲渡すべきでしょう。当然、他業種の事業者が参入する場合でも、新規に専業の事業体を設立するべきです。
個人的には、パケット通信限定の事業とし、通話も含めて切り離してほしいものです。

■2019年06月15日(土)  日傘男子より先に
レジ袋、来年4月1日から有料義務化 世耕経産相が方針
間違っているとは思わないのですが、正直これやるなら「買い物袋男子」キャンペーンをやってくれませんかね。日々の出勤に買い物袋を持って行くことが当たり前になってくれないと、政策目的上あまり意味がないと思いますよ。まあ、コストコの保冷ショッピングバッグは持ち歩き用として適してないことはよくわかりましたけど。
ショッピングバッグは、どうもデザインが合わないことが多いんですよね。とりあえず九電産業のノベルティとThermosの保冷ショッピングバッグは便利に使ってますが、カタログでは花柄とかが多くて、お金を払う気になれません。

■2019年06月14日(金)  制度に責任を押し付ける無能
終身雇用はもう限界? 将来像悩む財界人たち
こういう記事を見るたびに思いますが、日本のいわゆる財界人というのは無能ですね。財界人と言う以上基本はどこかの企業の経営者だと思いますが、ならば経営判断をして株主に意向を問う、株主が納得できるようなプランを、雇用問題なら労働組合とでも話し合ってまとめ上げるのが仕事でしょう。長期の保証ができないというなら短期の施策で埋め合わせを提案したって良いわけで、雇用者と労働組合が合意できれば、よほど無茶な内容でもない限り監督官が差し止めたりはしないと思います。どうしても条件を積み増せないなら、そもそも事業継続は不可能ということで会社清算を株主に提案するのも立派な経営施策でしょう。
そもそも若手が数年程度の勤務では転職できるような技能が身につかないとか、転職先が限られており勤め続ける方がまだましとかいう状況があるわけで、そういうレベルの人を採用しておいて数年勤めたら転職を考えてくれとか、部門を閉めたら解雇もありうるとか言うのは反則です。会社の一員ですとか言っておきながら出て行ってくださいと言うのも反則です。そういう反則になるような状況で誠実な対応をすると会社が立ち行かないと言うなら、そもそもそんな事業は存在価値がないので、傷が広がる前に清算すべきです。事業を清算して払うべきものを払って解雇するなら、責任を負うべき主体がなくなってしまうので責任を問えないのですから。それを政治家や役人や新聞記者や講演の聴衆に愚痴を言って、その割に本当の相手方と交渉をしようともしないというのは、傲慢なのか怠慢なのか、まあどちらかでしょう。
もちろん労組側も、終身雇用が限界でないというならそれこそ事業設備だけ買い取って自分で運営すればよいわけです。労使交渉で負債を資本側で処理させたうえで事業を引き取って、看板は変わりますが設備も中身も元の会社です、と胸を張れないとしたら、労働者としてはともかく社会人としては恥ずかしいでしょう。

■2019年06月14日(金)  正直私物のスマホででも見ればよいだろうと思うのですが
少年院教官がアダルトサイト閲覧 動画など400件保存
だからなんで仕事用の、しかもネット接続禁止のパソコンで見ますかね。こういうことをやるから、真面目に働いてる人がめったやたらなサイトブロッキングなんかで苦労する羽目になるんです。まあ、少年院みたいな職場だと私物のデバイスの持ち込みができないこともあるとは思いますし、その割にひたすら退屈な仕事もありそうですが。とはいえ、20代がやるならともかく、58歳ではついて当然の分別だと思いますけど。

■2019年06月14日(金)  タッチパッドはいらないけれど
モバイルノートPCにタッチパッドって本当に必要か
いるかと言われるとほぼ使いませんけど、タッチスクリーンは解ではないと思いますよ。あんな、どこを触っているやら見当もつかないもの。

