日記

■2018年02月28日(水)15:54  正直とりっぱぐれ防止策ではないかと
NHK、4月から受信料の現金取り扱いを原則廃止 受信料着服の再発防止で
これはつまり、現在現金で受信料を払っている人にはほかの決済手段への移行を求めるわけで、おそらくクレジットカード払いか銀行口座引き落としだろうと思います。どちらにしろ請求によって自動的に支払手続が発生するわけで、どちらかというととりっぱぐれ防止策ではないのかと勘繰りたくなるというものです。特にできるだけ早く自宅からチューナーを廃止したいと思っている人間にとっては。

■2018年02月28日(水)15:30  ソフトウェアのバージョンアップにサーバーが追随しきれないという
ruby-1.6.7
レンタルサーバーのrubyがいまだに1.6.7なんですね。相当前から日記が動かなくなっていました。レンタルサーバーの環境自体はメンテナンスされているわけですが、おそらくCGIスクリプトの互換性あたりの問題で、新バージョンにされないという感じです。とりあえずrubyのtarballは見つけました(IIJのミラーサーバーにあるruby-1.6系)。本家からはとっくになくなってます。とはいえ、CGIをユーザーディレクトリから呼び出せるようにするまでが結構面倒なんですが。

■2018年02月25日(日)01:32  自業自得とまでは言いませんが
端末を交換できなくなったFREETELの「とりかえ〜る」 救済措置はあるのか
そういう販促をやったプラスワン・マーケティングはともかく、楽天やMAYA SYSTEMにはもちろん、総務省にも責任はないでしょう。いや、売り方が認可事項で総務省が認可したというなら総務省に責任はありますが、さすがに総務省の政策と違っていると思うのですがね。同様の販促をやる気があるなら別ですが、プラスワン・マーケティングが希望者から中古品を下取りして残債を放棄して終わりというのが無難な落としどころではないかと思います。

■2018年02月24日(土)18:45  メモリ4GBに128GB SSDで1000ドルというのはどうなのかなと
Snapdragon搭載Windows 10 2in1、HPが999.99ドルで発売
値付けとしては高級スマホ・タブレットレベルではあるのですが、Celeronなら同水準の製品が4万円弱からあるわけで(例えばLenovo Ideapad 120Sが36,958円でした)、公称22時間駆動とは言ってもWindowsマシンとしては強気の値付けじゃないかと思います。

■2018年02月24日(土)08:28  機器組み込みのリッチなプッシュメッセージングは必要か
Delivering RCS messaging to Android users worldwide
正直携帯電話のSMSというのはサービスの開通申請でしか使ったことがないので、便利とも何とも判断できません。しかし、コンテンツサービスを端末識別子に紐付けることが得策とは思えません。少なくとも固定電話であれONUであれ、その本質的な機能はシンプルで、つまり電気信号の音波への変換やデータの特定物理層へのエンコードです。携帯電話にしても、機能はそこ(音声またはデータのエンコード: 正直データだけで十分で、音声のサンプリングはハードウェアのサポートは必要にせよ、それを他の端末との通話に結びつけるのは音声をサンプリングする機能を使ったサードパーティー性アプリケーションでよいと思いますが)に限定されるべきで、それ以外は回線問屋や端末メーカーと無関係に、独立系のサービスとして展開されるべきです。サービス間の中継はまた別に議論されるべきでしょう。サービスプロバイダが加入者の端末情報や端末に紐付けられた回線契約情報にアクセスする必要があるなら、ユーザーの承認も含めてフレームワークを整えればよいのです。これらを「携帯電話」にパッケージすることを前提に物事を進めるのは、アナクロニズム極まりないと思います。携帯電話はデータ通信端末とそれに付属するインターフェースおよびセンサーと、それらを使用するアプリケーションに、解体されるべきで、またそれらをパッケージングするのは端末メーカーとユーザーであるべきです。ドコモやKDDIの出る幕はありません。

■2018年02月23日(金)13:26  モバイルルーター購入、テザリング用スマホは不要…とはなかなかいかないんですよね
LTE通信モジュール内蔵PC購入、Wi-Fiルーターは不要?
携帯電話ネットワークが一番どこでもネットにつなげるインフラになっていることは否定しようがありません。各端末がこれに対応すれば、ルーターを持ち歩く必要性はないでしょう。携帯電話ネットワークを使いたくない状況では切り替え操作をしなければならないのが問題ですが、自分みたいに自宅にネットワーク接続のプリンタとNASを持っているのが普通だとは、さすがに私でも思いません。一番面倒なのは、回線契約でしょうか。ルーターなら1回線分で済むわけですが、それならテザリングでよいわけで(そもそもルーターだけでは回線の開通ができない状況さえあります)、端末機器を5年で買い替えるならルーターのメリットはありません。

