日記

■2019年03月31日(日)  パートナー制度もないのにやりがいですか
まぜるな危険、生駒市採用ポスター「税金泥棒お断り」
どうにもブラックな香りがします。というか、市長と市議会議員が無能なので職員が頑張らないといけません、見返りなしに頑張ってくれる社畜を募集中っていう印象しか受けません。有能さと責任を求めるには最低限権限の保証が条件のはずで、こんなユルい募集では詐欺的と言わざるを得ないでしょう。市政を背負ってくれる人を募集と言うなら少なくとも行政評議会を設立して市長並みの権限でパートナーとして市政に参加させるべきなのですが…これ、一般職員の募集ですよね?

■2019年03月31日(日)  これ、国外犯でも適用するのでしょうか
テロ映像、即削除しない企業に数千億円罰金 豪政府案
ソーシャルメディア企業と言ったって、実際にはそういう業界の枠組みがあるわけではないのであって、どんな場が適用対象、あるいはそうでないのかは明確にしておく必要があると思うのですが。しかも客観的事情から陪審員が判断できないといけないわけで(そうでないと訴追側の提示した判断を陪審員が丸呑みする可能性があります)、登録制度でも整備しない限り人権侵害の疑いが強そうです。
もう一つの問題が国外犯を処罰するのかどうかです。国内への波及を阻止するのであれば、それこそサーバーが国外にあり、アップロードも国外から行われているといった事例でも処罰しないといけないわけですが、これは法律だけでは決められません。もちろんニュージーランド所在の事業所あたりに適用する、ない場合は指名手配なり訴追なりだけしておいて責任者がニュージーランドに来たら手続を進めるといった形もあるわけですが、そもそも国内に効果を及ぼしたというだけでそこまでできるのかどうか。例えば日本だって、賭博罪を外国で運営しているブックメーカーサイトに適用した例はないはずです。

■2019年03月30日(土)  気軽に「究極」などと言わないように
超広角から50倍ズームまで使えるファーウェイ「P30 Pro」は究極の「旅デジカメ」だ:山根博士のスマホよもやま話
正直そんな用途に一眼レフなんぞ使うなという気がするのですが、まあ、運動会や学芸会で子供の写真を撮るのに一張羅の高倍率ズームレンズ以外持っていない「一眼」レフは必要なくなるのでしょうかね。コンデジがその領域を侵食したのはもう20年は前だと思うのですが、なぜかデジタル一眼レフを買うお父さんが絶えませんでしたし。
記事の先頭右側の写真など、おそらく遠距離から拡大しているので空気の揺らぎが影響しているのだと思いますが、にじんだひどい写真で、これを性能の引き合いに出されたらカメラメーカーは泣くのではないでしょうか(長焦点以外の性能が引き出せていません)。
ステンドグラスの写真は、撮って出しでこれなら素晴らしいと思いますが、もちろんセンサーもよいでしょうけど、加工の問題であって、正直デジタル一眼レフでも撮って出しでこの写真は撮れません。その前のガルニエ宮というかオペラ座の写真と合わせて、カメラの撮れ方とは明らかに異なる、背景の沈んだ写真になっています。もちろんこれはこれでよいわけで、通常後処理の結果得られる見栄えのする絵がシャッター一発で撮れるというのは大変便利です。
とはいえ、カメラメーカーはこうした絵作りにはNo!と言うように思います。絵作りの方向性も含めて、ユーザーが判断すべき表現を機材がしてしまっているからです。加工の方法自体はさほど新味はないでしょうし、どのような時にどのような加工をするかという部分はもっと広い状況での結果を見てみないとわからないですが、このレベルならカメラメーカーとしては数年前には実現できたのではないかと思いますし、むしろあえてせずに、シーンの選択という煮え切らないシステムの搭載に留めていたのが実相のように思います。その意味で、なんとも納得のいかない印象の記事です。
もちろんライトユーザー層の手軽に印象的な写真を撮りたいという欲求は大事であり、それを汲み上げる現行のスマートフォン内蔵カメラシステムの方向性は否定されるべきではありません。それを素直に表したこの記事自体は理解できるのです。とはいえそれを「旅デジカメ」という一語から汲み取れるかと言うと…「よもやま話」ではあるのですが、メルマガや商品宣伝ならともかく、ガジェット記事としてはもう少し書きようがあったのではないかという気がします。

■2019年03月30日(土)  光学設計の哲学?
写真、それは光が描いた絵、スマホではAIが描く絵
「「写メール」が写真つきメールの代名詞となり、「写メする」という動詞は今なお健在だ。だが、それを取り巻くテクノロジーは想像を絶するほど変化している。」
テクノロジーの変化も大きいですが、「写メ」の「写」の部分のイメージもだいぶ変わってきたように思います。この意味での「写」は、画質自体は良くなってきたとはいえ、パンフォーカスの奥行きの感じられない写真でした。しかし最近は、「ボケ」や「歪み」のように、レンズ的な空間表現を意識したものになってきた気がします(もっともカメラでもこのあたりの表現を意識的にするようになったのは相当新しいとは思いますが - 余計な映り込みはボケで飛ばせなんていうのは、割と古くから言われていたと思いますけど)。
その意味で、カメラの写真はこういうものであるというイメージは大事であるとは思うのですが、それがライカの光学設計の哲学かというと…ライカ自体はマニアックな会社じゃないので、様々な用途の光学機器を作っているわけです。一般に写真機屋で売っているカメラやレンズはそのごく一部にすぎません。こういう用途にはこういう性能基準をもって対する、この条件ではこういうレンズ配置が適切だといった方法論はあるでしょうが、哲学というのはマニアの信仰ではないかという気がします。その絵が好きか嫌いかはともかく、「ライカで撮った写真はこうなっているものだ」といったステロタイプは、マーケティングリサーチとユーザーはさておき、技術屋としてはアルカイックスマイルで聞くべき話です。出来上がりのイメージを含めた一定の制約に基づいた基本設計の提供や、光学エレメントが満たすべき基準、あるいはそこに合わせた設計上のアイデアの提供が協業の上での役回りである気がします。もちろん、その上で「ライカ」というブランドを関することも重要でしょうけど。
とはいえ、「ワンストップで得られる理想に近い絵」というのは、重要な観点ではあります。ある「理想の絵」というのはあって、手持ちの機材や後処理でいかにして得るかというのがアマチュアを含めた技能者のアプローチなら、(せいぜい、高々数種類の中から設定を選んで)撮影ボタンを押すだけで撮れてほしいというのは、ライトな層としては当然の要求です。ただし、それは、いわゆるカメラが大きなイメージング素子と大口径、長焦点の光学系を用いているとか、スマートフォンの場合サイズの制約があるのでサイズの大きいシステムは使うことができないといった話とは別次元の話です。また、求める「理想の絵」の「出自」も議論になるでしょう。これも技術的制約とは別の話です。山田氏の観点は、Weller氏の観点とは直接には接続していないように思います。