■2019年06月14日(金)  無駄なプロジェクトをすることはともかく、褒める理由がわからない
ポケモンGOよりAmazon Go
未来なら何でもいいとは思わないですけど。個人的には全感覚ダイブで全て済む時代が来てほしいとも思いますが、それも人によりけりでしょうし。正直無人店舗などどうでもよいので、Amazonには受け取りの自由度を上げてほしいです。予約新刊の期日指定発送は早急に導入してほしいものです。Amazonのメリットは品揃えと店に行かずに済むことです。生鮮品を扱いたいなら店頭で選ぶ必要もないほどに規格化すればよいでしょうし、逆にウインドウショッピングを楽しませたいなら店員とのやり取りもまた一興という考え方だってあるでしょう。レジを通るのは面倒ではありますが、わざわざ店舗に行ってレジを通らずに済むというのがどのような意味で新しく望ましいエクスペリエンスであるのか、理解できません。

■2019年06月13日(木)  勘違いというか、公園で子供と遊ぶ70歳以下の男性なんて不審者ではあるよね
娘と公園で遊んでいたら不審者と勘違いされ通報された―― 声優・落合福嗣さんの体験談に大反響
うーん、お気の毒としか言いようがないですね。通報する側の気持ちもよくわかりますし、そもそもそのあたりを穏便に解決することも警察官のスキルではありますし。もっとも職務質問されて身元の証を立てる羽目になるというのは、どう考えてもうれしい経験ではないのですけど。
個人的にも、それこそ出先で空き時間に公園をうろつくなどしていて、観光の対象になるような公園でもなければ、通報されても文句は言えないと思うことはあります。その意味ではカフェにでもいる方が安全なのでしょうが、気分的にカフェに行きたくないこともまたよくあります(コーヒー一杯で一時間いられる人はすごいと思います)。

■2019年06月13日(木)  社会改良で身を亡ぼす道徳的知識人
資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界, ISBN978-4-06-513310-1
前著の市場と権力 改革に憑かれた経済学者の肖像を先に読み始めているのですが、こちらの方を先に読み終えてしまいました。竹中平蔵氏については相当に距離を置いている感じの著者ですが、本著では非常に入れ込んでいるように思えます。
普通に偉人伝風の構成です。日経と東洋経済出身の社会派ジャーナリストには、この手の本を書かせると非常に上手な人が結構いますね。そのあたりは社風なのかもしれません。ただどちらも社会問題については保守的なところだと思うのですが、なぜか社会派のフリージャーナリストが多数、日経や東洋経済の記者の経歴を持っています。
流れとしては、学業優秀、めきめきと才覚を現し、学問の世界で活躍するが、後半生に社会問題に手を出して挫折という感じで、割と日本出身の知識人の典型のように思えます。ネオリベラリズムへの批判については対象の傾向なのか著者の問題意識の反映なのか判然としませんが、戦中期の一高出身ではネオコンサバティブやネオリベラリズムとの相性はあまり良くなかっただろうという気はします。ピュアな市場主義の人には、政府を信じない人と市場を信じ切っている人がいますが、本著で描かれる宇沢氏は典型的な前者です。ちなみにインピュアな市場主義者は伝統のある大企業の経営者に多いですが、会社経営の都合と保身しか考えないサラリーマン経営者ですね。社会問題にはまり込んでいく契機として公害問題、特に水俣病問題への傾倒が語られますが、悪役扱いされるチッソや昭和電工にしても、ミッションは化学肥料製造による農業生産性向上への貢献ではあるわけで、問題が起こったときの隠蔽体質のような問題はあるものの、フツーの善意の日本的事業組織だと思うのです。会社の人にとっては職場が維持されるかどうかの問題であるわけで、その中で被害者に感情移入などできるのはよほどのお人よしだけでしょう。他のエピソードにしても同様で、経済学は人の心が問題などとうそぶきつつ自分は人の心がわからなかった人、そういう印象は否定できません。オールドリベラリストによくいるような、善意の偉人、道徳的知識人。意図的かどうかはともかくとして、著者は対象をそのように読めてしまう描き方をしています。
感情移入はしやすいんですけどね。チッソやリーマンブラザーズを事実を曲げてでも弁護するのだって職業専門家の仕事であるという観点からは、一方的な描き方であるとは思います。