いいかげん音声プランは廃止を
いまやデータ通信を行わない携帯電話やスマホなどありえません(というと語弊があって、一部の携帯電話端末や構内電話用モデルではしないものもあるのですが)。音声通話自体がむしろシステムから言えばパケット通信の上に載っています。音声通話をデータ通信システムのアプリケーションとするのに、もはや何の支障もないと言ってよいでしょう。むしろ音声通話が端末の通信機能として用意されていることによって、MNPやローミングといった歪な問題が生じています。アプリケーションとしての音声通信であれば、例えばキャリアを変えてもアプリケーションを変えなければ電話番号に相当する識別子は不変で、それこそ海外で現地キャリアのSIMを買って挿そうが同じ識別子で受話できますが、現状では知らせてある電話番号で電話を受けるためだけに安くないローミングを契約せざるを得ません。MNPだって同じことで、回線契約と音声通話契約を切り離してしまえばこんな制度はなくてもすみます。また一日一回充電しないといけない端末(私のスマホは一週間持ちますが、それはたぶんデータ通信をオフにしているせいでしょう)のみでしか特定識別子宛の電話を受けられないのは、やはり不便というのではないでしょうか。

■2018年02月19日(月)13:56  今頃このテーマですかという気はしますが
政府vs企業で揺れる「副業」、労働者にメリットはあるのか
本文はともかくとして、ポイントは後輩氏とのディスカッションです。問題としての副業はそれこそ明治時代に近代的賃労働制によって生み出されたと言ってもよい、つまりそれまでひとくくりに「労働」だったものが、「本業」が生み出されることによって「本業」以外の労働が周縁化したことによる産物と言えるかと思います。「賃労働」という労働形態の相対化も、1980年代にはすでに論壇の主流となっています。転職や高度専門職がブームになったころの話で、そこからアウトソーシングやフリーター、派遣問題、有期雇用問題に発展していきます。それはともかく、「『副業・兼業』は、『異種協業ビジネスのプラットフォーム』そのもの」、「その段階になったら『副業・兼業』という言葉はもちろん、その概念すらなくなっているかもしれませんが ―― 私たちは、2以上の仕事を持ち、そこから新しいビジネスを自ら創り出して、食っていくんです」、「『誰かに雇ってもらう』という概念すらなくなっていく世界」というのは1970〜1980年代にすでに論じられていることです。ビジネス側から見れば「『副業・兼業』こそが、イノベーティブなビジネスの萌芽であり、このようなビジネスを増やし大きく育てていくことこそ、我が国の人口減少戦争を闘う最終兵器である 」になりますね。さらに敷衍すれば、フルタイムで十分な収益を稼ぎ出す需要はもはや存在せず(というか業務が時間単位で繁閑の差が激しいものとなり、繁忙期には一定の労働力を必要とするものの長期間ではその労働力を確保できるだけの収益を生み出せなくなり)、労働生産性を向上させて「時短」し、それによって生み出された余裕時間に別の労働に従事することで全体として必要な収益を確保するということにもなるでしょう。なお「新しいビジネスを創り出して」いくような相乗効果のある兼業ができるのはごく一部で、労働者の大部分は賃労働の掛け持ち、つまり江端氏が例に取り上げたところの「17時15分まで本業で働き、18時から0時までキャバクラの会計係などを」することになるのがオチと思われます。労働疎外論の観点から言えば、個人のスキルセットやコネクションを媒介にして主体的に職業アセットを形成することで労働における主体性を取り戻す的な論が1990年代の流行りだったと思いますが、一歩間違うと労賃ダンピングやマネジメントによるピンハネ(労働者派遣事業者がやっていることなど良くも悪しくもこれ)になります。まあ、複数の収入源を持つことで、個々の労働者における収入途絶のリスクは軽減できるかもしれません。むしろ問題は企業福祉が後退することによるコスト増にある可能性もあります。なにしろ今までは会社が天引きして安上がりに済ませていた決済を個別に行わないといけなくなるわけで(源泉徴収が徴税コストの低減を含む徴税の効率化を目的としていることを思わせます: あるいは間接税である消費税の方が直接税である支出税よりも徴収コストが小さいというべきでしょうか)、IT化による効率化が行われるか、改めて何らかの形で集団を作ることでコストの抑制を図ることになるか、いずれにせよ労働者を常雇制度から引き離すのであれば対応が必要になると思われます。