■2019年03月28日(木)  これはP2Pではないような
「ひとり空間の都市論」南後由和、筑摩書房、2018
終章において、ひとり空間の変容の駆動力のひとつとしてP2Pが挙げられていますが、いずれの例もP2Pとは言えないと思います。本来P2Pはネットワークノードが対等に通信を行う方式であって、サービスの方式の概念ではありません。しかしながら、挙げられている例はいずれもサービスであり、しかもサーバーでマッチングが行われ、交渉もサーバーの機能となっているものです。著者の言いたいことはなんとなくわかるのですが、それをP2Pを引っ張ってきて説明しているのは、用語の混乱でしょう。著者が着目しているのは効率よくサプライヤーとユーザー、シーズとニーズを結びつけるマッチング機能であり、そのグラニュラリティではないかと思います。技術的には一切P2Pとは関係ないので、本来別の用語を立てるべきと思います。

■2019年03月27日(水)  人口移動の問題の把握を間違ってませんか?
横浜の閑静な住宅街、実態は「限界集落」 住民に危機感
人口減少の問題ですかね?これ。そもそもいわゆるニュータウンは、人口の都市移動と持ち家政策によって成立した現象でしょう。生産と結びついている家ならともかく、ただのねぐらである以上、次世代が自分の生活の拠点に新たなねぐらを設けることも、それによってニュータウンが高齢化することも、後から考えれば当然です。一方で、ニュータウンというのは生産と結びついておらず、交通によって商業へのアクセスを確保しているわけですから、入居した世代が死亡するまでは寂れた感じにならないのもまた当然でしょう。産業構造や小売りの形態の変化が問題である商店街や地場工場地域、農業集落、あるいはそもそも都市的なインフラへのアクセスが悪く、世帯数自体が多くなかった寒村とは事情が異なると思います。
また、紹介されている住民や自治体の対応策も首をかしげざるを得ません。宅地を団地状にして持ち家になどするから持ち主が絶えるまでは交代が起こらないわけで、しかも新規の移住者は建売ではなく注文住宅になります。量産効果を考えると、それこそ一度更地にして建売の分譲からやり直すくらいするのでなければ、対策にはならないと思うのですけどね。

■2019年03月26日(火)  一年前に注文した本
2018年3月19日に注文してクレカで決済まで終えた本が、2019年3月23日に日本国内の発送代行業者から発送され、今日届きました。注文時点で製作中というならまだわかりますが、発行自体は2002年の本です。アメリカの在庫管理というのはどうなっているのでしょうか。

■2019年03月22日(金)  別に奪い合いはしてないと思うのですが
GAFAと国家が個人データを巡り激突する時代 国民にその自覚はあるか
激突はしていないというか、競争政策と国内の競合事業者の保護、課税逃れを除いては衝突する理由がないですが。
GAFAを一括してみた場合の政府との対立点としては、まずもって課税と雇用の保護があります。前者は、それなりに技術的な論点はあるにせよ、古典的な租税回避の問題です。まあ、かれこれ50年も議論しているのに結果が出ないというのも相当情けなくはあるのですが、GAFA以外にも相当悪質な租税回避を行っている国際企業や金融事業者はあるわけで、頑張って網をかけてくださいとしか言いようがありません。雇用も、Amazonは展開地域内に流通拠点を設けていますし、地元の流通業者も利用していますから、それなりに雇用に貢献はしているはずですが、出荷作業ではそれこそ非課税枠内とか最低賃金になりかねません。Appleの国際分業と買い叩きは有名な話です。GとFはそもそも従業員を雇う必要が少ないでしょう。高度技術者だけで経済が廻るようなのはせいぜい総人口数百万人あたりまでで、タックスヘイブンを除けば、もはや過疎地くらいしかGやFを誘致する理由がなさそうです。
次に競争政策と個人情報保護です。これは純粋に規制側として対峙するわけです。Appleはむしろデバイスに存在する個人情報の取り出しに関して警察と対立することがありますが、Apple Storeも含めて叩けば埃はそれなりに出るでしょう。競争政策では、Appleも少なくとも部品購入量が低下することで日本で会社が傾いてしまうくらいの影響力はあるわけですし、何らかの形で消費者に直結する流通部門を持ち、そこでサードパーティーの製品を含めて流通の仕組みと購買情報を握りこんでいるという点で、優越的地位は否定できません。GとFの広告流通も同じことです。これらも古典的な問題…と言いたいところですが、日本でのRも含めて、かつての巨大スーパーが色あせるほどの地位にあるため、睨まれるのは仕方がありませんし、収集した情報を自由に分析でき、またそれを売る立場にいるという競争的優位は強力です。
ここまでの個別的な論点は、新情報とは言えないにしろ事実ではあります。
一方、政府が納税者番号論議から数えてもかれこれ40年以上広範な課税情報の把握に躍起になっていること、また治安維持と社会統制のために個人の行動情報の把握にも血道を上げていることも事実で(課税制度の歴史として言うと少なくとも500年以上になりますし、治安維持政策としても1000年以上になりますかね)、正直GAFAよりよほど怖いです。この二つはわりと絡んでもいて、組織犯罪対策の一環として取引情報や送金情報の把握が重視されてもいます。少なくとも金融機関へのアクセスはかなり進行しており、税務署や警察がその気になれば口座の取引記録はまるまる提供されます。
そして、いずれにせよ個人の挙動が丸裸にされる面があるわけで、例えばAmazonは私の買い物と検索や動画閲覧の傾向を少々他人に説明するのが難しいものまで把握しているわけですし(コンビニで店員の前に立つのが恥ずかしいとかいうレベルじゃないのですよ)、街を歩けば監視カメラに当たるくらいで、まあどこに行っても何かしら写ってはいるんだろうなと思わざるを得ません。というか、Amazonでの購買こそ褒められたものではないにせよ(だって近所じゃ売ってないんだもの)、ポイントカードもほとんど使わず、Suicaも記名PASMOも使っていないというのはまだましな方なのではないでしょうか。「便利な無料サービスとの引き換えにどんな情報が抜かれているのか、ということについては認識した上で、サービスを利用すべきだと思うのだが」というのは全くその通りです。これは公的機関の情報収集についても同じで、「市のシステム悪用、面識ない女性宅へ 職員を懲戒免職」などというのは他人事ではなく(懲戒免職になる方ではなく面識のない人に押しかけられる方)、銀行の筋から銀行ブランドのクレジットカードの取引記録を当られて脅迫される事案などというのも、ありえなくはないでしょう。
とはいえ、「各国政府が連携してデジタル・プラットフォーマーへの規制を強化するのも、プラットフォーマーを通じてデータを政府がコントロールしていく体制を作ることが主眼である。」というのはどうなのか。もちろん所得調査や犯罪捜査に際しては、プラットフォーマーを含む個人情報の保管者から情報を開示させることは便利ではあるでしょう。それこそAmazonとASKULの取引記録ベースで精査されたら必要経費の大半を否認されかねない自営業者の方もいるかもしれませんし、公安にSNSのバックログを漁られると都合の悪い人もいるでしょう。経済政策の立案にも便利かもしれません。そうであっても、プラットフォーマーだけで見れば、それこそ地域プラットフォーマーであるR、YやMあたりまで含めても、その持っている個人情報というのは政府全体としてさして興味を引くものとは思われません。必要な時に参照できるようにはしたいでしょうが、コントロールまでしたいとは思わないように思います。正直、日銀券と硬貨を廃止して日銀決済カードでも作る方がよほど効果があると思います。プラットフォーマーの持つ情報に興味があるのは、広告屋と調査屋でしょう。この記事の著者であるアナリストなどもその類です。もう一つ、政府当局が情報収集をするには、正当な理由と正規の文書が必要です。悪質な事例はありますし、とかく隠し立てをするものではありますが、報道にせよ市民団体にせよ、その一端を暴ける程度には有能ではありますし、プラットフォーマーのようなある程度強力な組織体であれば、ある意味信用で商売をしているわけですから、コンプライアンスにも気を使います。証拠が残らないなどということはまずないと思われます。そして法を犯していない市民に関する包括的な情報収集というのは、まず正当な理由を主張できません。
GAFAと政府に現状対立している部分があることは確かです。プラットフォーマーの収集する個人情報がその一つの契機になっていることも事実でしょう。ただしそれは個人情報の保護という意味合いが強く、「個人データを巡り激突」などという話ではないと思います。決済業者にはその意味での規制がかかる可能性は高いですし(例えばクレジットカードの国際ブランドも公取の調査の対象になっています)、Amazonのように自社ブランドのクレジットカードを発行している場合は同様の規制はかかるでしょうが、基本的には個人を特定しての取引記録の開示のレベルでしょう。流通や小売りが重視する消費傾向に関する情報は、役所にはほとんど意味がありません。