■2019年06月12日(水)  熱収支の問題だと思うのですが
緑のニューディール、米政界を席巻 180兆円の構想も
この手の報道を見るたびに思うのが、そもそも熱収支の問題なのに、温室効果ガスだけ考えて意味があるのだろうかということです。もちろん出た熱をどれだけ効率的に地球大気圏に閉じ込めるかを考えるうえで温室効果の影響は無視できませんが、そもそも二酸化炭素が出ているということはそれだけ何かが燃え、熱が出ているということです。二酸化炭素を回収し、あるいは放出を減らしたとしても、代替エネルギーを使用したならば、熱の発生速度は減りません。放出速度を上回って熱が発生したならば、温暖化するのが当たり前です。

■2019年06月11日(火)  今更植物性素材とかトータルCO2とか言われても
カップヌードルが新容器 植物由来素材、8割に増加
カップヌードルの容器って、ポイ捨てプラスチック容器の定番に含まれると思うのですが、生分解性素材の使用まで行ってないんでしょうか。もちろん機能の維持が大前提なので、研究開発に時間はかかるとは思いますが、対応が遅すぎませんかね。

■2019年06月11日(火)  結局FTTHはありがたい
小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」vol.7 02余談
6/11現在でアマゾンに出ているので、アマゾンでの配信を意図的に遅らせているわけではなさそうです。とはいえマンデーのランチには間に合っていませんので、どこで遅れるのかですね。
前回から引き続き、仮住まいでのネット環境ネタですが、リーズナブルなものが出ているそうですが続いてくれるのでしょうか。MVNOはこれくらいやって欲しいなあ。モバイル解約してこっちに回る手もあるかなあ。
さて、小寺氏の状況を携帯電話関連コメンテーターの皆さんはどう見るでしょうか。5Gの話題で持ちきりですが、ラストワンマイルを携帯電話に頼るというのは5Gで目論まれていることのひとつです。引っ越すと荷物の梱包を解くまでこの状態に追い込まれることは私も経験がありますが、容量制限に引っかからないよう相当注意しなければなりません。動画受信くらいなら存分に使っても6GBで一週間くらいなら持ちますが、クラウドと同期などしているとあっという間にギガが飛びます。割と意識してメールのやり取りしかしなくなる程度には、制約されます。問題は、これが容量制限による制約だということです。つまり、基地局あたりの問題ではなく、基幹ネットワークの問題なんですね。5Gでこれが緩和されるのか、相変わらずこのままなのか。真面目にクラウドストレージを使うなら、月間1TBくらいは最低限必要だと思うのですが。

■2019年06月10日(月)  キャリアが逃げ回ってるだけとも言える
携帯解約金「上限1000円」は大混乱をもたらす(石川温)
まあ、混乱はするんでしょうが…正直キャリアにしても、総務省がどこかの時点でこう来ることは読めていたと思うんですよね。解約金の額までは判明していなかったにしろ、ゼロを含むいくつかの典型的な額でのプラン設計の素案くらいはできていても不思議はないです。
キャリアの動向を見る限り、解約金を含む拘束条項を禁止され、一切のペナルティーなしにキャリア間の移動が可能になったとしても、回線使用料については現状の額の維持が可能であるようには思います。拘束条項を充実させるためにやたらと投資を繰り返しているわけで、投資をしないと先細りになるという状況でもないのですから、本業に専念すれば事業の継続は十分可能でしょう。総務省も、そう判断しているのではないでしょうか。まあ、ソフトバンクと楽天が黙って絞られているとも思えませんが…上下一貫サービスを含むユーザーの囲い込みに血道をあげ、決済や金融に手を出して総務省の癇気を買うよりもすることがあると思いますけどね。
もちろん、対策を小出しにしてきた総務省にも問題はあります。一時的な過当競争の導入も辞さないというなら、審議会対策も含めてやりようはあったはずで、キャリアがここまでしつこく抵抗することも含めて、見通しを誤ったのは確かです。国土交通省も航空旅客事業で同じようなミスをやっている印象ですが、どうしても改革を進めたいなら電気通信事業民営化や郵便事業改革の時のような腰砕けにならないよう、せめて有識者と国会は取り込んでおかないといけなかったのでしょう。政策決定の透明性などというのはとりつくろえば済む話です。もっとも改革路線にしたところで、外資系ファンドの傘下で寡占になって終わることも十分あり得ます。とはいえ、役所を舐めた行動をとって状況を混乱させたのは主要キャリアとは思います。キャリアにも都合はあるので、反省せよとか行動を改めよと言うつもりはさほどありませんが、さっさと配当ゼロで上場廃止になるくらいまで利益を吐き出して、土管屋に専念してくれないかなとは思います。