■2018年02月14日(水)22:05  赤色ティー国主義
共産趣味者は市民権を得ているようなのですが
赤色ティー国主義の方は見かけませんね。バッハがぱろった黒くて苦い飲み物を断固否定し、お茶の中でも純粋なる透明なクリムゾンもしくはそれをミルクないしは蒸留酒と混合した飲み物を支持する、イングランド・ロシア・インドシンパなのですが。もちろん元ネタは赤色帝国主義、すなわちロシア的共産主義(この点で国際共産主義者であるマルクス、エンゲルスやレーニン、トロツキーあたりとは一線を画す)を普及せんとするスターリニストに対するレッテルです。赤はもちろん紅茶の赤ですが、この点からするとダージリンのファーストフラッシュが赤色ティー国主義者にふさわしい飲み物であるかどうかは疑問が残るところです。またフランス人が愛好するところの砂糖入りフレーバードティーはふさわしくありません。管理が悪くて香りがとんだ茶葉を着香してごまかすなど言語道断、混ぜてよい甘味料ははちみつとジャムです。甘味料以外では香辛料、つまりシナモンやショウガなどを付着・混合した例があり、ジンジャーティーなど結果として結構すごいショウガの香りがするのですが、あそこまでいくと真面目に飲むものではないにせよ、リプトンの100個入りティーバッグを長期保存の後コーヒー用クリームパウダーと大量の砂糖を投入して飲むのと同じで、別の飲み物だと思います。なお海外では紅茶は一般にブラックティーで通っており、真剣に正気を疑われる共産趣味とは別の意味で、日本以外の人には理解してもらえないかもしれません。

■2018年02月14日(水)11:17  SSDはまだ高いですかね
4K時代にクラウドは不向き? 求む、現代の“MO的”ディスク
という記事が出ましたが、非常に身につまされます。水流の変化をビデオに取ったときは、データの受け渡しに使っていたサーバーの制限を超えてしまい、ポータブルハードディスクに突っ込んで受け渡しをしましたが、さすがにあれを郵送するのはできれば避けたいです。1本くらいなら格安USBメモリに入れてやり取りすればメディアの単価は数百円で済みますが、それ以上になると、それこそ大容量SDカードあたりでしょうか。64GBのマイクロSDカードが3000円くらいで、これだとちょうど容量的にも値段の上でも昔のMO感覚になるような気がします。それにしても、クラウドストレージとか言ってる時代に、手渡しや郵送を余儀なくされるというのは確かに皮肉ではあります。

2018年02月13日(火)16:41 
「漫画家協会、海賊版サイトを批難する声明発表」だそうです。もちろん海賊版自体は褒められたものではありませんが、「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている現実がある」というといささか反感を禁じえません。海賊版は抗議声明を出したからといってなくなるものでもなく、鞭としては現地の著作権法にのっとった法的対応が、飴としては広範な地域での出版と書籍の価格低減が求められます。このうち後者を、日本の制作関係者はきちんとしているでしょうか。海賊版「サイト」ということは利用者はネットで構わないから作品を読みたいわけで、電子書籍の需要のバロメーターともいえるように思います。正規版の電子書籍の利用に結びつかないのは、不便であるためか、高価だからでしょう。海外出張中に日本のサイトで電子書籍を買うほど暇だったことがないため、現行の電子書籍頒布システムが海外からの利用を想定しているのかどうかわかりませんが、少なくともVoDについては(たぶんディスクのリージョンコードと共通の理由で)外国からの視聴ができないサイトがあります。海外の愛好家が海賊版を共有するのを、不当とまで言えるかどうか、疑問です。また電子書籍頒布システムは、少なくとも書店でのショッピングに比べると面倒な部分があります。通販と同じで、購入したい書籍の書誌情報がわかっていれば見つけることは容易ですが、リコメンデーションシステムでは今のところ書店散策の代替にはなりません。雑誌など回し読みをしたものですが、これもほぼできません。不便な思いをして、頒布業者にネット経由で個人情報を渡してまで、何かあれば消えてしまいかねない、その場の消費的娯楽には見合わない値段の本を買うハードルはそれなりに高いと思います。ましてや雑誌など、よほど部数の出るものでないと近所の店に置かれず、入手すら容易ではありません。