■2019年03月22日(金)  ゼネストやラッダイティズムはあって当然
印鑑廃止、業界団体の反発で見送り これは「異常な光景」なのか?
悪い意味でビジネス屋的な論評でしょう。「異常な光景」ではない、よくある話であるという点はその通りですし、圧力団体の大声に弱いという見方自体も正当ではありますが、政策を進めるうえでの利害関係者の意見調整自体は否定されるべきではありません。「時代の流れや技術の進歩」などというものはただの流行にすぎませんし、「現時点で得られる利益を最優先」するのは、得べかりしどころか現にある利益なのですから利害関係者として当然です。政府の対応や補償で関係者が納得するならむしろ成功と言えるでしょう(それこそ「都市部への人口集約がスムーズに進むよう環境整備を行い、一連の流れで転居を余儀なくされる人には、相応の補償をするという方向性」という話です: その調整ができない政治家や官僚の無能を非難するならそれは当然ですが)。この記事の場合、挙げている事例も不適切なら評価も一方的かつ説得力がありません。居住者と行政実務のどちらの効率性を優先すべきかというのは政策論の問題で、「周辺部から都市部に人口がシフトすることは原理的に避けようがない。」だの「都市部への人口集約がスムーズに進むよう環境整備を行い、…という方向性で議論を進めた方が良いに決まっている。」だのというのは暴論もよいところで、都市への集約を進めた結果東京の都市機能がビジネス面以外で低下している点を無視しています。ドローンにしても、むしろ国内市場しか見ていないマーケティングの問題であって、今時「日本で使えるか」などは論点になりえません。
押印の是非についても、そりゃいきなり印鑑は必須でなくなりますなどと言えばハンコヤさんはブーイングを鳴らします。印鑑の製造ばかり考えて、本人証明というソリューションレベルでの展開を考えてこなかったといえばそうでしょうが、政治的には落としどころはいくらでもあるでしょう。いきなり印鑑全廃などというから納得してもらえないわけで、デジタル的な本人証明のソリューションに印鑑を取り込んだって良いわけです。証明手段の登録には印鑑が必須だが日常的な書類については印鑑登録と結びついた証明で代用できるとか、定期的に捺印した書類で登録を更新するとか(どうせ定期的な登録の更新は必須でしょうし、それが電子的な手段だけで済むかどうか、はなはだ疑問です: 複数の当事者の間で電子的な決済手段を共有するくらいなら書類を持ちまわった方が安上がりということだってあり得ます)、ソフトウェアディベロッパーとコンピューターメーカーとビジネスコンサルタント以外の話も聞けば、アイデアなどいくらでも出てきます。調査の上強硬に反対されない案を出すのは政策担当者ができて当然の仕事でしょう。支持するアイデアが潰れたからと言って八つ当たりというのは、まあ、恥ずかしい話ではないですかね。

■2019年03月22日(金)  議員の方にとってはお祭りなんでしょうけどね
働き方改革と無縁の「深夜国会」 膨れ上がる税金と“魔”の高揚感
この人はまたかと一瞬思いましたが、後半は全く同意します。あの高揚感は非常に危険で、少なくともあれは良くないものであると、しっかり子供に教えるべきではないかと思います。今は教育機関では逆を教えているわけで、まあ、ジジイの壁というか戦前から続く昭和の悪癖でしょうね。
「国会が果たす最大のゴールが「政府提出法案を何本成立させるか」であれば、与党はひたすら時間稼ぎをし、野党は審議拒否をすることが繰り返されて当たり前です。」という通り、審議日程の詰め込みにせよ議事妨害にせよ、議会戦術の最後の砦ではあるわけで、話し合いで決定を行う際の必要なコストではあると思います。少なくとも日本で公開の場での話し合いで物事が変わっていくと思っている人はいないと思いますが、公開の場であるということは面子がかかっているわけで、よほど決定的かつ斬新な提案でも出てこない限り、お互いわかりきった主張を交わして、数の暴力だろうが時間切れ戦術だろうが動員せざるを得ないものです。「国会を見ていると「効率化ってなんだっけ?」とわけが分からなくなります。」というのはまあ、わかりますが、決められる民主主義を言うなら、演説などさせずに提案周知後一定期間で何週かコメントを回し読みしたうえで、無記名投票でもするべきでしょう。説得であれ買収であれ、適当に人目の届かない場所の方が妥協はしやすいものです。ただしそれで議場でのやり取りがなくなっても、料亭政治なりゴルフ場政治なりにはなるわけで、議員本人や担当国務大臣、そしてそのサポート役には働き方改革など無縁でしょう。党議拘束を外そうが大した違いは出ないと思います。話し合いというのは効率が悪いものです。
とはいえ、国会職員の過重労働は話が別です。時間外勤務手当を出すのは当然として、交代要員の手配や代休などもあってしかるべきでしょう。定時勤務が前提の法律で時間外の国会対応を制度化するのは、「そもそも時間外対応があることがおかしい」といった議論も出て大変でしょうが、あってはならないはずの時間外対応に定時勤務が前提の要員が動員されている状況は明らかにおかしいので、3交代なり6交代なりを前提に増員すべきですし、シフトについても十分な休養や、適切な休暇消化の機会が得られるよう、上手に組むべきでしょう。これらについては労働保健分野で十分な研究があるはずで、原則論や予算が出てきて足を引っ張らない限りは大きな意見の対立は起きないはず…ですけどね。