■2019年06月09日(日)  NHK受信料は一種の税金ではある
小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」Vol.6 01論壇
なんか金曜日まではアマゾンに上がってなかったんですが、配信のタイミングをずらすのでしょうか。もうしばらく様子見ですが。
さて、本稿。いささか引っ掛かります。「NHKは国営放送でない。だが公共放送、という位置付けが少々ふんわりしたものであり、だがあくまで国営放送ではない、という扱いであるがゆえに、本来は「税金のように全国民から強制的に徴収する」 = 税で運営されるがごとき方法論は趣旨に反する。」、確かにある程度はそういう建前なのだと思います。70年前はともかく今時あの手の押しつけがましい公共はあり得るのかという論点はありますが、それは措いておきます。どんな内容であれば公共にふさわしいかという点も議論しません(正直番組を含めて言いたいことは山ほどありますが)。放送なり番組制作なり放送事業なりに公共性はあるのだと前提します。ならば、税金のように全国民から強制的に徴収するが如き方法論は趣旨に反する、というよりは、税という、法律をもって定められなければならない(当然その使途まで国会が介入します)徴収方法を回避し、事業の自立性を確保したうえで、ある程度強制的に徴収する方法が受信料だということではないでしょうか。公共という時点でみんなで負担を分かち合うものになるわけで、そのルールとして受信機を導入している世帯なり受信機なりを単位として徴収しているだけでしょう。つまり、「「ネット端末のない家庭」を想定するのが難しくなり、実質的に「ネット利用税」的な立ち位置になってしまう。すると、「公共放送なので税ではない」というお題目と矛盾する。」という論は成り立ちません。税というのは法律に基づいて強制的に徴収される公共のための費用であって、負担が国民全員である必然性もなければ、税という名前ではないが法律に基づいて強制的に徴収している公共のための費用もいくらでもあるので、受信料は税ではないという意見にそもそも説得力がないでしょう。まあ、西田氏自身がそう言いたいわけではないわけですが。
公共放送という枠組みの議論に難しい面があり、かつ事業費用の確保や競合する民間資本との兼ね合いで余計ややこしくなっている点はその通りと思います。個人的には電波放送無用論であり、放送に割り当てている帯域を通信に転用した方がよほど有益と考えていますが、NHKや関係事業者の持っている番組制作能力が高いことは確かであり、垂れ流し前提で製作者を養った方が良いものを作ってくれるのも事実でしょう。NHKというシステムに問題があるにしても、民放のシステムの方がよほど問題があることも明らかですし、事が金策である以上通信にすればよいというわけでもありません。文化支援事業と考えれば、今の制度はそこそこリーズナブルではないかとも思います。

■2019年06月05日(水)  5Gで十分ですか?
それって本当に5Gである必要あんの?ではなくいずれ必要になる:本田雅一のウィークリー5Gサマリー
論旨はわかりますが、それを言うなら逆に5Gで十分でしょうか。端末の性能にもよりますが、それこそIoTをフル活用するためには、より大きな通信容量、収容回線数、カバレッジが必要ではないかと思います。とりあえず5Gで実用化するというのは、通信機器メーカーや通信会社の都合にすぎません。正直、LTEでの経過を見るにつけ、5Gを使い切るアプリケーションが現れるころには5G事態陳腐化した挙句、次世代への移行が議論されていることになりかねないと思います。エンドユーザーに更新を訴えられる端末メーカーには都合がよいかもしれませんが、現状で間に合っているうえに移行してもすぐ買い替える羽目になる次世代機というのは、あまり魅力的に思えません。

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