■2018年02月10日(土)15:19  図書館に行く必要が薄れたのは確かですが
ダッシュしたら品物が変わっていたって
AI時代のあるあるにて山田祥平氏曰く、ダッシュボタンで飲料水を注文したところ、2Lボトル×6本入り2箱だったのが9本入り1箱になっていたそうです。現象としては想像がつくにせよ理不尽ですね。とはいえ通常の手順であれば確認できたというのもその通りであるわけで、便利さの裏返しと言えば言えるかもしれません。

ネット接続が前提になって
個人的な経験として大きく変わったこと二つは、どちらも文書というか書籍に関連しています。まず、今やネットにつながっていないとオンラインヘルプを参照できません。その分ハードディスクは圧迫されなくなっているのだと思いますが、このためにモバイルルーターを導入したほどです。サプライヤーとしてはアップツーデイトナ文書を参照できると言いたいのではないかと思いますが、残念ながらオンラインヘルプの検索で引っかかる文書がたいてい間違っています。どのみち汎用の検索エンジンでネット上の文書を検索する羽目になるので状況は変わらないのですけどね。次に、わざわざ図書館まで行かなくともよくなりました。専門的な出版物というのは読者のいるところにしか所蔵されていません。新入りの学生ごときが商業ルートで入手できる文献などたいしたことはなく、バックナンバーを所蔵している図書館に遠征したものです。それがいまや、論文や各種調査機関の報告書の大半はオンライン版が(少なくとも出版している学会の会費を払えば)手に入り、一次史料ですら相当部分がオンラインで読めるようになってきました。各大学が所蔵している学位論文をオンライン化してくれれば、理工系の学問分野で図書館を実際に訪問する必要は消滅するでしょう。

AI関係ないじゃん
このあたりはせいぜいがユビキタスネットワークの影響であって、AIというと検索エンジンくらいしか絡んできません。検索エンジン自体はAI技術がなくても成立していたもので、AI技術によって検索精度が上がっているのかもしれませんが、おそらく2000年くらいの全文検索関連技術でもごみが増えるだけで、本来ヒットしてほしい対象は見つけられます。これは、適切な検索語さえ設定すれば正しく該当する集団を抽出できる学術情報特有の話でしょう。例えば社会心理学というキーワードで検索してファウンデーション三部作が引っ掛かってくるようになるためには、それなりに類推をさせる必要があり、これはAIの活躍しうる話だと思います。それが望ましいかどうかは別ですが(講義のための小話ネタを仕込むのには重宝するかもしれません)。あるいは、いくつかキーワードを与えるとその場で総説を生成してくれるというのも、便利なAIのあり方かもしれません。もちろんその総説の内容が妥当であるかどうかを検証できる教養が読み手に求められますが、それは人間の専門家の書いた総説を読む場合でも同じことです。とはいえ、そのまま鵜呑みにするというのはあるあるなんでしょうね。

ダウンロード・オンデマンドコンテンツが普及しない理由は帯域だけではないのではないかなと
真面目に聞くのでないカジュアルな視聴で、ダウンロードコンテンツやオンデマンドコンテンツではなくレンタルを選ぶ理由は、やはり敷居が高いのではないでしょうか。PCやスマホでの視聴なら別ですが、テレビシステムを使った場合、その手のデータの再生は必ずしも容易ではありません。会員カードを提示して現金を払い、ディスクを突っ込んで再生ボタンを押せばよいという直感的な操作をしのぐものにはなっていないのだと思います。決済だって、結局クレジットカードかおサイフケータイが必要ですし。5Gになろうが、このあたりを解決できないと事情は変わらないのではないでしょうか。なお、個人的にはレンタルしたコンテンツのリッピングは違法だと思います。

ほどほどでいいのが娯楽
「ある意味で感性の退化、劣化に近い現象を引き起こした。」というのは正直過剰な高品位志向だと思います。感性を言うなら低品位の再生から作品の本質を嗅ぎ取るのが感性です。あるいは娯楽としてなら、SDのバラエティ番組だって大道芸だって立派な娯楽であって、8Kハイレゾで再生されるウィーンフィルの演奏会に劣るものではありません。お財布にやさしく心の慰めになるのが大衆的娯楽というものです。ついでに7セグメント液晶向け作品であろうと文化の一端です。