■2019年03月21日(木)  Presto! Page Manager 9のエクスプローラーのバッファ溢れ
表示しているフォルダに200以上のファイルがある場合、エラーダイアログが出る、起動後いきなり終了するなどの症状が出ます。サムネイルのバッファかもしれないので、サムネイルを生成しないファイルであればもっと多くてもよいかもしれません。ファイルの数を減らしてやれば普通に動作します。

■2019年03月21日(木)  ストームトルーパー?
次期型フィアット500は電気自動車のみに
一緒に紹介されている120の顔が、なんかストームトルーパー

■2019年03月18日(月)  設定を間違えて奥さんを締め出してしまったのかと思いました
夫婦喧嘩になった「スマートロック」の問題点
一瞬何事か、まさか迂闊に設定を変更して奥さんを締め出してしまい、喧嘩にでもなったかと思いました。
確かに、いつのまにか動作しなくなるスマートロックというのは厄介極まりないでしょうし、そんなものを好き好んで使っていれば、巻き添えになる家族はたまったものではないでしょう。とはいえ鍵よりは便利なのは事実でしょうし、ガジェット好きとしては楽しいのだろうとも思うのですが。
まあ、そのうち組み込んだドアが発売されますよ。

■2019年03月18日(月)  Twitterが自ら縮小してくれるならそれもよい?
Twitter「児童の性的搾取」凍結、半年で45万件 3割が日本 イラストやテキストも規制
例えば東京都青少年の健全な育成に関する条例7条のように、児童ポルノグラフィーを迂闊に取り扱うことにはリスクがあるわけで、公衆を対象とする一民間事業者として、過剰なものであれ規制を行うこと自体は一つの選択だと思います。反対なら別のサービスを使えばよいだけのことです。このあたりは、Twitterのような基本的に任意に利用する代替性のあるサービスと、Apple StoreやMicrosoft StoreのようなOSレベルでサードパーティーの利用が規制されている代替性に乏しいサービス、あるいはAmazonのような消費者向けの決済の分野で圧倒的な存在感のあるサービスでは話が違います。Apple Storeで児童ポルノグラフィーの販売を禁止した場合、表現の自由の侵害に該当する可能性は高いでしょう。
もちろん、小規模なサービスでこの手のリスキーなコンテンツを扱った場合、規制側の弾圧の対象となりやすいという懸念は否定できず、Twitterのような堅牢そうな事業者の運営するサービスに保護してもらった方が色々安心ということはありうるでしょうが、事業者側が保護するのはごめんだと言うこと自体は非難されるべき話ではないでしょう。規制を他のサービスに押し付けるなら問題ですが(なので児童ポルノグラフィーに対する法規制の推進運動自体は非常にグレーだと思いますが)、自社の運営しているサービスでのコンテンツ規制自体は、児童ポルノグラフィーに限らず(つまりテロ行為のほう助や危険な情報の提供のような公的安全にかかわる規制も含めて)営業政策として認められてしかるべきです。事業者の自治の範囲内であり、どのように行おうが「やりすぎ」などという話にはなりえません。
まあ、その手のコミュニティが大手事業者に排除されたと不機嫌になるのはわかりますが、行く先はいくらでもあるわけで、コミュニティとして移動することでTwitterのサービス自体が縮小するのであればそれもまた良しではないでしょうか。

■2019年03月17日(日)  社会科学と因果分析 - ウエーバーの方法論から知の現在へ
社会科学と因果分析 - ウエーバーの方法論から知の現在へ
佐藤俊樹氏は「不平等社会日本 - さよなら総中流」で知ったわけですが、人文・社会系にしてはずいぶん統計的処理にこだわりのある人だなという印象を持ちました。もちろん社会学というのは調査と統計を基盤にした学問のはずですが、専門的な論文であればともかく、概説書レベルでは結果の表が示され、あるいはひたすら事例が列挙され、議論において統計に基づく解析が示されることはあまりありません。それはそれで面白いわけですが(というか、一般的な読者は統計学を基盤にした論証が延々と続く本を読むのはつらいかもしれません)、データサイエンスあたりをかじった人間などには物足りないことも確かだと思います。「不平等社会日本 - さよなら総中流」は少なくとも有意水準を明記しているという点で、他とは違う印象を与える本でした。ちょうど大学でデータ処理を学んでいた頃に読んだ本だったということも、印象に残った理由かもしれません。
こうした印象から、このテーマは納得のいく、自然な発展だと思えます。対象がウェーバーであったというのも、必然性があるのだと思います。(日本でのウェーバー理解と英語圏でのそれに相違があることを指摘したうえで)「事例研究や文化科学に近い人としてウェーバーが語られるとき、参照される主な論考は「社会科学的および社会政策認識の『客観性』」だ。それに対して、計量分析に近い人としてウェーバーが語られるとき、参照されるのは別の論文、「文化科学の論理学の領域での批判的研究」である。」と指摘し、「ウェーバーの社会学は、リッカートがいう意味での文化科学ではない。」と結論しています(第1回)。考えてみれば、19世紀から20世紀初頭というのは数学、物理学、化学、工学が発展し、従来の博物学やその発展とも言える人文科学的事例研究(文化人類学などその典型例ではないでしょうか)が批判された時期とも言えます。マルクスにすら数理分析の影響が刻印されているわけですから、ウェーバーが当時影響を拡大しつつあった統計的手法の影響を受けているのは当然ということなのでしょう。20世紀以降に台頭してくる世代は言うに及びません。20世紀中盤以降の人文学的事例研究への志向はその揺り戻し?というのは、英語の構造からみる英詩のすがたを面白がって読んでしまうような読み手の邪推ではあるのでしょうが。
本書は解釈学の系譜上にあります。つまりウェーバーの学説とはどのようなものであるのかを様々な資料から読み解くものです。つまり非常に伝統的な人文学に連なる本です。表紙を見て統計を用いたテキストの言語解析の本だとか、あるいは数式やグラフや表がやたらと出てくる本だと思ってはいけません(表紙のイメージについては、カバー裏に原典が記載されています)。ただし、本書は、第1回、第2回、第19回、第20回に示されているように、ウェーバーをネタに社会学やその方法論を論じる本でもあります(というか著者の真骨頂はウェーバーの文献解釈学よりもむしろそちらでしょう)。統計学に由来すると思われる述語、概念が結構出てきて、統計的検定の組み立て方程度は習得していないと、悪くすれば読み誤ります(帰無仮説とか数学的帰納法とかに嫌な思い出のある人は覚悟しましょう)。例えば「反実仮想」という語が出てきますが、これを「事実でない想定」などと解したらダメで、本文中に「仮定法過去完了」と書いてある通り、その文脈において本来提示しようとする命題なり事実なりに反する命題とでも解するべきでしょう(英文法の仮定法の悪夢だ…)。論理学あたりに根っこを持つ言葉なのだろうと思いますが、統計的仮説検定において帰無仮説H1というのが出てきますが、私はそれを連想しました。
とはいえ、本書は厳密な意味での学術書ではありません。というか、著者はたぶん怒っています。随所で学術的でない形容語が見られることからわかるように、ずいぶんと遊んでいる本ですが、それだけに怒りがにじみ出ています。それだけに親しみやすいともいえ、400ページ以上もあるにせよ一般向けの本なのでしょう。
ところで、49ページの第2段落、ターナーからの引用で、「確率的因果論probalistic causation」とあるのは、巻末語句索引から見るにprobablisitic causationの誤植でしょう。しかしながら、少なくとも現在の語彙では確率的というのはprobabilisticであるはずで、probablisticというのが社会学分野での用語であるのか(初出の時期で学術用語として古い形が残ることはそれなりにあります)、これ自体誤用なのかは、非専門家にはわかりません。学術用語ならネットでの検索に引っかかってきそうなものですが、グーグルさんはprobabilisticでの結果を表示してくれます。手元の辞書でも、probabilisticは出てきますが(もっとも語義が違いますが: 蓋然論という哲学用語がヒットします)probablisticはヒットしません。引用元は明示してあるので原書に当たればよいわけですが(どうせ英語ですし)、「今後の課題とさせていただきます」。とはいえ、誤りは仕方ないにせよ、面倒なのでネットにerrataを出しておいてほしいものです。でないと、「出したら終わり、後は野となれ山となれ」を疑いますよ?

■2019年03月16日(土)  防水断熱も善し悪し
ポケットのない服を着ていたので、携帯音楽プレーヤーをナショナルインスツルメンツの講習会で貰ったパスポートケース(財布とかカードとかも一緒に入るそれなりのサイズのもの)にファイファーのストラップを付けたものに入れて肩から下げたのですが、一時間ほどしたらプレーヤーがほんのり温まっていました。やはり防水断熱になっているのは良くないようです。メッシュの肩掛けポシェットを買うべきでしょうか。

■2019年03月16日(土)  そりゃ福井の人にとって新潟はねえ
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」Vol.213 今週のおたより A3 リみてぃさん
西田「えーと、新潟を北陸と言われると微妙な気分になる古典的「北陸三県人」である西田が通りますよ。」
新潟の位置付けは微妙で、いわゆる北陸三県は飛騨・美濃・近江経由で大阪とつながりが深いのですが、新潟は甲斐・信濃経由で関東とのつながりが深かったり、天気予報では関東甲信越だったり、電気は東北電力だったり、JRが東日本だったりします。一応古典的には、北陸道は新潟県域、つまり越後と佐渡を含みます。

ちなみに
A1 jim-tamuraさん
西田「Googleとか、ルーマニア近辺に引っ越さないですかね……。」
ひたすら畑が広がっている土地なのでGoogleやAppleのキャンパスを置けるとは思いますが、インフラは相当根性を入れて、それこそ発電所を建てて太い通信ケーブルを引くところからしないとダメなんじゃないですかね。ルーマニアでも東のトルコ領だった地域と西のハプスブルグ領だった地域は結構違うようです。
まあ、アメリカのIT系企業がアイルランドに進出している例もありますし、西部は歴史的にドイツとの関係も深いですから、ユーロ圏になったらどこか出てくるかもしれません。

余談【西田】「電気グルーヴ配信停止」に見るデジタル配信と消費者保護
西田「こんな面倒を消費者が被るのは、本当にいいことなのだろうか」
今のところそこのリスクを含めてサブスクリプションと思うしかないわけですが、不祥事に限らず「配信停止」は起こるので、著作権者に対する配信者の権利も含めて、せめてアクセスはできるように制度を整えてほしいと思います。配信停止に限らず、絶版とか売り切れ再入荷未定とか品切れ再版未定とか、大嫌いです。売る気あんのか、おまえら。

■2019年03月15日(金)16:09  イタリアの黄色い箱だって無人駅にはないというのに
新幹線と飛行機の壁 「4時間」「1万円」より深刻な「1カ月前の壁」
まあ、ホテルだって1年前から予約できるわけですから、一か月はないだろうというのはその通りではあります。有給の計画的な取得などという話も出ているわけですから、観光客相手の旅客輸送を手掛けるなら対応が望ましいでしょう。マルスは全国で統一されたシステムですから、担当のJRシステムさえその気になれば実現はさほど難しくなさそうです。一方でイベント的な列車の場合、一年も前に当たり外れが決まってしまうと盛り下がりかねないかもしれません。
一方で、「JRの壁」は意味合いが違います。通常の発券業務に関わる情報システムはJRシステムが一括して担当しているのでどの会社の窓口でも他社の列車の発券ができますが、一方でネット予約システムはJR各社が個別に運営しているために会社ごとに発券できる列車が違っているわけで、「それがインターネット予約システムになったとたん、「JRの壁」ができた。」というのは言い方が違います。不便なのは確かなので、それこそ発券の部分はJRシステムが担当する形にでもしてほしいものですが、会社ごとにシステムを作ってしまった以上簡単にはいかないでしょう。交通系ICカードシステムは会社間の相互通用が進んできているので、「一気にチケットレス化へコマを進めてほしい。」というのが本音ではありますが、いまだにエリアをまたがった通用ができないどころか無人駅への端末の配置すら終わっていない(というかそんなリスキーな話は海外でもたしか例がない: 盗難を招きかねないし故障した場合の対処も不安)状態で、日本の運賃体系、検札システムでチケットレスなど実現できるのかという気もします。航空機の場合あのうんざりするような搭乗確認システムが前提であり、鉄道で実現するとしたらTGV並みの不便な搭乗になるでしょう。それができるのは現状新幹線だけです。今ですら、無人駅から乗車すると新幹線を含む自動改札を通過できないわけで(最初に乗車した列車の車内で検札を受ける必要があります)、在来線と特急・新幹線の乗車券を別にするような抜本的な制度の変更になる可能性があります。
とはいえ、統一した運賃・乗車券制度に価値があった時期とは異なり、スマホと自動改札機であれば改札ごとに適合するチケットを自動的に適用することもできるわけですから、国土交通省には大規模事業者で2030年、路線バスを含む小規模事業者も含めて2040年くらいの実現目標でチケットレスシステムに取り組んでほしいとは思います。