「高品位の製品による豊かな文化」というオーディオマニア的・家電メーカー的文化論
感性の退化というなら自動的再生への依存がむしろ退化でしょう。クリエーターとオーディエンスへの分化を文化的退行とする主張は、むしろ古典に属するものです。その先に来るのがAIに選んでいただいたコンテンツのクリエーターとエンジニアのこだわりに基づいた高品位再生機材による消費というのでは、アドルノが笑います。こだわりの趣味というにはレベルが低いですし、生活の慰めというにはコスト面で難があるでしょう。そして批評家が「人間の暮らしを豊かに」と言うなら、肉牛よろしく高品位コンテンツを消費して霜降りになることを文化という視点からは脱却すべきです。草の根合唱団礼賛は私の趣味ではありませんし、作品に触れるのであればリッチな体験であるに越したことはないという主張も理解はしますが、ナショナルジオグラフィックの番組を8Kで見るよりも音を歪ませるような粗末なアンプを使ったダンスパーティーにでも参加する方が、高踏的な趣味ではないでしょうが文化的に豊かだとは思います。技術批評、製品批評と同じレベルで文化を論じることは、文化的堕落でさえあります。再生機器メーカーとコンテンツサプライヤーが客単価を上げたいことはよくわかりますが、金のないのは客じゃないと言わんばかりの高付加価値製品への傾倒には共感できませんし、そうした傾倒を肯定することを文化の豊かさと称する批評家の姿勢にも疑問を感じます。製作者の「私のこの作品はこういう再生機材で再生してほしい」というこだわりの一種としての高品位機材への傾倒は、まだ理解できるのですが。

2018年02月08日(木)14:30 
LUMIX G9 PRO開発者インタビューで、インタビュアーが「他のフォーマットを展開する計画はないのか」と訊いていますが、今切り取って意味のあるマーケットというと、とりあえず35mmではないかと思うのですが、この場合マイクロフォーサーズと食い合いになりかねないような気がします。写真のプロと言っても幅広く、それこそコンパクトカメラでも仕事はできるという人もいれば、ここぞというときは中判でないとという人もいるわけです。そもそもカメラ需要を支えているのはカジュアルユーザーから中級までの層であって、ハイアマチュアやプロに訴求する機種自体は必要ですが、それだけポンと出しても商売として支えきれないでしょう。セカンドカメラとしてのコンデジから中判まで4シリーズ(なんなら5シリーズ)一揃えづつ持っている層だけに訴求しても仕方ないのです。もちろんフォーマットに縛られない技術も多いので、中級までのマイクロフォーサーズ、上級以上の35mmといったラインナップも不可能ではないでしょうが、それはニコンやキャノンのように35mm向けのレンズシステムを持っているところだからこそ可能な戦略です。ライカブランドのレンズを突っ込んでいるパナソニックなど、35mmに展開しようものならこれまで投入した高級レンズが無駄になりかねません。あえて高級機路線を展開するなら、それこそ中判機の投入でしょう。こちらであれば市場規模こそ小さいもののマイクロフォーサーズと食い合うことはあり得ず、今後ハイアマチュア以上が画質重視に進むと思えば市場拡大も狙えます。センサーの実績もレンズの実績もあるパナソニックなら使えないと評価されることはないでしょう。ただしプロ用ビデオカメラ市場並みのニッチな市場ではあるでしょう。使い勝手が良ければ高価な機材でも買ってもらえるでしょうが、ボディを2年で減価償却みたいなサイクルはあり得ないと思います。もちろんパナソニック全体であれば、自前でリースを展開するくらいの体力もあるし、業務用機材の経験もあるので、どこぞのパソコンメーカーみたいに市場が飽和したところで失速などということもないでしょう。

■2018年02月07日(水)16:31  カジュアルフォトにフラッシュがいるのか?
Olympus E-PL9
E-PL9が発売されました。ここしばらくOM-D系ばかりに偏っていた気がしたので、E-Pラインの新機種は喜ばしいことです。カメラメーカーさんはこれでもかとばかりカメラ側にエフェクトを仕込んでくるのですが、正直RAWがあれば現像ソフトでいいじゃないかと思っていました。実際、自分の使い方ではほぼそうなります。しかし、モノクロモードを見て、確かにこれは撮影時に見ないとイメージがわかないかもしれない、と思いました。モノクロ写真での出来上がりというのはファインダーでの見え方とはかなり異なり、銀塩モノクロフィルムを散々撮ってきた人ならともかく、ファインダーで見たのと近い印象の出来上がりになるのが当たり前の人には想像が難しいでしょう。パソコン上で原形をとどめないまでにいじりまくるのも楽しいものですが、最終形をイメージして構図から作り上げるパターンもあると思います。というわけで、アートフィルターはまあ、自分で使わなくともありだとは思うのです。しかし、フラッシュは必要なんでしょうか。銀塩のISO400とかなら必要な状況も理解できます。しかし、デジカメの場合その場で感度を変えられます。しかもISO25600とかです。もはや、露出を補うという意味でのフラッシュは必要なくなっているのではないでしょうか。少なくとももう一段ISOが欲しいと思ったことはあっても、フラッシュがあればと思ったことはありません。もちろんフラッシュには別の使い方があり、自然光とは異なる固い色調を上手に利用した撮影法もあります。しかし、OM-Dあたりのユーザーが強力なフラッシュを何灯も焚いてやるならともかく、カメラ内蔵の一灯のみが役に立つ状況というのはどんなものなのでしょう。ちなみにシャッター音同様、一定の撮影環境においてはフラッシュは禁じ手です。展示場やイベント会場などがその例です。カジュアルな撮影シーンでフラッシュがぜひとも欲しい状況というと、ブツ撮りで影を消したい時がありますが、これはリングフラッシュやフラッシュ内蔵撮影ボックスの出番でしょう。実際TG-3顕微鏡モードでのリングフラッシュの出番は少なくありません。しかし、E-PLの撮影シーンにフラッシュ…開発陣の発想はたぶん私の想像の外にあるのだろうなとしか、思えません。