■2019年03月15日(金)  開始2年時点の成功例は5年後の大失敗例かも
デジタルトランスフォーメーションのさあもういっぺん
実は落差が大きいから歓迎されただけなんじゃないかという気がしますが、この事例。書かれてはいませんけれども、現場レベルでのシャドーITも相当蔓延していたと思いますよ。もっとも、「ありえない!」とは言えないところが情けなくもあります。「あたらしい幸せ発明」、「発明体質」などという発想も含めて、寒いお題目でも唱えないと改善されないお寒いオフィスインフラネタはそこかしこにあります。
一方で、「今、世のなかの多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを考えているわけだが、そのムードのなかで、エンドユーザーは危機感を持っているだろうか。PCやスマートフォンを使いこなし(ているつもり)、できているのは紙の置き換えにすぎなくはないか。」というのはその通りではあるのですが、変化が速すぎて変革を検討しているうちに時代遅れになりそうで躊躇しているのが「考えている」ところの実態ではないかと思います。「整理のことを考えるのはあとでいい。」などと割り切った発想に至るまでが大変ですし、「そのチャレンジが企業を、そして日本を変える。」と思ってチャレンジした挙句に大失敗する例も少なくないわけですから、「チャレンジ」などと安易ににぎやかすのはあまり感心できません。少なくとも、過去のIT投資のような一過性の投資・改革ではない点は理解しなければならないわけで、5年単位で全システムを入れ替えていく程度のスピード感を持つという、それだけでも革命的な発想の転換が必要です。「チェンジマネジメント」が実践できるかどうかは、そこで決まりそうな気もします。

■2019年03月15日(金)  せめて英語とスペイン語と中国語くらい用意しようよ
不思議な引っ越し
総務省「外国人住民の住民基本台帳制度がスタートします」
これはちょっとひどいですね。2012年にもなって外国人を対象とした配布物が日本語のみというのは、自治体ならまだしも総務省の配布物としては感心できません。それこそ2000年代一桁であっても英語とスペイン語と中国語くらいは用意できたはずですし、人口からすれば韓国語とポルトガル語、ペルシア語あたりもあってしかるべきでしょう。個別に送付したにしても、多国語でのパンフレットのみ送付して各国語の詳細版は役所で配布するなどやりようはあったはずです。外国人の就業拡大が唱えられていることでもあり、改善していることを期待します。

2019年03月13日(水) 
男女平等「議論したくない」6割 ジェンダーの真実調査
マッキャンの調査の結果自体は納得できるのですが、2000サンプルで65パーセントと45パーセントの差が有意かどうかは気になるところです。こういう話は一般向けに公開する試験研究だと思うので、ブリーフレポートだけでも公開するのが筋だと思いますし、せっかくWeb媒体なのですからリンクを張ることが望ましいように思います。
アクセンチュアの調査については…正直コンサルのこの手の調査は盛ってるように思うので…数字を信じる方に問題がある気がします。平等な文化とかイノベーションとか、非常に胡散臭いキーワードですし。

■2019年03月13日(水)  だからエコノミストは
「分離プラン」への期待と不安要素
この手の報道では珍しく「健全化」、「正常化」という話が出てきたわけですが…
まず、北氏の主張するコスト構造を明らかにすれば(端末値引きの原資となっている)利用料金が安くなるというのは、根拠が不明です。ひょっとして、3分10円のころのイメージのままなのじゃないかと不安になるのですが…北氏はMVNOがMNOに支払う接続料の算定方式に抜本的な改革が必要との立場のようですが、そもそもそちらが先ではないでしょうか。出店コストを含めた事務手数料が圧倒的に安いはずなのに、MVNOから「昼間の快適性を上げようとすると、接続料をたくさん払わなくていけないのでコスト的にも厳しい」などという話が出てくる(石川氏)というのは、接続料に過大に利潤が載せられている可能性があります。現状料金システムはそれなりにサービスや回線品質に結びついているわけで、インフラストラクチャーという品質がそれなりではお話にならない商品であって、かつ通信回線のようなコスト構造の推測が外見からは難しいものの場合、政策的に価格を設定しないと値下げに結びつかない可能性があります。「すぐ切れる」、「つながらない」といったイメージはそれなりに重要なのです。また、現在の携帯通信端末が「電話」というイメージからかなり隔たったものになっている点も問題です。ガラケーも含めてソフトウェア的には最先端のコンピューターシステムなので、サードパーティーの販売店で買うようなメーカーサポートが切れた状態の機材を使うにはリスクがあるのです。おそらくまともな流通業者であればOSのアップデートすらおぼつかない年式の端末はジャンク扱いにするはずで、メーカーが関与したリファービッシュ品でもなければ、中古品の使用には難があります。加えて、「メーカーさん、キャリアさん、代理店さんの関係の中で、適正な調達をして、適正な販売をし、適正な値付けをして、適切に在庫を管理していってもらえればいい」はないと思います。もともとSIMフリーにしたあたりまでさかのぼる議論のはずで、こういう話ならキャリアがメーカーに端末を発注してSIMロックをかけて売ってもよいはずです。それでは埒が明かないからこういう規制をする話になっているわけで、当然、割引販売の余地は相当狭まると思います。端末と回線を分離するというならキャリアの端末販売を禁止するのが筋でしょう。なんというか、規制と自由化のおかしなミックスとしか思えないのですが、これ、本当にこの人の主張なんでしょうか?
一方で、石川氏の「端末は消耗品」という主張も、確かに端末メーカー側はそういう発想をしているわけですが、原価と在庫コストで数十万する消耗品ってどこの業務用機材ですか。正直、そういう原価で物を作って大幅ディスカウントして売っていること自体が「不健全」という主張には反論のしようがないわけで、トータルで儲かってるんだから、誰も損をしていないのだからいいじゃないという考え方には同意できません。