■2018年02月06日(火)08:55  ここでも一周して元に戻ってるような
「VPNはもう古い? Googleの相互接続サービス「Google Cloud Dedicated Interconnect」とは」を読んで思ったのですが、結局これって一周して元に戻っただけではないでしょうか。GCPがデータセンターに相当すると考えれば、データセンターの拠点の間は専用線で結ばれているのが普通でしょう。クラウドサービス側が勝手にインターネットに重量級のデータセンターをぶら下げ(もっともインターネットのそもそものサービスはTELNETとFTPなんで、これも間違いではないのですが)、ユーザーに提供していただけです。データセンターと拠点の間の通信が専用回線を必要とする量に達したのであれば、専用回線でつなぐのは当然です。とはいえ、インターネットの思想からすれば、そうして敷設した専用回線自体もインターネットの一部として利用されるべきであるようにも思えます。

■2018年02月05日(月)15:49  充電
充電スタンドは偉大だったのかも
また職場の内線携帯の充電を忘れていました。前の機種はスタンドがあって、帰宅時にそこに置くという習慣を作れたのですが、現行機種は充電ケーブルをつなぐという作業がまだ習慣づいていません。というか、私物のスマホもよく充電を忘れて、たまに電源が落ちている有様です。ケーブルの存在自体普段は忘れていることを考えると、それなりに存在感のあるスタンドの上にポンと置くというのは、案外優れたUIなのかなと思えなくもありません。ポンと置いておくとワイヤレスで充電してくれるステーションもいいかもしれませんが、私だと本に埋もれさせるかもしれないですね。

鞄に入れっぱなしの機器をわざわざ充電する気になれない
と山田祥平さんが書いていましたが、電話をかけない人間にとってのスマホはまさにそれかもしれません。モバイルルーターの電源は切らしたことがなくて、これは通常パソコンにつないで使っているからでしょう。無線LANでつないだ場合、つながらなくなって電池切れに気づくのが容易に想像できます。

遍在する通信ネットワーク
よく聞く話ですが、SF的状況において、通信ネットワークへのアクセス権というのは、あって当然とされているようです。実際には、通信ネットワークへのアクセス権は自明ではありません。1990年くらいまでは固定電話も持たない世帯もそれなりにありましたし、携帯電話ネットワークが普及したのはその後です。いまや、電話なしでは許してもらえません。そのネットワークにアクセスするにも、加入手続をし、月々利用料金の支払いをしなければなりません。うっかり使いすぎると速度制限されてしまいます。その代わり、選択肢もありますが。日常的に持ち歩くネットワークアクセスをする端末機器は今のところ3台、うち2台がルーター経由です。接続権限さえ設定しておけば基幹ネットワークへのアクセスは勝手にまとまってくれるのがルーター経由の接続の便利な点ですが、そもそもまとめることを考えなくてよいのが理想ではあります。もちろん通信接続を制約するメリットというのもあって、ルーターでアクセス制限をかけたり、不都合なアクセスから端末機器を守れたりします。道端の車から自宅のプリンタに印刷ジョブが送られてくるなど、ぞっとせざるを得ません。とはいえ、やはりつながっていないと不便ではあります。

■2018年02月02日(金)16:39  デジタルカメラの出荷台数が前年比較で増加したそうで
減るんじゃないのって観測が中心だったと思うのですが
「デジタルカメラ出荷台数が2010年以来の増加に」だそうで。それもコンデジが国内出荷分で前年比3パーセントほど増えているそうです。レンズ交換式の海外向けの増加は、国際学会に行くとみんなニコンかキャノンの一眼レフを持っているので、理解できるのですが。昨今のカメラを使うシーンというのは、どういうものなのでしょうね。仕事の場では資料写真や現場での証拠として撮影していることが多く、もちろんスマホで取っていることも多々ありますが、スマホを経費で買うわけにはいかないのでレンズ一体型のカメラを使いますし、大きく拡大する場合や顕微鏡に取り付ける場合などはレンズ交換式になります。プライベートでは、やはり子供の写真を撮るという話を聞くことが多い気がします。特にスポーツをやっているお子さんがいる場合などは、お父さんの力が入っているのかそういうことにして趣味に走っているのか、レンズ交換式で防湿庫まで家に備えている例を知っています。特に今はスナップ写真であればスマホで十分なので、カメラを持ちだすというとイベントで、遠距離から狙うことが多く、望遠ズームの使えるレンズ交換式は使い勝手がいいでしょう。フィルムカメラのころであればISO1600などというとかなり粒子が荒れていましたが、今はISO6400でもそれなりに見れる絵が撮れますから、手振れ補正と合わせて、F4くらいの普及型望遠ズームでも室内の舞台を撮るくらいはできると思います。そう思うと、じゃあレンズ一体型を使う理由って何だろうなと、思うわけです。確かにレンズ交換式を持ち歩くのは面倒ですが、それならスマホでいいわけで、少なくとも数万円するコンデジを買う理由というのを、聞いてみたいところです。日本のお年寄りの先生方はたぶんスマホで写真を撮るということに抵抗があるのだと思いますけど。10万円以上する高級コンデジを持って歩いているのを時々見かけます。とはいえ、しょせんはコンデジで、マニュアルモードのあるデジタル一眼系に比べると操作の自由度に欠けるわけで、使う人が一周回ってこないと、スマホでは物足りない人の道具になるのは難しいかなと思えるのですけどね。やはりレンズ交換式は高嶺の花というイメージとか、難しいイメージがあるのでしょうか。

そういえば高級マイクロフォーサーズも
コンデジに近い印象がありますね。何度か書いていますが、ミラーレスというシステム自体は私は大いに肯定します。ただし、正しい進化の方向はライブビューであり、EVFではないと思います。確かに光が当たると見えなくなる、脇が締めにくくホールディングに問題があるといった点はありますが、光が当たっても見える表示デバイスを作ればよいのだし、ホールディングはEVFに顔を当てるよりも適切な長さのレンズやグリップを装着する方がよいのではないでしょうか。こういった問題点よりも、ペンタプリズムやアイピースのような余計なでっぱりがないことの方が望ましいと思います。とはいうものの、ではLeica Mを買うかと言われると、買えたらいいねというか…まあ、でもOM-Dを買うくらいならLeica Mかな。OM-DやLeica SL、Lumix Gあたりは買うと負けな気がします。とはいえボディにそこまで金をつぎ込む気があまりしないのですけどね。ボディの流行を追うくらいならレンズ沼にはまる方がはるかにましです…2000万画素がうらやましくないとは言いませんけど。高速オートフォーカスがうらやましくないとも言いませんけど。うん、やっぱりそろそろボディも替え時かもしれない。でもOM-Dを買うくらいならPen-FかDfを買います、たぶん。

■2018年02月02日(金)13:51  「老後」をどう迎えるか
老後など迎えたくないという主張には共感できます
西邊何某なるベストセラーライター・タレントの自殺について佐伯何某なる元大学教員が盛んに追悼文を書いていますが、肝心の遺書の報道を見かけないので即断しかねますけれども、理由として「家族に介護上の面倒をかけたくない、という一点が決定的に大きい」(佐伯氏)のだとすれば、ある意味理解できる部分はあります。とはいえ、自殺自体は非常に迷惑な行為であり、貧乏人の逃げ場でしかないのですが。つい先にも札幌で自立支援関連施設で火災が起きましたが、これで焼死した「身寄りのないお年寄り」は自分の、あるいは子供の数十年後の姿かもしれません。問題は「身寄りのない」の部分で、全額自己負担さえできれば、家族に介護労役や意思の代行の責を負わせることなく、自宅で自然死することも可能ですが、そうであっても、ままならない身を他人の介護に任せた挙句、現状では最悪「身寄りのない」「孤独死」呼ばわりをされてしまいます。プライドのある人であれば、意識さえもうろうとした、身動きもままならない、家族の憐憫を受ける「老後」など受け入れ難く感じても仕方ないでしょうし、まして自ら選んだ孤独を「身寄りのない」と評されるなど屈辱でしょう。一方で、それらはたとえ本人の意思を尊重した結果であるとしてもそばにいなかった近親者を非難する言葉でもあります。飛躍ではありますが、近代の「自立」の思想が究極において対面する問題のひとつが、必ず訪れる「老後」ではないかと思います。「自立」や尊厳などありえないと言ってしまうのは簡単ですが、それはそれで大事な何かを失ってしまうものと思えます。親族に囲まれた幸せな老後と見るか、親族を侍らせた無様な老醜と見るかも含めて、考えさせられる話ではあります。