■2019年03月09日(土)  まず学校の責任を軽減するのが先では?
ブラは白、喫茶店ダメ? 「ブラック校則」見直しへ
規則というのは時宜に合わせて見直していくことが不可欠ではあるのですが…
10代の人間という見方からは人権の問題であり得ても、社団の一員という見方からは違うものが見えるのではないでしょうか。まず、制服を着ている以上その学校の生徒と見られるという点は、異論がないでしょう。そして、私人としては問題がなくとも、特定の学校の生徒としては問題のある行動はあり得ます。制服を着ている典型的な職業として消防士がありますが、消防士が制服を着て消火器を売っていたら、それは消防署としては認められないことです。学校にしても、学校を代表して韓国人排斥の示威行動をすることを認めなどしたら、その方が問題です。一方で、消防士をしている人が制服を脱いだ個人として即売会で私小説の同人誌を売っていたとしても咎められる筋合いはありませんし、どこかの学校の生徒が学校外で国粋主義団体に参加していたとしてもそれは学校側が干渉すべきことではありません。保護者であればまだ議論の余地がありますが、学校という団体が、内心に留まる信条や、その表明を含む学校以外の場所での行動をむやみに規制することは、もはや人権侵害と言わざるを得ないでしょう。「学校とは関係ない」という主張は、受け入れられてしかるべきです。学校が「これこれの行動は学校としては生徒にふさわしいものとは思わない。そのような行動をするときは制服を含めて学校の生徒と思われるようなものは身に着けないこと。」という指導をするのには異論もあるでしょうが、学校が生徒に対して全面的な管理権を持つなどという方が暴論です。学校内や学校としての活動における管理権を認めたうえで、学校の一般的な保護責任や指導を否定することが、学校における規則と人権のバランスを考えるスタート地点と思います。
学校は道徳に責任を負わない。機関としての学校はそうでないとおかしいと思います。

■2019年03月09日(土)  やはり座椅子が邪魔ではあります
サイドデスク代わりの棚を組み立て、コーナーデスクに仮置きしてあった27インチモニタを寝室に引っ込めました。27インチモニタはPC用モニタとしては一番大きいので、デスクトップを買った場合戻ってくることもあり得ますが、4kの32インチあたりを買ってしまう気もします。棚の位置はコーナーデスクの右側を考えていましたが、コーナーデスクだけにサイドから張り出すように置くと椅子と干渉してしまうため、左に壁沿いに置くことにしました。部屋の出入りがしにくくなったため、座卓の位置を調整することになります。
色々ずらしていって余ったのが座椅子です。リビングの家具としては悪くないのですが、座布団に比べると場所塞ぎの感を否めません。かといってゴミに出すのも大変で…

■2019年03月09日(土)  国内だけを見ていると見誤るのでは?
西田「国の規模によって「なるべくしてなる数」みたいなのが存在してるんじゃないか、と 思うんです。」(小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」 Vol.212、対談)
これに応じて石川さんが出しているコンビニの例ならまだしも、テレビを引っ張ってくるのはおかしいのではないかと思います。コンビニや現在の通信事業はフランチャイズの本部なりMNOなりがリソースを握っている垂直統合型で、テレビのような参入の敷居が低い分野とは比較できません。またテレビメーカーが3社と言っても、国内需要よりも輸出需要に依存していたところに韓国や中国に市場を奪われてそうなったわけで、日本の市場規模とは必ずしも関係がありません。市場規模がテレビ並みに拡大しているはずのパソコン市場では日本のメーカーは事実上パナソニックだけ、市場規模がはるかに小さいはずのスチルカメラ市場では日本に7社以上のシステムメーカーがひしめき合っています。
石川「競争してないとは言われてるけれども、一方でやはりある程度、料金プランは どこかが下げればそこに追随したりもするから、競争も起きているだろうし。という ところで言うと、決して不健全かというとそんなことはないのかな、と、個人的には思いますけどね。」(小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」 Vol.212、対談)
新規参入ができないというのは不健全だと思いますけどね。もちろんサービスが途切れてしまうのはインフラとしてどうなのかという話にはなるわけですが、倒産処理を円滑に行う目的もあって事業者を小分けにして並立させるわけで、倒産処理で結果的にモノポリーを作ってしまうのは産業政策の誤りだと思います。
石川「あれで世界と比べて高いって言っちゃだめですよ。」
西田「普通に地下鉄の中で通じるとか、ちょっとホテルの奥に行ったぐらいで切れるなんてことはありえない、という日本って、これは素晴らしいと思うんで。」
(小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」 Vol.212、対談)
このあたりは個人的には共感できませんが(地下鉄にアンテナを設置するよりも人口密度の薄いところをもっとカバーしていただきたい)、値段だけ取り上げて高い安いを論じる危険性は否定できません。とはいえ、あえて政府の肩を持つなら、デフレなのにインフラの利用料金だけ高止まりしている(実際は通信量比では下がっている気がしますが)ならサービスレベルや技術開発の速度を落としてでも安くしろとも言いたくなるでしょう。キャリアがあり余った資金で海外投資までやっているのであればなおさらです。

■2019年03月09日(土)  5GはISDNの後を追うかも
「MWCでは「5G」が話題だったのだが、それも、どちらかといえばB2B主体のイベントで ある、という性質が大きく影響している。5Gは端末よりもまず「設備」であり、その上 で動く「サービス」だ。そこが主体となるなら、もちろんB2Bが主軸にならざるを得ない。」(小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」 Vol.212 論壇)
もちろん公衆通信というのは設備産業であり、トランシーバーじゃあるまいし端末機だけあっても仕方ないわけです。まずはネットワークを張り巡らせること、そのための機材(端末屋が買う通信モジュールもそう)の準備が必要です。とはいえ、この状況は電電公社時代のISDNを思い出します。今日ISDNが公衆通信用規格としては終わりかけているのに一部のミッションクリティカルな用途では基盤になっているのは、需要予測の誤りに原因があると思うのですが、その時の需要予測をもとに特定分野の技術先行で決めた場合の悪い典型例ではないかと思います。モバイルネットワーク技術としての5Gもこのために、「Netflixは5Gを必ずしも必要としていない」なんて話が出てきたり、「関心がイマイチ高まらない5G、予測不能な6G」などと言われたりという形で、実際の需要家とのずれが顕在化しているように見えます。もちろん、資金に余裕があるなら需要など気にせずにさっさと展開し、赤字の端末をばらまけばよいわけで、それが普通になってしまえば需要はついてきます(例えば「5Gネットワーク始動、その万感の想い」)。ただし、ISDNに対するADSLのように儲けやすいところから市場を食われて逆転されるリスクはあります。それを避けるにはやはりスピードが鍵で、「5Gはゆっくりと浸透する」(山田氏)などと言っているとひっくり返る恐れがある。まして5Gの標榜している通信速度というのは基地局から基幹側の話で、その帯域をいくつもの端末が共有するわけですから、端末ごとの実質速度ではそこまで出ません。また5Gの性能の前提として3GHz帯や5GHz帯の利用があるわけですが、これもめどが立っておらず、現用の周波数帯である600MHzでやるなんて話が出てます。そもそも3GHz帯や5GHz帯を使うと、特に遮蔽物がある場合の到達距離が激減します。ひっくり返す余地は十分残っているという気がします。