■2018年02月02日(金)11:31  出張にはUSB3.0ハブを持って
ノートパソコンだってオクタコアの夢を見る
「モバイルノートの処理性能向上とPD電源対応、その先にあるもの」に紹介さrているとおり、レッツノートがついにクアッドコア版CPUを導入しました。さすがにうちのSZ5はまだ使えるので、もうしばらく買い替えはしないでしょうが、ノートパソコンであってもハイエンドにはクアッドコアどころかオクタコア以上の需要だってあります。ノートだから性能が低くてよいなどとは、思ってもらえないのです。前職の上司が、Quadroを積んだハイエンドノートでボーリングデータの解析システムをぶん回していたのを思い出します。まあ、最近の演算システムは低精度のデータを大量に扱うのに特化してきて、ハイエンドと言っても使いこなすのが難しいのですが。できれば1024bit浮動小数点数の16段くらいのパイプラインを8基持ったシステムになってほしいです。ともあれ、出先で強力な計算機を使いたいことはいくらでもあります。通信インフラが向上すれば、演算能力はクラウド任せにできなくもないでしょうが、当分は無理でしょう。ハイエンド製品の性能向上はしばらく続くでしょう。もっともローエンド製品との差が開いて、数万円のローエンド品と100万近いハイエンド品に分化してしまうかもしれません。ハイエンド品にも、全てを吹っ切って計算性能を追い求めた、UPS付きモニタキーボード一体型パソコンとでもいうべき製品と、あくまでもモバイルの範疇で計算能力の向上を進めた製品とがありますが、3 kgもあるような筐体を持ち運ぶのはもう勘弁してほしいわけで、ハイエンドコンピューティングを1 kgでというのが望ましい姿です。まあ、弁当箱みたいな本体と24インチ液晶モニタにキーボードとマウス、USB-PD対応給電ユニットをデイパックとショルダーバッグに入れて持ち歩くスタイルもなしとまでは言いませんが、機動性に欠けることは確かです。

出張にはUSB3.0ハブを持って
そしてその山田氏推奨のUSB-PDですが、こうしてPCがPD対応していくと、出張時、夜のホテルではACアダプタにつながったPCにPD対応機器がいくつかぶら下がるという姿になりそうです。山田氏の理想は複数のポートを持ったPD対応給電ユニットにPCを含めたPD対応機器がぶら下がる形でしょうが、PCさえあれば他のものは充電できるというのは、次善の姿ではないでしょうか。とはいえ、軽量化・薄型化の反面として、ノートパソコンに搭載されるポートの数は減ってきているので、充電に回す余裕などないかもしれません。スマホの急速充電に必要な電力量を考えるとPD対応マルチポート給電ユニットとノートパソコンのACアダプタをテーブルタップに挿すことになりそうですが、ノートパソコン側の給電能力が増えれば、バスパワーのUSBハブで充電という程度は可能かもしれません。もっとも、充電が必要なのは情報機器だけではなく、テーブルタップはいずれにせよ持って歩かないといけないのでしょうけどね。さすがに交換用バッテリーにUSB3.0ポートがあるというシュールな光景は、それなりに常識が変わらないと実現しないでしょうし。とはいえ、旅行用変圧器の重さと電力供給能力の低さに辟易してきた身には、6個口タップが3個口タップと変換プラグ二組で済むようになるだけでもありがたかったりします。

10分でも待てない
ノートパソコンの周辺機器として、バッテリーチャージャーはいつの間にか提供されなくなってしまいました。もちろん急速充電が本道ではあるのでしょうが、どうしても朝から夕方まで電源のないところにいるといった場合、交換用バッテリーというのは便利なものです。しかし、一度使ってしまえば充電ができません。なにしろ、充電するには本体にバッテリーがついていないといけないのですが、その本体は交換した方のバッテリーを充電中なのですから。

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