■2019年03月07日(木)  使い捨てであることに変わりはなさそうですが
「2年に1度なんて買い替えない時代」のスマートフォン選び
Appleのようにコアのパーツから設計して製造を外注しているようなところと、パーツメーカーの既製品をベースに組み立てているところとでは事情が異なると思いますが、メーカーとしてソフトウェアのアップデートに応じなくなるまでの時期がどうなるのであれ、携帯電話が使い捨てであることは当分変わりないような気がします。

■2019年03月06日(水)  スタンバイせずとも12時間もつのが一番良い
【特別編】モダンスタンバイの当たり前にスタンバイ完了
まあ、対応は大変だろうとは思うのですが…開発担当者の皆さんには頭が下がります。
しかし、この手の機能は使おうとは思えません。だいたい復帰時に問題が起こりますし、どのみちログインで一手間かかります。そもそもパソコンの電源など落としたいものではないですし(自動アップデートになってさらに落としにくくなりました)、液晶やエアコンでもあるまいし、電源を落としたからといって寿命も延びないでしょう(アクセスがなくなればストレージの寿命は延びるでしょうが、スタンバイでストレージへのアクセスが止まるかどうか)。
マイクロソフトも、中途半端なスタンバイ機能の仕様を開発する前に、フルパワー稼働で12時間バッテリーがもつ方向を考えてほしいです。まあ、消費電力を落としてバッテリーの容量を上げればよいわけで、今やると重いわりに性能の低いシステムになってしまいそうですが、理想的にはモビリティやバッテリー動作時間と性能の両立を目指すとして、現時点では運んで、腰を据えたところでしばらく使うわけです。起動に5分もかかるようだと問題ですが、パソコンを使うのであればそれなりに重い作業であるはずで、すぐ見るような作業やプレゼンテーション、メモなどであれば(外付けキーボード付きの)スマホやタブレット、カフェやホテルで腰を据えて作業をするのであればノートパソコンといった分担を打ち出すのは、まだ有効ではないかと思います。そうであれば、ノートパソコンとしては1kg前後でそれなりの性能のものは作れるはずで、スタンバイよりもむしろ電源なしで何時間動くかの方が問題になると思います。もちろん、将来的には1台持てばよいようになって欲しいとは思いますが…スマホとタブレットとノートパソコンとデスクトップを使い分けるなんていうのは、普通のユーザーにとっては迷惑な話です。

■2019年03月01日(金)  バッテリーを省略して薄くしたら買うんじゃないかな
ベンキュー、“24型液晶ディスプレイを持ち歩く”ためのバッテリ内蔵ハードケース
表題を見てあれ?と思ったのですが、やはりもうモバイルじゃないとは言わせない系のネタでした。いや、確かにバッテリーまで仕込めばモバイルでしょうけど…航空会社に断られるんじゃないの?山田氏が必要としているのは飛行機で運んで出先のホテルで使うモニタであって、背負って登って山奥で使うモニタではないです。航空会社各社への調査も含めて山田氏の反応が期待されますが、コレジャナイでしょう。とはいえ、105リットルのスーツケースに収まるサイズにしてバッテリーを省略すれば、安全を買う気にはなってもらえるかもしれません。

■2019年03月01日(金)  安くなれば良いってわけではないのだと思うけど
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」Vol.211 対談
石川氏との対談3回目です。
西田氏「日本においてファンディングの効果というのが、なんというか、悪者にされてる部分はあるな、と思ってるんですよ。」
まあ、そういう話ですよね。問題にされているのは価格構造とお金の廻り方ですから。通信料金の低減とかいう話を抜きにして言えば、業界のみんなで幸せになろうよ、それでユーザーの利便にも問題が出ないのであれば万事OKというのはダメということです。というより、30年前の新規参入組も含めて、キャリアが目の敵にされているというところでしょうか。とにかくキャリアは出しゃばらず、半分公共事業の寡占業種として控えめにしていろと。なので、キャリアが端末メーカーから端末を買い取って赤字で売るのは問題になるでしょうが、端末メーカーが回線契約付きで端末のリース業を始めても問題にはされないと思います。とはいえ、回線契約についてリベートを貰うと問題にされるような気はします。
石川氏「ほかで使ってたお金が結果通信に回ったと考えれば、決して高いものではないのかなという気もしてますね。」
インフラの使用量は安いほど良いという話もありますが(道路なんて税金ですし)、そもそも問題の捉え方が違います。安ければいいのなら、すべて国有化して公費で回せば、通信のコストはともかく回線利用料は0にだってできます。それだと電電公社と変わらないから問題になるわけで(効率が良ければ国有でよいんだとは、このご時世言う人は少ないのではないでしょうか)、80年代の公的事業体民営化政策の延長線上にあると理解する話ではないかと思います。これにしても、昨今は民営化により経営体質を改善し合理化によってコストが削減され、事業が効率化されたなどと総括されていますが、規制側と事業者がつながっているのは癒着だろうという話の方が本筋でしょう。これと同じで、キャリアとキャリアショップと端末メーカーがリベートでつながっているのは癒着であるというのが、分離プラン推進派の根っこだと思います。
石川氏「なぜか、昔の2Gの頃の知識が未だに残っていて、分離が世界では当たり前なんだ、という発想を日本に今持ってきてるのが危険だな、という感じがすごくしますね。」
「なぜか」というほど根拠不明な話ではないわけですが(まさか規制サイドがキャリアによる垂直統合への反対が分離プランの根拠という認識を持っていないとも思えないのですが、安くなるからという説明しかしていないのでしょうか)、携帯電話産業が色々停滞しかねないという点では確かに危険かもしれません。逆に言えばその程度の危険でしかありません。旧電電ファミリーが全部倒産するかもしれませんが、ついでに半導体メーカーも潰れるかもしれませんが、あるいは「民間」企業によるユニバーサルサービスが崩壊するかもしれませんが、その程度です。むしろ、そのインフラが「民間」企業に抑えられていることの方が危険とも言えます。日本の通信ネットワークは非常にモノリシックで、例えばMVNOがスポットで帯域を買ってくるようなことができません。昨今MVNOがマルチキャリア化を進めていますが、あれは結局どのキャリアの回線を使うかユーザーが選べるというレベルで、MVNOというのはキャリアの回線を再販売しているにすぎません。MVNOの理想像は、必要ならキャリアを随時切り替えてでも、加入者へのサービス提供を継続するところにあってしかるべきです。ソフトバンクでネットワークトラブルが起きてもドコモやauに自動的に切り替えてサービスを継続するくらいの仕組みを整えないと、ただのニッチな安売り業者レベルです。そこまでして分離してようやく、「通信の自由化」が達成されると思うのですけどね。

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